バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第17話 ネメシスプログラム完全始動

海翔の目に雨が落ち、視界を滲ませる。そして、警視庁の警官と自衛隊と混じって、雪崩れ込んで来るアンデッドの大群を相手にしていた。マシンガンを握ってひたすらに撃つ。

 

「くそ!何が()()だよ!」

 

ニュースによる報道は真っ赤な嘘だと分かった。

どう見たってこんなのは、暴動でも何でもない。

人間でない者が人間を食っているのだ。

 

「こんなんじゃ…薺を探し出す前に弾が無くなりそうだ!」

 

無限と言っても過言でない程の甚大な数のアンデッドは、警官隊や自衛隊をも飲み込んでいく。海翔一人でそんな大群を相手に出来るはずもなく、急いでその場から離れるのだった。

 

 

 

 

教会から出てから、ずっと玲奈と紗枝は顔を合わせることなく歩いていた。恐らくどちらも偉そうにと思っているのだろう。そんな感じだからか、全員一言も喋ることはない。

ただ、紗枝はチラチラと玲奈を見た。舌を巻く程に美しい玲奈の容姿は、雨の中でも輝き放っていた。濡れた髪も何とも言えない妖艶さを醸し出していた。玲奈は一応チラチラ見てくる紗枝を歩きながら見据えた。

 

「何?」

「…別に」

「相変わらず正直じゃないわね。もしかして、私よりも背が高いからって偉そうにしようとしてたのかしら?」

 

いちいち冷やかしてくる玲奈にイライラしながらも、紗枝も反論する。

 

「そんなんじゃないわよ!……まあ、玲奈の強さに関しては負けだと認めただけよ…。私も自分で言うのもなんだけど、私も強いけど…あんたには負ける」

 

紗枝はそう言うが、玲奈は嫌な表情をした。

 

「…そっちの方がいいわ」

「どういうこと?」

 

玲奈は少し前に立って重い口を開いた。

 

「私はアンブレラで人体実験に使われた。自分でも人間らしさが残っているようには思えないわ」

 

玲奈に言われて紗枝は漸く分かった。

確かにあの運動能力…反射神経はとても並みの人間が出せる力とは到底考えられなかった。それに玲奈の表情はどことなく暗かった。自分が人間でないことに悲観しきっているのだろうか…。

 

ジリリリリリリリン!

 

その時、突如玲奈たちの傍に設置されていた公衆電話が鳴り響いた。玲奈たちは癖になってしまったか、全員が一斉に拳銃を向けてしまった。だが、公衆電話の着信音だと分かると、玲奈は矢継ぎ早に言う。

 

「急いで。奴らは音に反応する」

「奴らって……何なのか知ってるの?」

「…一応ね」

 

紗枝は玲奈の前に立ち、顔を近づける。

 

「じゃあ逃げる前に聞くわ。奴らは何なの⁈」

「……あいつらは、アンブレラが開発した生物兵器…アンデッドよ。噛みつくか引っ掻きを食らえば…感染してやられた者もアンデッドになる」

「何で知ってるの?」

「元社員よ」

「じゃあ…あなたも、()なの?」

 

紗枝の握る手に力が籠る。

玲奈はその様子も見据える。そこに再び竜馬が入る。

 

「今はそんなことを気にしてる場合じゃないでしょう!脱出する方法を探さないと!」

「……そうね」

 

紗枝は緊張を解く。

 

「それなら…手はあるかもよ?」

 

後ろで薺の声がした。振り向くと彼女は公衆電話の受話器に耳を当てていた。そして、玲奈に手招きする。玲奈は薺から受話器を受け取り、耳を当てた。

 

「はい?玲奈よ」

『良かった!さっきの女性にも話したが、実は脱出方法を知っている』

 

胡散臭い話だ。玲奈は思わず目を細めた。

すると、薺がつんつんと玲奈の肩をつつくと、天井の方を指差す。

そこにはまだ起動している監視カメラだった。あそこから、この電話の主は監視カメラ越しに玲奈たちを見ているらしい。

 

「それを信じる根拠は?」

『正直ない。だが、聞きたくないかね?今は君たちだけだが、他の者にも連絡はするつもりだ』

 

玲奈は、今出来ることはほぼないため、話を聞くことにした。

 

 

 

 

「さっきの電話の相手は、アンブレラ社主任開発人の一人、重村要三(しげむらようぞう)氏。J-ウィルスを開発した人物よ。彼曰く、学校に逃げ隠れた要三氏の娘さんの救出をしてくれたら、脱出方法を教えるらしいわ」

「何その理不尽な要求…」

 

