戦極凌馬の短編集シリーズ   作:ロボ戦極凌馬

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短編集置き場に移しました。内容は変わらないです!


HSDD ━GOD SPEED HENTAI━
第1話 三人衆は高校生


 

 

「あ~、彼女欲しぃ~」

 

「同感だぜ」

 

「やめろ、虚しくなる」

 

 

 今日の授業は全て終わり、今は放課後。学園にある広い庭、そこで俺達三人は横一列になって寝転がっている。四月特有のポカポカした陽気のせいか、時折、睡魔が襲ってくる。

 

 あっ、自己紹介がまだったな。俺は『兵藤一誠』。生まれ育った町『駒王町』に建てられている学校『駒王学園』の高等部に通う男子高校生だ。学年は二年。

 

 俺は今、親友二人と一緒にある事について話し合っている。それは日本中、いや、世界中の高校生が考え、悩み込んでしまうであろう事。

 

 そう、恋人が欲しいということだ!

 

 男子なら彼女が、女子なら彼氏が欲しいと思っている筈! いや、一部例外があるかもしれないけどさ。

 兎に角、俺達は彼女が欲しいと常々思っている。思っているのだが……。

 

 

「つーか俺達、彼女を作りたくても作れないからなぁ」

 

 

 考え込んでいると、俺の左隣に居る坊主頭の男子『松田』がそう呟いた。

 

 

「松田よ、話を根本から否定しないでくれ」

 

「でも、事実じゃん?」

 

「まぁ、確かに事実だが……」

 

 

 松田の呟きに反応したのは、俺の右隣に居る人間を掛けたメガn……じゃなくて、眼鏡を掛けた黒髪の男子『元浜』だった。

 

 

「おい一誠。今、俺に対して失礼な事を考えただろう?」

 

 

 コイツ、なんて鋭さだ……! 流石は、テストで学年一位をキープし続ける程の頭脳を持つ男だ。その優秀さは伊達じゃないな! とまぁ、おふざけはここまでにして話を元に戻すとしよう。松田が言った事は事実だ。俺達は、とある理由で彼女を作れない。別に絶対に作れない訳じゃないけど、ちょっと難しいんだよな。

 

 さて、その理由はまた別の機会に話すとして、次は何のテーマについて話し合うか。

 

 

「松田のせいで彼女欲しいのテーマが終わっちまったし、ボーイズトークへと洒落込もうぜ!」

 

「いや、ボーイズトークってなんだよ。初耳だぞ」

 

「ボーイズはガールズトーク同様、恋話で行く」

 

「一誠よ、先程のトーク内容とあまり変わらない気がするが?」

 

「気にするな元浜。はい、好きな人又は気になる子が居る人~」

 

「「……」」

 

「いやトーク終わっちゃうんだけど!?」

 

 

 嘘だろ!? この二人、気になる子すら居ないの? 男として大丈夫なのか? ちょっと心配になってきた。

 

 

「おいおい、お前らマジか?気になる子すら居ないの? まさか、お前らソッチ系?」

 

「違うわこの野郎! とんでもない勘違いすんな!」

 

「全くだ。そう言う一誠は、誰か気になる女子は居ないのか?」

 

 

 俺の発言に驚いたのか、二人はガバッ! っと、凄い勢いで上半身を起き上がらせ反論してくる。俺も二人の様に起き上がる。俺が気になる人? そりゃあ、気になる人の一人や……二人……。

 

 

「……すまん、居ないわ」

 

「「居ないのかよッ!!」」

 

 

 お、オカシイナァ~。自分から話を振っておいてあれだけど、気になる子が居ねぇや。駒王学園って、元々は女子校だから男子より女子の比率が高いし、女子も美少女が多いんだよね。なのに、気になる女子が一人も居ないなんて……!

