バイオハザード リターンズ   作:GZL

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バイオハザードと言えばこいつ!が登場!


第14話 現れた刺客とネメシス

「ただいま。いるかぁ、薺?」

 

返事はない。どうやらまだ帰ってないようだ。

こんな夜中なのにどこでほっつき歩いているのかと思ったが、彼女はもう大学生だし、不思議はないと薺の兄、海翔は思った。海翔はコートを椅子に置き、テレビの電源を付けた。しかし、いつもこの曜日にやっているはずの番組はやっていなかった。

理由は、首都東京で起きている類を見ない超大規模暴動に関して速報で報道していたからだ。スマホにも何度となく速報が送られてきている。ニュースの情報によると、人が人を襲っている…と、どうにも理解し難いものだった。テレビの画面ではドローンを使って封鎖されてしまった東京を撮影している。至る所で火の手が上がっている。海翔が思った以上に激しい暴動だと思った。

彼は一瞬、自分の恋人の紗枝が無事に脱出しているかと不安を覚えたが、紗枝の頭の良さを一番よく知っている海翔は大丈夫だろうと思った。そして、ドローンの撮影は広範囲から特定の箇所を映すようになる。その時、ある男女がバイクに乗って颯爽と走っている姿が目に入った。男性の方はどこか誰かに似ているが、それよりも驚いたのは運転している女性の方だった。

黒髪のポニーテール…忘れるはずもなかった。

海翔はガタッと椅子から立ち上がった。

 

「あれは……薺…?」

 

そう…。海翔の唯一の家族の薺に間違いなかった。海翔はすぐに自室から持てるだけの装備を蓄え、車に乗り込んだ。海翔はあそこにいる理由はもしかしたら、今日は早く帰ると伝えなかったからと考えた。だとしたら…。

 

「くそっ!」

 

海翔は毒づきながら車を急発進させ、東京に向かうのだった。

 

 

 

 

そんなことを知らない薺はバイクをまだ乗り回していた。尽きることのないアンデッドたちから逃げるには、とにかく動くしかなかったのだ。だが、いつまでもこんなことをしている暇もない。

 

「ねぇ!どうやってここから出る?」

「飛行機かヘリがあったら、楽なんだが…。それより、君こそ兄さんを探さなくていいのか?」

「こんな状態で探せるわけないでしょ!今は一時撤退するわ!…兄さんは、死ぬはずがないもの…」

 

竜馬は薺が兄を大事にしているんだなとすぐに分かった。

竜馬にも妹がいるが、あっちはもう立派な会社員だ。中々会えないが、楽しくやっていることを竜馬も兄の竜也も知っている。

 

「どうしてるかな…千鶴…」

「千鶴?」

「あ……いや、俺にも勝気な妹がいてさ…。心配してたのさ」

「…へぇ…。って、そんなことよりも!早く脱出方法を…!」

「!おい!バイク止めろ!」

 

竜馬が突然叫んだために、薺は慌てて急ブレーキをかける。

 

「どうしたの?」

「……ローター音が聞こえる…」

「ローター音?ということは…」

「近くにヘリが飛んでる!」

 

二人は真っ暗な空を見上げて、ヘリを探した。さっきからウロチョロしているドローンとは明らかにローター音が大きかったから、ドローンではない。これを見つけられなかったら、これ以上のチャンスはないかもしれない。すると…。

 

「あれっ!」

 

薺が指差す先には、自衛隊の専用ヘリが空中でホバリングしていた。しかも、竜馬たちの真上だ。

 

「おーーい!」

 

竜馬と薺はすぐさま手を振ったが、ヘリは降下もせず、梯子も降ろしてこない。何をしているのか、イライラしていると、ヘリの格納庫から筒状のものが落ちてきた。

 

「お、おい…!降りろ!」

「え、ちょっ…!」

 

竜馬は薺をバイクから降ろし、急いで離れる。そして、薺の愛車の真上に金属の筒の入れ物は落ちてきた。

竜馬はすぐに落下物を確認する。高さは3mはあり、表面には『JT-1000』と刻まれていた。そして、傍らにはアンブレラ社のロゴが…。落下してきて数秒後…パカッと金属の筒入れは開く。煙と共に出てきたものを見て、竜馬と薺は驚愕した。

 

「なっ……何だこいつは…⁈」

 

それは…人間だった。が、身長は筒の高さと同じくらいの3m。目には光は無く、真っ白で灰色のコートに身を包んでいた。反射的に二人は拳銃を構えるが、圧倒的な力の差が目に見えていた。

そして…奴…名をタイラントJT-1000型は二人に向かっていった…。

 

 

 

 

夜の歌舞伎町に車のエンジン音が一つ、響いていた。車を運転しているのは智之という男だ。ちょっとした前科持ちだ。

夜の歌舞伎町に以前の活気は全くなく、荒廃した通りに変貌していた。そんな道の真ん中にアンデッドが一体ゆっくりやって来た。

 

「食らいやがれ!」

 

智之はアンデッドにぶつけるためだけに車の速度を少しだけ上げる。アンデッドはボンネットにぶつかり、天井を転がる。が、頭を強く打っていないため、死ぬことはない。完全に殺したい欲求に駆られた智之は車を右に曲げるが、前方を見ていなかったため、燃え上がっていた車に衝突してしまう。

 

「ぶっ!」

 

クッションが顔に出たが、衝撃は完全には抑えられていない。智之は車を降り、くらくらする頭を抱えてこの場から急いで逃げるのだった。

 

 

 

 

