どうだうれしかろー?
因みに私は貰えませんでした……
「コンコンコン」
夜分遅くに申し訳ありません、紅美鈴です。
えっとご就寝される前に少しお話ししたいな、と思いまして……お部屋にお邪魔してもよろしいですか?
ありがとうございます!
では、失礼しますね。
「ガチャ」
「キィー、パタン」
それでは、しばらくお邪魔します。お疲れだと思いますのであんまり長居はしないよう気を付けますが、もし眠ければいつでも言ってくださいね。
それにしても……いつも何気なくお掃除している部屋ですが、あなたがいるってだけで何だか全く別の部屋に見えるのが不思議ですねぇ。あ、もちろん悪い意味じゃないですよ!? 柔らかい感じがすると言いますか、安心できると言いますか……。
ふふ、そのお世辞は素直に受け取っておきましょう。でも、華やかになった、というならお嬢様か咲夜さんが来たときのほうが正しいですよ。
え、お世辞じゃないって?
ありがとうございます、嬉しいですよ。
ええ、本気ではありません。確かに褒められるのは嬉しいですよ。やっぱりお嬢様には勝てませんもの。勿論パチュリー様や咲夜さん、妹様にも。それに、私は自分自身が褒められてるのに慣れてないので、私よりもお嬢様がたの美しさについていっていただいたほうが嬉しかったりします。勿論、お嬢様に褒めていただく時とかの一部の例外は有りますけどね。
え、突然そんなこと言われましても。
いや、こうして向かい合うことは珍しいですけど……そんな風に言われたら、なんだかこっちも照れます……
もう、そんな"してやったり"みたいな顔しないでください!
くぅ、何も言えないのが悔しいです。
……あれ、そう言えばそのティーセット、どうしたんですか?
お嬢様から!?
あのお嬢様が人に贈り物するなんて……。天地始まって以来の出来事ですよ!
ええ、すごくビックリしました。太歳正君が実はロボットだった、ってときぐらいビックリしました。
ふふふ。
あ、そう言えば折角ですしお茶でも入れましょうか。こう見えても、お茶を入れるのは得意なんですよ、ずっとやってきましたから。
ええ。まぁ、咲夜さんには負けますけどねー。
それでは少し失礼しまして。
あぁ、いいですよそんな!
私が押し掛けたのですから、これぐらいはやらせてください。
はい。それでは座って少し待っててくださいね♪
《10分後》
「チョロロ――トプン」
「カチャ」
お待たせしました、ローズヒップティーです。
疲労回復の効果がありますので、これを飲んでぐっすりと寝てくださいね。
ふふ、気づいてましたか? あなた、さっきからまぶたが落ちそうですよ?
はい、それじゃ、私はそろそろお暇しますね。明日のパーティはお嬢様も特別はりきっておいででしたから、しっかりと休んで疲れをとってくださいね。プレゼントをもらったり、パーティに招待したり……あなたはずいぶんお嬢様に気に入られているみたいです。少し嫉妬してしまいますよ。
……く、あはは!冗談ですよ、冗談! お嬢様が気に入ったお客様に嫉妬なんてしてたら、怒られちゃいますもの。
そんな目で見てもダメですよ♪さっきのお返しです、ビックリしたでしょう?
……さて、あなたの可愛い顔も見れたことですし、ホントにお暇しましょう。あんまりいると今度はお嬢様に嫉妬されちゃうかもわかりませんし。
(それに、私の方が元気もらっちゃうぐらいには大丈夫そうです)
はい? あ、ああいえ何でもありませんよ!
こ、ここ、こっちの話です!
……内容まで聞こえてました?
よかったぁ……それじゃ、これで
……え?
ここに来た理由は結局なんだったの?って、それはお話をするためで……。
うぅ、言わなきゃダメですか?
……そんな悲しそうな目で見ないでくださいよ、分かりましたから!
ちゃんと説明しますから!
……実はですね。ええと、あなたがこの館に泊まるのって初めてですよね。それで、吸血鬼の館に初めて泊まるのだから緊張して眠れないのでは、と思いまして。だったら、いつものように私とお話ししていれば緊張も少し和らいで、眠れるようになるんじゃないか、と考えた次第です。
上手くいくか不安だったんですけど……あなたがその調子なら成功したみたいです。
ですが申し訳ありません、余計な心配をしてしまって。
許して頂けるのですか?
感謝なんてとんでもないですよ!
私の方こそ……
へ?
じゃあ、代わりに何かしてほしい?
え、あう、いきなりそんなこと言われても……何をすれば……
ええ!? そ、添い寝ですと!? いやでも、そんな、ダメですって!
う、それを言われると……言ったのは確かに私ですものね。はぁ、私もひとかどの武人、言ったことは守りましょう。
でも、私結構、その、大きいですから狭くなっても知りませんよ?
そっちは関係ありません!背の話をしているんですよ、どこを見てるのですかまったく。
ええと、それじゃぁ……失礼します……。
「ゴソゴソ」
ふぁ、暖かい……ふふ、あなたは体温が高いのですね
え、そうでもない?
