何か……眩しい…。そう玲奈は感じた。
目をゆっくりと開くと、泣いている竜馬とジョッシュを支えている紗枝が彼女を見ていて、眩しかった原因は昇りきった太陽が当たったことによるものだった。身体を起こして何が起きたのか把握したかったが、実は玲奈はあの眩い電光でどうなったのか全く分からずにいた。
状況が飲み込めない玲奈に、ホログラムとして現れたレッドクイーンが解説する。
『相変わらず……しぶとさだけは誰よりもあるわね…』
「余計なお世話よ…。それよりも何が起きたの?美奈は?」
「そこだよ…。見れば分かる……」
竜馬は指を指すが、そちらを見ようともしなかった。
玲奈がその先を目で捉えると、男女の差別も分からない程に黒焦げと化した人間の惨殺体が放置されていた。白い煙は未だに出ているままで、さながらバーベキューでもされたような感じに見えた。
「あれが……美奈?私が……やったの?」
『そうよ。玲奈、あなたは美奈を倒して生き残ったのよ』
「でも……どうして生きてるの?」
『あなたは美奈にナイフを刺して、そこから電撃を流した。でも柄には電気が流れず、感電死することがなかった。だからよ』
死ななかったことに納得したが、もう1つ…玲奈には不思議なことがあった。
「それに突然身体の自由が効かなくなった」
『…それに関しては私も舌を巻くわ。玲奈は本当に運がいいのね…』
「どういうこと?」
『あの時…あなたと美奈の中のウィルスは死滅されていたのよ。散布型ウィルスによってね』
「でもそれは…」
あの時燃やされたと…玲奈は言い返したかった。だけどクイーンは構わず続けた。
『ウィルスはハイブから初めて漏れた時と同じように形を変え、暖炉に投げ込まれても生き残った。更に美奈の力は失い、玲奈は逆に全ての力を暴発させた。だけど…ウィルスだけ死んで、玲奈は生き残ったのよ』
それを聞いた玲奈は驚きよりも…謎だけが頭の中を支配する。自らがアンブレラによって作られた物なら…死んでも良かったというのが玲奈の本音だった。
「私…何で生きなきゃいけないの…。私はもう必要のない存在なのに……」
「馬鹿なこと言うんじゃねえ‼」
竜馬は叫んだと思えば、彼女の頬を叩き、真っ直ぐに見た。痛いビンタだった。
「お前が作られた人間でも俺はいいんだ!それにもう玲奈は奴らからの呪縛から解かれたんだ!どんな存在だとしても…自分を信じてくれ!」
「自分を、信じる……」
「俺だけじゃない…。玲奈が不必要だなんて思っている奴はいないんだ」
玲奈は竜馬、紗枝、ジョッシュを見詰めた。2人も竜馬の言う通りだと言いたげに笑う。
彼女の目には…止めどなく涙が溢れて、激しく嗚咽を始める。
「ありがとう……。ありがとうっ……みんな……」
「もう全て終わったんだ……。玲奈は人間だ」
すると、今度は紗枝が玲奈に託されたコンタクトレンズを渡した。
「あの人がこれを玲奈にって…」
『それは森田氏の奥さんの子供時代の記憶がインプットされたものよ。あなたにせめて…自分の幼少期の記憶をあげたいって言ってたわ』
玲奈は早速そのレンズをはめた。
すぐにコンタクトレンズに森田の記憶が映画のように流れていく。それは正に走馬灯のように流れる。
それを見ている玲奈は途中で外して…しゃくり声を上げて言う。
「泣いちゃうじゃない……。これじゃあ…見れないよ…お母さん……」
『あなたはアンブレラが考えていたものよりも素晴らしいものを持っていた。それがこの惨劇に終止符を打ったのよ。……私は、そろそろ消えるわ』
「……自らを殺すの?」
レッドクイーンのホログラムが乱れ始める。それは自身のコンピューターを破壊している予兆だった。
『私……は…もう、人類に必要……ない…。あなたたちは……私なんか、いなく……ても、生きていける……』
「そう……。安らかに…」
『コンピューター……に、痛覚はない…わ』
「最後にツッコミどうも」
レッドクイーンはこの世から消えた。
玲奈はこの晴れ渡る景色が人類が再び歩み始める第一歩に違いないと…思っていたのだった。
ウィルスは死にゆく……。
しかし、1本の抗ウィルスが散布したとしても、それが地球全体に広がるにはどれくらいかかるのか分からない。すぐかもしれないし…何年もかかるかもしれない。
玲奈たちはその間に生存者がいたら、助けることにした。
しかし、助けるにはかなりの災難が降りかかるだろう。実際、今4人が乗っている車の後ろには空飛ぶ怪物が迫って来ている。
だが、玲奈には信頼できる仲間…竜馬、紗枝、ジョッシュが乗っている。彼らといれば、何も怖くなかった。
「飛ばすわよ‼」
玲奈はそう叫び、車のアクセルを踏んだ。
玲奈たちの戦いは…まだ終わらない……。
‐Fin‐
これにて、『バイオハザードリターンズ』は終わりになります。
これまで三か月、ご愛読された方々、ありがとうございました!
次回辺りに登場人物の詳細を書こうと思いますので、そちらもよろしくお願いします。
では、また会える機会があったら!