バイオハザード リターンズ   作:GZL

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さて活動報告でも書いた通り、始まりました!
IF story第1話です。
どうぞ!


IF Story 真実を知るためならば…
第1話 空港


東京の消失から、かれこれ1年近くが経過しようとしていた。

あの日から日本だけでなく、全ての世界で混乱が続いていた。経済も人口も減少の一途を辿った日本はこの1年近くは暗雲しか立ち込めていなかった。

それでも政府は打開を図ろうとして、日本全国にある製薬会社に立ち入り捜査を行い、アンブレラ社並びにそれに関連する企業は全て強制的に差し押さえ……要するに潰れていったのだ。

だがそれだけでは世界から完全に信頼されるほどにまで回復はしなかった。そこで政府がやったのが、バイオテロに対しての部隊を作り、自衛隊と同じように世界各地に派遣することだった。

 

 

その部隊の名は…『対バイオテロ特殊部隊』…略してBSAA…。

 

 

 

 

玲奈は黒いパーカーに黒いサングラスを付けて車を運転させていた。運転席の窓は開けていて、そこから端正な顔立ちが垣間見ることが出来る。道行く人々を魅了する程美しい容姿を持つ玲奈は全く気にすることなく、車を空港に向かわせていた。

後ろには律代を乗せていて、彼女は外の景色をずっと見ていた。

玲奈たちは本来なら、政府たちの護衛役として退屈な時間を過ごしていたはずなのだが、玲奈と竜馬が差し出した『条件』でその危機を脱した。その時のことを…玲奈は思い出していた。

 

ー1年前ー

玲奈と竜馬、それに海翔に紗枝、更に薺と智之、そして律代はヘリで東京を脱した後に埼玉県にある大きな建物に招集された。

理由は誰にでも予想が付いた。

あの東京で何が起きたか真実を知っているは玲奈たちとアンブレラの重役だけで、多くの市民や政財界の大物は何も知らない。そこで玲奈たちから聞き出す…ということだろう。

 

「入りたまえ」

 

案内されて、玲奈と竜馬だけがとある部屋に通された。何故2人だけなのか玲奈には分からないが、目の前には非常に上から目線で見ている男たちが2人を睨んでいた。

 

「……何のよう?」

 

玲奈がそう呟くと、真ん中の男が小さく言う。

 

「今回の件を知っているのは…君らと我々だけだ。言いたいことは何だか分かるな?」

「…他言無用ってわけか…」

「それもそうだが、君らには頼み事がある」

「頼み事?」

「我が日本国は今非常に危機的状況で各外国から信用を得るには、そこに信用させてもらえる程のことをしなくてはならない。そこで我々はバイオテロに関する部隊を作ろうと考えている。そのメンバーに…君らも参加してほしい」

 

玲奈と竜馬は共に良い表情をしなかった。ここまでアンブレラの悪行を放置しておきながら、今は日本が危機的だからどうにかしてくれと……あまり納得出来るような話ではなかった。

竜馬が反対の意向を示そうと口を開きかけたところで、玲奈が先に口を開いた。

 

「いいわ」

「れ、玲奈⁈」

 

玲奈がそんなことを了承するなんて思っていなかった竜馬は思わず声を上げてしまった。相手もまさかこんな簡単に許してくれるなんて思っていなかったようで、目を丸くしていた。

 

「ただし…条件がある」

「条件?言ってくれ」

「まず、私を含めた生き残りのメンバーに監視を付けない。それと、あなたたちの方から私たちのやり方に口を出さないこと。それで良くて?」

「…分かった。条件を飲もう」

「ありがと」

 

玲奈はにっこり笑いながら返したが、その目はちっとも笑っていなかった。

 

 

 

 

竜馬と共に部屋を出て、最初に玲奈を待ち構えていたのは竜馬の叱責だった。

 

「何であんな馬鹿な条件を作ったりしたんだ⁈」

「……あいつらの思い通りになるのは嫌だったのよ」

「っ…だとしても……!」

「それに私たちと彼らの目的と利害はほぼ一致している。彼らはこれ以上バイオハザードを起こして欲しくない。私たちはアンブレラの残党を潰したい。そうでしょ?」

 

竜馬もここまではっきり言われると、返す言葉を失ってしまう。

 

「でも……」

 

でもと玲奈は付け加え、虚しい表情を作った。

 

「あいつらの言う通りに動くかもしれないと思うと…ちょっと気が食わないかな…」

「玲奈…」

 

それから先、玲奈と竜馬はお互いに口を開くことなく、竜馬の自宅に帰るのだった。

 

