※なお、オリジナル設定、独自解釈、メタ発言?が多々ありますのでそれらが大丈夫な方のみゆっくりしていってね!
「というわけで、今からここ地霊殿の大掃除を始めます」
お姉ちゃんの号令に、そこに集まった皆が声をあげる。
なんて、他人事みたいに言ったけどもちろん私もやるきまんまんだ。今日だけは能力がどうのこうのとかいってる場合じゃない。
なぜなら、この地霊殿にとって大掃除は誇張なしの戦争なのだから。
「まず、集まっていただいた皆様に感謝を。私たちも精一杯努力するつもりではありますが、やはり手が足りない。そこで、皆様の力が必要なわけです。
今年も例年と同じく厳しい戦場となるでしょう。しかし、皆様なら安心して任せられます」
助っ人はいつもと同じ五人。と、プラスして一人。
あれ、妖怪って数えかた人でいいんだっけ?
お姉ちゃんの言葉に軽く手を振って、みんな頷く。
「気にしなさんな、地霊殿の主さんよ。
あたしらは報酬のために戦う。あんた方もそれで助かるってんなら、そこに気兼ねする必要なんざないよ」
「そうだぞー、サトリ妖怪」
「私もサトリだよー」
「ん?おぉ、ごめんなー。
ま、とにかく鬼の四天王が二人もいるんだ、大船に乗ったつもりでどーんと任せておきなよぅ!」
この旧地獄で最強と噂される星熊勇儀さんと伊吹萃香さん、この二人が頷いてくれるなら心強いよね。いつもだけど、お姉ちゃんの心配もこれですこしは晴れてほしいなぁ。
すると、二人に触発されたのか、橋姫さんとキスメちゃんも控えめながら主張する。
「細かい穴がたくさん空いている船でしょう、あなたたちのは。それもまっすぐしか進めないやつ。でも、強いからってだけで、その穴を修繕して回るやつのことなんて考えなくていいんだものね。ああ妬ましい」
「…………がんばる」
「あっはっは、勇儀らしいね。上がはりきってんだ、あたしも少しは役にたたせてもらうよ」
あ、キスメちゃんすごくやる気だ、嬉しいなぁ。それにパルスィさんもなんのかんの言いながら、抜けてきたやつを通さないって言ってくれてるし。毎年いちばんお世話になってるのって、実はパルスィさんだったりするんだよねぇ。で、ヤマメは……まぁ、いつも通りかな。あれでいて結構計算高いはずなのに、能天気っぽい感じをだしてるんだよね。
「ふん、誰にも気づかれないように――目立たないようにフォローできるって妬ましいわね。私もそんなのがほしかったわ」
「ん、どうした、パルスィ。なんかいたか?」
「はぁ、本当に羨ましくて妬ましい。なんでもないわよ」
まぁ、感謝には羨望が含まれてるから気づけるのかな?
そんな簡単に見てくれるなんて、口癖じゃないけど妬ましいね。
さて、それじゃこれで全員かな。
あと一人は、もうあっちに待機している。結界の準備するとか言ってたし。
そんな風に思い思いに意思を表明してくれた皆にお姉ちゃんもふんわりと微笑う。
「ええ、本当に頼りにしていますよ。
勿論、あなたたちも」
うわ、ビックリした。
突然、後ろを振り返ったお姉ちゃんにつられて視線を向けると、いつの間にか戻ってきていたお空とお燐がいた。
「ふっふっふ。任せて下さい、さとりさま!
今回は神様に頼んで秘策を用意してもらったから、期待していてね♪」
「前回みたいに、屋敷の一角ごと吹き飛ぶような策じゃなけりゃいいんだけどねぇ……。あ、さとり様、灼熱地獄の方の安定化は終わりました」
お空は自分のむねを拳で叩いて、ニコニコと。
お燐はそんなお空を苦笑いしつつも、目に力を込めて。
うんと、たしか前回はなにしたんだっけ?
