転生者が見る人理修復(更新停止)   作:完詰岩志

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注意!!

・この小説には痛い文章がところどころで含まれています。
・ギャグ補正と偽ったご都合主義がところどころであります。大小様々ですのでお気をつけて。
・真面目なのかアホなのかそれともただのキ◯ガイなのか。そんなオリ主です。
・不定期更新です。


最後に、この話はかーるい気持ちでどうぞ。


序章
どのように、転生者は駆け抜けたか


『ならば、せめてイメージしろ。現実では敵わない相手なら、想像の中で勝て。自身が勝てないなら、勝てるモノを幻想しろ。所詮、お前にできることなど、それぐらいしかないのだから』

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 抑止力───人や地球の存続を願う意識の集合体。

 人や地球が危機に陥った際にのみ現れるガーディアン。

 

 

 通常、現代においてこれが働くことはない。

 正確には、『人も星も滅ぼし救うことが簡単になった』故、明確にそれが働く機会を目にすることが少ない、と言うべきか。

 

 とにかく、抑止力は余程のことがなければ、少なくとも世界を粉々に破壊するぐらいでなければ、使者を遣わす以外の手を使わなくなった。

 

 だから、それは異常事態であったのだ。

 

 抑止力が、明確に滅びを与えようとするなど。

 

 

 

 

 

 19XX年、冬。それは起こった。

 

 起こった事象は、外部からの介入。それも、地球以外の惑星からではなく()()()()()()()()()()()()()()

 

 ラノベ風に言うならば───『特典授与』。

 

 輪廻転生であればそこまで騒がなかっただろう。

 しかし、神代どころか原初の世界にさえ存在しなかった、権能を遥かに上回る事象、それが起こったのだ。そうである以上、抑止力が動かない理由はない。

 

 なにせ人類の完成形である根源到達を優に上回る事態だ。場合によっては人類史がそこでストップしかねない。

 幸いなことに、干渉により発揮されたのはほんの一箇所のみ。地球という惑星から見ればほんの砂つぶ程度だ。

 そして抑止力は、その砂つぶを取り除くことを決定した。

 遣わすはガーディアン、それも霊長の殺人者。間違いなく殺せるだろう、と抑止力が考えても何一つおかしくはない。

 

 しかし、次の瞬間

 

 

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 正確には……抑止力を上回るナニカが、その反応をかき消した、と言うべきか。

 

 とにかくこれにより、抑止力は動かなくなった。なにせ排除するべき反応が消えたのだ。そんな状態で霊長の殺人者を放ったところで、無意味な被害が出るだけである。

 いくら必要な犠牲を認める抑止力といえど、対象を消滅させられなければ意味がない。

 

 結局、地球は何一つ変わらず、ただ平穏な時だけが過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日曜のデパートは、平日より賑わいを見せていた。当然、子供連れの親の姿もよく見える。

 靴や服を取り扱う店が並ぶ通り。そこも多くの人がいる。誰もが足を止めずに歩いている。強いて言うなら店の雰囲気を見ている人くらいだろうか。

 

 その中で、その少年は一際目に付いた。

 

 5歳くらいの少年であった。少年は通りの真ん中で立ち止まり、上の大きな天窓を見ていた。それは天からの光と空の光景に圧倒されていた、というより、まるで隕石でも見たような緊張感を放っていた。

 

 その少年に、母親と思わしき女性が話しかける。

 

「どうしたの? オモチャを見に行くんでしょ」

「……うん」

 

 ハッとした表情で、少年は母親を通り越した。

 気のせいか、まるで顔を見られたくないような走り方であった。

 

「そんなに走らないの。他の人にぶつかったらどうするの」

「だいじょうぶだよカーチャン。はやくいこ」

 

 一瞬振り向いて笑顔を見せた。そこに先程までの緊張感はなかった。

 仕方ないわね、と母親は微笑む。

 

 母親は気づかなかった。

 その少年の雰囲気が、明らかに今朝と変わっていることに。

 

 走りながら、少年は思っていた。

 短い人生の中で見せなかった、焦りの顔色を浮かべながら。

 

 

 

 

 

