『Charlotte』もうひとりの『略奪』   作:ミディオン

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後編 絶望に勝つ勇気

社交事例で空港から出てくる二人

 

 日本へ久しぶりに帰ってきた。

 

 歩美「お帰りなさいです!!有宇お兄ちゃん!!」

 

 隼翼「お帰り有宇、友利。」

 

 高城「どうぞご無事で帰られました。」

 

 西森「お帰りなさい奈緒ちゃん。」

 

 奈緒「いえいえ、任務途中で帰ってきてしまって・・・

 

 恐縮です。」

 

 隼翼「いいや、旅の経緯や進行状況を整理するのに

 

 休暇も必要だ。それに会敵した以上対策を練らなきゃ

 

 いけない、ヴィオへの対策が最優先事項だ。

 

 一旦研究所で事の次第を整理しよう。」

 

 歩美がなにか異変に気がついた。

 

 歩美「有宇お兄ちゃん?」

 

 有宇「・・・誰?君達・・・?」

 

 歩美「何を言ってるんですか!!もう、友利さんのこと

 

 ばっかり考えて歩美の事忘れちゃったんですか?」

 

 有宇「本当に・・・思い出せないんだ・・・皆のことが・・・」

 

 場が・・・沈黙した。

 

 

 

 シャーロット研究所

 

 博士「どうやら・・・過度な能力略奪による脳の

 

 キャパシティオーバー(容量過多)のようだね。

 

 本来人間の記憶能力は世界中のどのコンピューターよりも

 

 底無しレベルで記憶できるが大概次の日には覚えたことの

 

 7割は忘れる、しかし能力を過度に摂取しすぎて記憶領域を

 

 圧迫しているのが見て取れる。『略奪』による能力摂取

 

 記録は大人になる過程で消失し、忘れる事はできるが

 

 それまでは消えない。これ以上能力を摂取

 

 しすぎて単体で向かわせ『略奪』を続ければ記憶障害で路頭に

 

 迷うこと間違いないだろう。」

 

 奈緒「結局一人で能力集めるのが危険な状況になったと

 

 言うことですか・・・じゃあなんで私は覚えてるんですか?」

 

 博士「君の事が好きで好きで忘れられないんじゃろ?」

 

 奈緒「冗談言ったら白衣焼きますよ?」

 

 博士「はっはっは、冗談じゃ冗談。毎日君という記憶が

 

 刷新されている以上忘れようが無かったんじゃろう。

 

 毎日同じものを見ていればいやがおうでも脳に染み付く。

 

 大事な人なら尚更じゃ・・・しかし・・・これ以上能力を

 

 集めてどうなるかわしにもわからん・・・。」

 

 奈緒「そうですか・・・これがタイムリープ前の人格と

 

 後の人格との違和感の強すぎた原因・・・おそらく

 

 タイムリープ前に一旦能力回収しに行ったときも

 

 元の記憶が消えて・・・ゲスだった頃の乙坂有宇が

 

 壊れて行った・・・私が同伴しなかった時はあらゆる

 

 能力のデメリットやストレスまで抱えてさらに記憶の

 

 消滅の一端を担いこうなったということだった訳ですか。

 

 なんとまあ・・・よっぽど・・・辛かったんでしょう。」

 

 乙坂有宇は乙坂有宇のままだった。しかし・・・心が

 

 変質せずには生きていけなかった。

 

 

 

 学校の寮内

 

 奈緒「結局単体での能力集めが難しいって結論になりましたね

 

 奴が東アジアから別の何処か行くまで中止だそうです。

 

 でもなんであいつあんなに危険な能力を大量に保有できたん

 

 でしょうか?危険なレベルの能力なら戦略を練って

 

 最優先で回収したはずなのに・・・。」

 

 有宇「キャリアだ。」

 

 奈緒「キャリア?」

 

 有宇「奴は俺達の知らない能力を一番最初の時点で

 

 『略奪』していた。つまり奴はどういうデメリットが

 

