バイオハザード リターンズ   作:GZL

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また一か月以上空いてしまいました!
結局、こうなってしまうんですよね…。


第58話 NOT OVER

JA-ウィルスを身体内から除去し終えた竜馬は玲奈を支えつつ、海翔とアリエスが戦っていた場所に戻った。勝者はどっちなのか…二人とも気になったので戻ったのだが、海翔は目を閉じて床に横たわっていた。

顔は傷だらけで、呼吸をしているのか怪しかったが玲奈たちの気配に気付いたか、ゆっくりと小さく目を開ける海翔は親指を立てて、微かに笑みを溢した。

 

「終わったのか?」

「ああ、終わったよ…。テメエをぶっ飛ばす気力もなくなる程殴り合ったよ…」

「それはお疲れ…。実際…俺たちも疲れたよ…」

 

竜馬は玲奈を床に座らせ、自身も仰向けになった。

 

「今……紗枝が迎えに向かっている…。どうやら…ウィルス発生のタンク車は全て燃やしたらしいから…」

「それまで…休むってことね…」

「どうせ…家に戻れば一瞬で寝れるさ」

 

そんな暢気なことを言ってると、不意にガキン、ガキンと金属を抉るような音が下から響いて来た。手放しかけていた意識が戻り、玲奈たちは先程海翔がアリエスを殴り落とした方に目を向ける。

金属を抉る音は徐々に玲奈たちに近付いて、遂に分厚いガラスを割って出てきたのは赤黒い巨大な手腕。床を掴み、ぬっと姿を現したのは…人間の様相を完全に失ったアリエスだった。

 

「かあぁぁいとぉ‼」

 

人語を喋り、白い眼を向けるアリエスは玲奈たちと同じ地面に立ち、虫けらのように笑い出す。

玲奈たちは茫然とするばかりで、あまりの出で立ちに身体が動かなかった。いや…体力を使い果たしたも同然だから動かないのかもしれない。

 

「貴様ら…ここで…ころぉぉすうぅ‼」

 

アリエスはディエゴと融合したことで手に入れた巨大な拳を振り下ろす。

三人ともそれぞれバラバラに離れた場所に避けるが、そこを狙われて海翔は捕まる。

 

「ぐうぅ!」

 

海翔が捕まったのが分かった玲奈と竜馬は、腰に手を伸ばす。

が、取り出した拳銃にもう弾は入っていない。おまけに近接武器のナイフも持っていない現状だった。

たとえそんな状況だとして、竜馬は果敢にアリエスの足にへばりつき、その場で「海翔を離せ‼」と叫ぶ。

しかし、融合したアリエスから見れば、海翔も竜馬もただのか弱い人間にしか見えなかった。唯一人間離れした玲奈が脅威となりえたが、片腕を失っている今は敵ではなかった。

アリエスは鼻で笑い、竜馬を軽く足を動かして振り払い、海翔を掴む手に握力を込めていく。玲奈も漸く立ち上がり、足腰に力を込めて走り、アリエスの顔面を蹴り上げる。

だが着地は失敗し、隙を晒してしまう。

 

「このアマぁ!」

「うっ‼」

 

玲奈もアリエスの手に掴まる。アリエスは海翔を掴んでいる腕…左手人差し指の爪を伸ばし、玲奈の左腕の切断面に突き刺した。

 

「ああああああああぁぁぁあああああぁ‼‼」

 

もう声は自身でも枯らしたと思っていた玲奈だったが、神経に痛みが走れば、極限状態でも悲鳴はいくらでも出た。悲鳴と同時に身体は細かに痙攣し、涙と涎が溢れ出る。

 

「玲奈……くそっ…」

「あ……かっ…」

 

すぐに殺す気のないアリエスはまだまだ苦しめて、最後は無惨に殺してやろうと思っていた…が、そんな悦楽な考えをしているうちに、横から何か飛翔物が向かってくる。

それがロケットだと気付いた時、アリエスは二人を離し、腕で顔をガードした。

爆風が玲奈と海翔を軽く飛ばし、竜馬は二人を物陰へと引っ張る。

 

