バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第22話 罠

車で暇していた智之と合流した一行だが、紗枝たちが拝借した車ではここまでの人数…7名はさすがに乗れなかったため、紗枝がもっと大きい新たな自動車の直結を試みている。

その間に近くの公衆電話が再び鳴った。まあ、相手は考える必要もないだろう。玲奈はすぐさま受話器を取る。

 

『どうやら娘は助けてくれたようだな…。なんとお礼を言ったらいいか…』

「助けるには苦労したのよ?この借りはあなたの口から脱出方法を聞くことでチャラにしてあげる。で…早く教えて」

『その前に…娘、律代の声を聞かせてくれないか…?』

 

玲奈はその気持ちは分からなくもなかったから素直に受話器を律代に渡した。

 

「律代、パパからよ」

「本当⁈」

 

途端、律代の表情は明るくなる。あんなに暗かった表情は一気に吹き飛んだ。受話器を受け取ると喜々した様子で話し始めた。

 

「パパ⁈」

『おぉ…!律代!無事だったか、良かった!』

「うん!早く会いたいよ!」

『大丈夫さ。もうすぐ会える。それまではそのお姉さんの言うことをきちんと聞くんだぞ?』

「うん」

『さっきの人に変わってくれ』

 

律代は受話器を玲奈に渡す。

 

「で、脱出方法は?」

『そこから約2km先にアンブレラ本社ビルがある。そこの屋上からヘリの最終便が出発する。時間は今から約1時間後だ』

「……今の話、聞く限り私たち専用…ではなさそうね」

『その通りだ。最後にビルに残った傭兵専用だ。だが警備も手薄。君たちなら楽に奪えるはずだ。そこには銃を扱える人が5人くらいいるだろう?』

「…よく見てるわね」

 

玲奈は監視カメラを見ながら言う。

 

「ヘリを盗んだとして、どこに向かえばいいのかしら?」

『それは屋上で私が待っているからそこで教える。早くしたまえ』

「分かった。娘さんを無事に送ってあげるわ」

 

玲奈はそう言って受話器を元に戻した。その瞬間、紗枝は大型車…ワゴンなのだが、直結に成功したらしく、エンジン音が鳴り響く。

 

「紗枝、タクシー、お願い出来る?」

「料金は貰うわよ?どこへ?」

「アンブレラ本社へ」

 

 

 

 

要三は監視カメラを駆使して玲奈たちの動きを追跡していた。が、突然自身のパソコンに『error』の表示が出てきて、それ以降パソコンはうんともすんとも言わなくなった。

 

「な、何だ?」

 

焦り出す要三の後ろに人影が見えた。

 

「コンピューターを簡単に止める方法を知っているかな?」

 

要三はギクリとしたが、冷静になって回転式の椅子を回し、佳祐に振り向いた。要三は佳祐が自分を殺さないことは分かっていた。要三はアンブレラにとってかなり重要な人物で、使い勝手がいい人物でもある。

 

「それはな……コンセントから引っこ抜くか…」

 

佳祐は要三の横にあったパソコンを拳銃で撃ち抜き、使い物にならないようにした。要三はビクッとなったが、きちんと佳祐を睨んだ。

 

「壊してしまえばいい。だが、いい仕事をしてくれたよ。博士は態々(わざわざ)ここに玲奈を呼んでくれたんだからな…」

「何度も言うが、私はもう君たちの命令通りには動かないぞ?」

「それでも構わないさ。でも、目の前で娘が痛めつけられたら…やる気も出るだろう?」

 

要三は唇を噛んだ。そして、佳祐は不敵な笑みを浮かべて要三のいる部屋から出て行った。もちろんこれ以上邪魔されないように見張りを付けて…。要三は玲奈たちに申し訳ないことをしてしまったと後悔した。

 

 

 

 

ワゴンの中で玲奈はすぐに海翔に律代の持っていた抗ウィルスの入った試験管を注射器に装填して、直接血管に入っていくように針を刺していく。

 

「いい、海翔。これはウィルスを()()()()()んじゃなくて…()()()()()()薬。完璧にウィルスは死滅しないから注意して」

「構わないさ。あんな化け物どもになるかよりかはマシさ。それよりも…注射器、使うの上手いな。前は看護師か?」

「えっ…」

 

玲奈は今海翔に言われて気付いた。

何故、こんなに注射器を使うのが上手いのだろうかと。

どこかで使ったから…?