 あるかはわからないがまだ発症していない『能力』を

 

 『略奪』し、自分の中で発動できる可能性を考えれば

 

 難しい話でもない・・似たような能力ならいくつあっても

 

 おかしくはない。」

 

 奈緒「ひっどい話ですね~いっそ能力全部集めさせて

 

 相手を傷つけることを全部スッキリ忘れさせるって

 

 手は無いんですかね~。」

 

 有宇は夢の記憶を無理矢理たどって考えた。

 

 有宇「それは無い、奴は倒さない限り確実に僕たちを

 

 襲いに来る。」

 

 奈緒「酷いなそれ・・・本当ですか?。」

 

 有宇「考えるんだ・・・なにか奴の弱点が・・・。」

 

 奈緒「人間は生涯脳の数%しか使わないで死んでいくとは

 

 聞いたことがありますが、まあ記憶全部無くなる覚悟で皆で

 

 協力してあいつから能力を奪うっていうのが一番無難じゃ

 

 無いでしょうか?」

 

 有宇「奈緒・・・俺は行ってくる。」

 

 何かに気がついたように歩き出す有宇

 

 奈緒「行くって、単体で奴を倒しに?それとも能力探しですが?」

 

 有宇「確かに僕の記憶はほとんど消えてわからなくなった

 

 でも・・・かすかに覚えている事がある・・・それは・・・

 

 奴を倒すのに必要な・・・最後の能力だ。」

 

 

 

 中国 都会

 

 車が大量に浮き上がり、銃を持った人民解放軍が自然発火で

 

 次々ともがき苦しみ死んでいく。

 

 人民解放軍「ぐああああああああああ!!!!」

 

 ビルが崩壊して崩れていき戦車がねじまがる。

 

 大衆「わぁああああああああああああ!!!!!」

 

 ヴィオ「わっはっはっはぁ!!最っ高だねえええええ!!!

 

 大衆の悲鳴はよぉおおおおお!!!」

 

 多くの人間が悲鳴を上げて逃げ回る中、幼い子供が

 

 一人取り残され「お母さん~どこ~?」と

 

 泣きながらうろうろしていた。

 

 どういう訳かそのもう一人の略奪は舌打ちをすると。

 

 ヴィオ「しかたねえサービスだ、お前だけは見逃して・・・。」

 

 「わぁああああああ!!!!」

 

 ところが逃げる大衆の人込みに子供が巻き込まれて

 

 踏み潰され血まみれになって倒れた。

 

 ヴィオ「ちっ・・・やっぱり皆殺しにしてやる・・・

 

 う゛ぁあああああああ!!!」

 

 大衆「ぎやあああああああ!!!」

 

 電撃を食らって涙目になる大人たち。

 

 おじさん「やめてくれ・・・死にたくない・・・。」

 

 青年「俺達が何をしたって・・・。」

 

 ヴィオ「うるせええええええ!!!人間は、人間はこれだから

 

 大嫌いだあああああ!!!」

 

 怒りを込めてレーザーチャージをするヴィオ。

 

 そこに手を広げて止めに来たのは頭にお団子

 

 ヘアーをした女の子だった。

 

 ヴィオ「なんだてめえ?」

 

 女の子「皆をこれ以上傷つけちゃダメ!!」

 

 ヴィオ「悪人を庇うのか・・・自分の利益の為なら

 

 そこらへんの弱者の命を平気で踏みにじる連中をか?」

 

 女の子「だからってそんなことをしていい理由にならない!!

