今回、これからの物語にかなり重要なキャラが登場します!
では、どうぞ!
第12話 最初で最後の警察官勤務
雨が降り続ける中…彼、
彼はずっと
竜馬の兄が警察官であったことから、竜馬も影響されて同じように警察官を目指した。兄みたいな優秀な警察官になるのが竜馬の夢であった。そして、待ちに待った今日……竜馬は漸く交番勤務からの異動で警視庁の捜査一課に勤務することになった。
更に重なるように仕事がすぐに入った。街中で人を襲う者たちが多数いるとの通報を受け、人員を確保するために警視庁に異動してきたばかりの竜馬も急行することになった。警察官としては余り良くない考えだったが、竜馬は警視庁での初めての仕事に興奮していた。無邪気な子供のように竜馬は現場に急いだ。
だが……彼の高揚する気持ちを一気に冷めさせる光景が目に飛び込んできた。そこは、地獄だった。人が人を食らう……。
それは竜馬だけでなく、多数の警察官に衝撃を与えた。道路は奴らで埋め尽くされ、先ほどまで一緒に鎮圧に参加していた同僚たちも奴らの一員となっていた。恐怖に
人間とは思えなかった。いや…人間ではない者たちが東京を
竜馬は命辛々、別の警察署に辿り着いたが、そこには助けを求める市民が群がっていた。どうにか警察署に入っても、中も混乱していて、どうしようもない状況だった。至る所に手錠をかけられてもなお、暴れ続ける者たちを抑えるたちもいて、竜馬は夢だと言い聞かせたかった。
だが、突然、群がる市民を押し退け、入ってきた女性が暴れるアンデッドの頭を撃ち抜いた。市民の顔は青ざめ、すぐに逃げる。その様子を見た竜馬は凄いと思いながらも、酷いとも思った。
「紗枝!」
「彼らは人間じゃない…。本部からの命令よ。こうなった人たちは即刻射殺せよと来たわ」
竜馬は漸く彼女が何者か思い出した。日本の警察官が憧れると同時に見惚れてしまう程の美貌の持ち主だが、中身は恐ろしく怖い女性警察官だ。名前は
紗枝は腰に拳銃を収め、茫然としている竜馬を見る。
「…あなた…竜也の弟?」
「は、はい…。弟の竜馬です!兄を、ご存じで?」
「同僚よ。と、言っても彼は公安だけどね。あら、その顔は知らなかったようね」
公安…?
と竜馬は首を傾げた。竜馬は兄が公安に入っているなんて聞いたこともなかった。恐らく、上から他言しないように言われているのだろうけど…実の弟の俺にくらい教えてくれてもいい…と思った。
「…って、悠長に話している暇もないわね…。今は逃げるわよ!」
日も落ち始め、辺りは暗闇に包まれ始めた。こんな状況下で夜を過ごすのはごめんだと竜馬も思った。
「はい!」
紗枝と竜馬は警察署から急いで、とにかくこの東京から逃げることを決意したのだった。
病院着を着ていても、雨からの寒さには耐えれそうになかった。
震える足を必死に動かして、歩いていると、日本では中々お目にかかれないガンショップがあった。恐らく違法なのだろうが、今は法律云々かんぬん言っている場合でもないので、玲奈は取り敢えず雨からの寒さに耐えるために店の中に入った。運が良いことにこの店にはなんと服まで売っていた。すぐに玲奈は安っぽい病院着を脱ぎ捨て、新たな服に手を伸ばした。
色んな銃を太ももから背中にまで装備した玲奈は漸くこの店から出ようと思った時…。
「うっ……⁈」
左腕に痛みが走った。身体全体に痙攣が広がり、腕の血管が浮き出て何かが上にせり上がっていくのがはっきりと見えた。
それに玲奈には左腕に何かを打たれた覚えがあった。あの病院で拘束されていた時、青い液体を投与されたのだ。
記憶に間違いがなければ、あれは…J-ウィルスだ。
「…………」
しかし、玲奈はここで立ち止まっているわけにはいかず、ガンショップを飛び出すのだった。
竜馬は未だに握る拳銃をアンデッドたちに向けられずにいた。
いくら人間ではない化け物だとしても、外見は人間。
竜馬自身、抵抗があった。
しかし、隣にいる紗枝は何の
