展開は原作に途中まで忠実にしていこうかと。
第40話 約束の迎え
あの玲奈からの脅しは本物だった。ここ最近、北海道、名古屋支部などの地下施設からの連絡が途絶えていた。しかも原因不明。ジョンは玲奈がやった可能性が高いと考えて、大阪支部の警備を通常の4倍の傭兵を動員して強化した。
はずなのだが…早速、問題が発生したとの知らせを受けたジョンは自室から地下80階にあるオペレーションルームに向かった。この施設は縦穴で、中心がポッカリを穴が開いたような構造になっている。
そして、そのオペレーションルームはこの縦穴の最下層にある。
よって、この最下層がやられれば、この施設は完全崩壊してしまうのだ。だが、その肝心の施設の入り口にいるはずの監視チームとの連絡が途絶えたと入って来たのだ。ジョンがルームに入ると、アンブレラ職員は全員立ち、敬礼する。
「ジョン議長!」
「…報告しろ、何があった?」
「つい30分前、地上ゲートにいる監視チームとの通信途絶。原因は不明です」
「要するに……そこにいた奴らは、何人やられたんだ?」
「…全員です」
ということは…最初の関門は難なく何者かに突破されたことになる。ジョンはこんな簡単にやられたことに軽く怒りを覚える。
「簡単に…しかも30分も経ってからも報告か?随分と怠慢だな…」
「申し訳、ありません…。単なる通信の問題かと…。議長も、お忙しいし時間をあまり取らせないようにと…」
彼の言い訳など、どうでもいいジョンは新たな指示を出す。
「地上ゲート深部にいる警備担当と連絡を取れ」
言われた通りにすると、すぐに隊員と連絡が通じた。今のところは、まだそこは何ともないようだ。“今のところ”のようだが…。
『何でしょう?ジョン議長』
「そちらの状況はどうだ?」
『非常に…不思議と言える程静かです』
「不審者の報告はあったか?」
が、それを聞いた途端、通信している隊員の顔が苦痛の表情に歪んだ。そしてすぐに口から大量の血を画面に吐き出し、真っ赤に染まった。今更ながら、この施設に侵入者がいることが判明した。
「地上ゲート深部、何者かに襲撃されています!」
「ターゲットは複数!」
複数いることは間違いない。この馬鹿デカい施設をたったの一人で攻略し、襲撃するのは不可能だし、人間業ではない。
だが…玲奈ならどんな手でも使う。それに…彼女は言っていた。
『その時は、何人か友達を連れてくるわ』
遂に…ここまで来たかとジョンは改めて認識した。
だが、悪い報せは更にやって来る。
「議長…!…地上ゲート深部からの直通エレベーターが動いています‼」
「メインエントランスに続くエレベーターだな…。すぐに部隊を派遣して固めろ、急げ!」
隊員18名を引き連れて、部隊は中央エレベーターがこのエントランスに到着する前に編成を組む。隊員それぞれには超高性能ライフルを所持していて、その威力は一発一発の弾がコンクリートを容易に破壊する程だ。これで一網打尽にすることが作戦と言っていいだろう。
「ターゲットを見つけたら、すぐさま射殺せよとのジョン議長から命じられている。容赦するなよ」
エレベーターは順調に降りていく。扉が開くまで、隊員たちはライフルを構えて、侵入者が出てくるのをじっと待つ。そして、扉はゆっくりと開いていくのだが…中には誰一人として乗ってはいなかった。
それもそのはずだった。侵入者…玲奈は、ダクトから出入りし、部隊の背後に悠然と立っていたのだから…。一人の隊員が何かの気配を感じ取り、振り向いたときには、玲奈が投げた毒付きのナイフが飛んで来ていた。合計3つのナイフは彼らの首元に突き刺さって倒れる。
それから玲奈は背中に差していた二刀の太刀を掴むと、まず2人の腹を裂き、更にもう2人の頭を斬り落とした。
そして、半ば立ったままの死体を利用して跳躍し、身体を捻って他の隊員の首を切断した。無暗に向かって来た隊員には、内臓を抉るように太刀を突き刺し、止めに思いっ切り捻った。
