理由は後書きでちょっと詳しく述べます。それと報告も。
ではどうぞ。
更なる銃弾が玲奈を貫く前に竜馬は玲奈を突き飛ばし、自分から遠ざける。お陰で銃弾は竜馬の脇腹を掠めただけで玲奈に怪我はなかった。
だが、それで嬉しく思う者はこの場に1人もいなかった。
「竜馬…!」
玲奈を庇った竜馬は、さっきの戦いでの傷もあって、身体中から痛みが走って動くこともままならなかった。
突き飛ばされた玲奈も竜馬を抱えて、すぐにエレベーターでここから逃げようとする。
理由は2つ。
まずはこれ以上、傷を受けては玲奈も竜馬も死んでしまうから。
もう一つは玲奈の体内で暴れているJA-ウィルスをどうにかしなければならないからだ。
すぐ横や上を飛んでくる銃弾を避けながら、どうにかエレベーターに乗り込みドアを閉める玲奈。しかし隙間に大きな手が入り込み、ドアをこじ開ける。
その手が玲奈と竜馬を掴んで、無理矢理エレベーターから弾き出す。
そのせいで竜馬と離れてしまった玲奈。
「くっ、このっ…‼︎」
思わず拳銃を取ろうと腰に手を伸ばそうとした時、ディエゴはその腕を掴み、彼女の骨ごと砕いて地面に突き刺した。
「うあああああああああああぁぁ⁈」
刺したのはディエゴの伸びた爪だった。
鋼鉄並みの硬さを持った爪は簡単に玲奈の骨を砕いて、コンクリートにまで到達していた。
ディエゴはその爪を自ら折り、今度は竜馬に視線を向けていた。
「この巨漢野郎!狙いは私でしょ⁈私を先に狙いなさいよ‼︎」
「分かってないな」
玲奈が叫ぶと、アリエスはやれやれと言いたげな表情をする。
「玲奈…君にも私と同じ絶望を味わってもらいたいんだよ。仲間を…愛してる者を殺される絶望を。私は元々竜馬を目の前で殺して、絶望に打ちひしがれる顔を充分に見てから殺すつもりなのさ。まあ…順序はちょっと違ったけどね」
「アリエス…テメエ…!」
竜馬も歯を噛み締めて、アリエスを睨む。
だが、そんなことをしても何の効果もない。
ディエゴは再び右手全ての爪を伸ばし、倒れる竜馬の方に向ける。
このままでは竜馬は殺されてしまう…。
玲奈は何をしてもそれだけは防ごうと身をよじるが、コンクリートに深く刺さった爪は抜けない。
辺りを見回し、何か方法はないかと探す。
そして…手が届くか届かないところに落としたナイフが…。
一瞬の間を置いて、玲奈はそのナイフを取ろうと身体を右に動かす。
しかし…刺さった爪で地面に串刺しにされてる状態では簡単に取れないし、神経が擦れるだけでも全身に痛みが突き抜ける。
「くっ…うぅぅぅ!」
悶えながらも、右手を必死に伸ばして、ナイフの柄に指が触れる。
だが掴むことは出来ない。
ディエゴは今にも竜馬を殺そうと態勢を整えている。
自らの身体に鞭打って、ナイフに向かって動かすと、ズリュッと肉が削がれる音がすると同時にナイフが漸く届く。
それを掴んで、構うことなく自分の左腕を肘から下を切り落とした。
頬に温かい血が飛び、激烈な痛みが来るが、それはどうでもよかった。竜馬を死なせない…それだけで身体が動いていた。
身体を後ろによじりながら、ディエゴから距離を取る竜馬。
しかし、ディエゴは距離を取られても問題なかった。
JA-ウィルスとJT-ウィルスの副作用の1つで爪は自らの意志で伸び縮みし、いくらでも再生する。
そのお陰で遠距離でも隙はない。
右手を構えて、一斉に全ての爪を竜馬に向かって伸ばす。
「!」
目前に迫る狂気の爪。
思わず目を閉じる竜馬の耳に入ったのは、肉を抉られる音。
それが竜馬自身のものでないと分かり、急いで目を開ける竜馬は…驚愕する。
「あ……」
向こうでは笑みを浮かべるアリエスと爪を伸ばし、鉄仮面を被ったディエゴが立っている。
だが、目の前に立っている玲奈は左腕を肘から下、失い、身体中に鋭利な爪が突き刺さり、貫通までしている。
ボタボタと大量の血を流し、口から「ゴホッ…」と吐血して、ぐらりと竜馬の方に向かって倒れる玲奈を竜馬は受け止めた。
「玲奈‼︎」
「全く…いつまで経っても呆れさせる女だ。そんなバカのために…」
アリエスは指をパチンと鳴らし、ディエゴに指示を出す。
殺せ…と。
ディエゴは言われたままに拳を作り、玲奈と竜馬に向けて振り下げようとする。
しかし、近くからプロペラ音が聴こえてきてディエゴは止まる。
音のする方にその場にいる全員が向く。
すると、下からオスプレイが後ろ向きで浮上してきた。