どこで…どこで…。

そんな考えをしていると、玲奈の耳に大きな声が響いてきた。

 

「おい玲奈!…平気か?」

「え、えぇ」

「それより…ヘリはどうやって盗むんだ?真正面から突っ込むつもりか?」

「アンブレラ本社ビルは東京では一二を争う程高いビル。まずは隣のビルから偵察ね。そこから狙える範囲の傭兵は…そのライフルで殺して」

 

玲奈は海翔のライフルを掴んで言った。

 

「それなら…紗枝が大抜擢だな」

「…どうして?」

「彼女が得意なのは…狙撃だからさ」

 

 

 

 

紗枝はアンブレラ本社のビルの隣のビルから様子を探る。要三氏は屋上と言っていたが、一番上の屋上ではなかった。紗枝の見た感じおよそ50階建てのビルの中腹更に下にある簡易な屋上に航空自衛隊専用のヘリが着陸していた。紗枝はライフルのスコープを暗視用にする。黒いヘルメットに防弾着を付けた傭兵がそこから見た限り…。

 

「8…ってとこかしら…」

 

紗枝はその屋上に待機している玲奈と海翔に無線で連絡する。

 

「敵は8人。ここからなら2人撃てる」

『…紗枝、その2人…頭を撃ち抜いて』

 

玲奈の射殺命令…。普段なら違和感しかないが、今回は話が別だ。紗枝たちを見殺しにしようとしたアンブレラが相手だ。紗枝は不気味にほくそ笑んで引き金を引いた。

 

 

 

 

屋上に通じる非常階段で待機中の玲奈と海翔は紗枝の撃ったライフルの銃声が静寂を破ったのが耳に聞こえた。奥にいた傭兵二人がヘルメットを貫通して倒れていくのが見えた。

 

「行くわよ!」

 

玲奈と海翔はその間に突破する。海翔は傭兵のマシンガンを掴むとその銃尻で顔面を殴り、そのまま地面に倒してしまうと首をゴキッと折った。

玲奈は傭兵の足を蹴ってへし折ると、その傭兵の腰から拳銃を盗むと防弾着のギリギリ…脇腹辺りを撃ち抜く。それで2人を殺した。残った1人はナイフを出してきた。その刃先が玲奈の腹を裂き、僅かに血が飛ぶ。苦痛に顔を歪ませる玲奈だが、横に一回転させて、死んだ傭兵から警棒らしきものを抜き、身体を捻って回転かけ、ヘルメットに強烈な一撃を与えた。その威力はヘルメットのガラス部分が粉々に砕け散ってしまう程で、その一撃で傭兵は二度と動かなかった。

それから数分後、竜馬たち5人が階段を登ってきてこの惨状を目の当たりにした。これだけでもあの3人…特に玲奈の力がどれだけ強いのか見せつけられた感じで舌を巻いてしまった。玲奈は警棒を捨てて、竜馬たちのところに合流しようとする。

その時、倒れていた傭兵の1人が上半身を起こして玲奈に拳銃を向けたのだ。竜馬はもうほぼ無意識に近い状態で拳銃を抜き、玲奈の横…本当に真横に銃弾を走らせた。相手が引き金を引く前に銃弾は傭兵の首元に直撃し、呻き声を一瞬だけ上げて倒れた。

 

「1つ貸しでいいかな?」

「……そうしとくわ」

 

玲奈は苦笑いを浮かべた。

それから玲奈はヘリの中に向かっていく。電源は付いているから正常そうだ。後はこれで脱出するだけ…のはずだった。

余計な邪魔さえ入らなければ…。

 

「待ってたよ」

 

ヘリの操縦席から現れたのは佳祐だった。佳祐の手には拳銃が握られている。この狭いヘリの中では避けられそうにない。

 

「一応言っておこう。ヘリの外でも既に仲間の皆は拘束済みだ」

 

玲奈はそう言われ急いで外に出たが、時既に遅し。

先程までいなかったはずの傭兵が何十人と出てきて、竜馬たちを拘束していった。要三も杖を突きながらこちらにやって来た。その表情は申し訳なさそうだった。

 

「すまない…私の計略がバレてしまったのだ」

 

玲奈たちは罠に嵌ってしまったのだ。玲奈はこの状態では逆らえるはずがなかった。

 

 

 

 

車に押し潰されたタイラントの身体が僅かに動く。燃え上がった車を吹き飛ばし、まだ火が付いている防護服を脱ぐ。今まで抑えられていた(からだ)が解放され、タイラントは真の姿へと変貌する。奴の脳裏に焼き付いているのは、自身の頭を半分近く吹き飛ばした玲奈の姿だった。怒りに燃えるタイラントは天高く咆哮すると、アンデッドを薙ぎ倒しながら走っていく。その眼は…玲奈を殺すことを目的とする、悪魔の眼だった。




タイラント復活。少し、容姿は変えていこうと思います
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