……あぁ、秘密裏に来たひとたちへの対策に核熱の力を少しだけ込めた地雷を設置したんだっけ。いや〜、外向きに配置してなかったら今頃うちが四分の一位の大きさになってたね。
「お燐、いつも通り確認ありがとうございます。
お空、頼りにしていますよ。ただ、皆が困らないようにしてくださいね?」
そういって、少し悩ましげに笑う。でも、きつい注意はなし。
ちぇー、お姉ちゃんはお空に甘すぎなのよー。前回のだって、私が無意識に危険を察知してなきゃ危なかったんだからね。まあ、それでも完全には取り除かなかったんだけどさ。結局、あれが決定打で敵が引いていったし。
私がぶーたれている間に、お姉ちゃんはまた前を向く。
「さて、では配置の確認をしましょう。
基本は前回と変わりません。勇儀さん、萃香さんはそれぞれ門から東側と西側の侵入者を迎撃。
パルスィさん、キスメさんは抜けてきた敵を狩り潰し。
ヤマメさんは、どうしても目の届かなさそうな所にトラップの設置を。破壊力が必要ならお空の力を使ってくださいね。
お燐は屋敷の内部、お空は地獄の方をそれぞれ片付けてください。
それぞれの細かい役目については割愛させていただきます」
宜しいですねと見渡すけど、皆前回もいた人たちだ。それぐらいはわかっている。
他の人たちの肯定を受け取り、お姉ちゃんはふぅ、と息をつく。お姉ちゃんは基本人見知りと言うか引きこもりだからね。なれた人の前だったとしてもそんなに疲れてるなら、お燐とかに説明を任せればいいのに。
だってのに、お姉ちゃんはまだ続ける。
「さて、今回も総指揮は私とこいしでとります。
とはいえ、私は後方からの一方的な指示、こいしは皆のフォローとなりますけどね」
だからこそ、ここに集まってくれてる人も一時の主として認めてくれてるんだろうけど。鬼でさえ協力してくれるなんて、誰も予想できないよねぇ?
「あぁ、任せたよ総大将。あたしらはなんも考えずに体動かしてる方が性にあってるってなもんさね」
「そぉそぉ。ま〜、たまにゃ指示に従えないけど、あんたならうまくやってくれるんだよな〜?」
「「そ、れ、よ、り、も」」
「今年もちゃんと用意してんだろうな?
いや、疑ってるわけじゃあ無いんだけどさぁ」
「せっかく頑張ったのになにもなし、なんて興醒めだからなぁ〜」
まぁ、この人たちが協力してくれるのは9割位報酬のお陰でもあるけどね。
「ええ、勿論。なんなら現物を先にお出ししましょうか……と、出したら飲まれてしまいますね。危ないところでした」
「違いねぇ」
「酒を出されて呑まないのは鬼の恥だからなぁ」
「「あっはっはっは!!」」
いつも愉快そうでいいなぁ。私はあんまりお酒飲まないけど、気の合う飲み友達がいたらこんな感じになるのかしら。それとも、テンション高いのはやっぱり報酬のせいかな。
『黄泉坂追八雷』。地獄の、しかも灼熱地獄の温度を使って何度も蒸留と継ぎ足しを重ねて作る、地霊殿の特産品だ。灼熱地獄のエネルギーを存分に蓄えているから、いつまでたってもあっついままで、素人には優しくないほどの強い辛口。でも大酒のみには堪らない癖になる味……らしい。お姉ちゃんが作ったお酒の説明が大体そんな感じだったはず。まぁ、鬼が求めるってことはそれほど美味しい酒なんじゃないかな。
「さて、事前の確認はこれぐらいでいいでしょう。そろそろ本格的に始めましょうか」
さとりお姉ちゃんがパンっと手を叩くと、他の皆もやる気十分にうなずいた。
「ええ、私もキスメも用意できているわよ」
「…………」(ふんすっ)
「ふっふふふ、あたしの超絶トラップ秘技に酔いしれるといいよ!」
「ヤマメ、お前また変な本読んだな?」
「面白くていぃんじゃない? ま、一匹もそっちにいかなきゃ悲惨だけどな〜」
「三歩歩かなければ大丈夫………あれ、何歩歩いたんだっけ?」
「のっけから、心配なことしてんじゃないよ! ほらさっさといったいった」
うん、こんだけ協力的なら私はなにもしなくていいかも。やることがないんだもん、私が何もやらなくなるのは是非もないよネ!
