正解、メガネ。
けど所長がメガネになるわけではない。
今回は短いオルガマリー回です。
オルガマリーはどうなった?
半場たちが目を覚ました時には、既にカルデアは大方の復旧作業を終えていた。といっても回復したのは一部の区画だけで、全体の復旧は未だに目処が立っていない。
レフの話では、カルデアの外に人間は一人もいない。当然、そんな状況でまともに復旧作業などできるわけがない。ここまでもたせただけでもめっけ物なのだ。
「つまり、今のカルデアはギリギリだ。人も物資も何もない。しかも頼れるのは君たちだけという現実だ。そんな状況だけど、ボクは君たちに問う。……特異点に向かい、人類を救ってくれるか?」
「はい。オレなんかで良ければ」
返答には、決意と戸惑いが感じられた。それでも、ロマニはそれを良しと言いのけた。
そして半場もまた、決意と戸惑いを観せて言った。
「……まぁ、かーるくやってくよ」
「ありがとう。これでボクたちの方針は決定した。特異点を修復し、未来を取り戻す。『グランドオーダー』。それがこの任務の名称だ」
ここで、一つの区切りがつけられた。
◇◇◇
そうしてすぐに会議が始まる。内容は主に特異点Fの振り返りである。
取り仕切るのは現在代理所長のロマニと、カルデアが独自に召喚したサーヴァントであるレオナルド・ダ・ヴィンチ、通称ダヴィンチちゃん。
「まず聖杯の話だけど、それは半場くんが回収したんだよね?」
「おーう。ここにあるぞー」
半場はポケットから黄金の杯を取り出した。瞬間、物理的かつ魔術的な輝きが漏れる。
それに感嘆するのが2割、どうやって取り出したと思うのが8割。
「……よし、それはボクたちが預かろう。本家とは違って願いを叶える機構がないとはいえ、ボクらにとっては無限の魔力供給器だからね。君たちに害が出るとまずい」
「そんなもんか。ほい」
「うわっ!? いや投げないでほしいな」
随分扱いが雑であった。もっとも半場にとっては大した代物ではない。彼にとってはせいぜいが爆弾の材料である。
受け取ったロマニ。しかしまだ手を出している。
「何だよ、飴ちゃんなら持ってるけど」
「そうじゃないよ。あのサブマシンガンの話さ」
「あれがどうかしたか」
「どうかしたか、じゃないからね! あんな危険物はもちろん没収です!」
えー? と言って、半場は渋々サブマシンガンを取り出した。もちろんポケットから。
恐る恐る受け取るロマニを見つつ、ダヴィンチちゃんが問う。
「大体キミ、なんでこんなものを持ってるんだい?」
「人類の未来を守ろうぜって言われたから」
「……キミがどんな方法で人類を救おうとしているのか大体分かったよ」
はぁ、とため息を吐いてやれやれと言った。しかし手段を選んでいられないのも事実である。仕方ないか、と2人は思った。……半場の部屋の武装には、気づいていない。
そのまま話は切り替わる。
「ところで、所長はどうなったんだい?」
とうとう議題に挙がったオルガマリー。それはみなも興味津々である。
視線を向けられた半場は、しかしハァと言いたげな表情であった。
「あん? 所長ならいるじゃないか」
「は?」
ここ、ここ。と言いたげに半場は頭を指す。しかし立香たちには分からない。
何か察したかロマニが言う。
「半場くん……それはつまり『所長は心の中にいる』と言いたいのかい?」
「んなわけあるか。ちょっと待ってろ」
何やら文字が書かれたありがたそうなお札を取り出し、半場は呪文を口ずさむ。
次の瞬間
『羊が5063匹ー羊が5064匹ー羊が5065匹ー……あぁ、暇だわ……』
「うわ!? 所長の声!?」
『え……? 嘘、通じたの!? 通じたのね!? よかった誰も反応してくれなくてどうしようもなかったの!』
それは、紛れもなくオルガマリー・アニムスフィアの声であった。ただし電話を通じてのような感じだが。
ロマニは驚きと喜びをもって、半場に言った。
「所長の救出ができたんだね!」
「半分くらいな。ちょい説明させろ」
お札を置いて、半場はしっかりと説明する。
「俺は『オルガマリー・アニムスフィア』という個体から『オルガマリー』という部分だけを抜いた。まずそこはいいな」
「うん」
「それには本人と縁のある品が必要だ。何の縁もないものに人格を宿すことはできないからな」
「それで? 一体君は何に所長を宿らせたんだい?」
全員、ぐいっと寄る。
半場は、迷うことなく、それがさも当然であるように言った。
「所長のアホ毛」
「は?」
一瞬、場が凍った。
今、なんて言った?
「だーかーらー所長のアホ毛だって言ってんでしょうが」
「いやちょっと待って。それはどこに!?」
「ここ」
半場は自身の頭部を指した。そこには一際目立つ長いアホ毛の他に、もう一つ短いアホ毛があった。
そこから、オルガマリーの念話が聞こえてくる。つまりこれが今のオルガマリーの本体である。
「もっと他にこう……何かなかったのかい!?」
「仕方ないだろ。所長と縁のある品がこれくらいしかなかったんだから」
『しょうがなくはないでしょ!!』
オルガマリーの金切り声が響いた。半場は直に聞いてるのか仰け反る。
『なんでアホ毛!? もう一度言うわなんでアホ毛なの!? 喋れないし見えないし、動けないし!』
「うるさいです所長、文句言わないでください。あなたがメガネキャラだったらメガネだった、アホ毛があったからアホ毛になった。それだけです」
『納得いかないわ!』
「んで所長の肉体についてだけど」
『聞きなさいよ!』
「部分的に抜き出した以上は丁寧に扱わなきゃならない。具体的に、移動するのは1、2回くらいで抑えたいな」
本来肉体に収まっている魂を移動させる場合、どうしても異物混入または劣化が起きる。そうである以上、下手に器を変えるのは危険極まる。
遠回しに諦めろ、と言われてようやく、オルガマリーは黙った。まぁ半場の知り合いには腕の良い人形師がいるので、いつかは必ず肉体は手に入る。
「おけ?」
「お、おーけー……」
「よし。所長の肉体に関してはこれから召喚するサーヴァントたちに期待しようか」
ダヴィンチちゃんはあくまで科学寄り。魔術分野に関しては神代の英霊たちには劣るのだ。それはロマニたちも同意見なので承知した。もし無理だったとしても半場とA崎T子さんが何とかする。
話すことはなくなったと判断して、最後にロマニがこの会議を締めくくる。
「とにかく今日は君たちは十分に休んでほしい。まだ魔力も回復しきってないだろうしね。明日、君たちとボクにレオナルドと話合うからそのつもりで」
「分かりました」「了解ー」
こうなった経緯。
・所長どうしようか。よし、FGOの代表的ギャグ漫画まんがでわかるを参考にしよう→ん? リヨぐだ子って所長のアホ毛忘れてねーじゃん→じゃあこれにしよう!
メガネでもよかったかもしれないけど、所長メガネキャラじゃないので。
小ネタ
「所長、どうします? その姿なら特異点行けますけど」
『行くわけないでしょ、こんな姿で』
「んじゃ、管制室のど真ん中でショーウィンドウに入れときます」
『やめなさい!』
「あら……これはどうしましょう」
「何が」
「マスターを媒介として彼女を繋ぎとめてる。つまり下手にマスターと離すとパスが切れるのでしょう?」
「それが?」
「ならちゃんとマスターのくせっ毛だけ斬らないとね」
「ヤメロォ!!」