 

 君がそんな事をしたらいっしょじゃない!!」

 

 ヴィオ「うるせえ・・・そいつらを庇うお前も同罪だ!!」

 

 手の平に紫のエネルギーを溜めて大人と女の子を容赦無く

 

 消しにぶちまける。

 

 女の子は目を閉じた。

 

 だが、そのエネルギーが女の子を消すことは無かった。

 

 そのエネルギーは何かに遮られるように防がれたのだ。

 

 目を開けて目の前にいたのは・・・黒く長い衣服を見に纏った

 

 見ず知らずの日本人だった。

 

 女の子「え・・・?」

 

 ヴィオ「なんだてめえは?・・・!?」

 

 その瞬間有宇は目の前に瞬間移動し至近距離からぶん殴った。

 

 地面を蹴って砂埃ごとヴィオを吹き飛ばす。

 

 ヴィオ「ぐっ・・・!!」

 

 女の子「え・・・どうなっ・・・あたなは・・・?。」

 

 どういう訳か有宇は女の子から能力を『略奪』する。

 

 女の子「えっ・・・!?」

 

 男性「馬鹿野郎!!逃げるぞ!!」

 

 女の子「あっ、ちょっと・・・!!」

 

 彼氏とおもわしき男性が彼女の手を引っ張って戦場から

 

 遠ざける。

 

 ヴィオ「てめえ・・・そんなに奪われたけりゃ・・・!?」

 

 有宇は『崩壊』と『念力』を使って視界を塞ぎ相手の『略奪』

 

 を阻止する。

 

 ヴィオ「馬鹿が!!俺でも瞬間移動はつか・・・。」

 

 ヴィイジュバッ!!!

 

 有宇がポケットに持っていたナイフが、

 

 瞬間移動で背後に回ったヴィオの顔面を切り付ける。

 

 左目がざっくりと赤い縦線が刻まれてヴィオが悲鳴を上げる

 

 ヴィオ「ぐぁああああ!!!・・・くひひひははははは!!!

 

 ヴァカが!!!寿命を縮めると引き換えに致命傷からでも

 

 回復でき・・・・!?な・・・いつの間・・・!!」

 

 片目を手の平がいつの間にかくっつくように凍りついていた。

 

 有宇は加速を使って蹴りつける。

 

 ヴィオはバリアで防ぐも有宇は隼翼の仲間から貰った

 

 『透化』ですり抜け、『加速』でボッコボッコ蹴りつけていく

 

 ヴィオ「グバァ!!グバァ!!グバァ!!グバァ!!アベッ!!ガッ!!

 

 ぬああああああ!!!」

 

 ヴィオは『衝撃波』で吹き飛ばして『略奪』を試みるも、

 

 『砂嵐』を起こされて、視界を塞がれ『略奪』ができない

 

 ヴィオ「くそっ!!なんだこいつは!?」

 

 ウィダーゼリーを飲みながら『テレパシー』で語り開ける。

 

 少ない単語しかテレパシーできない上に声が小さいという

 

 酷い代物を使って。

 

 有宇(今のお前では俺には勝てない・・・。)

 

 しかしそのメッセージは大声以上に十分伝わった

 

 ヴィオが砂嵐を吹き飛ばした時には乙坂有宇はもう居なかった

 

 ヴィオ「ちっ・・・ぬぅああああああああああああ!!!」

 

 悔しさを滲ませた悲鳴が大地に響いた。

 

 空から攻撃機がミサイルを発射してヴィオを殺しにいく。

 

 ヴィオ「うるせえええええ!!!」

 

 ヴィオは誘導ミサイルの方向をひっくり返して攻撃機を

 

 撃墜する。 

 

 戦闘機パイロット「いわこっちゃない!!俺は知らない!!

 

 逃げるからな!!」

 

 そのパイロットは逃亡先にアジア1位2位を争う安全な国へ

 

 一目散に逃げていく。

 

 

 

 日本対馬上空

 

 中国人戦闘機パイロットは仲間達が散々訳のわからない

 

 能力者に虐殺されて何も考えずに一目散に逃げだし

 

 安全な飛行場着陸の為に通信を開く。

 

 パイロット「日本海上自衛官に通達する!!投稿する!!

