バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第80話 雪上決戦

四人は扉の奥から出てくる人影に全意識を集中させる。

出てきたのは葉子に海翔、それに手を拘束され、拳銃を頭に突き付けられたエイダの3人だった。彼らはあの爆発し、侵入してきた海水から、潜水艦を使って逃げ出して、玲奈たちを追ってきたようだ。

 

「エイダはどうやら無事だったようだな…」

「…そのようね」

 

玲奈は相槌を打つ。そして、アンブレラの残党の葉子、海翔に聞く。

 

「あんたたち2人だけで私たちを相手にするのかしら?」

「それで充分」

 

葉子は海翔を見る。すると彼は後ろポケットから注射器を取り出した。その中には得体の知れない生物が泳いでいた。今まで見たことのない、寄生体のような生物だった。海翔はその寄生体が入った注射器を首に突き刺した。生物は自らの意志で海翔の身体の中に侵入していった。

 

「………ぐっ…うう……!」

 

海翔は少し苦しそうに呻く。だが、その姿を見ていた紗枝は反射的に海翔が本当に苦しんでいると思ってしまう。敵なのに…だ。

海翔はそれでも刺していた注射器を抜き、拳銃の持ち手でエイダの頭を強く殴った。

 

「あうっ‼」

 

エイダは急激な痛みに襲われて気を失ってしまう。その瞬間に玲奈を除いた3人は海翔に銃口を向けた。が…紗枝はそこから引き金に力を込めれなかった。やはり…偽物のクローンでも海翔だと思ってしまい、撃つことが出来なかったのだ。

その他の2人、竜馬とジョッシュの撃った弾は海翔の身体の中にめり込んでいく。弾切れになってから、2人は拳銃を降ろしたが海翔は立ったまま、地面に伏すことはなかった。身体に埋め込まれたはずの銃弾は何故か体内で動き、体外へと排出された。おまけに銃創も無くなっている。

2人は銃は無駄だと分かり、海翔に向かっていくのだった。

 

 

 

 

玲奈は2丁のマシンガンを葉子に向けて撃つが、彼女はジャンプして身体を捻らせながら銃撃を避けていく。そのまま玲奈のマシンガンを2つとも足で弾き、コートの襟首を掴んだ。玲奈はコートの内側から細く短い棒を二つ取り、コートを脱ぎ捨てた。

そして、玲奈がボタンを押すと、棒は手斧になった。リーチは然程ないが、切れ味にだけ特化した武器だ。

一方葉子はというと、背中から長い棒を取り、それを伸ばした。更に先端は槍のように尖っていて、リーチ、殺傷能力に関しても申し分なかった。

玲奈と葉子は暫しお互いに相手の出方を窺う。睨み合いがずっと続いている中で、先に攻撃を仕掛けたのは葉子だった。槍を玲奈の腹に目掛けて刺そうとするが、玲奈はそれを手斧で弾いて、自身も攻撃を繰り出した。しかし、リーチの長い槍を1度弾いても、いつの間にか横からも飛んでくる。それを避けた……と思ったら、葉子の膝が玲奈の顎にヒットした。

 

「ぐっ……!」

 

口の中が切れ、血の味が広がるが、玲奈もお返しに葉子の足を蹴ってバランスを崩してから、槍を蹴って葉子の手から離す。そこから斧を胸に突き立てようとしたが、その腕を掴まれ、腹を殴られた。

 

「ぐふっ……!」

 

しかも一撃で終わらず、何度も何度も…。それに耐えかねた玲奈は葉子の背中を利用して、彼女の前方に移動して、2つの手斧を右手に持ち、それで首を裂こうとした。

 

「くっ…」

 

しかし、葉子は玲奈の腹を蹴り上げ、そこから背中を掴んで冷たい氷の上に叩きつけた。

 

「ぐうぅ!」

 

玲奈は腹と胸に一気に圧力がかかってしまい、軽い吐き気に襲われる。だが、それでも玲奈は葉子の足を引っ掛けようと手斧を振るが、それも避けられてしまう。

玲奈が地面に伏せている間に吹き飛ばされた槍を掴んで、玲奈に向かって投げた。

玲奈は身体を氷の上で転がして避け、氷に刺さった槍を支えにして、蹴りを繰り出すが、それは腕で防御され、がら空きになった玲奈の腹に強い蹴りが飛んできた。

 

