なので、出来とか今後の使い道については期待しないでください。
『ちょ、ちょっと何よこの威力! 危うくわたしたちまで吹き飛ぶところだったじゃない!』
「すみません。ファヴニールの出力をちょいと甘く見積もりすぎました」
半場が神様よりかけられた制限。『特典がある場合、例外を除き魔術を使用不可とする』。
かつてこの制限を知った半場は、実験して、使用したらどうなるかを確認した。そして死にかけた。
しかし半場はめげずにこの制限を利用することを思いついた。それがさっきの魔力暴走である。
魔術回路を切り離し、スイッチ式で魔術を発動させる仕組みにした。そして対象の魔力が最大限にまで高まったところでスイッチオン。相手は爆発する。
しかしこれは普通なら、小規模の爆発を起こす程度なのだが……
「(ファヴニールの魔力が大きすぎたなぁ。装甲を考えれば怯む程度だと思ってたんだが……、まぁいいか。これはこれで好都合だし。爆発オチにはちょうどいい)」
「半場さん。この後は打ち合わせ通りに?」
「ん、おう。ロマン、サーヴァント反応は?」
『まだ全員消滅してないよ。ただ相当ダメージを負ってるだろうね』
ファヴニールの大爆発をもってしても。というよりギャグ補正が威力を減衰させたようである。
「それじゃ打ち合わせ通り、ジャンヌさんとゲオルギウスさんは回り込んで。マシュとジークフリートさんはここで待機」
「
「頑張って」
こうしてエリザベート、清姫、そしてマリーとアマデウスが離れる。向かう先は、自分と縁のあるサーヴァント。マリーとアマデウスには特筆する程の戦闘力はないが、それはクーフーリンがカバーするので何の問題もない。なお清姫だけはフリー。
「よし、俺たちは全員で残ったやつらを───」
ぶっ飛ばそう───と、言おうとした直後。
半場たちの前方に、魔力で強化された弾丸がぶっ飛んできた。
「「マスター!」」
「うわっ!?」「来たか!」
「Gaaaaaaaaa!!」
バーサーク・バーサーカー。半場がもっとも脅威とした、サーヴァント。
その能力は、持った物を低ランクの宝具と化すという代物である。当然、それは放たれる弾丸にさえ適応される。
優に人を抹殺することができるそれ。故に防ぐのがこの2騎であるのは当然だ。
「お任せくださいマスター! マシュ・キリエライト、防ぎます!」
「うん、任せる!」
「大丈夫か」
「助かった、ありがと」
「何、先程役に立てなかったからな。これくらいはさせてくれ」
マシュと───ジークフリート。この2騎であるのは。
盾を持つマシュは当然。そしてジークフリートは、逸話から背中以外は強靭な肉体を持つ。その上、鎧まで付けているのだから、感覚器官に撃ち込まれでもしない限り倒れることはない。
───しかし、この場合。
「Arrrthurrrrrr!!」
「……ジリ貧、だな」
「ええ。ワイバーンに乗っていないのが救いかしら」
『さっきファヴニールを無力化したからね。しかしあれ、弾丸尽きないのかなぁ』
「そもそも弾丸が尽きるのを待てるかよ。あっち聖杯持ちだぞ」
現在、ジャンヌオルタは痙攣する体を必死に動かしながら、高みの見物をしている。
ちぃ、と噛みしめる半場。あまり期待してはいなかったが、ファヴニールの爆発から誘爆してほしいと望んでいたのだ。しかしそれは、バーサーカーがワイバーンに乗っていたことと、バーサーカーが察知して避けられたことにより叶わなかった。
「あっはっはっは!! いいわやりなさいバーサーカー! 魔力はまだまだあるのだから、そのまま押し切るのよ!」
「くっそー、美少女の顔芸も、度が過ぎると腹立つな。……しょうがねぇ。ここは誰か囮にして数的有利で倒───」
「うぉーい! 貴様らー!」
えっ? と思わず全員声の方に振り向いた。