 

 だから話を聞いてくれ!!安全と身柄の保障以外は求めてな・・」

 

 小声「ご苦労様・・・。」

 

 パイロット「ふぁっ!?」

 

 後ろを振り返るも声の主はおらず、戦闘機の真下にテレポート

 

 して現れ、上空から地上へ乙坂有宇は帰っていく。

 

 

 

 シャーロット研究所に帰った乙坂有宇

 

 奈緒「何やってたんですか!?一人で能力摂取しすぎたら

 

 記憶喪失で帰れなくなるんですよ!?」

 

 有宇「すまない・・・だけど・・・あいつが今度来たら

 

 確実に勝てる、後はその確信を掴むだけだ。」

 

 頼もしい顔で友利奈緒を見つめて答える有宇。

 

 友利は(?)となっていたが有宇の顔は自信に溢れていた。

 

 

 

 その後世界中で能力を奪いながらヴィオは暴れ回った。

 

 モニタールーム

 

 熊耳「あらゆる国家の能力施設や主要軍事拠点が壊滅

 

 ・・・本当にここでのんびりして大丈夫なのか!?」

 

 隼翼「一応・・・確認は取れているが・・・有宇の

 

 言う通りあらかた日本で渡してもらえる能力は渡した。

 

 ただ万が一の事も考えて能力を保持し続ける連中も

 

 残した。後は・・・賭けだ。」

 

 

 

 ヴィオはついに日本に上陸してきた。

 

 日本にある悪の能力者施設を破壊し尽くした後

 

 決戦の場所へと足を運んだ。

 

 そこはよりによって乙坂有宇と友利奈緒が初めて出会った

 

 場所だった。

 

 ヴィオは『破壊』の限りを撒き散らして叫んだ!!

 

 ヴィオ「リベンジだぁああああ!!!出てこい赤目野郎ぅううう!!

 

 出てこなきゃこの場所を破壊し尽くしてやるぅうううう!!!」

 

 有宇は無言で一人で奴の前に現れる。

 

 ヴィオ「もう、お前には負けねえ。世界のキャリアから

 

 も能力開化した連中からも能力を奪い尽くした。

 

 さあ決着をつけてやるぞ!!」

 

 有宇「ハンデをくれてやる。」

 

 ヴィオ「ハンデだぁ!?まだこの期に及んでふざけてんのかぁ!?」

 

 有宇「お前の誇る最強の能力を一つ、一回だけ食らってやる。」

 

 ヴィオ「はぁあああああ!?」

 

 有宇「ただし、生半可なら防ぐかも知れない。いっぱい能力

 

 奪いすぎて自分の誇れる能力なんてなんにも無いかも

 

 しれないが。」

 

 ヴィオ「・・・ふっはっはっはっはっはっはっは!!!いいだろう

 

 食らわせてやる、後悔すんなよぉおおおお!!?

 

 これが俺が産まれた時から持ってるお望み通り

 

 自分が誇れる『最強の能力』だぁああああ!!」

 

 乙坂有宇が・・・持ってる能力を全て『略奪』する。

 

 有宇の仲間達があぁぁっ!!!と声を上げて見守る。

 

 ヴィオ「ぶははははははははは!!!マヌケが!!全て

 

 奪ってやったぞ!!もう俺には誰も勝てねえ!!お前には

 

 対抗手段がねえ!!!すげえ量の能力だ!!!せっかく頑張って

 

 集めた能力引き渡すとは!!お前はヴァカ!!ヴァカ!!ヴァカ!!

 

 大馬鹿野郎だ!!!絶望に嘆きながらおとなしくなぶり殺しに

 

 して・・・・・。」

 

 ブブブブ・・・。

 

 キィーーーーン。

 

 その時ヴィオの視界にノイズが、頭に耳鳴りのような 

 

 頭痛が走る。

 

 ヴィオ「え?なんだ?」

 

 耳穴から、視界から血が流れ出して全身にどんどん

 

 激痛が駆け巡っていく。

 

 ヴィオ「なんだ・・・これは・・・!?わっ・・・うわぁああ!!!」

 

 予想以上だった。 

 

 友利が遠距離でカメラ撮影していて驚く。

 

 奈緒「ええええええええ!?あのラスボスじみた奴があっさり!?

