バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第40話 流刑地

「………う…」

 

次に玲奈が目を覚ました時には、天井から腕を縛られた形で牢獄の中に投獄されていた。地面は整備されておらず、背の低い玲奈では地面に足を付けるのもやっとだった。

どうにか拘束を解こうとするが、固く閉ざされた拘束具は鈍い金属音を奏でるだけでびくともしなかった。

 

「はあ…折角のハワイ旅行が台無しね…」

 

そう呟くと、不意に拘束具がピーと音を立てて外れた。玲奈は肩から地面に落ちていててと言いながら立ち上がった。

牢獄の鉄格子も開き、ここから出ろと言いたげだった。

 

「…全く、とんだピクニックになりそうね」

 

玲奈はそう呟いて、単身…ろくな明かりが灯らない通路の先へと進んでいくのだった。

 

 

同時刻、薺も目を覚ましていた。

薺も同じように無造作に牢獄に投獄されていた。鉄格子に手をかけて、開けようとしたがやはり開く気配はない。

と、ここで気付いた。

自身の腕に腕輪が付けられていることを…。

腕は大して重くはない。あってもあまり気にならないようなもので、今は黄色のライトが光っていた。

どうしようかと考えていると、ピーと赤いランプから緑色のランプに変わって牢獄が開いた。どうやらここら一帯の牢獄が開いたようだ。

恐る恐る外に出るが、不気味さだけが募っていた。

一歩、足を前に出した時、天井からベシャリと肉が潰れたような音が聞こえた。

 

「………」

 

ゴクリと生唾を飲んでゆっくりと振り向く。

そこにあったものに…薺は強烈な吐き気を催した。

あったのは人間の死体だった。内臓は抉れ、顔の半分以上の皮膚は剥がされている。しかも人間に備わっているはずの四肢はおかしな方向に曲がり、常人が殺したものとは思えなかった。

 

「……まさか」

 

最悪の事態を想定してしまう薺。

あの時、テラセイブのメンバーは明らかに何者かに拉致された。

そして連れて来られたこの場所は…アンデッドが彷徨くどこか…と考えたが、そうでないことを祈った。

しかも今の薺には武器も何もないため完全な丸腰だ。

この状態でアンデッドにでも襲われたら…命はない。

いつも命が危ない目には何度も遭っているのに、いつまで経ってもこの恐怖に慣れない身体は何なんだろうかと思う薺は、もう一度唾を飲み込んで、震える足を前に動かした。

その時腕輪は…黄色から橙色に変わっていた。

 

暫く暗い通路を歩いていると、ガンガンと何かものを叩く音が聞こえてきた。警戒しながらゆっくりと進んでいくと、牢獄の中で必死に助けを求めるモイラの声が聞こえてきた。

 

「出して‼︎出してよ‼︎」

「モイラ!」

 

薺は声を上げて、鉄格子に手を触れる。

もちろん、薺の力で外せる事は出来ない。

 

「薺!どうなってんのこれ⁈」

「落ち着いて。今どうにかして……」

 

開けるからと続けようとしたところで、タイミングが計られたようにて牢獄が開いた。途端にモイラは薺に飛びつき、涙声で声を張り上げた。

 

「薺早く出ようよ‼︎こんなところいや!」

「分かってるわ。私も怖くて震えが止まらない。だから…まずはここがどこなのか調べるために外に出ましょう」

 

ビクビク震えながらもモイラはきちんと頷いた。

2人は互いにぴったりくっ付きながら道筋も分からない通路を歩いて行くと、わざとらしく机の上に新品のサバイバルナイフとライトが置かれていた。

薺は拳銃が欲しかったが、こんな緊急事態ではそんな贅沢は言っていられない。ナイフだけも有難いと思わなければと薺は自身に言い聞かせた。

 

「使える」

「このライトも。だけど…ナイフじゃ心許ないね」

「贅沢言わない」

 

薺はナイフを腰にしまって、目の前の通路を塞ぐ金属製の本棚を退かそうと押す。だが重たくて、モイラにも手伝ってと言おうとしたその瞬間だった。

前方を塞いでいる本棚の間から血だらけの腕が伸びて来て、それが薺の服を無造作に掴んだ。しかもそのせいで本棚は薺側に傾いてしまい、薺は身動きが取れなくなってしまう。

 

