バイオハザード リターンズ   作:GZL

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遂に最終章突入です。
漸くここまで来ました。最後まで頑張っていきたいと思います。
ではどうぞ。


終焉の章 己を信じて…
第83話 聖戦後…


名古屋城は残っていた…。

しかし、天守閣を守るために作られた外壁は暴虐を尽くす限りに破壊され、周りにあるのはアンデッドの死体、機械の残骸、瓦礫だけだった。草木は生えておらず、生命の息吹も全く感じられない。

しかしその時、ガタンと地下の扉を開き、そこから必死に腕を伸ばして地上に這い上がって来た者がいた。出てきたのは……傷だらけの状態の玲奈だった。

いつぶりかの外の空気に期待していた彼女だったが…全くもって見当違いだった。空気は淀んでいた。臭いも最悪に酷い。煙か(すす)、またはアンデッドか人間の死体が発する腐敗臭が当たりに立ち込んでいた。

玲奈はフラフラと歩きながらも、淀み切った空気に思わず何度も()せた。

そして…大きな水溜まりのような場所を見た途端、彼女は足を止めた。いつの間にか被っていたフードを取り、膝を着いた。そのまま玲奈は腐っているかもしれない水を手ですくって喉に入れた。玲奈は聖戦後、食事をしたのかもあまり覚えていない。食欲のあるがままに何度も何度も水をすくって飲む。

だが…その時、玲奈に近付く1つの影が近付くと、すぐに何かが飛び出してきた。

 

「‼」

 

白濁した肌に管状の口……。ゼノビアにいたアンデッドに押し倒されて、首から血を吸われそうになった玲奈は必死に抵抗する。

 

「やめて‼」

 

頭を何度も殴って、奴を後退させて、自らが後ろに下がると、そのアンデッドは水中で鎖に繋がれていたようで、あまり遠くまで動けずにいた。だがその繋がれた部分の肉は腐って、今にも剥がれ落ちそうだった。

玲奈は手を伸ばして、血を欲するアンデッドを放って、再び歩き出すのだった。

 

 

 

 

何もいない…。

音もしない…。

風もない…。

ウィルスは何もかも…全てを地球から奪ってしまったのだろうかと玲奈は思ってしまう。

途中で玲奈は廃墟の中に入っていく。そこで何か使えそうなものを探すが、これだけ荒廃しきっている場所ではあまり期待できそうにない。ガタガタと物を落とし、まるでホームレスのように見えてしまう玲奈。まあ…実際はホームレスに近いものではあるのだが…。

その時、カタリと音がした。玲奈の目の前には瓦礫が山積みになっているだけでアンデッドも怪物もいない。だが、よく見るとその瓦礫が小刻みに揺れていることに気付く。玲奈が即座にここから離れようと思った瞬間、瓦礫を吹き飛ばして怪物が現れた。崩れかけていた建物を全壊させて、姿を現したのは、巨大な翼を羽ばたかせ、容姿はトンボに近いのだが…尻尾は三又になった鉤爪状で、獲物を掴み、切り裂くことに特化していた。それに身体からは無数の触手を出していて、中々面倒な相手に思えた。

玲奈は建物を破壊して、玲奈に標的を定めた怪物から逃れるために、運良く残っていた車に乗り込み、ダメ元でエンジンをかけてみた。すると、驚いたことにエンジンがかかり、玲奈は奴から逃げ出す。

エンジン音に気付いた怪物は全速力で車を走らせる玲奈の車を追う。そして、すぐに車の真上に位置取り、三又の尻尾で車の天井を掴む。それにより、車は時折空中に浮かんでしまう。ただ、玲奈を食らう前に尻尾が鋭利すぎたか、天井が抜けてしまった。