某有名飲食店に警視庁特殊急襲部隊SATが立て籠もっていた。屋上にはスナイパーを配置しており、この店に近付いてくるアンデッドは容赦なく射殺出来るようにしてある。スナイパーは、ジュースを飲みながらのんびり構えていると、ガタガタと音がした。

 

「ん…?」

 

スナイパーはスコープ越しから、車の中を漁っている智之を見つけた。空薬莢を抜き、新たな弾を込めた。カチャリと音が聞こえ、店の上で自分に銃口を向けているスナイパーに気付いた。

 

「まっ、待った待った‼俺は人間…!」

 

思わず叫んだが、スナイパーは引き金を引いた。しかし、銃弾は智之ではなく、音も出さずに忍び寄るアンデッドの頭を貫いた。

 

「た、助かった…。この借りはいつか返す…」

 

安心して店に入る智之だったが、中に入った途端、たくさんのSAT隊員に拳銃を身体中に突き付けられた。

 

「おいおい…。これじゃ、外も中も変わんねえじゃねえか…」

 

そう自然と呟いてしまった。リーダーらしき男は智之に近付き、拳銃を差し出した。智之はごくりと生唾を飲み込んで、初めて拳銃を握った。

 

「い、意外と重たいんだな…」

 

その時…一人の隊員が店の外を指差した。屋上のスナイパーもゴトリ…ゴトリと重い足音と、何かを引き摺る音が同時に耳に入ってきた。夜霧の中から現れた()()を見たスナイパーは思わず声を上げたしまった。

 

「ありゃ一体何だ!?」

 

店に近付いてきたのは、人の形をしたものだった。服もきているし、遠くから見たら屈強な男性と勘違いするかもしれない。だが、人間とは明らかに違うのは、顔だった。歯は剥き出しで、片目は皮膚で隠れてしまって、正に異形と呼ぶに相応しいものだった。

SATの立て籠もる店に近付く者こそ、ネメシスだった。スナイパーは果敢にもライフルを撃つ。弾は人間で言えば、心臓のある左胸辺りに命中し、血も噴き出すが足は全く止まらない。もう一発撃つが、結果は同じだった。

 

「この…くそったれがあぁ‼」

 

スナイパーはやけになって叫び、新たな弾を込める。が、今度はネメシスが攻撃する番だった。左手に持つロケットランチャーを屋上に向け、照準をセットした。それに気付いたスナイパーはすぐに逃げ出そうとするが、その前にロケットは発射され、屋上は火の海に包まれスナイパーは塵と化した。

 

「配置につけ!どんなことをしてでも奴を止めろ‼」

 

店にいた隊員たちもマシンガン、ライフルを構えて戦闘態勢を取る。しかし、智之に至っては無理難題だろと思った。

 

「あんたら正気か!?見ろよ、あいつ!ロケットランチャー持ってるぞ!」

 

智之はそう叫ぶが、誰も耳に貸さない。

 

「こういうのはあんたらに任せるよ!」

 

智之は怖気づいて、店の奥に隠れ込む。

それからもネメシスは接近を続ける。見かねたリーダーは叫んだ。

 

「撃てっ‼」

 

リーダーの合図と共に幾千、万の弾がネメシスの顔、腕、胸、腹、脚にめり込んでいくが、ネメシスには全く効いていなかった。撃っても撃っても後退しないネメシスに、部隊が後退せざるを得なかった。すると、ネメシスの脳に内蔵されたマイクロチップを通して、アンブレラから指示が入る。

内容は…

 

『SATを抹殺せよ』

 

というものだった。ネメシスはすぐに行動に出た。今度は右手に持っている5000発装填の高回転式連射銃…世に言うミニガンを構えると、引き金を引いた。一発に何十発も飛ぶとミニガンは店の中を貫いていく。隠れていた智之の周りにも弾は飛び交い、思わず叫んでしまった。

 

「うおおおぉぉおおおぉお‼‼」

 

ネメシスは引き金から指を離し、智之の周りからも銃声が消え、代わりに静寂が流れた。智之は恐る恐るさっきまで自分がいたところを見た。そこには、あのSATの隊員の死体が山のように転がっていた。ネメシスは確実に…的確にSATだけを殺したのだ。ネメシスは店の中に入り、生きていないか確認する。隅っこで、智之は見つからないようにと、祈っている。ネメシスは、くるりと背を見せて、店から出て行った。そして、再び深い夜霧の中に消えていった。

 

 

 

 

準備を終えた海翔は、人だかりを見つけた。そこは、アンブレラ社が封鎖したゲートの一つだ。恐らく、止められるだろうが、海翔に『止まる』という選択肢は無かった。

 

「おい!止まれ‼」

 

呼び止める声を無視して、海翔は車をゲートに追突させて、強引に突き破った。

 

「何っ!?」

 

驚きを隠せないアンブレラの傭兵たち。海翔はゲートにぶつかってポンコツになった車から降りて、単独で東京の中に侵入した。だが、無断…しかも半ば無理矢理に近い形でゲートから侵入した海翔を見逃すはずもなく、後ろからは銃弾が飛んでくる。

 

「くっ!」

 

すぐに海翔は建物の角に逃げ込んだ。しかし、降り注いだ弾の一発が海翔の肩を貫いていた。

 

「…くそ……」

 

海翔はその痛みに耐えながらも、夜の雨降る東京を歩き出したのだった。




“奴”とはタイラントでした!
因みにこの話で出てくるタイラントは、ダムネーションで出てくる奴をイメージしてます。
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