バイオハザード リターンズ   作:GZL

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サブタイトルマジで思いつかなかった…。


第20話 奇跡

ダグは2人が眠りに入った後もたった1人で感染の発生源を突き止めようと学園内を探索していた。彼はもう2度と東京事件のような悲劇が起こってほしくないと願っていた。

あの事件でウィルスが蔓延した原因として、アンブレラ社はウィルスの不始末だと公表していたが、実際は違うと思った。ダグでもあの事件の真相は暗闇に沈んだままだ。だが尚更、そのためにも原因を特定しなければならない。

しかし……。

 

「この広大な敷地から発生源を見つけるのは簡単ではないな…」

 

日が上がっていた時は玲奈にも手伝わせていたが、特に関係性のあるものは見つからなかった…とのことだった。

そんなことばかり考えていると、急に眠気が襲ってきた。

これじゃあもう調査は続行出来ないと、リッキーが寝ている部屋に向かおうとした時…『彼』の悲鳴が夜の静かな学園に轟いた。

 

「ぐっ、がああああああああぁ‼︎」

 

その悲鳴は間違いなく、リッキーのものだと分かったダグは頭の中で最悪の展開を思い描いてしまった。

 

「まさか…!」

 

ダグの眠気は一瞬で吹き飛び、その足は自らの部屋へと駆け出すのだった。

 

 

 

 

玲奈もリッキーの悲鳴で眠りから無理矢理覚められた。尋常ではない悲鳴にリッキーに何かあったことは明白だった。

玲奈はナイフと拳銃を持って、ダグとリッキーの寝室に飛び込んだ。そこにはリッキーの肩に噛みついたまま離れようとしない、昼間に見たアリサがいた。この光景を見るだけで彼女はアンデッド化したのだと分かった。

玲奈はまずリッキーからアリサを引き剥がし、地面に押し倒したところで額からナイフで突き刺し、彼女を絶命させた。

玲奈がアリサを殺してすぐにダグとこの学園の警備隊が雪崩れ込んできた。彼らは血塗れのパジャマを着た玲奈が放つ途轍もないオーラに一瞬たじろいだが、ダグはすぐに倒れたリッキーの元に駆け寄った。

 

「リッキー‼︎リッキーィッ‼︎‼︎」

 

リッキーの傷はそこまで酷いものではない。しかし、アンデッドに噛まれたとなると話は別になってくる。急いで傷を応急措置して、ベッドに寝かせると、そこに何の焦りも見せずに悠々とグラシアがやって来た。

 

「…!グラシア‼︎お前が学園の威厳に拘った結果がこれだ!早くどうにかしないと学園は崩壊する!東京事件の二の舞になるぞ⁈」

 

グラシアは担架で運ばれるアリサの死体を一目した後に、ダグと玲奈たちに言った。

 

「ダグ、今日は部屋の前に見張りを置いておきます。もしあなたの甥が彼女と同じようになった時、すぐに“処置”出来るように…」

「…あなた…生徒がこんなことになって何とも思わないの?」

 

怒りで震える玲奈の質問にグラシアは答えることなく、さっさと部屋から出て行ってしまった。

 

「グラシア‼︎」

 

ダグはもう一度叫んだが、彼女が戻ってくることはなかった。

 

「…ムカつく女」

「彼女は何も分かっていない…。今日の昼間…普通の女子高生が一晩の間にアンデッドとなった……。これが何を指し示すか…」

「…発生源はやっぱり学園内にいる」

「そうだ…。……玲奈隊員、今晩でリッキーはダメだろう…。すまないが、今晩だけは私とリッキーの2人にさせてくれんか?」

「分かったわ。でもアンデッドになったらすぐに…」

「分かってる」

 

ダグはそう言って、ベッドの上で苦しむリッキーの手を強く握った。

玲奈はその後は何も聞こうとはせず、すぐに部屋から出て行くのだった。

 

 

 

 

玲奈たちがグラシアとの対立を深めている頃、とある国ではバイオハザードが起きていた。その制圧に向かったのは、たった3人。

廃墟同然の建物の中で海翔、智之、そして紗枝が戦闘を繰り広げている。海翔が放った拳はアンデットと化した犬の顔面を捉え、遠くに吹き飛ばした。その背後からアンデッドは音もなく、忍び寄ってきている。それに気付いた智之は弾が入ったケースを投げた。

 

「海翔!」

 

上手く掴んだ海翔はすぐ様それを拳銃に込め、アンデッドに額を貫いた。その後、ものの数十分でバイオハザードは鎮圧された。

 

「お疲れ、俺らが出る幕でもなかったな!」

「そんなこと言ってられるのも今だけかもしれんぞ?突如予測不能な事態になることもあるからな…」

「だとしてもよ、海翔」

 

奥の方から背伸びをしながらやって来た。

 

