「転生者であるから」の別パターンです。同じところはさっくり飛ばしてます。
「それでは最後に、オルガマリー。君の宝物に触れさせてあげよう」
◇◇◇
瞬間、カルデアスに向けて謎の力場が発生する。その規模は凄まじく、一瞬半場たちの体が浮かんだ程であった。
しかしここにはサーヴァントがいる。立香にはマシュ、半場には両儀式が。サーヴァントがマスターを抱えて盾に隠れたことにより、マスターは力場から逃れた。
そう、マスターは。
「いやあああぁぁぁ!!」
「所長!」
「駄目ですマスター! ここから出ると力場に入ります!」
一瞬、立香が腕を伸ばすも間に合わず。
オルガマリーは力場に乗り、緩やかにカルデアスに導かれていく。
「な、何をするの! カルデアスよ? 高密度の情報体よ!? そんなものに触れたら……」
「あぁ、ブラックホールや太陽みたいなものだな。どちらにせよ人間にとっては地獄でしかない。生きたまま、無限の死を味わうといい」
レフの顔に浮かんでいたのは、醜い狂笑であった。それはまさしく悪魔のごとき笑み。その行動もまた、悪魔と形容するに相応しいものだ。
しかしオルガマリーには、もうその顔を見ている余裕さえない。
「やだ、やめて、いやいやいやいやいやぁ!! まだ誰にも認められてない! まだ誰にも褒められてないのに!」
「みんなわたしを嫌ってた! みんなわたしを避けてた! 誰もわたしを認めてないのに!」
「なのに、なのにぃ!」
「まだ死にたくない! まだ生きてたい! 誰かに認めてもらわなくっちゃ、いけないのに!」
「なんで、こんなことになっちゃうのよぉ!!!」
「んじゃとっとと掴まれ!!」
直後。オルガマリーに向かって、半場が飛んできた。
体にはロープが巻きつかれており、その先にはマシュたちが。
「!」
「右手! 掴め!」
ガッチリと。伸ばされた右手を、オルガマリーは掴んだ。
「マシュ! 引っ張れぇ!」
「了解! はあああぁぁぁ!!」
力場に抗う力。マシュたちが引っ張ることで、オルガマリーは僅かにカルデアスから遠ざかった。
それを。その行動を。
レフ・ライノールは、嘲笑う。
「無駄なことをッ。既にオルガマリーは死んでいる。そんな者のために命を尽くすか!」
「……!」
そう、オルガマリーはもう死んでいる。たとえ助けられたとしても、それは一時の希望でしかない。それどころか、反動に大きな絶望が襲うだろう。
無意味。
無価値。
はっきり言って、『命の無駄遣い』。
死人のために、生者が身を粉にする必要はない。
それでも
「だからどうした。助けを求めてるやつ助けて何が悪い!」
「悪いだろう! おまえが死ねばカルデアはさらに絶望するだろう! 今も絶望に晒されているが、さらに大きな悲しみを背負うだろう! そんな状況を、分かっているのかおまえは!」
「あーそうかい。んじゃ俺が死ななきゃいい話だな!」
返答に一秒の間もなかった。
あまりにはっきり答えたもので、レフは絶句を通り越して唖然となった。
そして……見放した。
「そうか……。知恵のあるおまえなら、オルガマリーの無価値さを理解していると思っていたが……。やはり私が間違っていたようだ」
「やっと気づいたか」
半場の笑い飛ばしも、レフには空虚な強がりにしか聞こえなかった。
「ならば諸共に死ね。カルデアスの中で、無限の地獄を味わうといい」
レフが手を挙げた。その直後、力場が爆発的に加速する。
「っ!?」
歯をくいしばり、半場は両手でオルガマリーを掴む。そしてマシュたちもまた、大きく引き摺られた。
そこまでは、よかった。
「死ね」
瞬間、半場とマシュたちを結ぶ命綱が切れた。
「あ?」
「……え?」
原因は明らか。レフが魔術を行使して、ロープを切ったのである。
ならばこの後、どうなるか。考えるまでもないことである。
「マスター!」
「半場さん!」
走馬灯を見てるように、立香たちの視界がスローになる。
無論それは脳の錯覚でしかない。そもそも、今更動きがスローになったところでできることなどない。
もう二人は、カルデアスのすぐそばに。
「マスター!」
両儀式は叫ぶ。スキルを使うのではなく、
そのマスターは絶体絶命のピンチの中、念話を通じてただ一言。両儀式に伝えた。
『まだ来るな』
◇◇◇
俺の今の状況はまさに絶体絶命。
だが、『まだだ』。
前を見る。そこにはカルデアスとレフが見える。力場があるにもかかわらずレフが立っていられるのは、おさらく魔術を用いているからだろう。
あいつを倒せばこの力場は消える。
ならば
終わっていない。俺はまだ死んでいない。
ならば
まだチャンスはある。レフは今、とても油断している!
……今しかない。
危険は多いが、覚悟を決めるしかないようだ!
「所長、あなたも腹くくれ!」
「はぁ!?」
瞬間、俺は空気に足をつける。
よかった。両儀式はちゃんと指示通りやってくれたみたいだ。これならいける。
レフは怪訝そうな顔をしている。しかしそこから動きはしない。助かった。動かないなら計算が楽に済む。
足をつけたら、腰を落とし、腕を伸ばす。先にはオルガマリー。
ここで距離を間違えると失敗するから、確実に計算通り掴む。
さぁ、これで準備は整った。
あとは、目の前の素材にぶちかましてやるだけだッ!!
「くらえッ」
そして俺は
オルガマリーをレフに叩きつけた!!
「フルスィングハンマー・オルガマリー!!」
「ぐへえええぇぇぇ!?!?!?」
「ぐはあああぁぁぁ!?!?!?」
直後、オルガマリーの頭とレフの腹が激突。
そしてレフはふっ飛ばされ、そのままカルデアスに突っ込んだ。
それを、空気に足をつけつつ見届けた俺はこう言った。
「勝った! 特異点F、完ッ!!」
「(白目)」
───そして半場は聖杯を回収し、立香たちのもとに戻った。
───そして戻って、無事立香とマシュのパンチをくらった。
ノルマ達成!
これがやりたかっただけなんだ。本編がこれでも良かったけど、レフが有能だし、無理矢理すぎたかなって。