「大丈夫か?」

「ああ…俺よりも、玲奈が重傷だ…」

 

玲奈の状態は時間が経つ度に酷くなる一方だった。

現在は切断した腕からの多量の出血とショック…。そのせいで痙攣は止まらない。なのに、今までの戦闘で受けてきた痛みの耐性のせいか意識は飛ばない。これ以上の痛みの地獄はないと考えて良かった。

 

「それにしても…あのロケットは一体…」

 

そう呟いていると、もう一発飛んで来て、今度は下半身に命中する。

 

「あれだ!」

 

海翔が指差す先にはオスプレイのハッチを開けて、ロケットランチャーの筒を肩に担いだ二人の女性が…。

その『二人』に海翔は笑みを溢さずにいられなかった。

 

「全く…あいつら…!」

「いつも通りだな、お前さんの恋人と妹さんは!」

 

ハッチから構わずロケットランチャーをぶっ放しているのは紗枝と薺だった。

どうして薺がいるかは分からないが、とにかく援護してくれるのは嬉しい限りだった。

 

 

「もっと近付けて!次はあの顔面を吹っ飛ばす!」

 

紗枝の命令を受けた隊員はオスプレイを徐々にビルの屋上に近付けていく。ロケットを込め、構える紗枝の眼前にあの巨体が宙を舞った。

アリエスは屋上から飛んで、オスプレイのハッチに手をかけたのだ。

 

「うわっ‼︎」

 

2人はバランスを崩して転ぶ。

アリエスは金属の機体に爪を食い込ませて、2人に迫る。オスプレイも上手くバランスを保てずにビルの屋上の真上に向かってしまう。

 

「このっ…‼︎」

 

壁から散弾銃を取り、アリエスに向けるが、爪を金属に引っ掛ける度に機体が激しく揺れて、照準が定まるどころか機体から落ちないために取っ掛かりに掴んだ拍子に散弾銃や色んな武器を落としてしまう。

アリエスはハッチから侵入すると、爪を向けて一気に伸ばす。

 

「薺‼︎」

 

薺を突き飛ばして庇った紗枝の肩を伸びた爪が貫き、機体の壁に突き刺さる。

 

「あああああああぁぁぅっ‼︎」

「紗枝さん‼︎」

 

悲鳴の聞こえた海翔たちは落ちている散弾銃を取って撃とうとするが、機体が揺れて上手く狙えない。下手すれば銃弾がオスプレイに当たって、墜落させてしまう可能性があるので乱射も出来ない。

 

「…ちくしょう!」

 

唇を噛んで、このまま何も出来ずに待つことしか出来ないのかと立ち尽くしていると、海翔の持っていた散弾銃を無理矢理奪って、アリエスに向ける者が2人の前に立った。

 

「玲奈…!」

 

左腕からは変わらず、血がポタポタと垂れているが、その姿はさっきのように弱りきった感じではなかった。

いつものように凛々しく、強気の玲奈だった。

 

「落ちなさい…!」

 

玲奈は引き金を引く。

散弾はアリエスの左肩付近を穿ち、左腕を身体と完全に分離させた。

ブシャアと血が溢れ、落下していくアリエスだが、今度は顔だけ残ったディエゴの口から触手が伸びて、ビルの側面にへばり付く。

だが玲奈はもう一発撃って、ディエゴの顔面を吹っ飛ばした。

これにより今度こそアリエスは地面へと落下した。ドシンと地震が起きていそうな程大きな音を立てて落下したアリエスは、片腕だけで立ち上がり、雄叫びを上げる。

 

「あいつ…まだ…」

 

後ろでは煙を上げたオスプレイが緊急着陸し、紗枝は肩を抑えつつ、アリエスの方を見る。

 

「しぶとさだけは流石ね」

「完全に吹き飛ばさない限り死なないようね」

 

