バイオハザード リターンズ   作:GZL

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第88話 全てを燃やして…

まず玲奈はアンデッドを引き寄せている装甲車を潰す作戦に入った。

ジョッシュが書いてくれた白い文字はここからでもよく見えた。そして、こちらから見て、左側の装甲車が“1”と書かれた文字の上を通過した瞬間に玲奈は叫んだ。

 

「1番よ!打って‼」

 

まず薺がガソリンが詰まったドラム缶に火を付け、それから火がきちんと付いたことを確認した光子がドラム缶を固定していたロープを斧で断ち切った。それによりガソリンが詰まったドラム缶は投石器の要領で飛んでいった。ドラム缶は見事に放物線を描いて、装甲車に向かっていく。装甲車の欠点は動きが鈍すぎることだ。そこを突いた作戦に装甲車は避けることも出来ずに火が付いたドラム缶が直撃し、爆発を起こした。

それを横で見ていた淳は命令する。

 

「止めろ。後ろの餌を離すんだ」

 

アンデッドの餌とされていた生存者は手錠が外れたと分かって、奴らから逃げるために走り出した。後方から数多のアンデッドが追いかけてきていて、それを確認した玲奈は無線でゲートを守っている桐生と紗枝に連絡する。

 

「生存者よ。ゲートを開けて」

 

ゲートを開けていき、紗枝と桐生はその上からマシンガンを撃つ。ここからではなく、ビルの上からも援護射撃をしてくれている。生存者を助けるためにも、今出来ることはひたすらアンデッドを殺していくしかない。あとは生存者の足を信じるだけだ。

玲奈は再び上から、生存者が“2”の文字を通過したことを確認した。

 

「2番よ‼」

「打って‼」

 

再びドラム缶投石器が動き出し、生存者の真後ろで爆発してアンデッドを蹴散らした。しかし、それをしてもアンデッドが絶えることはない。

 

「もう少し…!」

 

生存者がゲートに到達する……直前だった。

装甲車から放たれたガトリングの弾が生存者の身体を何発も貫いた。

 

「あの野郎……!」

 

奴らはゲートが開いた隙に付け込んで、そこにアンデッドを雪崩れ込ませる気だ。

玲奈はすぐに紗枝たちに連絡する。

 

「紗枝!今すぐゲートを閉めて‼」

 

ゲートは閉まっていくが、アンデッドは既にゲートの周りに群がり、紗枝たちを食らおうと侵入しようとする。ゲートに掴まってくるアンデッドの頭を桐生は撃ち抜いていくのだが、ゲートの側面の隙間から数体のアンデッドが入り込んでいた。

それに気付いた紗枝はゲートの上を滑っていき、アンデッドの頭を撃ち抜き、最後に残った奴は顔面を蹴って絶命させた。

ゲートが閉まり切り、もうアンデッドは入って来れないと思った2人だが、その考えは甘かった。

 

「やれ」

 

淳の命令に従って、兵士はミサイルを発射させた。それに気付いた桐生は紗枝を抱えて、ゲートから離れようとジャンプした。2人は爆風と相まって、地面を転がる。

だが、問題は破壊されたゲートからアンデッドが入ってきていることだった。

だけど、中に侵入された時の場合にも備えて、ビル内にも罠は置いてある。

“3”の上を通ったのを見て、今度はジョッシュに連絡した。

 

「3番よ」

「あいよ!」

 

ジョッシュは固定していたワイヤーを切り、中ほどの階から崩れた瓦礫が雨のように落下していく。落ちてくる瓦礫に紗枝と桐生は巻き添えを食らわないように走り出す。紗枝と桐生の後ろには数多のアンデッドの頭に瓦礫が捉え、少しだけ足止めの役割を果たしていた。

しかし、その間にも淳は更なる指示を出していた。

 

「上だ。撃て‼」

 

ガトリングの弾とミサイルはビルの屋上は上層階を狙っていることに気付いた玲奈はみんなに叫んだ。

 

「離れて…。窓から離れて‼」

 

そう叫んだ途端に速射される弾は改造したクレーン車や援護射撃をしてくれる生存者の身体に食い込んでいく。

 

「もういい。弾の無駄だ。あとは奴らが消耗しきって死ぬのを待つだけだ」

 

淳は余裕だった。

この勝負に負けるはずはないと……はっきりと分かったかのようだった。

 

 

 

 

紗枝はすぐ後ろにいるアンデッドの頭を撃ち抜く。だが、それはただ1体を殺しただけで、ほぼ意味は為さない。紗枝と桐生が緊急用の扉を閉めると、それを抑えようと更に生存者が集まってくる。

その扉を押し潰そうと数多のアンデッドがやって来る。壁によじ登って、上からこちらに侵入して来ようとするアンデッドに対して、ジョッシュは拳銃を撃った。それをしても、完璧に抑えることは出来ない。侵入してきたアンデッドに高田は刀剣を振りかざして、側頭部から突き刺すと、そこから拳銃を撃つ。更に背後から来た奴は首を吹き飛ばした。

しかし、油断もあったのかアンデッドに掴まれてしまう。

 

「!」

 

血だらけの歯が見えたと思いきや、すぐにその頭は高田とは別の方向に曲がった。それはジョッシュがアンデッドの首をへし折ったことによるものだった。

 