 

 あんなに世界破壊してた奴が!?」

 

 有宇「予想を超えた状態に僕も正直驚いている。

 

 博士に確認したところ、発症した能力を脳が使う容量は

 

 0.01%100人で1%だ。そして世界で能力の発症する割合が

 

 最初は9000人という割合だったが人工の増加率と

 

 キャリアの割合を含めた場合15000人となる。

 

 そう、世界中全員の能力を集めた場合50%オーバーする。

 

 そして・・・脳が記憶を忘れる自己防衛機能を促す時間を

 

 待たずに残り約50%分の能力記録は何処へ行くと思う?そう、

 

 脳の生存必須機能記録を圧迫して君の生命を脅かす。

 

 僕が最後に『勇気』の能力を必要としたのは

 

 僕が君に全ての能力を奪われた後の『絶望』に打ち勝つ為

 

 たとえ全ての能力を失ってもたった一人の人を

 

 どんな苦難を超えてでも愛し続け、苦難の現実に打ち勝つ

 

 『勇気』・・・それが・・・お前に対峙する最後の能力だ。

 

 例を言う、お前があの時半分能力を奪ってくれて

 

 いなかったら・・・僕は旅の終わりに死んでいたと。」

 

 男は悲鳴を上げまくり、能力を暴走させて周りを破壊しながら

 

 立ち上がる。

 

 ヴィオ「う、うううううう・・・・・・

 

 ヴぁあああああああああああああああああああああ

 

 あああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 有宇「・・・・!?」

 

 電撃、業火、凍結、重力、光線、竜巻、そして目一杯の

 

 『憎悪』が全てを混沌とさせながら暴走する。

 

 ヴィオ「ふざけんなあああああああ!!!!こんなくっだらねえ

 

 理由でぇええ!!!中二病じみた説教のようなやられかたを

 

 ぉおおおおお!!!俺は全てを世界に奪われた!!!」

 

 

 

 回想

 

 幸せに暮らしていたど真ん中で全てを殺され、

 

 大切な者(友や恋人)を理不尽に殺され

 

 大人たちにボッコボコに殴られ、

 

 研究者小声(キャリア略奪は・・・略奪を続ければ

 

 続ける程、怒りと負の感情が溜まって・・・。)

 

 最後の心の支えだった母のような研究者も

 

 目の前で銃殺された。

 

 決めた。

 

 全てを壊す・・・俺を差し置いて幸せに笑ってる全ての

 

 連中をぉおおおおおおお!!!!ぶっ殺す!!!!!

 

 

 

 ヴィオ「もぉおおおおおお誰も信じねえぇえええ!!!

 

 俺達がこんなに泣いているのに、他人は高見の見物をして

 

 幸福を謳歌できているこんな世界が許せねええ・・・・・

 

 うぇえええええええええええ!!!!全てぇ滅べぇええ!!!

 

 滅べぇえええ!!!ぐあぁああああああああ!!!!!!」

 

 目から、耳から、毛穴から黒い血が噴き出して止まらない

 

 能力の暴走の渦は悪化し巨大化する一方。

 

 有宇は幻想でそいつの記憶を垣間見た。

 

 呆気に取られて動けなかった。

 

 エネルギーの余波が巨大化していき、このままでは

 

 有宇を巻き込んで殺すにも関わらずだ

 

 隼翼「有宇!!!!逃げろ!!!!このままじゃ死ぬぞ!!!」

 

 奈緒「大丈夫っす、正確には能力奪った総数はだいたい

 

 無害能力除いて約14900人のはずですから。」

 

 だが仮に逃げても能力が全て無くなった有宇には

 

 成す術は無い。

 

 戸惑い後ずさりする有宇。

 

 彼の運命をどうしたら笑顔にできたのか。

 

 そんなことを考えてる間に巻き込まれて死にそうな状態。

 

 その時だった。

 

 乙坂有宇の腹を抱えてあいつが現れた。

 

 有宇「へ?」

 

 高城丈士郎「確かここで初めて出会った時こうでしたね?