「お疲れ、紗枝さん。相変わらずお美しいことで…。まあ、ともかく一仕事終えたから、飯でも食いに行くか?」

「悪いけど、飲みに行くなら2人だけで行って。私はシンガポールに用があるの」

「シンガポール?どうしてだ?紗枝」

「今回のBOWの解析をダグ教授に頼んで来いと言われたの」

「ダグ教授って…今玲奈と一緒にいる大学教授のことか?」

「ええ。まあ明日には帰ってくるから大丈夫よ。ついでに玲奈の迎えもするわ」

「なら俺も行こう。玲奈には……ちょっと元気付けてやる必要があるからな…」

 

そう言った途端、2人は一瞬返事に戸惑った。はっきり、竜馬の死を受け止めていれてないのは玲奈だけではない。この3人もそうだった。

 

「とにかく…行きましょうか」

 

そう紗枝が言うと、2人は頷き、さっさと車に向かうのだった。

 

 

 

 

「ぐっ…うあああああ!」

 

リッキーの喉からは噛まれたことによる痛みが止まることなく流れていた。ベッドのシーツが乱れ、身体からは汗が噴き出る。

それでもダグは居眠りすることなく、汗を拭き、リッキーに語りかける。

 

「リッキー…すまない…。私がこんなところに連れて来たばかりに……」

「お……叔父…さん…」

 

リッキーの震える声がダグの耳に入ってくる。

 

「俺も……アリサちゃん……みたいに、なる……のか…?」

「…………」

「もし…なったら……構わずやってくれよ…?グラシアの、部活……や、玲奈さ…んに、任しても構わねえ……。あん、なになって…人を食うなんて……まっぴら…ごめんだ…」

 

ここでダグの涙腺が崩れた。次々と涙が溢れ、リッキーに謝罪を言う。

 

「リッキー……すまない…すまない………」

 

 

 

 

だが…奇跡は起きた。

朝日が昇っても…リッキーはアンデッドにならなかったのだ。

ダグ自身ももうダメだと諦めていたのに、こんな奇跡が起きるなんて、予想だにしなかった。

 

「な、何ともないのか⁈」

「ん……ちょっと肩が痛いだけくらいかな…」

「バカな…」

「えっ⁈それじゃあこれから…」

「噛みつきによる感染は1日以内に起こる。夜を越したということは安全なのだろう」

 

リッキーはそう聞いて、喜びの雄叫びを上げるが、ダグは釈然としなかった。明らかに噛まれていたのに感染していない…どこか妙だとも思えた。

ここで突然部屋の扉が勢いよく開いた。

その扉の前には驚いた表情の玲奈が立っていた。

 

「感染…していない⁈」

「あ!玲奈さん!おはようございます!俺、どうやら感染から脱したみたいで…」

 

暢気に言うリッキーだが、玲奈は気が気でなかった。

噛まれたのにアンデッドにならない……ということは、J-ウィルスに耐性があるのではないか?と玲奈は思ってしまった。

しかし、自分以外にいるのだろうかとも思えてしまう。

そうやって考えていると、ダグは玲奈に話しかけた。

 

「玲奈隊員、朝食を済ませたらすぐに校内を探索しよう」

「そうですね。グラシアは気に食わないけど、ウィルスを食い止めるのは私たちの仕事だわ」

「待ってくれ!叔父さん!俺も……俺も手伝うよ‼︎」

 

そう言って、始めたのが……。

 

「リッキー‼︎そこだ‼︎逃がすな‼︎」

「うおおおおおおおおお‼︎」

 

…ネズミ獲りだった。

もちろん、リッキーたちの声は周りのクラスにダダ漏れで、全員が(いぶか)しげな表情で2人を見ていた。それを見ている玲奈も頭を抱えてしまう。そんな恥ずかしいネズミ獲りは朝から夕方にまで及ぶのだった。

 

「はあ、はあ…。くっそ~1匹も捕まえられなかったあ!叔父さん、これじゃあ(らち)があかないよ」

 

リッキーはベンチに座って、疲れた表情で言った。

 

「非効率かなあ…」

「充分非効率だと思いますよ、教授…」

 

玲奈は呆れ気味に言う。

ダグもこんな恥ずかしくて情けない痴態を晒したい訳ではない。何がウィルスを媒介させているか分からないため、何かしらの生物を検体しようと考えていたのだが、この様である。

すると……。

 

「お疲れ様です」

「あっ!ビンディちゃん…」

 

どこか心配気な彼女は、リッキーたちにとあることを聞く。

 

「お疲れのところ悪いのですが……アリサがどこにいるか知りませんか?部屋にも授業にも出ていなくて……」

 

それを聞いたダグと玲奈は顔をお互いに見合わせた。リッキーも表情を固めたまま変えることはない。

3人の様子からビンディは彼らに問い詰めた。

 

「知ってるんですね⁈彼女のこと!」

「あ、いや……」

「教えてください‼︎彼女は…私の大切な友達なんです‼︎」

 

ビンディのあまりの必死さにリッキーは折れかけていた。

もう少しでアリサがどうなったか言おうとしたところで……

 

 

 

学園内全体に轟く程の爆発が起きたのだった。

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