「1つ貸しな」

「……ふん」

 

上から見ても、玲奈はあそこはどうにか耐えているという状況だと分かった。

だが…これが玲奈の狙いであった。ビルの最下層にアンデッドが一杯になったところで光子にアイコンタクトした。

光子は玲奈に言われた通りに、ドラム缶の口を斧で開放して、そこから大量のガソリンが流れ落ちていく。そこに玲奈は火が付いた松明を投げ入れた。(たちま)ち引火したガソリンは炎の滝になり、ビルを伝っていく。

そのビルは淳たちから見れば、まるで燃え盛る火の柱に見える程の迫力があった。

 

「走って‼」

 

紗枝が叫ぶと、最下層に残っている生存者は火の海から逃れようとビルに登っていく。火が付いたガソリンは地面に着くと、すぐに広がっていき、アンデッドたちを燃やしていく。それが留まることを知らず、広範囲に広がっていく。

 

「下げろ!下げろ‼」

 

火の海が目前にまで迫ってきたことにビビった淳は装甲車を後退させるように言った。

その瞬間、玲奈はビルの上から飛び降りた。アンデッドたちが来る前に張っておいたワイヤーにハンドルを付けて、ロープウェイの原理で一気に装甲車との距離を詰めていく。玲奈は降り際にアンデッドの頭を蹴って、頭蓋骨を粉砕した。

それから前方にいるアンデッドたちに3発装填式散弾銃を一気に3発撃って、蹴散らしていった。玲奈はすぐに弾を込め直し、装甲車に向かって走っていく。

それを暗視カメラで捉えていた淳は命令をする。

 

「玲奈を狙え」

 

すると、玲奈の周りに容赦なく弾が飛んでくる。

だが、奴らの装甲車にどの程度の暗視カメラが搭載されているか、玲奈は知らないが、姿を隠すのは難しくない。物陰に一旦隠れて、装甲車の死角に移る。

 

「……玲奈はどこだ?」

 

その頃、玲奈は両手にガソリンタンクを持って、装甲車の上に立っていた。そして、ガソリンを装甲車の中に入れていく。それに気付いた淳は焦りの声を上げた。

 

「まずい…!全員退避…」

 

ガソリンを全て入れ終えた瞬間にライターの火を近付け、引火させた。装甲車からは忽ち炎が噴き出し、暫くして動かなくなった。玲奈は装甲車のハッチを開けて、中に入ると、焦げた臭いが鼻を突いた。焼け焦げた死体が何体もあるからだった。

すぐに玲奈は拘束されている生存者の手枷を外していると、奥からガチャンという音が聞こえた。

 

「まさか…!」

 

玲奈が急いで外に出ると、淳が背を向けて必死に逃げていくのが見えた。

だが、後ろにも兵士が生きていたようで、玲奈が視界に捉えた時には奴の拳が玲奈の腹を捉えていた。

 

「ぐっ!」

 

玲奈はまず散弾銃を向けたが、蹴りで弾かれてしまう。淳を逃すために玲奈に仕掛けてきたのだろう。

更に飛んでくる拳を避けて、お返しに玲奈が蹴りを腹にぶち込むが、兵士は全く怯まず、そこから回し蹴りを玲奈に食らわせた。

 

「ぐあっ‼」

 

装甲車から吹き飛んで、車のボンネットに直撃した。奴も装甲車から降りて、玲奈の前に立った。

蹴られた直後で未だに意識があまりはっきりしない玲奈。その隙を奴は逃さず、回転して威力を上げた蹴りを玲奈の腹や顔に何発も食らわせていく。

 

「ぐふっ…!」

 

遂に玲奈は吐血して、そのまま地面に倒れてしまう。

 

「はぁ……はぁ……。身体能力は……良いわね…」

 

兵士は余裕そうに笑みを漏らしている。

 

「でも頭は悪い」

 

玲奈は落としていた散弾銃を掴み、三3同時に発射した。

 

「うがああぁ‼」

 

兵士の腹に散弾が3発同時に当たり、盛大に吹き飛んでいった。

玲奈は腹の痛みが少し引いたところで立ち上がった。

 

「玲奈!」

 

竜馬とジョッシュがこちらに向かって来ている。どうやらビルでの籠城は成功したようだ。

玲奈は後ろから来るアンデッドの気配を感じ取って、散弾銃を後ろに向けて撃った。

 

「こいつ、どうする?」

 

兵士は生きていた。あの散弾をまともに受けて何故生きているのか…。それは防弾チョッキを着ていたからだ。それでもあばら骨は多少折れているだろうが…。

 

「この辺りにはまだアンデッドがいる。……こいつには恐怖ってものを感じさせましょう?」

 

玲奈は装甲車を自動運転に切り替えて、まだ生きている兵士の腕に手錠を付けた。兵士は玲奈たちを睨んでいた。

 

「……行ってらっしゃい」

 

装甲車が動き出すと、暗闇に紛れていたアンデッドが兵士を食らおうと追いかけていく。その光景を見て、玲奈は胸がすっきりした。

と…ここで…。

 

『玲奈、問題発生』

 

無線から紗枝の声が聞こえてきた。更に今の発言で不安が広がった。

 

「どうしたの?」

『……第2陣よ』

 

その言葉を聞いたみんなの顔色は、青くなっていく者ばかりであった。

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