戦極凌馬の短編集シリーズ   作:ロボ戦極凌馬

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短編集置き場に移しました。内容は変わらないです!


第03話 一誠の仲間はヤベー奴

 

 

 

 

 ふむ、遂に俺の視点か。馴れないが頑張るとしよう。

 

 

 改めて、俺の名前は元浜。一誠と同じ駒王学園高等部二年に所属している。不本意だが、同学年の者達から『サイボーグ元浜』と呼ばれている。確かに俺は感情をあまり顔に出さないし、物事を淡々とこなす事が多いが……まぁ、良いだろう。

 

 

 現在、俺は学園での委員会の仕事を終えて帰宅中だ。先程、一誠がはぐれ悪魔の討伐を終えたという報告が忍者プレイヤーから送られて来た。

 

 

 故に、死のデータを回収したであろう一誠からバグヴァイザー及びガシャットを受け取る為に俺は自身の『研究室』に向かっている。

 

 

 俺は途中、辺りに人が居ないことを確認すると路地裏に入る。路地裏の中央まで来ると、目と鼻の先にソレが出現した。

 

 

 ソレは、オーロラの様に緩やかに揺らいでいる『灰色の壁』だ。灰色の壁は、ゆっくりと俺に近付いて来ると、激突することなく体をすり抜けて行った。

 

 

 だが、壁がすり抜けると景色が一瞬で変化した。先程までの薄暗く狭い路地裏ではなく、灰色の空間がどこまでも続いており、目の前には1つの鉄製の扉があるだけ。

 

 

 そんな、怪しさ満載の扉を躊躇なく俺は開ける。扉の先には、複数の机の上にはパソコンが数台置かれており、壁際には大量の機材が置かれている。この部屋こそ、先程言った『研究室』だ。

 

 

 俺は中に入って扉を閉める。部屋を見渡すと、隅の方に申し訳程度に配置された休憩用のテーブルとソファが目に映る。そのソファに寛いでいる人物が一人居た。

 

 

『よぉ、邪魔してるぞ』

 

 

 血の様な真っ赤なスーツとアーマーを身に纏った───兵藤一誠こと、ブラッドスタークが愉快そうな声で話し掛けてきた。

 

 

 そんなスタークを見て、俺は溜め息を吐きながら返答した。

 

 

「別に勝手に入るのは構わないが、せめて元の姿に戻ったらどうだ?」

 

『ハハハッ、悪い悪い。すっかり忘れてたぜ』

 

 

 スタークは笑いながらそう言うと、頭の角とパイプから煙を噴出させる。煙が晴れると、駒王学園指定の制服を着た一誠がそこに居た。

 

 

 すると、一誠は懐に手を入れると……

 

 

「元浜、ホイッ!」

 

 

 懐から取り出した物を俺に投げてきた。俺はそれを落とさないようにキャッチする。全く、もう少し丁寧に扱って貰いたいものだ。

 

 

 一誠が投げ渡して来たのは、学校で俺が預けたガシャコンバグヴァイザーとデンジャラスゾンビガシャットだった。視線を一誠に戻して問い掛ける。

 

 

「うむ、確かに受け取った。データは回収出来たのか?」

 

「勿論だ。調べれば分かるぜ」

 

 

 確かにそうだな、と思いながら、バグヴァイザーにセットされたガシャットを引き抜く。

 

 

【ガッシューン!】

 

 

 引き抜いたガシャットを俺が普段使っているパソコンの横に置かれた専用の機材にセットする。すると、パソコンの画面にガシャット内に蓄積された死のデータに関するデータが次々と表示されていく。

 

 

 キーボードを操作すること数分、一誠が死のデータを回収した事が事実だと分かったので、操作を止める。

 

 

「ふむ、本当に回収したようだな。安心したぞ」

 

「だろ? 俺はちゃんと仕事を全うする男だからな。それで? 死のデータは充分溜まったか?」

 

「もう少しだ。後少しで、このガシャットはレベルX未知数に到達する」

 

「んじゃ、俺か松田のどっちかで模擬戦だな。そうすれば、一気に死のデータが溜まるぞ」

 

「同時に俺が死に掛ける事になるのか……」

 

 

 一誠か松田、どちらかと模擬戦する事を想像すると億劫になる。一誠は遊んだりする事があるからまだ良いが、松田は面倒だ。松田は戦闘に関して一切手加減をしない。過去に戦闘データが欲しい為、松田と模擬戦をした事がある。結果的にデータは充分と言って良い程集まったが、俺が死にそうになった。

 

 

「それは仕方ない事だろ? 強大な力にはデメリットが付き物だ。死に掛けるぐらいじゃ、まだ軽い方だ」

 

「それはそうなんだがな……」

 

 

 一誠の言っている事は最もな事なのだが……うむ、模擬戦は一誠にして貰う事にしよう。それが良い。

 