玲奈は消火用ホースのケースを開けて、それを右腕に巻き付ける。

 

「まさか、玲奈、こっから降りようとしてるんじゃないんだろうな?」

「当たり」

「無茶言うな!その身体で…!」

「うるさい‼︎」

 

玲奈は右腕で竜馬を振り払い、怒鳴った。

 

「アイツは私が殺る!この身体がどうなってもいい‼︎竜馬を…私を嫌という程苦しめたアイツは絶対に殺す‼︎」

 

そんな軽い口論をしていると、アリエスは更なる行動に入った。

背中から蜘蛛の糸のような白い触手を出し、周囲にいるアンデッドを取り込み始めた。

 

「アンデッドを貪り出したわ。早くなんとかしないと…」

 

それを聞いた玲奈は構わず、ビルの下を見る。

真下に車が置いてある。その上に落下してでも、アリエスと同じ地面に立つつもりだった。

竜馬は飛び降りる前に玲奈の肩に触れて、こう言った。

 

「…俺の二の舞にはなるなよ」

 

暫く茫然とした玲奈だが、しっかりと頷いた。

 

「これを持って行って。最後の切り札よ」

 

紗枝はオスプレイから1つの銃を持って、玲奈に投げ渡した。

 

「これは…」

「使えば分かるわ」

 

玲奈は右腕にそれを抱えて、親指を立ててから、ビルから飛び降りた。

しかし玲奈の予想と反して、ホースは思ったよりも伸びずに途中で止まってしまったので、玲奈はホースを手放して、車の天井に背中をぶつける。

 

「くうっ!」

 

玲奈は車の天井を転がって、口から垂れる血を拭って、紗枝から渡された武器を向ける。のだが…片手しか残っていない玲奈は上手く照準を合わせられず、ふらついてしまう。

因みにだが、アリエスは大量のアンデッドを身体に取り込み、人間の原形を留めないくらいの醜悪な身体をしていた。顔も大きく肥大化し、気色悪い口から緑色の体液を吐く出しつつ、下品な笑いを浮かべる。

 

「お……れが……やられ…て、も………」

 

『俺がやられても、いずれまた同じ奴が現れる』…と、アリエスは言いたいんだろうと、玲奈は読み取った。

未だに復讐を終えさせないアリエスに玲奈は血を吐きながら怒鳴った。

 

「何人出ても…あんたのような奴が出たとしても…私が止める‼︎」

 

もう一度…構えようとするが、やはり安定しない。

むしろさっきよりも銃が持ち上がっていない。

 

「…はあ…はあ…」

 

体力的にも極限に近い玲奈は膝を付いてしまう。

 

「さっき…意地張るんじゃなかったな…」

 

そう呟くと、後ろからガシャンと車のフロントガラスが割れる音がした。

振り向くと、背中を摩りながら玲奈に歩み寄る影が見えた。

 

「お前の悪い癖だな…玲奈」

「竜馬…」

 

竜馬は玲奈の身体を支えつつ、銃身に手をかける。

 

「俺“たち”で決めるぞ」

「…ええ!」

 

竜馬が支えてくれるお陰で照準は安定した。

巨大化を続けるアリエスはやられてたまるかと、醜悪な大口を開けて玲奈たちに迫ってくる。

その前に…玲奈たちは一緒に…引き金を引いた。

銃口からは銃弾ではなく、電撃が放たれた。

電撃はアリエスの顔を吹き飛ばし、肥大化した身体を突き抜けたばかりか、その先にある建物を数軒、吹き飛ばした。

血の雨が降り注ぎ、その最中…銀色の指輪がチャリンと落ちた。

2人はレールガンを降ろし、迎えのヘリが来るまでその場から動くことはなかった。




次でIF Storyはラストで、その更に次は登場人物紹介かな、IF Story Versionの。
最近、暇じゃなくて書ける時間がなくて、投稿期間がものすごく伸びてしまうんです。申し訳ないです。
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