短編集置き場に移しました。内容は変わらないです!
あれから二日が経った。
放課後、俺達は行き着けの店である『フルーツパーラー』に来ている。ここの店長とは仲が良く、中学の頃からお世話になっている店だ。
この店の奥、硝子製のテーブルを挟むように配置されている2つのソファに俺達は座っている。1つには俺が、もう1つには松田と元浜が座っている。
今は俺達以外に客が居ないから、話し合いをするには打ってつけだ。俺達は各々注文したパフェを食いながら話している。
俺がリンゴパフェ、元浜がレモンパフェ、松田がブラッドオレンジパフェである。
「あれから二日か……元浜、連中の動きは?」
「忍者プレイヤーが常に見張っている。堕天使はこの町の廃墟になった教会を拠点にしているようだ」
松田は俺の質問に淡々と答える。松田が始末したはぐれ祓魔師から吐かせた情報によると、連中は1体の堕天使に雇われたという事が判明した。
雇い主の名前はレイナーレという女堕天使。昨日、三人の部下を引き連れて町に侵入したのを確認した。現在は元浜の忍者プレイヤーが見張っている。
はぐれ祓魔師達は護衛として雇われたらしく、レイナーレの本当の目的が分からなかったのだが、ここで忍者プレイヤーが大活躍! 連中が拠点にしている教会に忍び込ませすると、奴らの目的が判明した。
1つは、この町に居る神器を宿した人間の始末。もう1つは、この町にやって来るシスターに宿っている神器を奪うこと。
マジで忍者プレイヤー優秀だわ。こんな簡単に情報が手に入るなんて。まぁ、連中がガバガバ過ぎるってのもあるんだけどさ。
すると、黙々とパフェを食っていた松田が会話に入ってくる。
「それでどうするんだ? 今から教会に襲撃でもするのか? 俺は大賛成だぜ!」
「お前はただ暴れたいだけだろ。だが、松田の意見には俺も賛成する。奴らの狙いが分かった以上、待っている必要は無いと思う。被害が出る前に始末するべきだろう。データも手に入るだろうからな」
「いや元浜。お前、8割ぐらいはデータ収拾が目的だよな?」
「違う。9割だ」
「いや殆ど変わらねぇよ!」
俺は二人の漫才みたいなやり取りをニヤニヤしながらパフェを食う。この二人のやり取りは見ていて面白い。小学生の頃から知り合いだが、全く飽きない。ホント、コイツらは最高だ。ベストマッチってやつかもな。
正直、松田の意見には俺も賛成だ。元浜が言っていたが、狙いが分かった以上、ここで燻っている必要はない。
それに、この町は一応、悪魔が管理している事になっている。その町に、勝手に侵入した時点で連中は只ではすまない。
良し、ここは思いっきり行きますかね。
「じゃあ、連中の事は二人に任せるよ」
「ん? 一誠は一緒に来ねえのか?」
「俺は別にやることがあってな、今回は不参加だ。悪いな」
「ふむ、俺と松田だけでも特に問題はないが……何をする気だ?」
元浜の質問に俺は笑みを浮かべて答える。
「なぁ~に、ちょっと面白い奴を見付けてな」
俺の言葉に、二人は不思議そうに首を傾げた。
△▼△▼△▼△▼
「あ~、メンドクセェ」
夜、暗くなった道を俺様はブツブツと愚痴を溢しながら歩いている。
俺様の名前はフリード・セルゼン。今ははぐれだが、教会に居た時は周りから『天ッ才祓魔師』と呼ばれていた。
ちなみに、一体何が面倒くさいのか。これから悪魔と契約してる人間をぶっ殺しに行く途中なんですがねぇ? これが面倒で面倒で。
俺様はレイナーレって言う堕天使に護衛として雇われている訳なんだが、やれ買い物行ってこいだの。軽く掃除しろだの雑用を要求してくる。俺様は護衛として雇われた筈なんすけどねぇ。
そんな訳で、朝からこき使われて疲れてるのよ俺は。んで、俺様と同じ様にレイナーレの姐さんに雇われた祓魔師に変わって貰おうと考えたが、他の祓魔師が行方不明なんで、拠点を手薄にしたくないから無理だと断られた。
つーか、他の連中は何処をほっつき歩いてんだ? 姐さんの話によると100人程雇った筈なのに、20人しか集まって居ないらしい。
まぁ、どーでも良いけどな。俺様は早く仕事を終わらせてベッドにダイブするとしましょうかねぇ!
目的の家に着き、俺様は人払いの結界を張る。さてさて、お仕事タイムですわぁ!
勢い良く玄関を開け、中に侵入。猛スピードでリビングに駆け込む。
「どうも~! 天ッ才祓魔師のフリード・セルゼンでぇーす! 悪魔と契約している悪い子はあん…た……か…な……」
ハイテンションで入室すると、リビングに居たのは事前に調べていたこの家の主ではなく、血の様な真っ赤なボディに青緑のバイザーを付けたナニカが、ソファに足を組ながら座っていた。
『よぉ、初めましてだな』
俺様が固まっていると、すげぇダンディなお声で話し掛けてきた。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!!
俺様は何年も戦っている故に、相手が格上か格下なのかの判別はある程度出来る。目の前の存在に対して頭の中で警報が鳴りまくっている。冷や汗が止まらない!
マズイ! これはマジでヤバイ! どうする!?
