バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第16話 村長との戦い

早く……早く早くと玲奈の心は焦り切っていた。

この村に到着した途端、玲奈の悪い予感は的中したも同然だった。

イカれた村民が玲奈たち襲いかかり、その頭を吹き飛ばしても謎の寄生体が出てくるという…現実離れした村…。

こんな村を竜馬1人で……そう思うと、自分が付いて行かなかったが悔やまれる程だった。

玲奈たちはハンビーで村のど真ん中を一気に突っ切り、竜馬がどこにいるかをひたすらに探した。宛があるわけではない。もしかしたら…既に奴らの手にかかり、もう命は無くなっているかもしれない…。

そんな恐怖が玲奈を襲うが、それを振り払い、ずっとハンビーを運転していると…教会らしきところで、『彼』を見つけた。

ダラリと身体から力を感じられず、足、肩と傷だらけの竜馬を運び去ろうとする紫ローブの男…。しかし、そのローブの下から太い触手が出てきて、それが竜馬と金髪の少女を捕らえている。下手にハンビーを突っ込ませたら、どちらも命はない。

玲奈は今すぐサドラーを殺したい欲求に駆られるが、それを抑え込み、紗枝に言う。

 

「あの大男に突っ込む!しっかり掴まってて!」

「ドーンとお願い、玲奈‼︎」

 

玲奈はアクセルを踏み、(すた)れたコートを着る村長へとハンビーを突っ込ませる。村長は逃げる素振りも見せない。

構うことなく、玲奈は真正面から村長にぶつかって吹き飛ばす……はずだった。村長にぶつかり、ほんの1m進んだだけでハンビーは速度を無くしてしまった。その原因は、村長の片手がハンビーのボンネットを掴んでいるからだった。

 

「なっ⁈」

 

それから村長は運転席にいる玲奈をフロントガラスを粉々にしてからその首を掴み、外へと引き摺り出した。

 

「ああっ‼︎」

「玲奈‼︎」

 

村長は玲奈を放り出してからサドラーに言った。

 

「サドラー様、ここは私にお任せを」

「ふむ。なら任せよう…」

 

サドラーは色鮮やかなステンドグラスを割って、教会から出て行った。

 

「ま、待て……ぐっ⁈」

 

すぐに追おうとしたが、村長のデカイ足が玲奈の華奢な背中を踏み潰し、グリグリと骨を刺激する。

 

「うああっ‼︎ああああああぁぁっ‼︎」

 

呻き、悲鳴を上げる玲奈だったが、腰から散弾銃を抜き、村長の顔面に撃ち込んだ。これには堪らず村長も顔を抑えて膝を着いた。

 

「紗枝!先に言って‼︎竜馬とアシュリーを…!」

「……ああ、もう!」

 

紗枝はそう愚痴を零しながら、ハンビーのエンジンをフル回転させて、教会の壁を突き崩して先に行った。

玲奈は無事行った事を確認して村長の方を向こうとした途端に、頭を鷲掴みにされて地面に叩きつけられた。

 

「ぐあっ‼︎」

 

村長の顔には全く傷が見られない。

あの至近距離で散弾銃を受けてもビクともしていなかったのだ。

ならばと思った玲奈は、横のガソリンが入ったドラム缶をひっくり返して村長にかけると、今度は拳銃で身体を撃った。

 

「食らいなさい‼︎」

 

忽ちガソリンは引火して村長の身体を燃え上がらせると同時に、木製の教会をも炎上させた。

玲奈は後退りして、はあと溜め息を吐いた。すると、玲奈がひっくり返したガソリン入りのドラム缶は激しく爆発した。

 

「くっ…!」

 

爆風と塵が玲奈を襲うが、それは何ともない。

立ち上がり、紗枝の後を追おうと思ったが、その前に…まだ村長は立っていた。立っていると表現しているが、そいつはもう異形の存在でしかなかった。

あの爆発をまともに受けても傷1つ付かず、服だけが焼けて無くなり、爪は鋭利に伸び、背中からはサソリの尾のようなものが3本生え、上半身と下半身は分かれてムカデの身体で繋がれている。

玲奈たちがここに来るまでに出会ってきた村民たちとはまた別のタイプの寄生体が埋め込まれているようだ。

 

「…なるほど、ここから本気ということ訳ね…」

 

