バイオハザード リターンズ   作:GZL

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IF Story3完結です。


第29話 変わらないもの、変わったもの

網を破って突っ込んで来たアンデッドは、残る生き残り…玲奈たちに向かって駆け出してくる。

海翔が操縦席に乗り込み、エンジンを始動させる。

他の3人はヘリが離陸出来るまで時間稼ぎをしようとありったけの弾丸を撃ち込むが、この学園がマンモス校だったことを恨みたいくらいの量のアンデッドが迫って来ている。

 

「離陸する!早く乗れ‼︎」

 

3人は急いで乗り込み、アンデッドから逃れた。海翔があと少し…エンジンを動かしていなかったら今頃囲まれて肉を食い千切られていたのは間違いなかろう。

4人は「ふう」と息を吐き、漸く安全になったと思った。

玲奈はヘリの中から学園を見た。

ここでは色々あった…。様々な出会い…別れ…そして、一番会いたかった人の変貌…。

玲奈の脳裏には未だにあの狂気の笑いを浮かべた竜馬がこびりついていた。何が…彼をあそこまで変えてしまったのか…、それを考えなくてはならない。

そして彼女は誓っていた。

彼を助け、元の優しかった竜馬に戻すと…。

 

 

ヘリが置かれていた地面の上に竜馬は立っていた。片手には20発入りの拳銃が握られている。彼の近くにいたアンデッドを1匹残らず殺していたのだ。そのお陰で、黒いコートは鮮血で赤色に染まっていた。

竜馬がここに来たのには訳があった。

『あの人』の命令で、変異したナナンの細胞を持ち帰ろうとしたのだが…。

 

「…ちっ、あの女…」

 

ナナンは玲奈たちとの戦いで下半身を失い、更にはビンディの炎上と共にその上半身も炭化させてしまったのだ。よって、今竜馬の目の前にあるのは、黒焦げになった原型を留めない何かでしかなかった。

下半身を回収しようとも思ったが、地下制御室はビンディの暴走で崩れ落ちてしまい、それも出来なかった。

どうしようかと思っていると、数台のヘリが学園に向かって来るのが見えた。朝日に照らされて、その姿はより一層見える。

 

「…仕方ない。ここはひとまず撤退だな…。ここの後始末は任せたぜ、BSAA」

 

竜馬はそう呟き、黒色のコートを翻すのだった。

 

ー1週間後ー

玲奈は自宅でテレビを見ていた。

内容は、アジア最大の進学校『マルハワ学園』が壊滅したこと。

この真相を知っているのは、今となっては玲奈だけであった。しかし、そんなことを大々的に発表するのは、テロリストの思惑に嵌ってしまうと考えたBSAAは真相を闇へと隠してしまったのだ。恐らく、何故マルハワ学園が壊滅したかは、永遠に分からないことだろう。

そして、学園崩壊と共に一部マスコミの調べで、グラシアが今まで隠して来た異常な犯罪記録が発表された。

この事は結果、ビンディたちが成し遂げたかったことに結び付くが…ここまでしなくてはならなかったのかと、1週間経った今でも玲奈は考えさせられた。

彼女はそう考えながら、机に置いてある辞表に手を伸ばした。

これから玲奈はBSAA本部に赴き、この辞表を出すつもりだ。

紗枝や海翔、他の人たちになんと言われようと、玲奈の意志はもう決まっていた。玲奈は辞めると言っても、このBSAAの表舞台から消え、これからは竜馬と彼を操っている者を探すためだ。

二度とバイオハザードに関係しないというわけではない。

 

「…もう行かなきゃ…」

 

玲奈は辞表をコートのポケットに入れる。

その際に竜馬に撃たれた肩が少し疼いた。傷跡もない。痛みも感じない。だが…いつも以上に感覚が鋭くなっている気がした。

竜馬に撃たれたってことだけでこんなになったのかと思う玲奈。

玲奈はそんな感覚を頭を振って、記憶から吹き飛ばそす。

数分その場で立ち止まっていたが、彼女は漸くドアノブに手をかけて、部屋から出た。

彼女の孤独な戦いに向けて、これが踏み出す最初の第1歩だった。

 

 

暗く、狭い通路をわざと足音を出して歩く竜馬は数百m先の部屋に向かっていく。紛らわしい黒いコートを脱ぎ捨てて、身体に付いている血の臭いも全て取った。

部屋に入ると、中にはアリエスが立っており、手術着を着ていた。

竜馬が帰ってきたことに気付くと、アリエスはマスクを取って笑顔を見せた。

 

「やあ、帰って来たかい、竜馬。それで…例のものは?」

「悪い。ナナンの細胞は完全に炭素となってしまって入手出来なかったんだ。あのイカれ女のせいでな」

「そうか……。まあいい。J-ウィルスから新たに作ったJJ-ウィルスではいずれ暴走する。そんなのでは私の商売は役に立たない」

「じゃあ俺は行っても意味なかったってことか?」

「いや、1つだけ良いことがあった。知ってるか?玲奈がBSAAから退いたんだ」

「……そうかい」

 

竜馬は興味なさそうに答えた。

 

「淡々とした返事だな」

「俺を見殺しにしようとした女なんて興味ねえよ。それで?次の仕事は?」

「ない。疲れただろう?休むと良い」

「そうする。ありがとな、アリエス」

 

竜馬はそう言って更に奥へと向かっていく。

今はこんな薄暗い場所にいるが、いずれ地上に出れる。この腐った世界を滅ぼした後で…竜馬はアリエスと共に新天地を築こうと誓っていた。それまでは我慢するしかない。

それよりも気になったのが…あの時、玲奈の肩を撃ち抜いた時の感覚だった。誰よりも彼女を憎んでいるはずなのに、彼女が傷付いたと認識した途端にどこか胸が締め付けられる感覚が襲ったのだ。

 

「…どうしてなんだろう?」

 

竜馬にもその事は分からない。

分かろうとする前に、竜馬は眠気を抑えられずに、微睡みに沈むのだった。

 

 

奥に行った竜馬を見送ってからアリエスは作業を再開する。

彼はよくやってくれている。BSAAにも影響を与え、更には新たなウィルスとの戦闘もしてくれるからよくデータが取れる。

だが…アリエスの最終目的が達成されれば…竜馬も用済みになる。

それまでは利用する予定だ。

 

「…さあて、とにかく、更なるウィルスを作って…この2人を蘇らせなければ…」

 

手術台の上に置いてあるミイラ化した死体の腹をメスで裂く。

そして…心臓に直接ウィルスを注入する。

 

「くくく…これで…私に忠実なウィルスが完成だ…!」

 

途端に、2つの死体は目を覚ますのだった。




これにてIF Story3完結です。

次章予告
遠いヨーロッパに赴いた紗枝。
そこは未だに内紛が続いたままの危険地帯であるが、その戦中で『モンスター』に出会ったとの報告が入り、BSAAは極秘に紗枝を送り込む。
だが、そこで紗枝は想像を絶する戦いに巻き込まれていく。
そして玲奈は…。
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