バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第43話 レナの母

玲奈と薺はヴォセクから出て、この廃墟の町から逃れようとしたが入る時には閉まってなかったはずの扉が固く閉ざされていたのだ。

どうにかして開けようとしても、扉はちっとも開かない。

そうやっている内にも、多数のアンデッドと変異したペドロがこちらに足を勧めている。どうしようかと思った時、ガチャンと鍵が開いてそこからニールが姿を現した。

 

「ニール!」

「薺!それと…そこの嬢さん!早くこっちに‼︎」

 

ニールのお陰でアンデッドの襲撃からは免れた。

ただ、失ったものは大きかった。ペドロとモイラ…それにゲーブがどうなったかも分からない。

薺は押し寄せる悲しみに堪えきれそうになかった。

だから…玲奈の胸に顔を押し付けてほんの数秒だけ泣いた。

 

「…あの怪物たちは…」

「薺の仲間よ。腕輪の中にあるウィルスに感染したのよ」

「そうか…それは残念だ。それで?君は?」

「自己紹介がまだだったわね。私は玲奈よ。薺とはお友達」

「俺はニールだ。簡単に言えば、薺の上司だ」

 

お互いの自己紹介も終えたところで、玲奈はこれからどうするか考える。腕輪から聞こえる女は玲奈とテラセイブメンバーをモルモットにして、ウィルスの実験をしているのは間違いない。

だとすれば、この絶島のどこかに研究施設があるに違いないと踏んだ玲奈は、たまたま目に入った歪な形をした塔に目を付けた。

 

「あそこになら何か居てもおかしくないわね…」

 

漸く涙を止めた薺も同じように塔を眺めた。

 

「…玲奈の言う通りね。行きましょう」

「待て。そいつはちょっと厳しいぞ…」

 

ニールがそう言うと、閉ざした扉がガンガンとさっきよりも大きな音を奏で出した。普通のアンデッドではない…何かが扉を破ろうとしているのだ。

音が大きくなっていくが、唐突に止まり、辺りに静寂が流れる。

そして…ニールが様子を見に行こうとゆっくりと近付く。

だが、玲奈はこれはマズいと感じて止めようとする。

 

「まっ…!」

 

待って!と、言葉が紡がれる前に金属の扉は激しい爆発を伴って吹き飛んだ。それにニールは巻き込まれ、頭部を強打して死亡する。

 

「ニール‼︎」

 

目の前にいるのは、頭に布を巻き、壺の中に炎を溜めてそれを投げてくる巨大なアンデッドだった。

武器がただの銃しか持っていない玲奈だったが、玲奈はそれを薺に渡してこう言う。

 

「隠れて!まだあいつは私たちを発見出来ていない」

 

薺は頷き、草むらに隠れる。

玲奈も草むらに隠れて、奴にバレないようにゆっくりと動いて背後を取る。そして、ナイフを取り出して、一気に飛び出してそのアンデッドの首元に思いっきり突き刺した。

首元からは激しく血が噴き出したが、それだけではもちろん死ぬことはなく、奴は炎の壺の中に自らの腕を突っ込んで炎上させると、その腕で玲奈の腕を掴んだ。

 

「ぐああああああああああああ‼︎‼︎」

 

途轍もない熱さと痛みが彼女の腕を襲う。

掴んだ腕をアンデッドは離さず、そのまま地面に叩きつけて腹を短い足で抑えつけた。

 

「くっ……」

 

焼け爛れた腕には力も何も入らなかった。

玲奈の視界には炎の壺を向けているアンデッドしか映っていない。

布の隙間から見える目は明らかに勝利を確信した目だった。

しかし…。

数発の銃声がアンデッドの背中に傷を付けた。

アンデッドが振り向くと、既にスライドが出ている拳銃を持った薺が立っていた。

 

「こっちよ!」

 

薺は拳銃を捨て、アンデッドを誘き寄せる。

単純なアンデッドは抑えつけている玲奈を完全に忘れて、拘束を解いてしまった。

その刹那、玲奈の左手が煌き、感覚の失われた右腕で首を抑えると、頸動脈をナイフで切り裂いた。

アンデッドは暫く暴れたが、もう一押しすると更に血が噴き上がり、身体は地面に倒れた。

 

「……こういうのも慣れちゃったわね…」

 

玲奈がそう言った時にはもう、腕は元通りに戻っていた。

 

 

