バイオハザード リターンズ   作:GZL

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今回はちょこっと珍しくほのぼの?とした感じから始まります。
ではIF Story6をどうぞ。


IF Story6 地獄行きの急行列車
第47話 休息


「あはははははは!パパ、こっちこっちー‼︎」

「待てよ、レナ!そんなに走ると転ぶぞー!」

 

公園で遊ぶレナと海翔。

その様子を見ている薺と紗枝。仄々とした光景なのに、紗枝は少し複雑な表情をしていた。いつも爽やかな表情の紗枝がこんな感じなのは珍しいと思った薺は、ちょっと意地悪な笑顔で紗枝に聞いてみた。

 

「もしかして紗枝さん、レナちゃんに嫉妬してます?」

「ふぇっ⁈」

 

図星だったのか、紗枝は間抜けな声を出して、顔もボンと一気に赤くなり、「あう…」と言って俯いてしまった。

そして言い訳をする様に言葉を紡ぐ。

 

「で、でも仕方ないよ。だって…なんたって海翔の子供なんだから…」

 

最初に紗枝が聞いた時は驚いた。

腕を折った状態で突然、紗枝の家に訪問に来たと思いきや、「俺の新しい家族を紹介するよ」なんて言われて、最初はあたふたしてしまった。まさか不倫?浮気?などなど、被害妄想に等しい考えが思い浮かんでしまった。

そうしていると、その子…レナも紗枝の様子を見てからちょこんと小さく挨拶をした。

その姿が可愛いとも思えた紗枝は、散らかっている部屋をすぐに片付けて2人を中に招き入れて、その日は楽しくお喋りして終わった。

それからはこうやって…海翔とレナが遊ぶ時、なるべく監督している訳だが、最近はレナばかりに気を遣っているせいか、紗枝は少し放置状態になっていて、実際、妬いていた。

妬いているせいか、頬も膨れ上がっている気がする。

ずっとニヤニヤ笑っている薺にこれ以上、この顔を見られたくないから紗枝は別の質問をする。

 

「そ、そういえば!薺はどうやって生き残ったの?瓦礫に埋もれたのを最後まで見たって玲奈が…」

「それがねえ、瓦礫の重みで床板が外れて海に落ちたの。それで起きた時には海岸で、玲奈も居なかったから…かなり辛かったよ」

 

運が良いと言うのか、悪運があるというのか…何にせよ生きていて良かったと改めて思った紗枝。その勢いのまま、レナについても聞く。

 

「あの子…レナちゃんってさ、玲奈とあの事件の犯人の女の細胞から作られたって…」

「その事、レナちゃんの前では言ったらダメですよ。みんなに気付かれたくないって…」

 

そう…。

その会った日にレナが眠ってから、事の顛末を聞いた。

自らの美しさを保つがために、玲奈と女自らの細胞を合成させて作り出したクローン…。

海翔に聞く限り、最初の頃はやっぱり辛かったらしい。

自分は人間じゃないからって、自分を責め続けて一晩中泣き続けることも多かったと聞いた。

その話を聞いた時、まるで…最初に会った頃の玲奈とそっくりだと感じた。

 

「そういえば…玲奈さんどこに行ってるの?BSAAに復帰したって聞いたけど」

「そうなのよ…。びっくりしたけど、嬉しくもあったわ」

 

竜馬の一件で一時BSAAを辞めていた玲奈だったが、あの絶島での事件で、やはり自分はバイオテロや生物兵器に関わる事件とは切っても切れないんだと観念したらしい。

紗枝は元々戻ってきて欲しかったと思っていたが、それはまだまだ先だと予想していたが…少し早かった。

人騒がせなと思いつつ、紗枝は薺の問いに答えた。

 

「本当の休暇だってよ。前回はハワイで竜馬たちを探してたようだけど、あの女に連れ去られて結局全く休めなかったからって」

「…やっぱり…玲奈さん、竜馬を諦められないのね」

「私も海翔がああなってたら、絶対助けるから気持ちは分かるわ」

「それで…休暇ってどこに?」

「ロシア。シベリア鉄道に乗って、ロシアを縦断するんだって」

「またお金がかかる旅行ねえ…」

 

2人は同時に溜め息を吐く。

どこからそんな旅費が出ているのかと思った。

そうしていると、突然腕を引っ張られる。目の前には楽しそうな顔のレナの姿が…。

 

「紗枝お姉さん!遊ぼ‼︎」

 

レナから誘われたが…。

 

「で、でも私…これからBSAAに戻らなくちゃ…」

「一緒に遊べないの?私…紗枝お姉さん…いや、ママとも遊びたい…」

「ま、ママ⁈私は……」

 

ママじゃないと言いそうになったが、上目遣いのレナに向けて全否定することに少し躊躇してしまう。ママと呼ばれる気持ちがついていかないのだ。でも、流石にレナの誘いを紗枝は断り切れそうもなく、どうしようか言葉を出せずにいると海翔が…。

 

「BSAAの事務連絡は後でも出来るだろ?」

「…それもそうね…。私はママ…じゃないけど、遊びましょうレナ!」

「うん!」

 

紗枝はレナと手を繋ぎ、笑顔で海翔の元へ走っていく。

 

「…あっちの方が…本当の家族に見えるなあ…」

 

後ろから見るあの3人の姿は、父と母、そして子供と…本当の家族に見えるのだった。

そして、薺も紗枝と同じように構ってくれない海翔に嫉妬して、3人の元に走って行くのだった。

 

 

 

「それで?今回も、彼女をこちら側に誘き寄せるのか?」

 

白衣を着た男が黒服の若い男性に聞く。

刈り上げた髪の男は「はあ」と溜め息を吐きながら拳銃を腰に据える。

 

「アリエスの頼みだ。あの人の頼みは断れない」

「いいのか?彼女とは恋仲では……」

「間違った表現をするな、サイコパス野郎」

 

途端に男…竜馬の声が低くなる。

機嫌が悪くなったようだ。

 

「すまない、すまない。それで…今回はどうする気だ?」

「アリエスは例の奴を使って、ディエゴとかいう奴を蘇らせたいらしい。それ以外は俺にも教えてくれなくてな…」

「JT-プロトタイプのことか…。それならその細胞を持っていけばいいのだがな」

「それだとお前が納得しないから、実験の相手として玲奈を使ってくれと言っていたぜ?」

「相変わらず…アリエスも相当な悪だな…」

「あんたにだけは言われたくないだろうな…。まあ何でもいい。上手くやってくれよ。俺は…準備にかかる」

 

竜馬は扉を開けて、外に出る。

開けた途端に白い雪が竜馬の身体に降りかかる。冷気が身体を冷やしていくため、急いで黒いコートを着る。そして…ポケットに入れていた写真を一枚取り出し、じっくりと見る。

玲奈の写真だ。

これはロシアの空港で撮られた写真。記憶にある彼女とは少し違い、焦げ茶の髪はいくらか伸びている。今頃、楽しく列車の旅をしているだろうが、竜馬はそんな暢気な玲奈に苛つきを覚えた。

だが…苛つき意外にも…最近はどうも懐かしさ…愛しさも感じ始めていた。どうしてかは竜馬にも分からなかった。

 

「…何を考えているんだ、俺は…」

 

はあと再び溜め息を吐くと、白い息が出る。写真をしまって、吹雪の中を歩き始める。コートの襟を首にかけて、更なる寒さを凌ごうとする。

だが、吹雪は暫く止まりそうにない。

まるでこれから起きるであろう惨劇の前触れのように…。




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