バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第45話 忍び寄る死者

シェーンと会い、それなりに話した後、玲奈は竜馬の部屋に戻った。同室でいいのかとニヤニヤされながら、ルーサーに聞かれたが全く気にしなかった玲奈。あらかた服を脱ぎ、漸く安心して屋根の下で寝れる心地よさを感じる玲奈の横に、竜馬も同じベッドに潜り込んで来た。

 

「何?夜這いでもする気かしら?」

「そう……だと言ったら?」

「イヤ…と言ってもやめないでしょうね」

「当り前じゃないか…」

 

玲奈は竜馬の方に寝返りを打つ。彼の顔が目の前にあり、玲奈は自身の額を竜馬の額と合わせた。すると、竜馬は静かに語り出した。

 

「…玲奈が、あの富士山で見つけた時、無事で良かったって…本当に思えた。一瞬死んだんじゃないかって…思ったんだからな…」

「そ、う……」

「玲奈言ってたじゃないか…。絶対に、死なないって…」

「…………」

「あれ?玲奈?」

 

竜馬が一人で勝手に話していると、玲奈はいつの間にか夢の世界へと行ってしまった。竜馬は溜め息を吐くと同時に、彼女の唇に軽く触れる程度の接吻をし、身体を抱き締めて、彼も眠りに落ちていくのだった。

 

 

 

 

太陽が玲奈の顔に当たり、彼女は目を覚ました。しかし、竜馬に抱き締められた自らの身体を離すのは、難しく、結局寝ている竜馬を起こすハメになってしまう。

 

「いざって時に起きられないから!二度と寝ている時に抱き締めないで!」

「ふぁぁ~…。ふぁふぁった……」

 

眠そうな竜馬は置いて、玲奈はいつもの服を着て、官房塔Bに向かうと、ルーサーが朝の挨拶をした。

 

「よく眠れたか?」

「まあ……一応」

「寝かしてくれなかったんじゃなくて?」

「殴り殺すわよ…」

「悪い悪い。お詫びにシャワーを浴びせてやるからさ」

 

玲奈は『シャワー』の言葉を聞き、目を光らせた。

ルーサーのあとをついていくと、確かにシャワールームがあった。

この半年間、まともにシャワーを浴びていない玲奈は浴びたくて仕方がなかった。

 

「ほら。言った通りだろ?」

「そうね。でも電気、止まっているんでしょ?」

 

ルーサーはギクッとする。

 

「まさか…冷たいの?」

「贅沢言うな…」

「それもそうね」

「で……今から浴びるのかな?」

「そうよ」

「じゃあ……ここにいたらまずいかな?」

 

玲奈はくすっと笑って言う。

 

「そうね。私の裸を見たいなら…死ぬ覚悟でね」

「じゃあ外で待つ」

 

ルーサーは一人先に外へと出ていった。

それから玲奈はまず、武器が装備されたままの上着を脱ぎ、近くの突起にかける。更にセーターを脱ごうとした時、ガタッと奥から物音が聞こえた。玲奈は服を脱ぐのを一旦止め、辺りを見回す。静かで気配はない。

 

「ルーサー?竜馬?」

 

ルーサーなら、さっきの警告を無視して命知らずの行動を取ったのか…それともシャワーを共にしたいと竜馬がやって来たのか…。いや、どちらでもない。それなら一声くらいかけるはずだ。玲奈は何となく嫌な予感がして、脱いだ服に入れっぱなしのマグナムを取り、音のした方に向かう。玲奈はタオルのかかった場所に目が行く。

あそこなら……隠れられる……。

玲奈はゆっくりと近付き、そのタオルを退かした。案の定、そこにはゲイルが焦ったような表情で笑っていた。

玲奈は一気に怒りを募らせていく。朝の清々しい気分を台無しにされた玲奈はゲイルの服の襟首を掴んだ。

 

「このゲスが!」

「ま、待てよ……。お、落ち着けって…」

「いいから早くここから出て行って‼」

 

だが、ゲイルの顔が突然どんどん青白く変色していく。この様子を見てしまった玲奈にも後ろに何かいるのだろうと容易に分かった。振り向き様にマグナムの引き金を引き、アンデッドの頭を撃ち抜いた。

ゲイルはすぐに逃げ出すが、逃げ出した先にもアンデッドがおり、口から四又の触手らしきものを出して、ゲイルに食らいついた。

玲奈は更にもう一体向かって来たアンデッドに弾丸をぶち込む。シャワールームに侵入していたアンデッドは合計3体。その内の一体はゲイルに噛みついたまま、排水溝があったとされる場所に出来た巨大な穴に入って消えていった。玲奈は今回の襲撃で、ここはもう安全ではないことを思い知らされるのだった。

 

 

 

 