 

 

「あれだな……彼女欲しい云々の前に、先ずは気になる子を見付けないとな」

 

「そうだな」

 

「うむ」

 

 

 三人揃って「ハァ~」と溜め息を付く。なんだか、本当に虚しくなって来た。

 

 

 

「……帰るか」

 

「だな」

 

「その意見に賛成だ」

 

 

 満場一致のようだから、俺達は行動に移す。その場に立ち上がり、制服に少し付いた草をはたき落とし、枕代わりにしていた学校指定の鞄を手に持ち、校門に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は、20時。

 

 数時間前までは、綺麗な茜色に染まっていた空は黒く染まり、夕陽の代わりに満月が夜空に上がっている。町の駅周辺は、夕方に比べれば人通りは少ないが、それでも会社帰りのサラリーマンや部活やバイト等で帰りが遅くなった学生がちらほらと居る。

 

 その町の中心地からかなり離れた場所には工場が存在する。工場と言っても、今は機能していない。数年前に工場内で起きた事故により廃墟となってしまったのだ。

 

 そんな、誰も居ない筈の工場の敷地内で人ではないナニカが走る。体は人よりも大きく、人の足を肥大化させたような4本の足、筋肉の盛り上がった二本の腕、側頭部から生えた2本の角を持っている。

 

 ナニカ────『はぐれ悪魔』と呼ばれる存在は、息を切らしながら走り続ける。まるで、何かから逃げているかの様に。

 

 

(クソクソクソクソッ!! 何なんだアイツ等は!?)

 

 

 はぐれ悪魔の言う『アイツ等』、それが必死に走り続ける理由である。このはぐれ悪魔には、他に二体の仲間が存在したのだが、その姿は見当たらない。

 

 それも当然だろう。何故なら、既に殺されてしまったのだから。

 

 仲間が一瞬で殺られてしまったのを目の当たりにしたはぐれ悪魔は、心の底から恐怖した。

 故に、何としてでも生き延びる為に走り続けている。この工場から、自分を追って来ているであろう者達から。

 

 

(ハァ、ハァッ!! 後少しだ……! 後少しで!!)

 

 

 後少しで工場から脱出出来る、そんな考えが頭を過った、その時だった。

 

 

「ガァッ!!??」

 

 

 一発の銃声が鳴り響いた瞬間、はぐれ悪魔の足に激痛が走った。あまりの痛みに、走り続けていた足を止めてしまう。確認してみると、左側の前足と後ろ足に穴が開いており、そこから血が止めどなく流れていた。恐らく、後ろ足に命中した弾丸が貫通し、そのまま前足も貫いたのだろう。

 

 顔を苦痛に歪ませながら、はぐれ悪魔は後ろを向いた。否、向いてしまった。

 

 

「ひぃッ!?」

 

 

 はぐれ悪魔の目に映ったのは、それぞれ金・銀・銅のアーマーを纏った仮面の戦士だった。この三人こそ、はぐれ悪魔の言っていた『アイツ等』なのである。

 

 発砲した銃を下ろす銅色の戦士。銃を下ろしたのと同時に、はぐれ悪魔に向かって歩き出す三人の戦士。

 

 このままだと殺される。脳がそう理解し途端、はぐれ悪魔の全身が震え出した。死んでいった仲間達のように自分も殺られる。そんな恐怖が、はぐれ悪魔を支配していく。

 

 

「チク……ショウ……! チクショウォォォォォォォォォッ!!!」

 

 

 雄叫びを上げながら、三人の戦士に向かって走り出した。どうせ死ぬのなら、せめて奴等に一撃を与えたい。

 

 言わば、最後の足掻きだ。

 

 持ち前の強靭な腕を振り絞り、狙いを定める。狙うは金の戦士……だが。

 

 

 

 【HYPER CLOCK UP(ハイパークロックアップ)!】

 

 

 

 そんな電子音声が響くと、金の戦士が消えたと同時にはぐれ悪魔が爆散し、大きな炎となって消滅した。

 はぐれ悪魔が消滅した後も、金の戦士は姿を現さず、金の戦士を追うように銀と銅の戦士もいつの間にか居なくなっていた。

 

 ただ、最後のはぐれ悪魔が爆散した場所には、一輪の青い薔薇が残されていたのだった。

 

 

 

 

 

 




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