ここで漸くと言った感じに隊員たちは玲奈に向けてライフルを発砲を開始した。玲奈は太刀を一本捨ててとにかく走った。弾は玲奈の周りに浴びる程飛んできたため、玲奈は柱の影に隠れてやり過ごそうとする。だが、彼らはその隙も与えない程の弾を撃ち、玲奈の攻撃を完全に封じようとする。
しかし、玲奈は柱の後ろにいた隊員を刺し、それを盾にしながら奴が持っているライフルを彼らにも味合わせた。高性能が仇となり、弾は防弾チョッキをもろともせず、彼らの身体を見事に貫いていった。弾切れとなったライフルを捨て、玲奈は刺した太刀を彼の腹から抜く。
残り一人となった部隊の隊長らしき人物はなんとそのライフルを二つ持ち、同時に乱射を開始した。玲奈はその銃撃を壁を蹴って跳躍して避ける。空中で身体をくるくると回転させて弾を避け続けるが、持っていた太刀に弾が当たり、太刀は半ばで折れてしまう。玲奈は着地したと同時にその折れた太刀を勢いよく投げ、彼の額に深々と突き刺した。ゴトッと倒れた隊員を見てから玲奈は再び前方を見た。
「!」
そこには更に別の部隊が玲奈の方にライフルの銃口と盾を向けて立ち塞がっていた。
だが、彼らがいる場所を見て、玲奈は笑みを浮かべた。
「残念…」
一人の隊員が足を前に出した時、カチッと音がした。隊員が下を向いた瞬間、玲奈が前もって仕掛けていたクレイモア…地雷式爆薬が作動した。改造を施していた爆弾はそこにいた部隊全員を動かぬ肉片と化させた。
玲奈はあのライフルを一つ拝借して、メインエントランスの中央を歩く。だが、扉からはまた新たな部隊がこちらに向かって、走って来ている。玲奈は溜め息を吐きながらも、そっちに銃口を向け、引き金に指を置き、照準を合わせた。
だが、玲奈が引き金を引く前に数発の弾が玲奈の背中から胸を貫通した。
「ぐはっ……かはっ…」
肺に穴が空き、玲奈の心臓に酸素が行き渡らなくなり、玲奈は絶命してしまう。
後ろに隠れて狙い撃ちした隊員は玲奈が死んだか、他の隊員と確認する。
だが……。
「あんたたち…」
そう…敵は複数との報告を忘れていた部隊は、別の扉に構えている玲奈に気付きそちらを向く。そして驚愕する。声をかけてきたのは玲奈で間違いないのだが、そこには太刀を持った玲奈、マシンガンを持っている玲奈2人と、合計3人の玲奈が部隊を睨んでいた。
「それが、レディーに対する態度?最低ね」
傭兵たちは急いで応戦しようと銃口を向けたのはいいものの、先に玲奈たちは先にマシンガンの銃口から数百の弾丸を発射し、部隊全員の命を奪っていった…。
部隊がやられていく様子をジョンは監視カメラ越しに見ていた。明らかにあれはクローンだった。この一年近くで、全てのクローンと並々ならぬ訓練をしたのだろうと推測出来た。監視カメラでは、メインエントランスから出て、下へ下へと向かっていくのが映っている。一人の玲奈がその監視カメラに気付き、マシンガンを撃って破壊していく。舐められたと思った一人の隊員が悔しいのか…負け惜しみかこう呟いた。
「くそっ…!女のくせに…!」
それを聞いたジョンは懐から拳銃を取り、あの発言をした隊員の側頭部を撃ち抜いた。
この様子を見た全ての職員は恐怖に震えると同時に、ジョンがこの戦いに本気で勝とうとしているのが身に染みる程分かった。
「持ち場を離れるな!警備プロトコルをフル稼働しろ。全ての部屋の扉に防護壁、それに全廊下にはレーザーシステムを起動させろ。それと……逐一被害報告をするよう伝えろ」
この施設までやられるわけにはいかない。
そのためには…ここで玲奈を殺さなければならない…。そう思い、スマートフォンを取り出し、ある装置の起動一歩手前まで設定を変えておく。
万が一やられそうになったら、この施設ごと破壊出来るように…。