約2週間以上?は放置してたかな?
執筆してなかった理由は色々とありますが…ともかく、かなり遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
海翔の運転で薺は1つの店にやって来ていた。
小さな店で中には酒をぐいっと飲む玲奈の姿があった。
あんな風に昼間から酒に溺れる玲奈を見たのは、海翔を始め、誰一人としていないだろう。
扉を開けると同時にカランカランと鐘が鳴り、その音に反応して海翔たちの方に振り向く。
気品に満ちた顔はそのままだが、目はダラリとし、頬は酔っ払っているからか、ほんのり赤く染まっている。
「…何しに来たのよ…。折角上手い酒を飲んでいるのに…」
そう言って、玲奈がグラスに新たな酒を汲もうとしたところを海翔が止めた。
「そんなんに飲んだら身体に悪いだろ?」
「関係ないでしょ?あなたには…」
いつもの玲奈らしくない…海翔と薺はそう思った。
「今日来た理由を聞いてから…その台詞は言って欲しいな」
「何?」
「ロス・イルミナドスについて…玲奈に聞きに来たんだ」
そう言った途端、玲奈の身体はピクッと動き、表情も硬くなる。
すると、ワナワナと身体を震えさせて玲奈は海翔に怒りの目を向ける。
「それ……私を悲しませるために聞いてる?あの時のことを……思い出させようとして聴いてる⁈」
玲奈の怒りはグラスにピキッとヒビが入る程だった。
海翔は臆することなく、淡々と述べる。
「違う。あいつらの寄生虫の特徴について聞きたいだけだ。お前を悲しませるつもりは微塵もない。まあ、実際知りたいのは薺だけどな」
「……もっと詳しく聞ける人物がいるじゃない?」
玲奈はそう呟く。
誰かは……言うまでもない。
「聞きたくたって…こっちにいないんだからお前に聞くしかないだろ?」
少し苛ついた口調で答える海翔。
玲奈は黙ったまま、暫く顔をうな垂れていたが、すると微かに笑いを零しながら話し始めた。
「…どうしたの?」
「どうしたもこうもないわよ…薺。私の人生何?目覚めた時から、戦って傷付いて、戦って傷付いて……これの繰り返し。嫌になるよ…」
「…もう、戦わないのか?アリエスと竜馬には…」
そう聞くと、玲奈は海翔の手から酒瓶を奪い取り、そのままゴクゴクと飲み干す。
「戦うわよ…。だけど、私のゴールは竜馬を殺すこと。海翔や…薺に協力するつもりはない」
「何言ってやがる…」
海翔はバンと机を両手で叩き、玲奈を睨む。
「アリエスは敵と味方を区別するウィルスを作った。それが今大都会で放たれてみろ!みんな…アンデッドになって、あの地獄の東京が舞い戻って来るんだぞ!アリエスを確保して、竜馬を元に戻せば…それで俺たちの目的は達成される!」
「あなたの目的と私の目的は違う!関係ないわ‼︎」
「テメエ…‼︎」
海翔が手を上げそうになった瞬間、横で見ていた薺も耐え切れず、机を叩いて2人のイザコザを止める。
「いい加減にして‼︎2人とも!おもちゃを取り合う子供みたいにギャアギャア騒いで!」
薺は玲奈に近付き…。
「玲奈、あなたは少しその考えを直して。どうせ本音じゃないことくらい分かるし」
「………」
「それに兄さんは言い過ぎ。もう少し玲奈のことを考えてあげて」
「悪い…」
それだけ海翔が言うと、玲奈は立ち上がってトイレの方に向かっていった。薺は溜め息を吐き、こう呟いた。
「相変わらず…何年経っても素直になれないよね、玲奈は…」
トイレで顔を洗って、自らの顔を鏡で見る玲奈。
「…なんて酷い顔…」
はっきり言って、海翔も薺も言っていることは正しいと認識していた。だけど、竜馬が関わってくると、最近の玲奈は自らの気持ちを抑えることがどうにも出来なかった。
切なく、締め付ける胸の痛みを…。