 

 女性を悲しめるのはナイト失格ですよ?」

 

 ≡≡≡≡≡3≡≡≡≡≡≡≡3≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡3

 

 能力の暴走爆発は辺り一帯を津波後の瓦礫より粉々の

 

 状態に巻き込んだ。

 

 もう町の一部がゴッソリエネルギーに食いちぎられ、

 

 その場所にはもう憎悪の『略奪者』はこの世に居なかった。

 

 

 

 有宇「うわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」

 

 高城の『自称瞬間移動』によって暴走エネルギーの

 

 魔の手から逃れたものの。

 

 どっぽぉおおおおおん!!!

 

 ⌒  ⌒  ⌒  ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ーーーーー

 

 川を水切りして無事(?)脱出成功した。

 

 有宇「・・・・げほっげほっげほっげほっげほっ!!!

 

 なんか前にもこんなことがあったような・・。」

 

 高城「ぶっはっはっはっはっはっは!!!ゆさりん護るために

 

 取っておいたかいがありましたよ!!」

 

 有宇「・・・ごめん・・・ぼーーーっとしてた。

 

 助けて貰ってすまない・・・。」

 

 高城「最後に期待すべきはやはり日々努力した自分ですよ。」

 

 親指を立てて笑う高城。

 

 隼翼「有宇ーーーーーーーーー!!!!」

 

 皆が二人の元にかけより無事を確認する。

 

 隼翼「やっと・・・終わったんだな・・・。」

 

 有宇「ああ・・・でもかわいそうなやつだった。

 

 出会い方さえ・・・よければ・・・彼は・・・友達に・・・

 

 なれたかもしれない。」

 

 ヴィオ・ドッペェル・・・脳容量生命圧迫により 

 

 死亡・・・・・。

 

 こうして『もうひとりの略奪』事件は

 

 完全に幕を降ろした。

 

 

 

 数年後

 

 乙坂有宇は全ての能力を失った後、友利奈緒を将来

 

 支えるために学校の教師となった。総合言語学科だ。

 

 友利奈緒と今度は能力無しで、行きたい場所へと行くために。

 

 奈緒「やれやれ、あんなんだった貴方が真面目に教師に

 

 なっちゃうとかびっくりします。」

 

 そこにいたのは学園含め総合経営担当者となって世界を

 

 走り回るCEOにまで上り詰めた友利奈緒だった。

 

 有宇「君の方がよっぽどすごいじゃないか。

 

 子供を何人も産みながら経営事業までするなんて。」

 

 奈緒「どーして貴方の子供を何人も何人も産みながら

 

 一緒にいるのか?どーして貴方に身体何度も許しちゃったのか

 

 全く、エロイ事は無駄に上手いだから(赤面小声)

 

 今でも本当に不思議です。」

 

 有宇「しゅん・・・。」

 

 奈緒「冗談ですよ貴方、子供を代わりに育てて貰って本当に

 

 感謝してます。それに生半可な収入じゃ世界を飛び回って

 

 見たい場所へと行けないじゃ無いですか。」

 

 青春が終われば

 

 夢も目標も無い人間は現実を相手に絶対に絶望を味わう。

 

 でも・・・誰かの手を取って・・・一緒に幸せになるために

 

 共に努力をして絶望の壁を破壊し、相克を克服した

 

 先に・・・成長した愛を見出だす。

 

 貴方と私が通じ合わなければ見えない愛を

 

 時間をかけて育てなくては人は・・・完成しない。

 

 あの旅でもし不便さ故に彼女を捨てて行ったならば

 

 ここまで成長できなかった。

 

 奈緒「貴方が世界を見せてくれたから今の私があるんです。

 

 今度世界を見に行くときは・・・。」

 

 

 

 家族と一緒に行きましょう。

 

 

 

           そしてみんなと一緒に笑いましょう。

 

 

 

 子供達を二人で愛でながら、能力が消えた今も

 

 変わることなく繋がり続けますように。

 

 

 

 


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