積荷を入れるところにはロケットランチャーを構えた紗枝がいた。
「これでも食らいなさい‼︎」
容赦なく引き金を引き、ロケットはディエゴの武装した服に当たって着爆し、ディエゴは爆風に逆えずにビルの屋上から落ちていった。
「ディエゴ‼︎貴様…!」
怒りに任せて、オート式の拳銃をオスプレイに向けて発砲するアリエスに後ろから体当たりして、態勢を崩させた海翔。
「お前の相手はこっちだ‼︎」
銃を取り上げて、逆にその頭を撃とうとする海翔だが、腕を掴まれて弾倉の中身が空になるまで明後日の方向に撃たされる。
だが、海翔はそれが分かると銃を捨てて、アリエスに拳を振るう。
アリエスはそれを避けつつ、距離を取る。
「竜馬!お前には後で思いっきりぶっ飛ばす予定だが、その前にこいつをぶっ飛ばすことにする。玲奈を連れてこの先に行け‼︎JA-ウィルスとかやらの解毒剤がある‼︎」
「海翔…分かった‼︎」
竜馬は血塗れの玲奈を抱えて、睨み続ける海翔とアリエスの横を通り過ぎて行く。
「お前とはここでケリをつけさせてもらう!」
「…ふっ…」
アリエスは不適な笑みを浮かべつつ、首を左右に動かして鳴らす。
海翔はというと、殴り合う態勢を作ってジリジリと前に足を動かしていく。アリエスも構えて、飛んできた海翔の拳を受け流していく。
海翔の拳は何度となく、アリエスの身体に向かっていくが、全て躱され、更にアリエスに攻撃されそうになる。
重たい身体を動かして避け、アリエスの身体を地面に倒して、拳をその顔面に食らわせようとする。
だが、拳は冷たいコンクリートに当たっただけ。
逆にアリエスは下半身を動かして海翔の上に馬乗りになると、そこから何度も殴打する。
海翔とその年10も違うとは思えない力で海翔を連続で殴り、海翔の気は一気に遠くなる。
「これで貴様も終わりだ…。全てが無に帰るんだ…。仲間も…恋人も…家族もな…‼︎」
荒い息を吐きながら、アリエスはそう言って、拳を振り下ろす。
アリエス渾身の一撃は海翔の眉間を捉え、後頭部を強く打ってしまう。
これで終わった…。
アリエスはそう思った。
だが…。
「っ⁈」
突然目の前に海翔の顔が迫り、額と額がぶつかる。
アリエスは額を抑えて、後ろに後退る。
「何っ⁈」
「終わらねえ…。俺は…誰にも……」
口許の血を拭い、昇龍の如く拳を振り上げた。
「負けねえ…。負けるわけにはいかないんだぁ‼︎‼︎」
拳はアリエスの顎を直に捉えて、彼の身体を宙に浮かせた。
吹き飛んだ先の地面は窓ガラスになっており、アリエスの体重と衝撃で耐えられなかったガラスは割れて、アリエスは絶叫しながら屋上から最下層にまで落下していった。
「ああああああああああああああああ‼︎」
海翔がノロノロと身体を動かして下を見ると、アリエスの身体はバンッと派手に音を立てて、大きな円形の血溜まりを一瞬で作った。
「はあ…はあ…。ああ、クソ…」
連続で殴られた痛みで地面にゆっくり座る海翔はもう一度大きな溜息を吐いて、漸く終わったと実感するのだった。
地上何十メートルという高さから落下したアリエスだが、まだ微かに息をしていた。だが、ほとんどの骨は折れるか砕けるかし、内臓にその折れた骨が突き刺さり、一生に一度経験するかしないかの痛みを感じていた。
そんな地獄に遭っている時、重い足音がアリエスに近付いてくる。
アリエスの歪む視界に、身体が大きく炎上し終えたディエゴが見詰めているのが見えた。
「ディエゴ……最終段階だ……。私が……植え付けた力を……全て……解放するんだ……」
ディエゴは頷き、鉄仮面を無理矢理に剥がした。
仮面の下の顔は醜い怪物だった。
更に焦げた服を脱ぎ捨て、背中に付けていたボルトを外していく。
背中は蜘蛛のように裂けて、そこから白い糸が吐き出される。それは瀕死のアリエスを取り込み…更なる進化をするのだった。
今回はここまでです。
投稿が遅れた理由としては、やはりコロナです。コロナの影響で執筆時間に相当な悪影響が自分に及びました。
何はともあれ、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
そして、まだ未定ですがバイオハザードで新たな小説を投稿しようと考えています。
内容はもう1週間以上前に発売されたいRE:3関連で行きます。
これからも頑張っていくので、よろしくお願いします。