バイクを奪ったジョッシュは紗枝を後ろに乗せ、車通りのない
「紗枝!逃げたはいいがどこに行く?」
「今は……後ろから来る奴らを振り切ってから考えましょう!」
施設から逃げてほんの数分で、後方からデカい黒光りしたヘリと同じくバイクに乗っているジュアヴォたちの群れが見えた。日本にいる暴走族みたいだった。
「掴まってろ!」
とジョッシュは叫んだが、紗枝はバイクの方にしがみつく。
ジョッシュは一気にアクセルを上げて、スピードを上げていく。一旦ウィリーしてヘリから距離を取ろうとするが、ヘリに搭載された多連射式機関銃が火を吹き、コンクリートの国道に小さな穴を開けていく。それだけでなく、ミサイルまで飛んでくる。
「ジョッシュ!撃って来たわ!」
「ああ!耳は付いたままだから聞こえてるよ‼さて…どうやって奴らを撒くとするかな…」
そう言うと、更にバイクのスピードは加速する。堪らず、紗枝は多少の抵抗はあったが、ジョッシュの腹に腕を回してしがみ付いた。弾はギリギリのところで当たらず、ヘリはバイクの前にヘリを動かして、そこから撃ってくる。ジョッシュは巧みにバイクを動かして、その連射を避ける。避けたのは良かったが、その先は国道が崩れ落ちていて、完全に崖のような感じになっていた。
「紗枝!行くぞ‼その手、放すなよ‼」
「えっ⁈ジョッシュ、冗談でしょ⁈止まって!」
「今更言っても遅えよ‼」
「待って待って‼私高いところ苦手……って、キャアアアアアアアアアアア‼‼」
紗枝はジョッシュからしたら耳障りな程の絶叫を上げた。その間、バイクは地上まで何十mもある高さの崖から飛び降りて、宙を舞っていた。紗枝はもう構うことなく、ジョッシュに抱きついて落ちないようにしていた。そのせいで胸が当たり、ちょっとだけ動揺していた…というのは紗枝には内緒である。どうにかバイクを水平に保てたお陰で、ジョッシュは見事に地上に着地した。
「おい……いつまでそんなに強くしがみついてるんだ?もう地面だぞ?」
「えっ?嘘…。………もう、二度としないでよ…あんなの……」
「時と場合によるな…」
こんなに暢気に話しているが、ヘリはしつこくバイクを追い、ジュアヴォもどこからか再び湧いて出てきた。見かねたジョッシュは紗枝に叫んだ。
「お前も何かしろ!」
「言われなくても、そうするわよ!」
紗枝は腰から拳銃を抜く。
「後ろの奴らは任せたからな!撃たれたら、酒を奢れよ‼」
「いいから黙って運転してなさい!」
紗枝はジョッシュの肩に手を置いて、身体がバイクから離れないようにして奴らに拳銃を発砲していく。ジュアヴォたちは追っては来るが、バイクを運転しながら銃を使うのは無理なようだ。そのため、奴らは火を付けた瓶を投げてくるか、体当たりをしてくるかのどちらかだけだった。
それが分かっただけだけでも、紗枝たちは十分有利だった。
「ジョッシュ!スピードは緩めないでよ!」
「分かってるよ!」
紗枝は側面に回って来たジュアヴォの方に銃口を向け、撃った。だが、弾がめり込んだのはジュアヴォではなく、機械の方だ。バイクのガソリンタンクを貫かれ、爆発を起こした。
「ナイスショット!」
「だから…運転に……!」
「掴まれ‼」
紗枝がまだ何か言おうとしたが、ジョッシュはバイクを工事用の鉄骨足場に乗せた。横からはヘリが銃弾を撃ってくる。当たるか当たらないかの瀬戸際だったが、鉄骨から降りようとした時、目の前にミサイルが飛んで来て、爆炎が視界を塞いだ。
「いやああ!」
ジョッシュに必死に掴まっていた紗枝だったが、ミサイルの爆風に負けて、バイクから落ちてしまい、慌てて掴んだ場所がヘリだった。両手で掴むが、長くは持ちそうになかった。
「くそ…!」
ジョッシュが乗るバイクからヘリの真下まで少し距離がある。今から急いで向かっても間に合うか怪しい。