……あれ、いまなんか口走ってた気がする。
「では、解散!」
『応!』
お姉ちゃんの号令と共にそれぞれのもちばへと散っていく。その場に残ったのは私とお姉ちゃんだけ。いや、私と『お姉ちゃんだけ』かな?言葉遊びはあんまり得意じゃないけど、茶化してないとやってられないや。お姉ちゃんも後ろ向いて準備し始めたし。
さて、それじゃ私もそろそろ行かなきゃ。先に見に行くとしたら、巫女ちゃんかな。実力が多少あるとはいえ新人さんだもんね、あの子。やっぱり、最初の方がいいよねぇ。
皆に続いて部屋からフラフラと出ていこうとする。お姉ちゃんは私に背を向けたままだった。
けど、
「一人でやる言葉遊びはイタイだけよ、こいし」
……! ビックリするから、突然声出すのやめてほしい。
と言うか、気づいてたんならもっと早く声をかけてくれればよかったのにさ。
「心が読めるからソレも相まって?」
「うん。それにセンス自体が」
「酷いなぁ、お姉ちゃんは。家族なんだから優しくしてよ」
「家族だからハッキリしないといけないわ。世間に出るとき恥ずかしくないようにね」
「お姉ちゃんの知識がお恥ずかしいことに、私はもう世間に出てるよ。誰も気づいてくれないけど」
「それは外を歩いてるだけの引きこもりです。誰とも交流してないんだから引きこもりよ、自分の中にこもってるやつ」
「失礼な、私にだって友達くらいいるよ!」
「……こ、こいしに……とも、だち……?」
「妖怪だって泣きたくなるときがあるってことを忘れないで。そして、それは今」
「……っあぁ、こいし。もしかしてこいしのお友だちって頭の中にすんでいる方かしら?
だとしたら、そうねこいしには友達がいっぱいいるわね」
「能力があるからなのか、お姉ちゃんって心の削り方は一級だよね」
「まぁ、こいしっていうたった一人の妹のために磨いた技だし」
「ホント嫌な家族だなぁ!!」
仕返しに、今度お空にお姉ちゃんが(性的に)食べられちゃう妄想でもしこたま植え付けておこうかな。お空なら、目的達成したらすぐ忘れるだろうし。
とはいえ、お姉ちゃんがこうして私を構ってくれるのは素直に嬉しい。内容だけみたらいがみ合ってるように見えるけど、私たちなりのコミュニケーションってやつだ。さっき呟いた言葉遊びだって、本当はただの冗談。だって、お姉ちゃんが私を『見て』くれない時なんて無いからね♪
だから、私も出来るだけお姉ちゃんのためにお手伝いする――それはそれとして仕返しもするけど、お姉ちゃんなら、笑って許してくれるはずよね!
「なんだか、嫌な予感がするのだけど……こいし、何か変なこと考えてない?」
「まっさかー、リアルマサカー。そんなわけがあるはずないじゃんアゼルバイジャン代表どうも古明地こいしでーす」
「どこの無意識と繋がってるのよ、まったく。
ほら、戻ってきなさい」
「戻ってきた戻ってきた。じゃ、そろそろ私もそろそろ行ってくるね〜」
「はいはい、夕飯までには帰ってきなさいよ」
「お姉ちゃんってたまにお母さん……おばちゃんみたいだよね」
「何で言い換えたの!?その必要無かったでしょ!
って、もういないし……」
自分の言葉をいい終えるとさっさと部屋を出て、向かおうとした方へ足を向ける。なんか、去り際にお姉ちゃんが騒いでた気もするけどたぶん気のせいだよね。
さぁて、お姉ちゃんは無視するとして。そーだなー、巫女ちゃんの次はどこにいこっかなー?
……いや、よく考えたら鬼の方一択ね。だって、帰りは確実にストレスがこれ以上ないくらいに溜まってるはずだし。あの二人の戦いを見てスカッと気分を晴らそう、そうしよう。
そうと決まれば、さっさと視察終わらせちゃおっと。
―――サトリ?移動中―――
私がたどり着くと、そこでは既に第一波を防ぎ終わったらしい。鬼の二人が死屍累々と転がる地獄の住人たちを横目に酒盛りをしていた。私のことなんて見えてないだろうけど、それでも他のものたちを圧迫するようなプレッシャーはさすがの一言。倒した敵の数がその圧力が偽物じゃないことを知らせてる。助けを求めるように手を上に突き上げているやつも転がっていて、その印象を重ねて強めていた。
……ちぇ、折角さっきの会話でヤスリをかけられるように削れた精神を復活させようとしたのになぁ。他のところを回るしかないかな?
諦めて、家の中にもーどろっと。そう呟いて私は、チラッと後ろを振り返ってから、完全に振り返ってその場にあった瓦礫を思いっきり蹴っ飛ばす。瓦礫は途中にあった上を向いたままの腕に当たってソコから八角形の何かを弾き飛ばした。
フラフラ〜っとその場を離れつつも、ため息が止まらない私だった。
あれ? 第二波でも来たのかな。なんか、後ろが騒がしい……ま、いっか、次行こ次。
―――妖怪少女移動中―――
さてさて、お燐はちゃんとやってるかな〜?