だから、1人になりたい。1人でこんl問題は解決したい…そう思ったから、彼らを怒らせ、離れさせるような発言をしてしまう。
「少し反省しなくちゃ…」
そう思いながら、トイレから出ようとした時、足元が濡れているせいか足を滑らせて尻餅を着く。
「あたっ!何よ…」
ゆっくり周囲を見ると、それは赤い液体だった。
固まりきっていない…人間の血液…。
もう一度周囲を見回すと、1つの個室から大漁の血液が床を伝って流れていた。
心臓を激しく鼓動させながら、個室の扉をゆっくりと開けると、そこには喉を掻っ切られ、無惨な死体となっている従業員の姿があった。
その死体に釘付けになった瞬間だった。
背後から何者かに首を締められ、床に倒された。
玲奈は負けじと後頭部で相手を頭突きし、相手が回している腕を掴んで背負い投げする。
すると視界には黒い服を着て、金髪の女性がいた。
「あなた…アリエスと一緒にいた…」
女性は一言も発することなく、玲奈に拳を突きつけてこようとする。
酔っているとはいえ、玲奈は軽々と避け、逆に彼女の顎にアッパーを食らわせた。
「っ…!」
その時、彼女の髪が激しく揺れて、顔全体が露わになった。
なんと…片目が黒く陥没していたのだ。
「あなた!その目…!」
「…これが私の受けた痛みよ…」
女性は髪を直し、今度は玲奈の腹を蹴り、もう一度は背後に回って首を締め上げた。その際に片腕で玲奈の両手を拘束して、何も出来ないようにまでした。
声を上げようにも、ただの女性とは思えない力で締め上げられ、玲奈の四肢が徐々に痙攣し、力が抜けていく。
「あっ……がっ…」
意識を失う直前、玲奈はこう思った。
酒をあそこまで飲まなきゃ良かった…と。
「玲奈遅いなあ…」
薺はそう呟いて、欠伸をした。
海翔も退屈そうにしていると、またカランカランと店の扉に付いている鐘が鳴った。
入って来たのは紗枝と見知らぬ男だ。
「海翔、捕まえたわ。アリエスにウィルスを売っていた闇商売の男」
「こいつか…」
今すぐ顔面に拳を打ち込んで、アリエスの居場所を知らないかと聞こうと思ったが、その前に男が泣きそうな声でこう言ってきた。
「助けてくれ!アリエスに…奴らに命を狙われてるんだ‼︎」
あまりの怯えに海翔も紗枝も戸惑いを隠せない。
「分かった。分かったから、落ち着けって…」
すると、突然店の前に黒い大きな車が数台止まる。
それを見た男は顔面を蒼白にして、紗枝の腕を振り解いて、店の外に逃げ出した。
「マズい‼︎戻れ!出たら…」
海翔の警告も虚しく、荷台から降りて来た黒服の戦闘員に身体中を貫かれて死亡する。
更に荷台からは、あの洋館にいた巨大なアンデッドを従えて…店に何千発と銃弾が飛び交った。しかもあのアンデッドが持っているのは普通のミニガン以上に大きなミニガンで、木製の柱は悉く貫通する。
「こっちだ!店の奥に…!」
3人は奥のコンクリートの裏に隠れて銃弾の雨をやり過ごそうとする。
しかし、逃げる際に紗枝は足を撃ち抜かれてしまい、逃げ場には血の海が広がっていく。
「くそっ!何もここまでしなくても…⁈」
その時、銃を乱射しまくる奴らの後ろに金髪の女性が現れ、その傍らにはぐったりした焦げ茶の髪の女性が抱えられていた。
「玲奈‼︎」
銃声が木霊する中、叫んではみたがやはり反応はない。
金髪の女性は無線機で報告を済ませる。
「目標ターゲットは無力化。玲奈の捕獲に成功。今から帰還する」
そう告げると、女性は海翔たちに不敵な笑みを浮かべながら一瞥し、全員が車に乗ってから、店の前から発進する。
海翔もすぐに店を出て、奴らの車の1台くらいは足止めしようと銃を構えたが、その時には車は角に入って視界から消えていた。
今年もどうぞよろしくお願いします