バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第64話 親子

部屋の向こうにいるジョッシュと紗枝を見つけた3人は、暫し固まっていた。

いや…嬉しかったのだ。2年半ぶりに紗枝に会えたからだ。それを全員が噛み締めていた。しかし、そんな喜びの余韻にいつまでも浸っている場合でもなかった。追手がここに入ってくる前に2人を脱出させてあげ、自分たちも逃げないといけない。玲奈はすぐにコンピューターを使い、彼らの拘束を解こうと試みる。すると、今度はモニター内にレッドクイーンが現れる。今回ばかりはよく現れると、玲奈は思った。

 

「よく出てくるわね」

『今回は警告よ。その男と関わるのは止しておきなさい』

「どうして?紗枝さんと一緒にいるんだから構わないじゃない」

『理由は単純よ。その男の名はオリバー・ジョッシュ…。さっき殺したグレール・ジョンの息子…』

 

それを聞いた玲奈は忙しく動かしていた両手の動きを止めた。

 

「ジョンの……息子…?」

 

言われて気付いたが、確かにそんな感じはした。顔立ちといい、体格といい……全部が瓜二つとは言わないが、ジョンに共通するところはたくさん有していた。

 

『彼が何故、彼女…紗枝…というのかしら?と一緒に拘束されているかは私も知らない。ただ…ジョッシュはJJ-ウィルスの抗体を持つ』

「抗体?」

 

玲奈は思わず聞き返してしまった。自分以外にもあの悪魔のウィルスに対する抗体を持つ人間がいるなんて…初めて知った。玲奈は驚きながらも漸く我に返り、拘束を解こうとする。

 

『それでいいのかしら?アンブレラは…ジョッシュを捕らえるためにどんな手でも使ってくる。玲奈、あなたと仲間にはメリットは何にもないわ』

「……関係、ないわ。私は生存者を助ける…。それに奴らが来ても皆殺しにするだけ…」

『…そう…。なら、覚悟するのね…』

 

そう言い、クイーンは姿を消した。

意味深な言葉であったが…今は気にしても仕方なかった。

そして、1つのボタンを押して、十字の拘束台から2人を降ろした。玲奈はマイクに口を近づけ、2人に指示を送った。

 

「紗枝!そこから出たら近くの机に武器が置いてある!それを取って建物の縦穴で落ち合いましょう!」

『玲奈!?玲奈なのね!?分かったわ‼』

 

玲奈はみんなに呼び掛けた。

 

「やっと懐かしの友に会えるわね!」

 

 

 

 

紗枝とジョッシュは玲奈に言われた通り、拘束室から出てすぐ近くの机に自分たちの装備が実に無防備に置かれていた。それを取り、再び身に付けた2人はすぐに通路を出ようとしたが、脱出がバレたのか目の前にジュアヴォが現れ、立ち塞がって来た。紗枝はちょっと驚いたが、ジョッシュは瞬時に後方に回ると、首をへし折った。

 

「構っている暇はないんでね!」

 

2人はこうして…何時間も閉じ込められ続けた狭い部屋から抜け出すのだった。

それからすぐに二人は玲奈が言っていたこの施設の縦穴に走った。そこには玲奈だけでなく、竜馬に薺もいた。だが…嬉しい反面、彼らに…特に薺に海翔の死を伝えないといけないと思うと、切なく胸が締め付けられた。一方、ジョッシュは知らない奴らばかりで少し怪訝な表情をしていた。

 

「玲奈……どうしてここに…」

「お互い様よ、それは…」

「……そうね」

 

すると、ジョッシュは静かに言った。

 

「話しているのも構わないけど……さっさとこんな薄暗いとこから出ようぜ?」

 

玲奈はそう言うジョッシュを改めて見た。やはり……似ていた。

 

「お父さんにそっくりね」

 

ジョッシュは玲奈の発言にピクリと反応した。紗枝は何となく気まずい空気をどうにかしようと、玲奈に何か聞こうと口を開きかけたが、ジョッシュはそれも遮って玲奈に聞く。

 

「待てよ…紗枝。お前………俺の父親について…知ってんのか?」

「ええ…」

 