そう呟くと、村長は甲高い咆哮を上げた。

そして、バランスが悪そうな身体の状態で走ってきて、玲奈の身体をその鋭利な爪で切り裂こうとしてくる。

玲奈は狭い教会内ではあったが、どうにか避ける。

しかし、玲奈が前を向いた時、奴の顔が玲奈の目の前に逆さであったのだ。奴はムカデの身体を利用して、伸縮自在に出来るようにしていたのだ。そのまま玲奈の肩に噛みつき、とんでもない咬合(こうごう)力で玲奈の身体を持ち上げた。

 

「あぐっ………うううぅ‼︎」

 

天井が高い教会で、玲奈を大体地上から4m程持ち上げたところで一気に急降下させ、玲奈を地面に叩きつけた。

 

「あがぁ‼︎」

 

地面に叩きつけられ、肩から流れる血の量が増える。

それを何度も繰り返そうと考えている村長だったが、玲奈も何度も同じ目には食らわない。ナイフを抜いて、奴の首に深々と刺し、噛みつきから脱出した。

そして間髪入れずに玲奈は奴の後ろを取り、ムカデの腹に照準を当てて超近距離で散弾銃を発射した。村長の上半身を支えていたムカデの身体は今の銃撃で完全に千切れてしまい、下半身と上半身は無残にも真っ二つになってしまう。

玲奈は撃った後だが、噛まれた肩を抑えた。深く刺さった牙がそのままで抜こうとしていたのだ。その間に村長は下半身を失っても、驚異的な跳躍力を見せ、サソリの尾を2つ使って、教会の鉄骨にぶら下がった。

玲奈は荒い息を吐きながらも、相手の出方を窺う。

村長はずる賢い手は一切使わず、そのまま突っ込んできた。それは玲奈からすれば、むしろ好都合だった。散弾銃を構えて、今度は上半身をそのまま粉々のすればいいのだから…。

そう思っていたが、玲奈が引き金を引く前に、鋭い爪が銃口の中に入り込んだ。

 

「しまっ…!」

 

既に発射しようと思っていた指は止まらず、引き金を引いてしまう。散弾は銃の中で暴発し、玲奈共々巻き込んだ。

 

「ああっ…!くぅう……」

 

玲奈は身体中に散弾を受け、村長も片腕を失ったが玲奈よりピンピンしていた。薄笑いを浮かべた村長は玲奈の身体に馬乗りになり、3本のサソリの尾を玲奈の身体中に突き刺した。

 

「うああああああぁぁ‼︎」

 

片足と片腕に激痛が(ほとばし)り、玲奈の口からは痛々しい悲鳴が木霊した。

最後の尾は玲奈の脳髄に刺そうとする村長。

玲奈はそれが来る前に、尾が刺さる腕を無理に動かして、掌でその尾を受けた。掌から貫通した尾。そこから溢れ出る血は玲奈の顔や服にかかっていく。

だが…ここで玲奈は薄笑いを浮かべた。空いているもう片方の手で拳銃を掴むと、そのまま顔面に何発と発射した。

撃つ度に尾は身体の奥へ奥へと入ってくる。そんな地獄のような痛みに耐えつつも、玲奈は弾切れになるまで撃った。

それでも……ここまでしても奴は倒れない。

 

「この……野郎‼︎」

 

玲奈はそう叫んで、拳銃を捨ててナイフを掴むと、額から深々とその刃を刺した。その瞬間、村長の身体はビクッと一瞬震え、そのまま玲奈の上に倒れた。

 

「くはっ…!はあ……!はあ…」

 

血だらけの片腕とまともに動かない片足をどうにか動かして、玲奈は教会から出ようとする。

すると、地面に倒れた村長は玲奈たちを嘲笑(あざわら)うかのように言った。

 

「貴様……ら、サドラー…様に、勝てな………い…」

 

最後にそう言い残して、奴は絶命した。

玲奈はその言葉を聞いても何も思わなかった。彼女には諦めるという言葉は存在しない。逃げるもない。

玲奈は負けるか勝つか……この2つだけであった。

ボロボロの状態の玲奈は、足を引き摺り、腕を抑え、ブツブツと独り言を呟きながら…必死に歩くのだった。

 

「竜馬………竜馬………」

 

と…。

 

 

その頃、エイダは既に任務を終えていた。

寄生体の情報が詰まったUSBを持って、ジョンが用意したヘリに乗り込む。サドラーによって竜馬とアシュリーが捕まったことは知っている。2人はもうダメだろう…。

エイダはきちんと警告したのに……と思いながらも、巨大な潜水艦の中にヘリを着陸させていくのだった。

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