紗枝はあまり乗り気ではなかった。薺も別の案を出してくる。

 

「それよりも、どこか頑丈な建物に籠城して、助けを待つって案はないの?」

「絶対ないわ。まず、助けそのもの来ないわ」

 

玲奈は薺の案を即座に否定した。

 

「アンブレラはどうやら、ウィルスの流出を抑え込めないと考えたようね。恐らく、夜明けと共に…この東京は()()される」

 

それを聞いた三人だったが、何のことかさっぱり分からなかった。

()()というキーワードが、3人の頭の中に疑問を増えさせた。

 

「その……()()ってどういうこと?」

「…一番可能性としてあり得るのは…戦略核ミサイル」

 

全員、顔が青くなった。

 

「威力は?」

 

ビビッてばかりもいられず、紗枝はすかさず聞く。

 

「東京全体は当たり前。恐らく、神奈川や埼玉にも影響は現れるでしょうね…」

 

最悪なことを聞いてしまった紗枝と竜馬は更に顔を青白くしていく。この中で一番理解していないのは薺だけできょとんとしている。

 

「つまり……どういうことなの?」

 

「簡単な話よ。核ミサイルで被害のあった東京の街、それにアンデッドも全て吹き飛ばすのよ。証拠と共にね…」

 

言葉を失う薺。暫しの沈黙の後に、竜馬が叫んだ。

 

「そんな訳あるか‼そんなことして…マスコミが黙っちゃいない‼」

 

玲奈は溜め息を吐きながらも、淡々とこれから起きる事実を述べていく。

 

「シナリオは出来ている…。地下に無断で作った原子力発電所の事故の対策として…超放棄的な措置を取るために使った……とするつもりよ。アンブレラは政財界の大物をも操れる大企業…。簡単に出来るわ」

「そんなこと…」

「あり得るわ」

 

紗枝が言葉を紡ぐ。

 

「あのゲートで私たちを出さなかったのは、今夜の悲劇を目撃した人を殺すためでしょ?」

 

紗枝は玲奈を向いてそれが合っているか確認する。玲奈は軽く頷いて、紗枝の仮説が正しいことを認めた。

全員が絶望に踏み潰されたような感覚の中、竜馬は立ち上がり口を開いた。

 

「はっ…。じゃあどうすんだ?」

「…夜が明ける前に脱出すればいいだけよ。要三氏の話を信じるか…自力で脱出するか…。選択の時よ」

 

玲奈はそう言うが、誰もすぐに決めれるはずがないと玲奈は思っていたが、紗枝はすぐに腹を決めた。

 

「私は要三氏の話を信じるわ」

 

紗枝の意見に、薺も竜馬も仕方ないといった感じで頷く。すると、紗枝は手を差し出した。玲奈はどういうことなのか理解出来ずにいると

 

「だから……!これからは協力関係ってこと!(いが)み合っている場合じゃないでしょ?」

「…そうね。これからよろしくね、紗枝お嬢様」

「一言余計‼」

 

紗枝が怒鳴っている中、玲奈は紗枝の手を強く握ったのだった。

一行はそれから、要三氏の言う学校に足を運んでいた。場所はさっきの電話で教えてもらったから分かるが、無事に辿り着けるか不安だった。

 

「学校までどれくらい?」

「歩いて40分弱かな?間に合えばいいけど……」

「間に合う?」

 

竜馬が聞き返す。玲奈は竜馬の隣に立って話す。

 

「仮に学校に着けても、その娘さんが生きていなかったら脱出方法は教えてくれないはずよ」

「何だそれ!?完全に運任せじゃねえか…」

「……世の中…運だらけよ…。私だって……本当は…」

 

竜馬は玲奈の声が震えていることに気付いた。

 

「玲奈?どうし……」

「竜馬っ‼」

 

玲奈は突然竜馬を地面に押し倒した。その一秒後…さっき竜馬が立っていた場所に無数の弾丸が飛んできた。ミニガンの速射が玲奈たちを襲ったのだ。橋の下にいたのは、ネメシスだった。玲奈はネメシスを睨むと、竜馬たちに叫んだ。

 

「ネメシス…!行って!早く!」

 

言われた通りに3人はすぐさま走り出した。玲奈は橋の上から真の敵…ネメシスと逢い見えたのだった。

 

 

 

 

「最重要ターゲットです」

 

一方アンブレラでもネメシスの前に玲奈が現れたことで一気に騒がしくなった。佳祐は無線でアンブレラ全社員に繋げて、高らかと言った。

 

「諸君!待ちに待った瞬間だ!現在時刻午前2時23分49秒…。ネメシスプログラムは…完全に始動された!」

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