「A班は分別を急いで……リストはそこ!
C班、D班、次は第二資材置き場へ! E班は誰か一人、追加のゾンビフェアリーを呼んできな。
……B班はどこいった!?」
うん、忙しそう。
うちで働いてるゾンビフェアリーとペットの舞台を引きずってお掃除してるみたいだけど、言うことを聞かないこと聞かないこと。しかも、お燐が全部采配してるから、私が変に手伝っても崩れそうで怖いし。
どうしたものかな〜、と立ってる間に横を通るフェアリーの肩を押して進路変更する。
毎回毎回、ここが一番大変なんだよね〜。一年で地霊殿に集まった全ての品を再分別して、各部屋をお掃除する。地霊殿の掃除は大体お燐がしてるから、他は変にかかわれないし。更にその分別した中には貴重な物とかもあるから、それを狙って外から殺到するから、ソコからの圧も半端じゃないし。
妖精の肩を押す私の顔は、さぞかしへにょったレーザー並みの困り顔だと思う。まぁ、ここでも私ができることは何もないだろうし、早めに退散しとこ。
「あれ、フェアリーたちの間違いが一気に少なく……?
これならもっと早く終われる……よおし、あんたたち一気に終わらせちゃうよ!」
『おー!』
えっとぉ……お空のところにでもいってみよー。
―――ステルスガール ムービング―――
「あ、こいし様だー!」
うーん、動物の直感て侮れないね。後ろから近づいたのに気づかれるあたり、私、隠密向いてないのかな?
「やっほー、お空!
調子はどーお?」
「えっと、灼熱地獄はお燐が調整してくれたから大丈夫なんだけど、他のところがうまくいかなくて……」
はぁ、ペットが一生懸命何かをしようとしてるとこって、癒されると思わない? そんなかわいいペットにはこいしちゃんが一肌脱いであげましょー。
「どんなふうにうまくいかないの?
こいしさまに話してみなさーい。お手伝いしてあげよう!」
「ホント? ありがとう、こいし様!
うんとね、まず無間地獄とか暗闇地獄に関係ない怨霊が入り込んだみたいなんだけど無闇に捜索に行かせれば帰ってこれない可能性もあるし、他の地獄で言えば血の池は総ざらいしたいけどそもそも分別はお燐のところでやってるから勝手にお仕事増やしたら可哀想だよね。あとは――」
……わーお、安請け合いしすぎちゃったかも。うん、そう言えばお空って別に忘れ癖があるだけで頭は悪くなかったんだった、しゃべり方で忘れちゃってたけど。
それに今は地獄管理のために神様のブーストもあるから……。
一応お空のはなし、全部聞いてるけどこれ私でどうにかなるかな? 請け負ったからにはちゃんとやるけど……うぅ、なるようになれだ!
「よくわかったよ、お空。
じゃあまず、暗闇らへんは――」
心の中で若干涙目になりながら、私はお空に「わたしのかんがえたいいほうほー」を言っていく。
私の個人的な策を教えただけだから、アイデアの元にぐらいはしてくれる、よね?
「わぁ、さすがこいし様! 私じゃ全然だったのに……。
ありがとう!」
わわ、いきなり抱きつかないでよ、キスしちゃうぞ!
でも、とお空の頭を撫でて思う。これ、ここまでなつかれてるのに失敗したら……。
そう思うと罪悪感がわき出て止まんない。胸もドキドキも添えて。
優しくお空を離し、私は静かにその場を後にするのだった。
「やっぱりこいし様もスゴいや!」
お空が最後に何か言ってたみたいだけど、遠くてよく聞こえなかった。
―――Now Lording―――
もっかい外に出てみよっかなぁ?
窓から外を見てみる。相変わらず、鬼たちが暴れてるみたいで衝撃がビリビリと窓ガラスを震わせていた。
そんなこんなで、フラフラと外に。
どうでもいいけど、フラフラと、ってフランちゃんが二人いるみたいで可愛いよね。本当にどうでもいいことを考えながら、足に引っ掛かるものを払ってキスメちゃんのところへ。
あ、ヤマメさんとパルスィさんもいる! 他のところは封鎖し終わったんだ、よかった〜。
でも、アレだ、三人とも容赦ないね。容赦されるとこっちが大変になるからありがたいんだけど、ちょっと無さすぎじゃないカナー?