そこでは、信長とバーサーク・ライダーが戦っていた。
「ふん! やぁ!」
「なんじゃこのライダー! やたら杖で殴ってくるんじゃが!? それに回し蹴りしてくるし! ホントに聖女か!?」
「聖女です。ですので、貴方たちに説教します! 先に逝ったアーチャーとランサーの分まで! 破ァ!」
「絶対に聖女じゃない! 『世』紀末『女』性、略して『世女』じゃろ!」
「……」
「あの、半場さんどうするんですか?」
「放置する。まず目先の脅威を叩く」
『え、ちょっと待ってマジで!? 今のわし騎乗特攻ないんじゃけど!?』、そんな必死の叫びが聞こえたが、半場は無視した。ぶっちゃけライダーよりバーサーカーの方が脅威なので是非もない。
しかし信長が危ういことには変わりないので、すぐに策を講じる。弾丸の嵐の中、声を張り上げて。
「そっちで壊れた幻想を撃ってくれ!」
「ジークフリートさんの宝具を使った方がいいんじゃないですか!?」
「本来ならそうするけど、微妙に距離が近すぎる! これじゃあっちが踏み込んでくるのが速い!」
「分かりました、エミヤ!」
「了解した!」
───トレース、オン。
直後、10を越える剣がバーサーカーに殺到する。
投影という魔術を得意とするエミヤ故に、それらは全て使い捨てである。
防がなければ、奪わなければ、ガトリングは破壊されるだろう。
『させませぬゥ!』
ならば、こちらも使い捨てればいい。
そう考えたのだろうか。城から援護しているジルは、海魔たちを射線上に配置した。
その数は投影剣を上回っており、当然全て防がれる。
『さぁジャンヌよ! 気にすることなく攻撃するのです!』
「えぇ、ジル。こちらには聖杯があるのだから!」
『ちょっ、防がれたわよどうするの!?』
「一周回って冷静になったかあいつら。んじゃゴリ押ししかねーな。両儀式。どうだ?」
「一息。それだけあれば、両断するわ」
「オーケー」
それさえ分かればいい、と言って、半場は立香たちに指示を出す。内容は『ノッブの援護に行け』。
そうして場にジークフリートと半場と両儀式が残ったところで、彼は最後の確認をした。
「時間稼ぎのつもりかしら」
「それもいいがな。なんとかしないとな」
言って半場は、バーサーカーの観察を始める。
ガトリングの間隔を覚え、味方の位置を確認し、これまでの言動を振り返り、半場は───
ここで、賭けに出た。
「Gaaaaaa……」
「ここだッ」
「えっ」
「はっ?」
半場はなんと、射線上に躍り出た。それも丸腰で。
ジークフリートが駆け寄ろうとする。それは他ならぬ半場により止められた。
聖杯が弾丸の分を補給する刹那、だから弾丸は当たらない。だがそれだけだ。再び嵐が襲えば、半場は蜂の巣と化す。
それでも、出なくてはならないのだ。
この作戦は、バーサーカーが半場を見ていなければならないのだから。
「バーサーカーァァァ!」
半場は叫んだ。狂化した耳にも届くように。
そのおかげか、バーサーカーは面を被った顔を半場に向けた。
頭の上のオルガマリーが泣き叫んでいるのを、無視する。ジークフリートが駆け寄ってくるのを、無視する。ジャンヌオルタが撃てと叫んでいるのを、無視する。
ただ、両儀式が自分を信じて構えていることだけを、頭に浮かべる。
そうして半場は、
「あっ!! あそこにアーサー王が!!!」
その直後、銃口の先はジャンヌに向けられた。
「Arrrthurrrrrr!!!!」
「なんでよおおおォォォ!!!!」
ジャンヌオルタの理不尽を糾弾する叫びも、虚しく。
体の向きを急に変えたバーサーカーは、スタンバッてた両儀式に両断された。
両儀式「ステンバ-イ…ステンバ-イ…」
前半の制限に関しては、今後有効活用する予定はないので、頭の外にでも置いといてください。