 

「そう言えば、松田はどうした?」

 

「松田なら夕飯を食べに行ったぞ」

 

 

 松田は部活の助っ人を終えた後に必ずご飯を食べに行っている。それは別に構わないのだが、アイツの食べる量は異常だ。何せ、20人以上の料理を平気で平らげるのだ。いずれ、アイツの胃袋を研究してみたいものだ。

 

 

「成る程、いつも通りか。所で、アレの研究はどこまでも進んでる?」

 

 

 一誠が再び問い掛けてくる。俺は右手の中指で眼鏡をクイッと軽く上げて答えた。

 

 

「7割、と言った所だな。完成まで時間が掛かる。申し訳ないがもう暫く借りることになる」

 

「壊さないでくれよぉ~? 大事な物だからな」

 

「そんなミスは犯さない。そこは安心してくれ」

 

「OK、お前を信頼してるからな。それに、コレを使うことは当分無いだろうし」

 

 

 一誠は懐からある物を取り出した。それは俺も何度か見たことがあり、一誠から預かっているアレには欠かせない重要な物だ。黒を主体に部分的に白色が入り、メーターの様な物が組み込まれ、起動スイッチと接続部分が赤色のガジェットだ。

 

 

 フッ、と一瞬だけ笑みを浮かべた一誠は懐に戻してソファから立ち上がった。恐らく帰るのだろう。

 

 

「バグヴァイザーは返したし、俺は帰るとしますか。珈琲を作らないといけないからな、Ciao!」

 

 

 そう告げると、一誠は部屋から出て行った。相変わらず自由な奴だ。俺は椅子に座り、パソコンと向き合うとキーボードを操作する。今日中に終わらせたい事が幾つかあるので、その作業に取り掛かる。

 

 

 その作業は、日付が変わるまだ続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 一誠と元浜が話し合っている一方、住宅街から少し離れた森の中に複数の人影があった。

 

 

 だが、それは少し異様な光景だった。何故なら、一人を中心に10人程の人間が倒れているのだ。倒れている者は全員、フード付きのローブを纏い、ローブの中は神父服を着ている。

 

 そして、倒れている者達の中心に居る人物は駒王学園の制服を着崩した坊主頭の男───松田である。

 

 

 松田は倒れている者達を見て、溜め息を吐きながら呟く。

 

 

「お前ら弱っちいな。それでも祓魔師エクソシストかよ? 食後の運動にもならなかったぜ」

 

 

 祓魔師エクソシスト───それが倒れている者達の総称である。祓魔師と言っても、彼等は教会から追放された『はぐれ祓魔師』なのだ。

 

 

 倒れ伏している祓魔師の一人が、残りの力を振り絞って松田に問い掛けた。

 

 

「な、なぜ……」

 

「ん?」

 

「なぜ……我々が……ここ…に居るのが……分かった?」

 

 

 それが祓魔師の疑問だった。彼等はとある理由でこの町に侵入したのだ。その際、この町の管理者であるリアス・グレモリーに気付かれない様、最大限の注意を払ってきた。お陰で、リアス・グレモリーに気付かれる事なく侵入でき、こうして仲間達と合流したのだが……。

 

 

 松田は、まるで最初から彼等がここに居る事を分かっているかのようにやって来て彼等を倒したのだ。

 

 

 そして、先程の祓魔師の発言に松田は答える。だが、彼の口から放たれたのは男の予想を遥かに越える解答だった。

 

 

「───勘」

 

「……は?」

 

「いやだから、勘だよ。第六感ってやつ。俺って昔から勘は良いんだよな。と言っても、遅かれ早かれ忍者プレイヤーに発見されてたと思うけどな」

 

「勘……だと?」

 

 

 そう、勘である。これには男も戸惑いを隠せない。松田は決して嘘は言っていない。実際、この森に来たのも「この森に何か居る」という勘からなのだ。

 

 

 松田の解答に祓魔師は何とも言えない感情に支配される。こんな男に、そんなデタラメな理由で我々は殺られたのか……と。そのまま、問い掛けた男はその場で力尽きてしまった。

 

 

 松田は、この事を一誠と元浜に報告しようとポケットに手を入れてスマホを取り出そうとするが、後ろから足音がすることに気付いた。

 

 

「おっ、まだ仲間が居たのか」

 

「貴様!よくも我々の同士を!」

 

「これ以上は見逃せん。ここで死んで貰うぞ!」

 

 

 後方から複数の祓魔師が現れ、両手に光の剣と銃を装備して戦闘態勢に入る。それを確認した松田は、嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

 

「俺と戦うことは別に構わないけど……ただ、これだけは言わせくれ」

 

 

 男達は「何だ?」と怪訝に思いながら耳を傾ける。

 

 

「───命乞いだけはするなよ。時間の無駄だからな」

 

 

 そう告げると、松田は祓魔師に向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 




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