 

 

 

ー現在ー

「………な…!…玲奈‼︎」

 

後ろの方から律代に呼ばれて、玲奈は我に返った。

 

「何?律代」

「もうすぐ薺お姉さんに会えるんだよね?」

「そうよ。私だって1年近く会っていないから楽しみよ。律代は?」

「うん!楽しみ!」

 

律代の顔から笑顔が溢れる。

今はこんな感じで明るく無邪気な女の子だが、父親を失い孤児となってしまった時の律代は…途轍もなく絶望の淵に立たせれていたことだろう。見捨てて置けなかった玲奈は律代を引き取り、今は竜馬の家に居候(いそうろう)の身で住んでいる。

竜馬も快く了承してくれたが、玲奈はいつまでもいるわけにもいかないと思いながらも、彼の傍から離れたくない気持ちがどことなく強かった。

どうしてかは…未だに玲奈の中でも分かっていない。

 

「…さて、飛ばすわよ!」

 

玲奈はアクセルを強く踏み、成田空港に急ぐのだった。

 

 

 

 

玲奈が車を走らせている時、太平洋上空で1つの旅客機が何の問題もなく飛行していた。しかし、その機内に顔色が明らかに悪そうな客が1人乗っていた。

CAは心配して、その客に近寄る。

 

「お客様、大丈夫ですか?」

 

男はスーツ姿で鞄を提げている。CAの声に反応して、彼は苦しそうにスーツの胸ポケットから1つの紙を取り出して、途切れ途切れの言葉をどうにか紡いで伝える。

 

「この……情報を………ウィル…ファーマ………のフレ…デ……リック……氏、に……………」

 

男はそう言った後に、力尽きるのだった。

 

 

 

 

一方、成田空港では1人の女性がスーツケースを転がして、搭乗口から出てきていた。久々の日本に薺は背筋をぐっと伸ばした。何時間ものフライトで身体がガチガチに凝っていたのだ。

するとそこに聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「薺お姉さーーーん‼︎」

 

遠くの方からまだ若干12、3歳の女の子が走ってきたのだ。誰なのかなんて声だけで分かった。

律代は軽くジャンプして、薺の胸の中に飛び込んだ。

 

「ふふっ、ただいま。律代」

「薺お姉さんこそ!お帰り!」

 

薺は律代を地面に下ろし、こっちにゆっくり歩いてやって来る玲奈の姿を捉えた。黒いパーカーにサングラス。ちょっと女性としては固い服装に見えたが、玲奈の美貌なら問題ないだろうと勝手に薺は判断したため、いつもみたいにファッションに関して口うるさく言わなかった。

 

「お疲れ、薺。活動はどう?」

「まあまあって言った感じ?人は足りているんだけど、お金がね…」

 

薺は今、『テラセイブ』という反バイオテロリズムのNPO法人に在籍している。玲奈や竜馬たちと違い、薺は戦う側ではなく守る側に移ったのだ。バイオテロで苦しむ人たちを救済するのが薺たちの仕事である。その関係で薺はこの9ヶ月間、海外を転々としていた。

 

「話したいことは山々なんだけど、とにかく出よっか?」

「そうね………ん?」

 

と、ここで玲奈のポケットで携帯電話が震えた。

溜め息を吐きながらも玲奈は電話に出た。

 

「………薺、ちょっと待ってて。すぐ戻る」

 

玲奈はそのまま空港の出口へと走り去ってしまった。

待ってろと言われてしまったからには薺も待たなくてはならなかった。

 

「玲奈が戻るまで待とうか?」

「うん!」

 

ベンチに座り、薺はテレビで流れ続けるとある映像に溜め息を吐いた。実は今、この空港の前でテラセイブメンバーがデモ講義を行っているのだ。

理由は例の東京事件についてだ。

あの東京事件を引き起こした元大企業のアンブレラの資金援助を行なっていたと、衆議院議員の斎藤氏に非難が集まっているのだ。その斎藤氏がこの空港にいると何者かが密告したので、空港前デモが行われている…ということだ。

1年も経ってからどうしてそんなことがバレたか分からないが、とにかく非難の声は日が経つごとに酷くなり、遂にテラセイブまで着手したのだ。なので、今空港の前は人でごった返しだろう。

薺は抗議デモをするのは好きではなかった。デモを行っても、変わることはあまりないからだ。デモをするくらいならもっと別の行動を取る、それが薺のスタンスだった。

しかし…この状態だといつになっても終わることはないだろう。

薺今一度、大きな溜め息を吐くのだった。




次回から大きな事件に発覚します。
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