今………この刑務所に牙を剥いているのはアンデッドだけではない。巨大な斧と鎚を合体させたような武器を引き摺りながら荒廃した町を進んでいた。奴は頭をすっぽりと頭巾を被っているのに、どういうことか人間のいる場所、障害物をも分かる。そんな化け物が、着実に…玲奈たちのいる刑務所に向かっているのだった。

 

 

 

 

銃声を聞きつけた生存者たちはシャワールームに集結する。そこで例の巨大な穴を見て、誰しも言葉を失った。その穴は人が一人入るのに充分すぎる大きさだった。クリフトが穴の中をライトで照らすが、中は迷路みたいに枝分かれしているようで、奴らの姿は今のところ見られなかった。ただ、それよりも酷かったのは臭気だった。凄まじい臭いがシャワールームに立ち込めて、全員吐きそうだった。

 

「……おえっ…。本当に臭え…。何なんだよこれ…」

「下水から登ってきてるようだな…」

 

竜馬がそう推察する。その事実が本当なら、奴らがどこから出てきてもおかしくないということだった。

 

「じゃあいつどこで奴らが現れてもおかしくないのか⁈」

「そういうことね」

 

イが恐怖に震えた声で言う。

 

「ここから逃げよう!今すぐ!」

「アルカディアから助けが来る!」

 

あくまでここから動きたくないマッキーは反論するが、彼女はもちろん全員分かっていた。アルカディアから助けなど来るはずがないと…。そのことをベルモントははっきりと伝える。

 

「来ないよ‼分からねえのか⁈もう、自分たちでやるしかないんだ‼」

 

ベルモントの言っていることは正しい。

だが、じゃあどうするかが問題だった。ベルモントは玲奈を見る。

 

「あんたのあの飛行機…」

「全員は乗れない」

「じゃあくじで…」

「ダメよ‼」

 

玲奈はイの意見を即時に否定した。

そして、みんなに言い聞かせるように言った。

 

「みんなで生きて逃げるの。一人も、絶対に残さない」

「あっ、そ…。じゃあ聞くが、どうやって逃げるんだ?歩いてか?蟻の行列みたいに一列になって…」

「………逃げるには、“彼”の助けがいるわね…」

 

 

 

 

場所は変わり、例の地下牢獄の前に移った一行。

もちろん、ベルモントとイは反対する。

 

「あんたら気は確かか⁈」

「出したらやばいでしょ⁈殺人鬼かなんかかも……」

「その通りだ!」

 

いくら言い争っていても仕方ないと思ったルーサーは全員から意見聞くことにした。

 

「クリフト、どう思う?」

「……選択の余地はないな…。生き残りたいなら尚更だ」

 

クリフトは賛成のようだ。

 

「マッキー、君は?」

「反対……と言いたいけど、脱出方法を知っているなら、是非聞きたいわ」

 

マッキーも賛成。ルーサーは言わなくても分かっている。

ということは…。

 

「決まりね」

 

玲奈は牢獄の閂を取り、彼をこの狭い狭い牢獄から解放した。シェーンは笑いながらこちらにやって来る。

 

「いつか来ると思ってたぜ」

 

牢獄を出て、一番最初に見たのは、一番反対していたベルモントだった。

そして、彼を脅すように小さく言う。

 

「ボン…」

 

と言っただけで、ベルモントはビクッと身体を震わせた。玲奈はそのやり取りを見終えてから、彼に言った。

 

「じゃあ…脱出方法…教えてもらおうかしら?」

「もちろん」

 

 

 

 

全員はまたまた場所を移す。今度は刑務所の北側だ。彼らの目の前には巨大な扉が聳え立っている。

 

「この扉の奥に車がある。市街地で暴動を鎮圧するためにあるが、使われたことはない。車輪は20、防弾性で放水砲搭載、定員15名、重量15トン。これなら奴らを蹴散らせる」

 

クリフトが開けようとするが、扉は堅く閉ざされてしまい、簡単には開きそうもなかった。

 

「無理だ!切断するしかなさそうだ」

「海に着いた時にはボートが必要になるわ」

 

ルーサーも相槌を打つ。

 

「武器ももっと必要だ」

「その点も問題ない。この刑務所の地下室は武器庫だ。ありとあらゆる武器、それにゴムボートもある」

「撤退したときに武器も持って行ったんじゃないのか?」

「それはあり得ない。彼らはここから逃げるので精一杯だったからな」

 

これで問題は全て解決した。後は脱出する準備を始めるだけ…と思いたかった。

その時、門の方から鈍い金属音が高々と響いた。全員が振り向くと、そこには大量のアンデッドの中に紛れて、巨大な人間らしき奴が鎚で門を叩いていたのだ。薺は玲奈に呼び掛けた。

 

「武器は任せた!ルーサー!竜馬!」

 

玲奈、シェーン、マッキーは地下へ。薺、ルーサー、竜馬はこの門を破壊してきた巨人をどうにかすることにした。

彼らの戦いは、この瞬間始まったのだった…。

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