バイオハザード リターンズ   作:GZL

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智之のキャラが崩壊してるかも…。


第34話 決意に満ちる

竜馬の耳にヘリのローター音が聞こえ始めた。漸く長い階段を登り終え、屋上に到達した時には既にヘリは上空高くへと離陸していた。唇を噛む竜馬だが、まだ手はある。奥にもう1つのヘリがある。

竜馬はまず目前の白いテントの中に入り、中にいた傭兵を一人残らず射殺した。すると、銃声を聞き付けたジュアボォがテントに侵入し、竜馬の胸ぐらを掴むとテントの外へと放り出した。

 

「くっ…!」

 

竜馬はすぐに態勢を立て直し、ライフルに銃剣を装着しているジュアボォを見た。不気味な仮面の下からは血がポタポタと垂れている。

人間でないと即座に判断した竜馬は先手必勝のつもりで突っ込んだ。

銃剣を向けてきたジュアボォの攻撃を避け、仮面に拳をぶちこみ、ジュアボォの穢らわしい顔が露になる。

それに少し驚く竜馬であったが、そんな戸惑いはすぐに無くなり、怯んだジュアボォの手からライフルを奪い、逆にジュアボォの首に銃剣を突き刺す竜馬。そこから力を込め、銃剣の刃を左へと動かしていき、最終的にはジュアボォの頭を切断した。頭が落ちてすぐに白い煙が立ち込めたが、いくら再生能力を持つジュアボォでも、頭を削がれてしまっては再生は不可能らしく、そのまま地面に倒れた。

だが、その隙にもう一機のヘリは離陸をしようとしていた。竜馬は離陸させまいと拳銃を無鉄砲に撃つが、相変わらずの防弾性で銃弾は簡単に弾かれてしまう。そんな情けない姿を淳は嘲笑する。

 

「基地に戻るぞ。さっさと玲奈を……」

 

『実験したい』。そう言いたかった淳だが、突如何者かに両肩を掴まれ、ヘリとは逆の方向を向けられる。淳の視線には、自らが放ったアンデッドがいた。目を丸くして言葉を失っていると、アンデッドは口を開け、淳の肩に歯を食い込ませた。

 

「ギャアアアアアア‼」

「博士!」

 

悲鳴を上げた博士に気付いたヘリのパイロットは拳銃を抜き、噛みつくアンデッドの額に風穴を開けた。淳は噛みつかれた痛みから解放されたが、肩からは血が流れていて、彼の冷静さを無くしていった。

 

「は、早く基地に‼戻れ…!早くしないと……抗ウィルスを早く打たなければ…‼」

 

ヘリは急いで離陸する。それでも竜馬はしつこく拳銃、ライフルの引き金を引き、墜落、または止めようとするが、それは徒労に終わった。ヘリは何事も無かったかのように、悠々と空へと飛んでいった。竜馬も理解したのか、空に向けていたライフルを降ろした。そして、ヘリが見えなくなった頃に歯軋りし、ライフルを地面に叩きつけた。

 

「クッソォッ‼‼」

 

悔しさからこんなに大きな声が出たのは竜馬は初めてのことだった。玲奈を助けることが出来なかった怒りが胸の奥から噴き上がる。

しかし、まだ手が無くなった訳ではない。奴らは急いでここから撤退してしまったから、パソコンなどのコンピューター機器を放置していた。

竜馬はすぐに先程のテントに入り、パソコンを弄り出すのだった。

得意でも苦手でもないコンピューターを使ってどうにか玲奈がどこに連れていかれたかを竜馬は突き止めた。それから急いで薺たちの下に戻るが、状況は最悪だった。いや、悲惨と言った方が正しいかもしれない。至る所にアンデッド、生存者だった死体が転がっていた。こちらは約10名近く、仲間を失い、更には智之がアンデッドに噛まれてしまうという最悪な展開だった。竜馬は玲奈を拐われた怒りの他に、仲間を無惨に殺した奴らに更なる怒りを感じていた。

だけど時間がないため、薺に用件を言う。

 

「薺、奴らの居場所が分かった。ここからそう遠くはないから行こう」

「………」

 

薺はうんともすんとも言わなかった。仲間を半分近く失った薺は、人として…この集団のリーダーとして相当なショックを受けていた。

その気持ちは分からない訳ではないが、慰めている時間もない。

 

「いつまで落ち込んでいるんだ‼薺がリーダーだろ?しっかりしろ!」

 

