原作では、〇-ウィルスとそっくりです。
〇に何が入るかは想像してみてください。
それと短めです。
アンブレラは元々世界各地に東京のハイブのような極秘研究所を有していた。
しかし、東京支部のハイブからJ-ウィルスが世界中に漏洩したことで、行き場を無くしたアンブレラ幹部はその研究所を今、自分たちの住宅として使っている。主に研究所は地下にある。地下と言っても、ビルとかの地下一階、二階のレベルではない。地表から何百何千mの場所に巨大な建造物が出来ている。
そして、アメリカ支部の研究所では会議が行われていた。
しかし、会議に参加するメンバーのほとんどはその場にいない。映像をホログラミングして、あたかもその場にいるような感じに見せかけているだけだ。
『パリはどうなってる?』
『パリの食料備蓄は42%に低下。バイオハザードは拡大中です』
議会長のジョンは今度はロンドン支部の代表に顔を向けた。
『ロンドンの食料備蓄は27%に低下。更に従業員4名が死亡。同じくバイオハザード拡大中です』
「失礼します」
会議中に突然二人の男性が入ってきた。一人はアメリカ研究所主任の淳、もう一人はアメリカ支部の用心棒のパイソンだ。
「ジョン議会長!お待たせしました!」
『淳博士……やっと研究部門が来てくれたよ…。博士、この半年間で得た研究成果を説明してくれたまえ』
「ええ喜んで」
淳は一息吐いてから話し始める。
「皆さんもお分かりでしょうが…あいつらに定期的に肉を与えることも、栄養も入りません。肉体を存分に食らうが、必要なことではない。何せ腐っても動き続ける“死体”なのですから。私の推測するに……奴らは今後二十年か…永遠に活動を続けることでしょう」
その報告を聞いた一人が声を荒げた。
『それじゃあ……我々はここから出られないというのか⁈』
淳は彼らの反応を見て思わず笑いを溢してしまった。
彼らを嚇かすには良い研究成果だったかもしれない。
「今までは…そう考えられてきました。私はまず唯一感染しなかった玲奈の血液に着眼しました」
淳はパチンと指を鳴らして、部屋の明かりを消してもらう。そして画面に一つの画像を映し出した。それはアンデッドの画像のように思えたが、何かが違っていた。
「こいつらは玲奈の血を使って血清を作り、投与した結果出来た非常に凶暴なアンデッドです。こいつらを調教して家畜のように飼い慣らせば…状況は一変するでしょう」
『それで…本当にこいつらは我々の言うことを聞くのか?』
「短時間だけです。記憶と思考力は一時的に戻りますが、いずれ元の肉を食らうアンデッドに成り果てます。こいつらは失敗作です」
ジョンは『はぁ』と息を吐く。
『じゃあ、君はこの半年間、この失敗作を見せつけるためだけに実験を続けていたのか?』
ジョンがいくら睨んでも淳は至って冷静だった。
「ここからが、私の研究成果ですよ」
もう一度指を鳴らすと、今度は別の画像を出す。
「これは今アメリカ支部にだけある玲奈のクローンを使い、更に進化させたウィルスを開発しました。名付けるとしたら……“JJ-ウィルス”と言ったら妥当でしょう」
『これが…君の成果かい?』
「ええ。これを見たら、ここにいる皆さん方は納得されることでしょう」
淳は更に画面を変える。そこには再びアンデッドの画像が出るが、さっきの画像とは更に打って変わったアンデッドだった。そいつの顔には異様と呼べる程に目が増加している。そして、次に流れた映像を見たメンバーは彼らを十分に驚かせた。
JJ-ウィルスに感染したアンデッドは自分の意志で文字を書いたり、荷物を運んだり、果てには命令を忠実に遂行している映像も流れた。
「奴らの知能、運動能力は人間と大差ありません。変わったのは……」
最後の映像が流れる。そこでは、彼らの頭が拳銃で撃ち抜かれるシーンだったが、その崩れた肉は白い煙を発しながら、再生していった。
『再生が可能なのか⁈』
「一度に同じ箇所、または様々な箇所を同時に攻撃されれば、再生は間に合わなくなります。しかし頭に1発だけ弾丸をぶち込まれても死ぬことはありません。因みに奴らは普通のアンデッドとは違う別種なので、私は“ジュアヴォ”と名付けました」
『名前はどうでもいい。では別の質問をしよう。君はここまで凄い成果を上げている割には、このジュアヴォとやらを増産していないようだが……何か理由でもあるのかな?』
「……ジョン議会長は鋭いですね」
淳はここで初めて緊張した表情を見せる。そして、更なる画像が出てくる。今度は何か…昆虫類のサナギのようなものだった。
「これはジュアヴォの成れの果てです。ジュアヴォの唯一の欠点は、アンデッドになり二週間から三か月経つと、このようにサナギ化し、終いには制御不可能な完全変異体になってしまうことです」
『なるほど。こういう風にならないようにどうしたらよいか……。それを研究している途中だという訳か…』
「私の推測では…、オリジナルの玲奈さえいれば、研究も開発も非常に心地よく進められると予想しています」
『無理なことを言うな。オリジナルの玲奈はデトロイトから逃走して未だに見つかっていないんだ。そもそも君が彼女を監禁するか、拘束しなかったのが原因だろう?』
「………失礼。これで私からの報告は以上です」
『よし。また半年後に研究成果を聞くとしよう。会議を終える』
ジョンの会議終了を聞いた幹部たちのホログラムは続々と消えていき、やがて会議室には淳とパイソンの二人だけになった。
淳は少し苛ついていた。玲奈を探してくださいと、彼なりに求めたのに、ジョンはそれを呆気なく断った。奴らは自分たちの安全だけを求めてくるから淳からしたら堪らなかった。淳はネクタイを緩め、会議室を出ていく。そして…こう呟いた。
「玲奈……オリジナルの玲奈さえあれば……」
と……。
その頃地上では、ハーレーの走る音が響いていた。しかし、その音も進む距離も時間が経つごとに減少の一途を辿っている。玲奈は愛車のガソリンメーターを見ると、その針は0の部分をはっきりと指していた。
「はぁ…。最悪…」
玲奈はガソリンが空になったハーレーから降りると、持てるだけの荷物を担いで、広大に広がる砂漠の中へと足を踏み入れるのだった。
今更ですが、何故“J”-ウィルスかというと、『日本で作られたウィルス』という意味合いでこの名前にしました。
因みにJJ-ウィルスは“ダブルJ-ウィルス”と読みます。