そんな私の目の前でまた一人、迷いこんできた妖怪が突然上から降りてきたキスメちゃんに首をおとされる。
少し視線を外すと、互いに刃物を突き立てあっている妖怪が。その近くにいたパルスィさんの顔には面倒だ、ってはっきり書いてあった。
視線を巡らせると、今まで気づかなかったけど、あちこちに白い塊が転がっていた。なにあれ、と思った直後ヤマメさんが笑顔でそれを回収していく。あ、ふーん……(察し)。
鬼二人に勝るとも劣らないけど、後で復活するとはいえ痛みはあるんだよ? 頑張り方が完全にいっちゃいけない方にいってると感じるのは私だけなの?
ちょっぴり怖くなってきたのでここもすぐさま退散。帰り際に、適当にナイフをふるって、足早に立ち去る。女の子って吹っ切れたら怖い……私も一応おんなじ性別のはずなんだけどなー……。アレが正しいんだとしたら、もしかしたら私は噂に聞くオトコなる性別かもしれない。
て言うか邪魔くさいよ、これ。何でナイフから外れないのさ、早くとれてよ。そのままブンブン振り続けていると、スポッていう間抜けな擬音が当てはまりそうな抜けかたをした。ドチャッ、という音も無視して私はお姉ちゃんのところへ戻るのだった。
「ひゃ……!」
「どうしたの、キスメ。……って、うわぁ」
「全部後ろからやられてるわね。この人数をこの場で誰にも気づかれないで殺せるなんて、妬ましい」
「いや、妬ましいかいこの才能? ただ単に怖いと思うけど」
お姉ちゃんなにしてるのかなぁ、今。
―――メリーさん(背後に)移動中―――
私はながれぼーしー。
あれ、いつの間にか今日が終わってる!? そうか、これが紅王症候群……!
時間を飛ばされたかのようにいつの間にか時間が経過しているというあの伝説の!
まー、普通に間の記憶があるんだけどね。あのあともおんなじように皆の所をぐるぐる回ったり、たまに伝言を伝えたりしてたんだよ。皆の必死の作戦が功を奏して、大掃除は終わったみたい。
特に門の前は結構危なかったみたいだけど、来ていた魔理沙が門に向けて放とうとしていたマスタースパークを鬼の二人がギリギリでふせいで、上に打ち上げたおかげでなだれ込まれずにすんだみたい。早めに自分の仕事が終わったお空とお燐も、そこに加わったから最後まで持ったんだと思う。
キスメちゃんたちも、ステルスして特攻しようとしてきたやつらを逆にステルスして全員撃破。他にもお空が置いていった、特大爆弾をさりげなく敵軍の方に投げ込んだり、と大活躍だったみたい。
ちなみにさっきから、みたい、って言うのが多いのはフェアリーたちから聞いた情報だから。ともあれ、今日あったことは聞いたことも含めて日記に書いておこう。
このあとやる大掃除のお疲れ様会+年越し忘年会のこともね。
そう言えば、さっきお姉ちゃんがさっき変なこといってたなぁ。
確か
『ああ、ここにいたのこいし』
『なに、私がこいしくなったの?』
『言うほど面白くないわよ、それ。じゃなくて、皆からの言葉を預かってきたわ
。心して受け取りなさい』
『無意識の私を完全に捉えられるのなんてお姉ちゃんぐらいでしょ?
皆なんていないよ』
『「ありがとう」』
『…………』
『もちろん私からも入ってるわよ。ありがとう、こいし』
『…………』
『じゃ、確かに伝えたわよ。宴会遅れないようにね』
まったく、変なお姉ちゃん。私のことを意識できるのなんて他にいないはずなのに、皆からなんて。
でも、だからかな。
私も変なことを言っちゃったのは。
ま、もういっか。過ぎたことはぐちぐち言っても仕方ないや。それに、宴会には魔理沙とかこころちゃんも来るみたいだから遅れないように、早くいかなきゃ!
私は、扉を閉め皆のもとへと走りだした。
『……ね、お姉ちゃん。私からもひとついい?』
『どうしたの?』
『皆に伝えてほしいことがあるの』
『言ってみなさい』
『「みんな、大好き」って』
『そして、「こんな私でも来年もまたよろしくね」って』
『もちろん。
じゃあ、受け取ったがわからの最初の言葉よ。
大好きよ、こいし。こちらこそよろしく』
『……えへへ、お願いね?』
『はいはい、それじゃ宴会には絶対来ること。魔理沙も、こころちゃんも、そして皆も待ってるんだからね』
『もっちろん。みんなと一緒ならなんだって楽しいからね!!』
ここが正念場だぁ!
あっすいません、三国無双やってました。
それと、オチが弱いです。
ついでに、今年最後の小説です、よいお年を!