「キャアアアアアア‼︎」

 

モイラは初めて見るアンデッドに甲高い悲鳴を上げる。

薺はどうにかこの腕を解こうとするが、そのアンデッドの腕にはまるで拷問にあったかのように刺さっている釘が薺の肌に刺さって痛みを加速させる。

 

「くっ……このっ…!」

 

薺は先程のナイフを取り出して、釘の先端が飛び出ている腕を無造作に掴んで逆に何度も刺して相手を怯ませる。血が溢れ、薺のお気に入りの白い服を鮮血で染めていく。

3、4回くらい連続で刺したところでアンデッドは怯んで、逃げるように奥の通路へと消えていった。

 

「はあ…はあ……痛っ…」

 

薺は傷だらけになった腕を見た。

出血したままの腕ではまともに戦うことは出来ない。ましてやアンデッドがいるのなら、尚更どうにかしないといけない。

薺は服の腹部分を引き千切って、腕に巻きつける。

 

「大丈夫⁈」

「一応…大丈夫と言って言いかしら……」

「それよりも…さっきの何⁈」

 

それに答えようとすると、今度はモイラとは別の悲鳴が奥から聞こえて来た。明らかにあれはさっきのアンデッドに追われている人のものだ。

 

「…急ぐわよ!助けないと…!」

 

薺は痛む腕を抑えつけながら、本棚をどうにか奥に押して、アンデッドが逃げた方向へと走っていく。

すると、物が倒れて埃が舞い上がる中で逃げる女性とあのアンデッドが追いかけっこしているのが見て取れた。

 

「薺、早くしないとあの人…!」

「ええ…分かってるわ」

 

と言ったが、実際薺は追いたくない気持ちもあった。

追ってもしもさっきみたいに襲われたら今度こそ殺されるだろう。さっきは本棚が運良く盾になってくれてたから良かったが…あの凶暴性と俊敏性を備え持つアンデッドをナイフ一本で勝てる気はしなかった。

でも、薺の心が見過ごすことを許さなかった。

薺は必死になって追っていき、1つの扉を開けた途端に血塗れの女性が薺の肩に飛びついた。

 

「っ⁈香織…!」

「いやだ……死にた、く、ない……。なず…な……しに………」

 

途切れ途切れの言葉をどうにか話している香織と呼ばれる女性の身体はすぐに地面に倒れ、2度と起き上がることはなかった。

 

「この人…薺の知り合い?」

「…テラセイブのメンバー…。どうしてこんなことに…」

 

2人は目の前で消えた仲間の命に悲しみを隠せなかった。

だが、悲しんでる暇もなかった。

またあのアンデッドが別の扉から現れたのだ。

2人を目視した途端に目をギラリと獣のように光らせた。

 

「逃げるわよ!モイラ、こっち‼︎」

 

薺はモイラの手を取り、薺は金属の扉を蹴って突き破る。

扉の先は久しぶりの太陽が辺りを照らしていた。

2人の視界にはいくつもの牢獄が併設されているのが広がっていた。

ゆっくりと足を進めようとしたら、不意にその牢獄が開き、ピーという音に反応したアンデッドが大量に出てきた。

 

「!薺!あれが出口じゃない⁈」

 

モイラが言うところは何か大きな台のようなものが置かれているところで確かにその先はシャッターがあった。

 

「モイラ、あそこまで走れる?」

「走れなかったら?」

「死ぬだけよ」

 

そう言った瞬間に薺は一気にスタートダッシュを切った。

体格差のあるアンデッドを縫って進んでいき、どうにか出口に着いたがシャッターを開けるには2人で力を合わせないと開けられない。

だがその間にアンデッドは走ってやって来る。

どうにか足止めする方法は……。

 

「これは……使えそうね」

 

薺が目を付けたのは大きな火炎放射器だった。

電気が動いているか不安だが、これに賭けなきゃ生き残れない。

 

「これでも…食らいなさいっ!」

 

薺がボタンを押して、アンデッドの方に向けると、勢い良く炎がアンデッドたちを焼き尽くしていった。あまりの勢いに薺も火傷しそうだった。

その隙に2人は重いシャッターを開けて、この刑務所らしき場所から出るのだった。




今回もオリジナル展開で行きます。
これも原作が長いので。
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