二人は現在、この霞が関がアンブレラによって封鎖されていると聞き、その封鎖地点に向かおうとしていた。が、日本の人口が最も集中している東京…。アンデッドの数も尋常ではない。だから、弾がなくなることを警戒しながら行動する暇もない。だが、竜馬は…腹の中で抑えていた疑問を紗枝にぶつけた。
「紗枝さん…」
「紗枝でいいわ。何かしら?」
「…紗枝、さんは…どうしてそんなに簡単に奴らを撃てるんですか?」
紗枝は竜馬が何を聞きたいのか一瞬分からなかった。
「俺は…市民を守るために…警察官になって…なってからも必死に頑張って今日警視庁に来たのに…!こんなの、あんまりだ!最初の仕事が…人の射殺なんて…」
竜馬は握る拳銃を痛いほどに強く締め上げた。そして、紗枝は竜馬の苦しみが痛いほどに分かった。だが、紗枝には厳しい現実を教えてやることしか出来なかった。
「竜馬の言いたいことは分かるわ。でも、彼らは人の形をした悪魔…。自衛のために止む無く…」
「それでも……!俺たちは…
竜馬は叫ばずにはいられなかった。こうでもしないと、何故自分が警察官になりたかったのかが見失いそうだったからだ。
「紗枝さんは凄いようで、残酷にも見えます…。何の躊躇いも、覚悟も決めずに撃っているように見えて…」
「竜馬…」
「俺はまだ、使えない…。この鉄の塊を使うなんて…」
紗枝は竜馬が弱弱しく…だらしなく見えた。こんなことで怖気づいているなら…と思った紗枝はキツイことを言う。
「竜馬、一つだけ言ってあげる。今、警視庁は崩壊寸前で上の幹部たちは逃げてすでにここから脱出しているわ。要するに、彼らは私たちを
パンと銃声が鳴り、アンデッドの頭に風穴が空いた。
「生き残れない」
紗枝の助言は竜馬の覚悟を強固にした。もう…逃げてばかりはいられない。竜馬も腰から拳銃を抜いた。それを見た紗枝は少し笑った。
「行くわよ!」
「はい!」
竜馬はこの瞬間、初めて…人に、アンデッドに引き金をに引いたのだった。
それから二人はひたすら走るが、道中、後ろから車のクラクションが鳴り響いた。竜馬が振り向くと、トレーラーが猛スピードでこちらに向かってきていたのだ。運転席にアンデッドが侵入して、運転がめちゃくちゃになっていたのだ。
「紗枝さんっ!」
竜馬は力任せに紗枝を突き飛ばした。竜馬自身も突き飛ばした反動で紗枝とは逆の方に吹き飛ぶ。トレーラーは停まっていた車にぶつかり、横転した。ガソリンが線状に漏れ、二人の間に火の柱が立つ。トレーラーにも引火しそうな中でも竜馬は紗枝が無事か確認しようと叫ぶ。
「紗枝さん!先に行ってください!」
「でも…あなたに何かあったら竜也に…」
「早く!時間が…」
刹那、ガソリンに引火し、激しい爆発を起こした。竜馬は爆風を受けて派手に飛び、車のフロントガラスに背中を強くぶつけてしまう。
「ぐぅ…!」
ぶつかってから、車の上をゴロゴロ転がり、地面に背中を着ける。背中がヒリヒリし、今は身体を起こせそうもない。だが、トレーラーの爆発音にアンデッドは反応し、ぞろぞろと竜馬に近付いてくる。竜馬は拳銃を向けるが、スライドが開ききっていることに気付いた。
「…くそ……」
3体のアンデッドが竜馬に近付き、赤い歯を見せつける。
今新たな弾を装填しても、間に合わないだろう。竜馬はもう殺されると覚悟したとき…バイクの音が聞こえてきた。そして、運転手は拳銃をぶっぱなし、アンデッドを殺す光景が竜馬の目に飛び込んできた。
「大丈夫⁈」
なんと、バイクに乗っていたのは女性だった。
黒髪のポニーテールで紗枝の髪形に似ていたが、違った。
「だ、大丈夫だ…。背中を打っただけ…」
竜馬は背中は擦りながら漸く立ち上がった。女性はホッとしていた。
「あんたは…?」
「私の名前は
「…後で話す。今はとにかくここから離れて安全な場所に行こう」
薺は頷く。確かにいつアンデッドがやってくるかも分からないこんな場所に長居するのも良くない。竜馬は薺が乗ってきたハーレーの後ろに乗り、ここから急いで離れるのだった。
日本に銃を売っている店なんかないだろ、と言いたいという人はいっぱいいると思うんですが、こういう設定にしないと、ややこしくなりそうだったので、こうしました。
それと、なんか竜馬の苦悩が長くなってしまいました。