玲奈は至って冷徹に……淡々と先程起きた事実を述べた。

 

「私がさっき殺した」

 

ジョッシュはそれを聞き、目を大きく見開いた。紗枝も彼と同じように驚いていた。ジョッシュは玲奈から顔を背けたかと思えば、腰から拳銃を抜き玲奈の額に銃口を向けた。彼の指は細かに震えていて、本気で殺そうとしていると見て取れた。

 

「玲奈……!」

 

竜馬は焦った声を出してしまう。

 

「お前が……?親父を…」

「雰囲気からして……ジョンはあなたを捨てたようね。それでも……殺された憎いかしら?私が……」

  

玲奈は挑発しているのか、自ら前に進んでいく。ジョッシュの握る拳銃をガキガキと小さく金属音が鳴る。それからジョッシュは拳銃の安全装置を外して、微笑を浮かべた。

 

「…余裕だな…。死ぬのが、怖くないのか?」

「当り前よ。死ぬのは全く怖くなんかない」

「へえ…」

「撃ちたかったら……撃てばいいわ。家族を殺されて恨むのは当然だわ…」

 

そう玲奈は言うが、実際、玲奈にはそんな気持ちは分かってなんかいない。家族を持っているかすら分からない玲奈にとっては…そういう感情を持ったことがないのだ。

一息を入れ、もう少しジョッシュに言う。

 

「でも…私を殺すなら約束して。必ず……生きてここから出て………」

「どの面下げて俺に命令しているんだ‼」

 

ジョッシュは怒りを爆発させ、拳銃を両手でしっかりと握っていた。それに指の震えも無くなり、きちんと銃口を玲奈の額に当てていた。

 

「お願い!ジョッシュやめて!」

「テメエ!銃を降ろせ!」

 

紗枝も竜馬も叫ぶ。紗枝はジョッシュの肩を握り、竜馬はジョッシュに拳銃を向けた。しかし…ジョッシュは落ち着きを取り戻すこともないし、銃を降ろす気配も見られなかった。

 

「……殺す前に聞きたい…。何故親父を殺したんだ…。その役目は……その役目は本当は…」

 

ジョッシュの唇は震え、その先は聞こえなかった。玲奈はそこでも至って冷静だった。

 

「……彼のせいで世界が滅び…私や竜馬、紗枝も薺も…生き残った人たち全員の運命を捻じ曲げた…。それでも飽き足らず…彼を筆頭としたアンブレラは、危険なウィルス実験を繰り返し続けていた。それが……許せなかったのよ…」

「………本当に、それだけか?」

「ええ…」

 

ジョッシュは指にゆっくりと力を込めていく。竜馬は「やめろ」、紗枝も「やめて」、つられて薺も2人にやめるよう説得するが、全く耳に入っていかない。

 

「やめて!ジョッシュ!もうやめて‼」

 

周りからのやめるように言われ、それが続き…玲奈と違い、冷静さを時間が経つにつれて失っていくジョッシュ…。遂に我慢の限界を迎えたジョッシュは一際に叫び、引き金を引いた。

 

「うわあああああああ‼‼」

 

ドカアァンと大きな銃声が響き、3人は2人を見詰めた。しかし、銃口は額から外れていた。放たれた銃弾は玲奈の頬を掠り、奥の壁にめり込んでいた。玲奈がジョッシュを見ると、彼は睨みながらこう言った。

 

「……今は…こんなことをしてる場合じゃないんだ…よな…」

 

紗枝はジョッシュが我を忘れていなくてホッと胸を撫で下ろした。竜馬もジョッシュが玲奈に対する殺意が無くなったと分かり、拳銃を降ろした。

そうして…五人は目的を同じにして、再び足を動かそうとした時…突然海底油田全体が大きく揺れた。あまりの揺れに全員バランスを崩し、辺りを見回した。

 

「な、何⁈」

 

更に警報も鳴り始めた。赤いランプが回転して点滅し、いよいよ嫌な予感しかしなくなってきた。

 

「!竜馬!あれ…!」

 

玲奈が指差した先には…透明な強化ガラスの先に巨大な大きな顔が写り込んだのだった。




前話があまりに短かったので、今日は二つ投稿することにしました。
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