竜馬は怒鳴ったが、薺の目に光が戻ることはなかった。これはもうどうしようもないと思った竜馬は、ライフルを担ぎ、まだ動く車に乗り込んだ。

すると、助手席の扉が突然開いた。我を戻した薺が乗ってきたかと思ったが、そこには肩に包帯を巻き、僅かに汗が浮かんでいる智之の姿があった。

 

「俺も付き合うぜ?一人じゃ危険だしな…」

「智之…」

 

彼は痛々しい肩を見せつけながら話す。その肩を凝視している竜馬に気付いた智之は苦笑いしながら言った。

 

「安心しろよ…。感染したとしても、奴らになるまで多少なり時間はあるんだろ?それに……もし、奴らになったとしても、お前が殺せば済む話だろ?」

「………っ」

 

竜馬はその問いに答えることなく、車を走らせていくのだった。

竜馬たちは遂に見つけた。小高い丘らしき場所から、正方形に囲まれたフェンス内にヘリが3機あるのを…。さっき逃げたヘリもあるため、ここで間違いない。他には西部劇でよく見る小さい家が不自然に設えてある。だが、そこに入るのはかなりキツいだろう。フェンスの周りには何千体というアンデッドが犇めき、独特の唸り声を上げていた。

何に惹き付けられているか分からないが、とにかく数は多い。玲奈はベガスにいたアンデッドは鳥が全て食べ尽くしてしまったと言っていたが、本当はここに向かっただけなのかもしれない。

 

「…まぁ、これを突破するしかないらしいな…。羽さえあれば楽なんだがな…」

「竜馬の言う通りだ……ぐ…ぐふっ‼」

 

苦しそうに呻いた智之の口からは血が出てきた。

 

「頑張れよ…。さっき逃げた奴が『抗ウィルス』って言ってた。多分あの中にあるんだ。それさえあれば助かるんだ!死ぬな!」

「そうは言ってもな……この感じ、手遅れなんじゃないか?」

 

竜馬は言葉を失う。智之の言う通りかもしれなかったからだ。

 

「それに…俺を助けるよりもまずあの中に入る方法を考えないといけねえだろ?俺にとっておきの案があるぜ?」

 

その時の智之の顔は、これから死を迎える人の表情には…全く見えなかった。

 

 

 

 

それから数十分後、漸く正気を戻した薺たちにさっき智之が言っていた案について話した。それを聞いた薺は目を見開き、身体をふらつかせたが、どうにか態勢を保って小さく頷いた。

だが、ケーシャは…涙を見せて薺に抱きついた。

 

「ガソリンは積んだか?」

「…ええ」

 

智之は薺から1つのバッグを貰う。中にはダイナマイト10本が入っている。智之は薺の手をガッチリと握った。

 

「ガキや他の生存者……任せたぜ?薺」

「……っ…任せなさい…」

 

智之は薺と手を放す。その途端、薺は気持ちを抑えきれず、一筋の涙を流した。そしてケーシャは智之を見ると、今度は智之に抱きつき、彼の胸の中で叫んだ。

 

「嫌だ‼嫌だ‼智之さんが死んじゃうなんて嫌だよぉ‼アンデッドでも何でもいいから…私たちと一緒にいてよ‼」

 

苦しそうな表情を浮かべた智之だったが、胸にしがみついたケーシャを優しく引き剥がした。

 

「んなこと…出来るわけねえだろ…?俺がアンデッドになったら…みんな死んじまうだろ?それだけは、何としてでも避けたいんだ…」

 

ケーシャはそのまま地面に伏せた。薺も気を察してやって彼女を優しく抱き締めた。

その時も、薺の瞳は涙で濡れていた。

そして最後に竜馬の前に立つ。

竜馬は涙も何も見せず、至って普通だった。

 

「お前には散々世話になったな…竜馬」

「なぁ、智之。本当にお前…麻薬、やってたのか?」

「ははっ…。やってたさ。でも…今はこのガキを助けたいから、この身を捨てれるぜ?たとえ犯罪者だったとしても…」

 

竜馬は智之を引き寄せ抱き締めた。ここでお別れになるからだ。もう彼を抱きしめることは出来なくなる。

竜馬はガッチリとハグした後に、真っ直ぐな目で智之を見た。

 

「ありがとな…」

 

智之はトレーラーに乗り込み、先に走行していった。竜馬はいつまでも悲しんでもいられず、気持ちを切り替えて、別の車に乗り込み、トレーラーの後ろについて行くのだった。




投稿開始から1ヶ月経ちました。
これからどういう風に仕上げていくか未定ですが、何卒宜しくお願いします。
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