「ぐあっ……」

 

玲奈は横転した車にまで吹き飛ばされた。噎せている玲奈を葉子は余裕そうな表情で見ながら、槍を氷から抜いた。

余裕そうな態度を見せられた玲奈は、葉子を殺そうと胸の中で闘志を燃やす。

玲奈は手斧を1つ、逆手に持ち変え、そこから葉子に向かっていき、槍に手斧を引っ掛けて葉子の背中を殴った。

 

「うぅっ…!」

 

更に足を蹴って膝を氷に着けさせると、お返しと言わんばかりに葉子の顔面に膝蹴りを食らわせた。だが、葉子もやられてばかりではない。もう1発飛んでくる膝をどうにか避け、槍で玲奈の頬に当てた。

 

「うっ‼」

 

ただ頬に当たっただけなのに、玲奈の右頬からは血がタラリと垂れた。玲奈はマズいと思い、一旦葉子との距離を取った。垂れている血を拭って、玲奈は再度葉子を睨んだ。

……玲奈はこの時点で、もう葉子に勝てると確信していた。

しかし、相手が葉子だったため、殺すことに躊躇していたのだ。だが、このまま時間をかけて戦い合うのは無駄に体力を使ってしまう。玲奈はふぅと息を吸ってから、葉子に質問した。

 

「葉子……本当にあなたはアンブレラが正しいと思っているの?」

「当り前じゃない。私はアンブレラのために生まれた。そしてあなたもその仲間もアンブレラにたて付く敵…。それにレッドクイーン様からは皆殺しの命令を受けているからね…。あんたたち全員は皆殺しよ」

「………そう…。じゃあ、私のところに来るつもりはないのね…」

「あるわけないじゃない。バッカじゃねえの?」

 

それを聞いた玲奈は安心した。これで……心置きなく、彼女を殺せるからだ。

玲奈はすぐに葉子に向かっていく。葉子も構えを取ったが、玲奈の向かってくる速度があまりに早すぎて対応しきれなかった。玲奈は危険だと分かりながらも、急所である胸や腹をがら空きにして、大きく手斧を振り上げた。葉子はその攻撃をガードしようと、槍を横にする。

しかし…玲奈は腕に渾身の力を込めて、その槍を真っ二つにした。

 

「なっ……⁈」

 

玲奈は微かな薄笑いを浮かべて、葉子の間合いに入った。まず顔面を殴り、怯んだ内に腹を蹴り、最後に回し蹴りをぶち込んだ。

 

「ぐふっ……‼」

 

葉子は雪上をズザザッと滑っていく。腹を蹴られたせいで、急速な酸素不足に陥ってしまった葉子の身体は言うことを聞かなかった。それでも葉子の目に諦めはなかった。玲奈はゆっくりと葉子に近付いていく。だが、それは葉子にとっては嬉しいことだった。自ら隙を作ってくれたのだから…。

突如、腰から小型銃を抜いた葉子は、それを玲奈の額に目掛けて引き金を引いた。ゼロ距離に近かったため、葉子は流石に避けきれないと踏んだ……はずだった。玲奈は目にも見えない速度で腕を動かし、銃弾を手斧で切った。葉子は今、目の前で起きたことが信じられなくて、拳銃を落としてしまう。

 

「……あんたは…人間じゃ……ない…」

 

葉子は恐ろしさ、恐怖からそう呟いた。玲奈は葉子の後ろにゆっくりと回り込み、耳元で小さく呟いた。

 

「そんなの……分かっているわ……」

 

玲奈は葉子の頭を手斧で断頭した。頸動脈が切断され、首からは噴水のように血が噴き上がり、真っ白な氷の上を血で朱に染めていった。

 

「人間じゃないことくらい……私が一番分かっているわ」

 

そう呟き、玲奈は海翔と戦っている竜馬たちを見た。

だが…その時、竜馬たちは氷の上に倒れ…海翔に負けているのだった。

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