ー半年後ー

レナと海翔は歪な形の塔の目の前にいた。

塔…何だろうかと海翔は改めて感じた。辺りには崩れ落ちた瓦礫ばかりが残り、アンデッドはいない。

いや…厳密に言えば、アンデッドはいるのだが、この塔に近づいて来ないのだ。何かを恐れるように…。

今も2人の後ろには、腕が4本で様々な器具が無作為に付けられたアンデッドが立っている。

海翔はこいつらが来ないことを祈りつつ、中に入っていく。

 

「レナちゃん、どこから来たか分かるか?」

「うん…。今入って来たところからずっと登っていったんだけど……」

 

少女が指差す先には確かに通路があったのだろうが、そこも瓦礫で塞がれてしまっていた。ところが…。

 

「ちょっと待ってな」

 

海翔は有り余る力で瓦礫を退かそうとする。

ゆっくりとだが、着実に瓦礫は動いている。その光景にレナは驚いて目を見開いてしまっている。

 

「こんくらい…序の口……」

「おじさん!前‼︎」

 

最後まで言う前に瓦礫の中から海翔の拳の数倍はあろうかという大きさの拳が飛び出てきた。

海翔の顔すれすれにまで出てきた拳。

そのお陰で目の前の道は開かれたが、同時に面倒な敵も現れた。

 

「お前だけは入って来れるのか…」

 

身体は異様に肥大化。所々、オレンジ色に光る部位も見える。

人間としての理性も僅かに残っているのか、「苦しい…苦しいぃ…」を連呼している。

 

「レナちゃん!物陰に隠れるんだ‼︎」

「おじさん、あの光ってるところを狙って」

「どうしてだ?」

「なんか…私にはものすごい光って見えるの…」

 

どうも納得出来なかったが、海翔はライフルを構えて撃つ。

すると、その部位が砕け、アンデッドは激しく苦しみもがく。

レナの言う通り、これが一番効くようだ。

そうと分かれば、話は早い。

 

「こっちだ!」

 

海翔は走りながら撃って、レナとアンデッドの距離を突き放す。

アンデッドはまるでラグビー選手のようなタックルをしてきて、海翔が隠れた壁を一瞬にして粉々にした。

 

「力だけが取り柄だな…」

 

弾がまだ装填されていないライフルは一旦下げて、普通の拳銃を抜く。タックルをしてくるアンデッドに向けて、撃ち、次々と発光部位を破壊していくが、最後の一個…心臓を破壊する前に、アンデッドは海翔の身体を掴み上げた。

 

「しまっ…!」

 

海翔の身体を掴んだアンデッドは人形のように振り回して、海翔を壁に叩きつけた。

 

「ぐはっ‼︎」

 

そして、口を大きく開けて海翔の頭部を喰らおうとした時、アンデッドの頭にレンガが当たった。

投げたのは、レナだった。

 

「レナちゃ…⁈」

 

明らかに様子がおかしかった。

ただ立っているだけなのに…威圧感が感じられた。

海翔だけでなく、アンデッドもそのように見えた。

その隙に海翔はナイフを抜き、最後に残った心臓を抉った。

アンデッドは最後に「ゲーブぅ…」と、誰かの名前を呟いて倒れた。

海翔はふうと息を吐いて、レナに近寄った。

 

「レナちゃん、助かったよ…」

「おじさん…大丈夫?」

 

先程の威圧感は無くなっている。

海翔はさっきのは気のせいだったのかと思ってしまう。

アンデッドがレナを見たのも、新たな獲物が居たから…:。

何にしても…謎ばかりの少女だと改めて認識した海翔。

 

「行こっか」

「うん」

 

あの通路を抜けようと思った時、海翔たちの耳に…女の薄笑い聞こえた。

 

「誰だ!」

 

拳銃を向けて、声の聞こえた方に向けると、ゆっくりと…異形の身体をした女が現れた。酸素マスクを付け、今にも死にそうな女が…。

 

「レナぁ…私だよぉ…」

 

レナは怖がって海翔の後ろに隠れる。

 

「分からないか……くくくくく…」

 

そう言うと、付けていたマスクを外して素顔を見せた女。

その顔も…不気味という言葉が一番似合っていた。

皮膚の半分以上は剥がれ落ち、片方の目は充血している。

しかし、こんな顔でもレナは分かったのか、小さな悲鳴を上げて、驚きの言葉を発するのだった。

 

 

 

 

「お母さん…!」




久しぶりに書いたらなんか下手くそに感じました…。
因みにこの章はかなり短めに予定してるので、あと3話くらいです。
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