怪物は天井の破片を離して、相変わらず玲奈を追う。が、真後ろに位置取ったのが、間抜けだったのか…墜落していたヘリの尾翼に頭から突っ込んで、派手に転んだ。

玲奈はこのまま逃げ切ってしまおうとも考えたが、いずれ…また襲い掛かってくるかもしれないと思った。そこで玲奈はここで車を反転させて、怪物と逢い(まみ)えた。

怪物は咆哮して、飛び上がって尻尾を地面に引き摺りながらも、突進してくる。

玲奈はアクセルを全開で踏んだ。車は怪物を真正面から追突させて、そのまま100m近く吹き飛ばして、壁に激突させると車を停止させた。

玲奈はふぅと溜め息を吐いて、ハンドルに頭を置いた。玲奈の目の前のフロントガラスには怪物が頭から血を垂れ流して…口をだらしなく開いて絶命しているのが見て取れた。

車の扉を開けようとしたが…その時…ピュッと玲奈の頬に何かが通った。血がちょっとだけ飛び、微かな痛みが貫く。玲奈はフロントガラスを見ると、怪物が咆哮を上げて、身体中の触手を玲奈に突き刺そうとしてきたのだ。車の追突で翼を潰された怪物はこの触手で攻撃するしかなくなったのだろうが…これは玲奈からしたらキツイことだった。

運転席にいる玲奈は攻撃を避けるのは…かなり厳しいことで、早くここから出て…確実にこの怪物を倒さないとやられてしまうのだ。玲奈は必死に周りに何かないかと見る。すると、後部座席に置いてあった爆弾…C4爆弾に目が釘付けになった。玲奈はすぐさまそれを掴んで、タイマーを起動させる。早く抜けださなくて…この怪物もろとも木っ端微塵になるだろう。

 

「…っ……邪…魔……!」

 

玲奈がどうにか車外に出て、数十センチ離れたところ瞬間に…C4爆弾は破裂した。玲奈はまともに爆風を受けて吹き飛び、静かな荒野の中で…1つの爆発と黒煙が立ち込めるのだあった。

 

 

 

 

玲奈は自身に圧し掛かる車のドアを退けて…漸く一息吐くことが出来た。

爆風を受けてしまった彼女の身体は暫くの間、言うことは聞かないだろう。今すぐにでもここから離れなければ……爆発音に反応したアンデッドに襲われるかもしれない。でも…玲奈は今は地面に横になっていたかった。

すると、カチャリと何かがボロボロに焼け(ただ)れたコートの中から滑り落ちた。それは刃渡り20cm程度のナイフだった。何も武器を持っていないと思っていた玲奈だったが…こんなところに唯一の武器があって、少し安心感を得た。

しかも、柄には名前が彫ってあった。

 

「……竜馬………か…」

 

あの聖戦の後…離れ離れになってしまった玲奈の愛する人…。

玲奈は暫くそのナイフを眺めてから…上体を起こして、立ち上がった。

さっきの怪物は尻尾の先端を残しただけで…残りの部位は何もかもが吹き飛んでいた。玲奈は黒焦げの車の横を通って、荒野を彷徨(さまよ)い歩く。

ここには何もない。生きている者も……使える物も……。

あるのは…恐怖の権化(ごんげ)だけだった…。

 

 

 

 

竜馬はとある廃墟ビルでアンデッドに襲われない生活をどうにか送っていた。

ビルには竜馬を中心に紗枝、ジョッシュ、薺……他にもたくさん生存者がいる。

だが…玲奈だけは…あの聖戦の中で助けることが出来なかった。あの時、ジョンの企みに気付けていれば…と、竜馬は玲奈を救えなかったことを未だに悔やみきれていなかった。そのイラつきが冷静さを失わせて、無意味に机や椅子を蹴り飛ばしてしまう。

その様子を隣の部屋で3人は覗き見していた。

薺は…あそこまでイラついているのは…ゼノビアの一件以降であった。

いつもなら落ち着けやそれ以外の言葉を掛けることはいくらでも仕様があったが、今だけは本当に口を出せなかった。竜馬から溢れ出る黒い…真っ黒なオーラみたいものが見えてしまい。対応できなかった。

 

「紗枝、竜馬は玲奈が助けれなくて悔しく思っているだけだ。俺たちがどうこう言っても意味はない」

 

ジョッシュはいつも論理的に考えるからいいのだが……今回ばかりはそんなことを言ってばかりもいられないと、紗枝は言い返したかった。論理的に進めていくのではなく、時には感情的に動いて欲しかった。そこの面は竜馬の方が上だ。

3人は…いつになったら元の竜馬に戻ってくれるのかと…気になって仕方がなく、同時に溜め息を吐くのであった。

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