バイオハザード リターンズ   作:GZL

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ここでコードベロニカの話に近くなります。


第95話 永い戦いの終焉

ジョンが時間を稼いでくれる内に美奈は地上に上がっていく広場の中央に立っていた。

真っ暗であったが、もうすぐ日が昇りそうで、地平線上は仄かにオレンジ色に輝いていた。でも彼女からしたら永遠に真っ暗な世界でもいいと思った。

 

「漸く……ここまで来たわ…。私の望みが果たされる…」

「いいえ。そんなことはさせないわ」

 

不意に後ろから玲奈の声が聞こえた美奈は面倒そうにそっちを見た。玲奈だけでなく、竜馬と薺も美奈を睨んでいる。

そして、4人が立つ広場は地上に到着する。

 

「……私を殺すの?妹の私を…」

「覚えていないのにそんなこと言っても意味ないでしょ?」

「…そうね。なら、欠陥品らしく、ここで息の根を止めてあげるわ」

「こっちのセリフだよ…」

 

竜馬がそう言うと、先に銃弾を発射した。だが、それは美奈の指の間に挟まり、一瞬で焼け消えた。

 

「⁈」

「私が単なる人間だとでも思った?馬鹿な男ね…。そこの作り物がウィルスをフルに使えるなら、私も使えるのよ。遺伝子はほぼ同じだしね…」

「…いつも通り、拳銃は補助的にしか使えないわね」

 

玲奈はマシンガンを捨て、ゆっくりと歩こうと思った時、奥から騒がしい声やら音がこっちに近付いてくるのが分かった。そして、先頭で走って来たのは右手首がない淳…要するにクローン淳がやって来た。

 

「見ろ!玲奈‼お前を殺すためにアンデッド軍団を連れて来たぞ!」

 

そう叫んだものの、クローン淳は全く同じ顔をした美奈を見て固まってしまう。

 

「…玲奈が2人?どういうことだ?」

「……私をあの作り物と一緒にしないで」

「!」

 

グシャッと言う肉が抉れるような音が暗闇に響く。

それは美奈の左腕がクローン淳の左胸…心臓があるところを貫通したことによって響いた音だった。そのまま、グリグリと捻り、心臓を引き抜いた。クローン淳は言葉を発することなく、そのまま倒れた。

 

「ゴミの掃除はしないとね…」

 

美奈は左腕にナイフで切り傷を作ると、その傷付いた左腕を振って、血を噴き出させると、その血は忽ち炎上し、クローン淳が連れて来た全てのアンデッドを燃やす。

 

「なっ……」

「ふふ、いいでしょ?これもウィルスの力よ…」

「悪魔じみた能力ね…」

 

薺がそう呟くと、美奈の視線は薺1人にだけ向けられる。

 

「……そんなこと言うのね…」

 

そう言った瞬間に美奈はジョンと同じ高速移動をすると、薺の腹に手を当てて、そこから火を吹きだした。

 

「あがっ…!」

 

薺は僅かに悲鳴を上げると、遠くに吹き飛ぶ。

 

「薺っ!」

 

竜馬がすぐに駆け寄るが、その腹は焼け(ただ)れて、既に息はしていなかった。竜馬はその亡骸を地面に置き、美奈に向かって叫んだ。

 

「テメエは自分1人が良ければ後はどうでもいいのかよ⁈」

「…当り前じゃない。人を信じても、いずれ裏切られる。そんな人類はいらない」

「…ふざけないで……」

 

そこで玲奈は漸く声を発した。

 

「世界の運命を決めるのはあんたじゃない‼」

「…やっと本気を出せそうね」

 

玲奈は怒りのままに美奈に向かっていく。美奈も薄気味悪い微笑を浮かべながら、玲奈に向かっていく。

玲奈は美奈の太腿に足を置き、顎に蹴りをぶつける。それに怯んだところで顔面に拳を食らわせたが、美奈はそれを食らっても、玲奈の服を掴んで地面に叩きつけた。

 

「……っぁ…」

 

更にもう1度立たせてから地面に叩きつけて、地面に伏したままの玲奈の身体を思いっ切り蹴って、壁にまで吹き飛ばした。

 

「ぐああっ!」

 

玲奈は壁のコンクリートが砕けてしまう程、ぶつかり、ごふっと血を吐いた。

美奈は笑ったまま玲奈に近付き、その焦げ茶の髪を掴む。だが、玲奈はナイフで美奈の足を突き刺した。

 

「っ‼」

 

グリグリと深く刺して、そのまま目前に立ち、腹に拳を突き、刺した足を蹴る。追撃で拳を美奈の顔面に当てようとするが、美奈の拳が玲奈のと衝突する。だが、力の差が激しいのかゴキリと玲奈の手首が鳴った。

 

「あうっ…」

 

