「くそっ‼︎」
「相変わらず…手を打つのが早いわね。一流企業の社長と来たら…」
「ああ、そうだな……って、今のどういうことだ?」
紗枝の発言の真意を改めて聞く海翔。紗枝はスマホを取り出して、1つのホームページを見せた。
「国際指名手配されている割には…大胆な奴よ」
そこには1つに企業の社長として、海翔たち国民にメッセージを送るあのアリエスがあった。
「全国的に有名なミネラルウォーターの販売会社か…。それなら資金もたんまりだろうな」
「待って!兄さん、アリエスの会社はミネラルウォーターを販売してるの?」
「これを見る限りな。どうした?」
「…もしかして……」
薺は1人で勝手に言って、すぐに車に戻っていった。
2人が訝しげに薺を見ていると、薺は戻って来て、歓喜の声を上げた。
「ウィルスの発生源が分かったわ‼︎」
パッと眩しい明かりが玲奈の目を突き抜けた。
あまりの眩しさに目を覚ますと同時に天井を直視出来ない。
それで横を向けると、手術をする服を着た男と眉毛に傷がある男…アリエスが立っていた。アリエスはその傷を撫でていた。
「…眩しいわよ」
「それは失礼。君には私の復讐の1つの材料として、ウィルスを打ち込まなくてはいけなくてね」
ウィルスという単語に玲奈の身体が鋭敏に反応する。
落ち着いていた心臓は早急になり、息も少し荒くなる。
「ウィルス…って…」
「私が開発したウィルス…通称JA(ジャパン・アニマリティ)-ウィルスだ。体内に潜伏させて、トリガーを使って感染させるまた新たなウィルス…」
「あなたは…どうしてこんなことをするの?私が憎いの?」
「君は……憎いかと聞かれたら、別に…だな。憎いのは…この国そのものだ」
そう言うと、眩しかった明かりが消え、側面にスクリーンが流れる。
そこには1つの写真があった。
「…嘘……」
「あれが…私を裏切った女…美奈だ」
白い髪に赤い瞳…だが、それ以外は玲奈と瓜二つの女性が紳士服のアリエスの横に笑みを浮かべて座っている。
アリエスはそれを見ると、再び自然と眉毛の傷に手を伸ばし、彼が受けた痛みを思い起こした。
ー5年前ー
アリエスは幸せの絶頂だった。愛する人もでき、順風満帆ば生活を送っていた。
だが、それは突如として消え去った。
自身が結婚した女性…森田美奈はアンブレラ総裁の双子の娘の片割れだと知り、自らの仕事の妨害に来たと知ったのだ。
それが分かり、アリエスはいつも以上に焦りを募らせながら、自宅に戻った。
そこには、白い髪に真っ赤な血をべっとり付けた美奈が薄笑いを浮かべて立っていた。傍らには…叔父とその娘の死体を添えて…。
「み、美奈…」
「あら?帰ってきたの?あ・な・た♪先客は殺しておいたわ」
そう言いながら美奈は右手に握る包丁を軽く振る。
「私が結婚したのはアンブレラの不利にならないようにするため…。愛なんか微塵もないわ。だから……」
美奈は包丁の柄でアリエスの喉元を突き、アリエスを気絶させた。
「安心して。もうじきこの家は吹き飛ぶ。そうしたらあなたも彼らの後を追えるわ。それなら寂しくないでしょ?」
悪魔の笑みを浮かべ、美奈は自宅から消えた。
そう数分後…アリエスの家は爆撃され、自宅は跡形もなく吹っ飛んだ。
ー現在ー
「美奈の襲撃で私は大切なものをたくさん失ったが、運が良いのか悪いのか、爆撃から私はどうにか生き残った。それから私は美奈に対して復讐をする機会を狙っていたが…巨大なアンブレラという組織を崩壊させるのは無理だと分かった。そこで…アンブレラだけでなく…美奈という悪魔を作り出した『日本』というものを壊してやろうと思った。その材料が…君と竜馬だ」
「私はともかく…竜馬は関係ないっ……っ⁈」
玲奈が話しているのを無視して、アリエスは注射器を持ち出して、首に無理矢理突き刺した。
痛さで苦痛に悶える玲奈にアリエスは解説する。
「これはそのJA-ウィルス…。君の体内にあるJ-ウィルスと作用させて……最強の兵器を作り上げる。言っている意味が分かるかい?そう…君自身が兵器になるんだよ」
「くっ…クズ野郎が…!」
「まあ時間はある。元々人間ではないが、別れを惜しむといい…。自らの肉体と…。J-ウィルスとJA-ウィルスの副作用は分かっているからね」
そう言って、アリエスは部屋から出て行き、部屋には玲奈と男二人だけになった。
だが、玲奈が腕に力を込めると、拘束具はピキッと僅かにヒビが入った。
何故ここまで力が溢れ出るのか…玲奈には分からなかったが、すぐに拘束具を無理矢理に引き千切り、男に襲いかかった。突然の奇襲に驚いた男は成す術もなく、地面に倒された。
「服だけは返してもらうわよ。この身体がどうなったとしても…」
玲奈は進む。
この先、どんな結末を迎えたとしても…。
アリエスの本社がこの日本にあると知った海翔は、アリエスの次の狙いが個人ではなく、この日本という国そのものなのではと予想した。
そうでなければ…日本中の水道水や販売されているミネラルウォーターにウィルスを潜伏させるはずがない。
奴の狙いが分かっても、対処するのはとても厳しい。
何故なら、下手に動けばアリエスはウィルスを活性化させるトリガーを引きかねない。住民の避難も困難だ。
ならば…。
「俺たちが早く奴を止めるしかない。本部からの仕入れはあるか?紗枝」
「あまり良いものではないけど、あるだけマシよ」
目の前のオスプレイに積まれているのはハンビーとバイク…それにいつもの装備だけ…。
恐らく本部も状況理解がそこまで進んでないと海翔は見えた。
「他の隊員も私を含めて四人しかいない。これで迎え撃つしかないわ」
「そうだな…。よし、俺と紗枝はすぐにアリエスの本社に乗り込む。他の三名はウィルス活性のトリガーを止めるんだ。憶測でしかないが。奴らは何かしらの動きをするはずだ。一瞬も目を離すな‼」
「「「了解‼」」」
海翔の合図を始めにそれぞれ動き出す。
海翔はもう止まる気はない。アリエスを、止めるまでは。
その頃、片目がない女、名をマリア、は自らの父親の前に立って、お互いに手を握っていた。
あの時…マリアは右目を突かれ、腹部を二度刺されただけだったが、父親のディエゴは何度も何度も刺され、切られ…見るも無残な姿となってしまった。
そんな彼らをアリエスは死の淵から救ってくれた。
二人とも…昔みたいな姿ではないが、それでも構わない。
美奈を…彼女を擁護する日本を潰すという目的だけが、アリエスだけでなく、二人を突き動かしている。
「もうすぐよ、ファーザー。もうすぐ…終わる」
彼女はそう呟いて、ディエゴの手を放す。
言葉を出せず、ただ悲壮な目を向けるディエゴ。
愛する娘が遠ざかっていくのを眺めるだけのディエゴは再び眠りにつく。
最後の仕事をやり遂げるために…。
約一か月ぶりです。
ガチでスランプでした。こっからペースを取り戻していきたいです。