「もうダメ!落ちる‼」
「…ダメじゃねえ…!耐えてろ!」
ジョッシュはそう言った途端、バイクを一気に飛ばした。左ではさっきの鉄骨が倒れてきて危なかったが、今まで潜り抜けてきた危険よりかは断然マシだった。
紗枝もジョッシュが来るまで耐えているが、握力を最大にしたまま耐えるなんて30秒と持たない。
遂に限界を迎えた紗枝の手は、ズルリとヘリから離れた。
「あっ!」
そこに正に絶好のタイミングでジョッシュが来て、紗枝を受け止めた。
そこからまた発進させるが、今度はヘリのミサイルを道を塞ぐように置いてあったトレーラーに当て、横転させた。ジョッシュはバイクの速度を少し落とし、バイクごとスライディングしてトレーラーの下を潜り抜けた。
バイクを起こし、ジョッシュは叫んだ。
「トレーラーを撃て!紗枝!」
横転して擦れたのが原因か、トレーラーの荷台からはガソリンが漏れていた。紗枝もジョッシュの考える案が即座に分かり、拳銃を向けた。紗枝の放った弾はガソリンに命中し、トレーラーは炎上…そして爆発し、真上に飛んでいたヘリに当たり、バランスを崩してフラフラしながらどこかに飛んで行った。
それを見届けた後にバイクをまた発進させる。だが、アンブレラは2人を決して逃すものかと言いたげに大量にジュアヴォを次々に投入する。どこからその量のジュアヴォが出せるのかと聞きたくなるジョッシュに、紗枝が苦言を漏らした。
「……っ…ねえ!お尻が痛いから少しだけ速度落として!」
「それくらい我慢出来ねえのか?それにさっきまで速度を緩めるなって言ったのお前だろ!」
狭い路地を通過中のバイクだが、突然前方が眩しく光った。それはヘリのハイビームライトだった。
「ったく!しつけえな‼」
ジョッシュはブレーキを踏み、バイクを横に滑らしていき、ヘリから放たれる銃弾を避けた。その攻撃が逆にジュアヴォの乗るバイクに当たり、ジョッシュたちを助けてくれていた。
再び国道に出たのだが、まだヘリとジュアヴォたちは追ってくる。そして、今度はジュアヴォが操る車を何台も積んだトレーラーに弾を浴びせて、車を転がして当てようとしてきたのだ。
「くそったれ!無茶にも程があるだろ‼」
「避けて‼」
車はゴロゴロ横転を繰り返しながら、バイクに向かってくる。
ジョッシュがそれを必死に避けていくのだが、さっきのトレーラーが壁に激突して、国道を塞いでしまう形になってしまっていた。
「うそ!?行き止まり!?」
「……いや、あれだ!」
ジョッシュは加速を緩めなかった。
紗枝はジョッシュがどこに向かおうとしているのか分かってしまい、口を震えさせた。
「ジョッシュ?まさか……冗談よね?」
「もういっちょ行くぞ!」
「だから……もう、やめてって……」
「我慢しろ!」
トレーラーは二段式になっており、それを利用して行き止まりとなった国道から逃げようとジョッシュは考えていた。要するに…もう一回大きく飛ぶということだ。しかも、その斜方線上にあのヘリがホバリングしていて、撃ち落とすまたとないチャンスでもあった。
「行くぞぉ‼」
「もう……イヤアァァァ‼」
紗枝の絶叫と共に、バイクは高々と上がり、ヘリの真上を通る。その瞬間、ジョッシュは懐からエレファントキラーを取り出し、ヘリのローターの繋ぎ目に弾をぶち込んだ。ローターを破壊されたヘリはバランスを失い、右往左往して、地面へと落下していくのが見て取れた。
二人の乗るバイクも、そのまま地上へと落下していった。
昨日、初めてリクエストが来ました。
そのリクエストの内容は言えませんが、その要望に答えられる新作を作って行こうかなと考えています。
まだ全くの未定ですが…。
とにかくこのシリーズを終えなくては…。