右腕を抑えた玲奈の肩を掴んだ美奈は、額に重い頭突きを一撃食らわせると、更に肩で玲奈の腹を打った。

 

「ああっ…!」

 

玲奈は美奈の眼下に倒れてしまう。

何とか立ち上がりたいのに、玲奈の身体がどうしても動かない。

そんな状態の玲奈を美奈は燃え上がる手で腕を掴んだ。もちろん、とんでもない熱さと痛みで悲鳴を上げる。

 

「あああああああああああああああああああぁぁっ‼」

 

生きたままバーベキューにされてるような痛みが腕全体に広がっていく。美奈はその腕を離しながらも、玲奈を遠くに投げ飛ばす。

 

「あぐ……ぐぅぅ…」

 

焼かれた腕を抑えながら、玲奈は喘ぎ声を漏らす。しかし…そこで玲奈は微かに笑みを浮かべた。

美奈は訝し気に玲奈を見る。

 

「それで本気…?なら……あんたの負けよ…」

 

美奈はそれを聞き、瞬時に玲奈に近付く。

だが、ここで今まで動いていなかった竜馬が拳銃を撃った。もちろんそんなの美奈は軽々と避けるが、玲奈は立ち上がり際に美奈の顔に蹴りを食らわせる。

竜馬も駆け寄りながらも拳銃を撃つが、それらは避けられ、彼の間合いに入る。そして、渾身の拳を竜馬にぶつけて吹き飛ばす。

 

「うがぁ‼」

 

更に玲奈も殺そうと拳や蹴りをかますが、避けられ、腹に重い蹴りを受けて美奈は怯む。だが、その足を掴まれてしまうが、そこからでも顔にパンチを繰り出すが、美奈はその足を肘で殴り、玲奈の首元を容赦なく殴った。玲奈の息が一瞬だけ出来なくなり、一気に力と意識を失ってしまう。

 

「あぅ……ぅ…」

 

倒れた玲奈を美奈はふぅと息を吐き、刺さったままのナイフを足から抜き、見下した状態で言う。

 

「所詮は作り物…。本物の私には敵わない」

「………っ…」

「作り物を先に殺すのもいいけど…やっぱり関係ない彼を先に殺そうかしら?」

 

そう聞き、玲奈の表情に焦りが走る。

 

「や………めて……」

「ふーん…。好きなの?なら……」

 

美奈は右手に炎の玉を生成して、それを同じく倒れている竜馬に向ける。

 

「さよなら……作り物を愛した馬鹿な男…」

 

玲奈は必死になって、身体動けと叫んだ。だが、そんな奇跡は起きそうも無かった。

そこで玲奈はこの距離なら自らも危険だと分かっていたが、ポケットから手榴弾を取り出し、それを美奈の足元に投げた。

 

「!この作りも……!」

 

(たちま)ち手榴弾は爆発し、玲奈と美奈は爆発に巻き込まれる。

 

「玲奈ーーー‼」

 

竜馬は叫ぶが、返事はない。

噴煙の中に見えた影は1つだけ…。

 

「くっ……流石の私も…やられ………うっ…⁈」

「玲奈⁈」

 

玲奈はナイフを美奈の腹に突き刺し、動きを阻ませていた。

 

「これで……終わりよ……」

「な……に、これ……。身体が……おかしい……」

「私も……今だけはおかしいわよ……」

 

玲奈の言う通り、玲奈が持つナイフの腕からは海底油田と同じような電気が暴流していた。それが美奈の身体を鈍らせていたが、それだけではない。何か別の要因で美奈だけでなく、玲奈の身体も動けずにいた。

 

「このまま………殺す…!私ごと…!」

「そんなこと……!」

 

美奈は必死に力を集めるが、炎の生成も高速移動も行えない今は…単なる女性でしかなった。

 

「ここで……死んで……た…ま………」

 

そう美奈が呟いた途端に、玲奈のナイフから眩しい程の電撃が溢れ、竜馬が目視出来ない程に白く輝いていくのだった。

 

 

 

 

森田はあの部屋の机の上で…自らの娘たちが死していくのを感じた。だけど…その前に今目の前で地面に座っている紗枝とジョッシュに頼み込まなくてはならないことがあった。それはコンタクトレンズのようなものだった。

 

「これを……もし、玲奈が生きていたらお願い…。あの子の人生を狂わせた代わりに…これを……」

 

涙をボロボロ流す森田を見た紗枝は頷いて、そのレンズを掴んでエレベーターに乗った。

間もなく爆発を起こすこのハイブに留まっている理由はないからだ。

森田はここで死ぬのを決めていた。

そして…紗枝たちが消えてから数分後、この始まりの地であるハイブは爆発と共に…全て消え去るのだった。




次回で終わり!
漸くここまで来ました!
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