じゃあ、あなただから、なのでしょうか。
すぐに出るつもりだったのですが、これは……ふわぁ……
失礼しました、何だか眠くなってきてしまいまして……あなたのためにしているのにこれじゃ意味がありませんね。
ふふ、そんなことを聞いたら少し眠気が和らぎましたよ。私こそ、あなたの寝顔を拝見させてもらうとしましょう。まぁ、それまでは楽しくお話ししましょう?
ええと、私のお仕事ですか?
もちろん門番ですよ。私の大切な人たちを害そうとするものを通さず、喜びそうなものだけを通す……なんてかっこいい存在にはなれませんが、そんな心意気でやってます。
あ、はい。一応、お庭の手入れや咲夜さんのお手伝いなんかもしてますよ。
咲夜さんも人間ですから、どうしても疲れが溜まってしまうのです。毎度、申し訳なさそうにお仕事をかわるのですが、無理にお仕事をさせたらお嬢様に怒られちゃいますから。それに、この館の住人は全員咲夜さんにすごく助けられてますからね。もし疲れていても仕事をしようとしたら、全員で何とかすると思います。
……あ、ごめんなさい、こちらの話ばかりして。
ありがとうございます、優しいのですね。
そうだ、何かしてほしいことはありませんか?
そう遠慮せずに! 話を聞いてもらったお礼ですよ。
……はい?そんなことでよろしければ、すぐにできますが……
ええと、じゃあ、失礼しますよ。
「ぎゅうっ」
ど、どうですか?人を抱き締めたのなんて全然ないので加減がわからなくて……苦しくないですか?
大丈夫? ……よかったぁ。苦しかったらいつでもいってくださいね。
それにしても、この体勢……顔が近い、ですね。
ちょっと恥ずかしいです。
し、仕方ないでしょう? こんなのは初めてですから。
それに、そういうあなただってほっぺたが赤くなっていますよ
やめませんよ、嫌じゃないです。
あなたの体は温かいですし、なんだかとても、その……安心、しますし。
そ、それに!
私はあなたに感謝もしてるんですよ。
あなたは特になにかをしてくれた訳じゃありません。でも、いつでも変わらず私たちに接してくれた人間でもあります。そんな優しいところがお嬢様の胸を打ったのだと思いますよ――そして、私の心も。
だから、本当にありがとうございます。
あれ、もっと顔が赤くなりましたね。もしかして私にドキドキしてたり……なーんて。
でも、顔を近づけたら、もっと赤くなるかな……?
えへへ、予想どおり、ですね
だって、あともうちょっとで鼻とか他のトコがくっつきそうなぐらいですもの。ん、でもこれ……私も恥ずかしいですね……。
うぅ、はい。じぶんでやったのに、ですよ。
あれ、でも、この位置だともしかしたら出来るかもですね。
え、なにが……って分からないなら実際にやってみますか?
ふふ、今さら慌てても遅いですよ、ほらほら観念してください。むぎゅう〜。
ようやく大人しくなりましたね♪
じゃあ、ちょっと目は閉じていてくださいよ……?
ん〜〜
……ちゅっ。
あはは、まんまと騙されてくれました♪
驚きました?
実はおでこにしただけですよ?
って、そんなに拗ねなくても良いじゃないですか〜……
ほんのちょっとからかっただけですって……(もう、可愛いなぁ)
あ、もしかして、イヤ、でしたか……?
……そうですか、ごめんなさい。失礼なことをしましたね、じゃあ、すぐに出ていきますので……
って、そっちなんですか!?
じゃあ、ダメですよ。口へは、その……もっと特別なときに、です。
はい、どうしてもダメです。
だからいまはまだ……
ちゅっ
ほっぺたで、許してくれませんか?
えへへ、ありがとうございます。
………………でも、いつか。
あなたが私を選んでくれるのなら、今度こそ、こっちにしますから。
ふふ、今はまだいいですよ。お嬢様もまだ決めかねておられますし。
だから、そのときが来るまで、来ないとしても私はあなたを守り続けましょう。私の大切な人たちと同じように。
ええ、それが門番の役割ですから。
それに、疲れたときはもう一度いらしてください。こうやって、また何でもない話をしましょう。お互いくっついて。
ふふっ、ええお待ちしております。さて、それじゃあ……ふぁ……すいません、私もそろそろ限界みたいです。
でも、それはあなたも、でしょう?
ここは両方引き分けってことにしておきましょうか。
なにが……って最初の約束ですよ、どっちが先に寝るか、みたいな。
ええ……それにしても、いよいよ限界ですね……ふわぁ
はい、あなたもよい夢を。
そして、できれば明日からもこうして……何でもない日々を積み重ねて……いきましょうね。
それじゃあ
お休みなさい……♪
ところどころオリジナルの設定がございますが、それと地味に駆け足ですがゆるしてくだちい。