「あ~、えっと、この家の主に用があるんすけど、ご在宅で?」
『生憎だが用事で今は居ない。残念だったな?』
「そ、そうっすか。いや~、残念ですわぁ~。日を改めてまた来ることにすんで、それじゃあ~」
かなり無理があるが、なんとかこの場から逃げ出そうと一瞬だけ背を向けた瞬間……
「がっ!?」
背中に何かが突き刺さった感覚がした。いや、突き刺さったぐらいなら問題はあまりない。問題なのは、体に力が入らなくなり、その場で倒れた事だ。
「あっ、がっ……!?」
『安心しろ、死にはしない。暫く動けなくなるだけだからなぁ』
赤いナニカが俺様の側に近付いて来た。体に力が入らない為、視線だけを上に動かすと、奴の手にはナイフが握られていた。
『おやすみフリード・セルゼン。次に眼が覚めた時は珈琲を飲ませてやるよ』
俺様の意識は、そこで途切れた。
△▼△▼△▼△▼
いや~、上手く行ったねぇ。俺はフリード・セルゼンの背中に刺さっているナイフを抜き取る。このナイフには俺特製の毒を塗ってある。毒と言っても死にはしないから大丈夫。
そう、俺が言っていた用事はこれである。松田が始末したはぐれ祓魔師からの情報の中に、この男の情報があったのだ。
フリード・セルゼン、元ヴァチカン法王庁直属の祓魔師エクソシスト。13歳で祓魔師となった天才だ。ただ、悪魔だけでなく仕事仲間にすら手に掛け、数々の問題行動を起こした結果、異端認定された。
良く今まで生きてたなと思うね。運が良いのだろうか?
この男は使える、駒として、モルモットとしてな。元浜も喜ぶことだろう。
『さて、コイツを運ぶとするか』
倒れているフリードを肩に担ぐ。あっ、この家の主は本当に出かけている。俺が勝手に不法侵入しただけだ。殺してはいないよ?
『フリード・セルゼン、お前には役に立って貰うぞ。あのボ・ト・ル・の完成の為にもな』
フリードの眼が覚めたら、ネビュラガスを注入するとしよう。
『あの二人は上手く行ったか? 問題は無いと思うが……』
俺は松田と元浜の方はどうなったかと考えながら、スチームガンから煙を放出して離脱した。
△▼△▼△▼△▼
夜の20時。
俺と松田は、廃墟となった教会の裏の森の中に居る。ここは住宅街から少し距離がある為、辺りに一般人の気配は無い。
「松田よ、準備は良いか?」
「おうよ! 絶好調だぜ!」
問題はないようだ。俺自身も異常はない。今回の戦い、戦闘データ及び死のデータを収拾・回収する。
俺はピンクのレバーが取り付けられた黄緑のバックル『ゲーマドライバー』を取り出し、下腹部に押し当てる。
すると、バックルからベルトが自動的に伸長し、固定される。
ポケットから『MIGHTY ACTION X』というラベルが貼られた紫色のゲームカセット『プロトマイティアクションXガシャット』を右手に持ち、起動スイッチを押した。
【MIGHTY ACTION X!】
音声が鳴ると、ガシャットに内蔵された装置が起動し『ゲームエリア』を展開、背後には紫色のゲーム画面が出現し、画面から複数の茶色のブロックがゲームエリア内に散らばる。
「グレード2、変身」
右手を前に出し、ガシャットを半回転させて、ドライバーの中央よりのスロットに装填する。装填した瞬間、ピンクのレバーを展開した。
【ガシャット! ガッチャーン! LEVEL UP!】
キャラが描かれた複数のパネルが俺の回りに出現し、目の前にきたパネルを左手でタッチする。タッチすると『Select!』という文字が浮かび上がり、他のパネルが弾け飛ぶと同時にドライバーから紫色のディスプレイが放出され、パネルとディスプレイが同時に体を通り抜ける。
【マイティジャンプ! マイティキック! マイティーアクショーン! エックス!】
複数の紫のラインが走った黒のアンダースーツを身に纏い、背中には瞳がない顔が装着され、ギザギサの黒い頭部、胸部装甲にはコントローラーのボタンを模した管理モジュール『エクスコントローラー』が配置され、自身の残存体力を表示する『ライダーゲージ』が表示されている。
黒き幻の夢─────“仮面ライダーゲンム”へと変身した。
一方の松田は、水色・青・赤の三枚のメダルがセットされた円形のバックル『ポセイドンドライバー』を取り出し、下腹部に押し当てる。同じ様にベルトが伸長し、固定された。
「──変身」
【サメ! クジラ! オオカミウオ!】
松田が言葉を告げると、ベルトから3つの紋章が浮かび上がった。それらが1つとなると松田の体に吸い込まれ、姿が変わった。
黒のアンダースーツに鮫を模した鋭利な顔、鯨を模した青い鎧、オオカミウオの様な赤銅色の脚部。鎧の中心には鮫・鯨・オオカミウオの紋章が三角形で配置されている。
未来からやって来た、海の力を支配する戦士────“仮面ライダーポセイドン”へと変身した。
俺はパッド型武器の『ガシャコンバグヴァイザー』を、松田はオオカミウオを模した槍『ディーペストハープーン』をそれぞれ装備した。
俺達は互いに顔を向き合い、軽く頷くと教会の方へと歩き始める。
如何でしたか?