「(あっぶねえ。 まさか特典を受け取ってから僅か数分で抑止力が動き出すとは! 特典使わなきゃマジで死んでたぞ!!)」

 

 

 少年の名前は不知火(しらぬい)半場(なかば)

 

 転生者である。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 なかばが転生した理由はまだ生きたかったから。いや別に某超ウザいニートみたいな渇望ではない。ただ純粋に何も為さなかった前世を悔やんだからだ。

 それだけなら輪廻の輪に入って転生して終了なのだが、彼の魂は、神座的に言うなら渇望強度は並みの人間のそれではなかった。

 そのおかげか彼は特殊な座に到達し、こうして神様転生を果たしたのだ……FGO世界へと。

 

「マジか転生か……え、嘘、型月世界? しかもFGO? やだなんて過酷」

 

 思わずそう言っちゃったなかばだが、神様から転生特典を受け取れると言われた瞬間はしゃいだ。単純な男である。

 そうしてFGOに転生した彼。着いた先はなんか霊媒師の家とかなんとか。要するに魔術使いである。

 ひゃっほう魔術だやるぜとか調子こいて魔術使用。でもなかばは使えない。なんでかって? いや特典受け取ったやつに魔術を使わせてくれる程神様は優しくないっすよ。

 えー特典が来るまでお預けー? 明らかにがっくりとなった転生者は、渋々普通に生きていく。

 そしてようやく5歳の特典授与。その際神様が豪快に介入したせいで抑止力が動き出したりしたが、それも考慮していたなかばに隙はない。わりと落ち着いて対処した。

 いやすげーな神様。まさかホントにめだかボックスのスキルなんてくれるとは。思わず感謝感激の雨あられ。なので名前は賛美歌から取って付ける。

 

「……ん? なんだあの人」

 

 見つけたのは霊退治してるおねーさん。豪快に魔術をブッパしておられる。秘匿とか大丈夫なんだろうかと思うなかばだが、自分から結界内に侵入してることには気づいていない。そしたら当然相手に警戒されるわけで。

 貴様見ているなー的なことを言いながらおねーさんが魔術発動。なんか小さいビームみたいなのが彼に直撃する。

 うわ大丈夫!? とおねーさんが近づいているが大丈夫。今やチートで守られているなかばに単一魔術など通用しない。

 でーじょーぶっすよ、とだけ言って早々に退散。こう言う手合いには関わらないのが一番である。

 

「うーんしかしスキル使ってるのに痛かったな。……ひょっとしてあの人原作キャラ? なんか髪の毛真っ赤っかだしなー」

 

 まぁいいやさっさと帰ろう。

 とりあえず帰って寝たなかばであった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 さらりと魔術界におけるすごい人と会ったことも知らず、なかばは特典で遊びながら毎日を過ごした。

 具体的にはまず空の境界の聖地巡礼(物理)に行ったりしていた。その際やけに顔の彫りが深いおじさんに誘拐されかかったので交番の前に放り出したりしていた。

 

「せっかくらっきょの舞台に来たんだから、両儀式とか蒼崎橙子に会いたいなー」

 

 よーし会いに行っちゃおうとか思っても仕方ないけど、あまりにも警戒心なさすぎである。

 ランランスキップしながらとりあえず近場の蒼崎橙子の事務所を探す転生者。そうして10分経ったが見つからない。むむこれだけ探してるのに見つからないとはとか思っていた。なぜ10分で見つけられると思ったのだろう。

 しゃーねー今日は帰るかーとか思った帰り道、まさかの遭遇である。

 

「……あら、貴方は」

 

 両儀式来たー!! と内心テンションが上がるなかば。そのせいで出てはいけないお方が出てることに気づかなかった。

 その場のノリとテンションで話してたらもう子供は帰る時間。それじゃーさよーならーと言って帰った。一方の両儀式もさようなら縁があればまた会いましょうと。フラグであった。

 

「いやーいい一日だった。来週また来よう」

 

 全然諦めていない転生者であった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 そしてまたなかばは来た。今度は蒼崎橙子に会いにである。

 今度は結界の魔力から辿ったので、ちゃんと事務所を見つけた。だからなぜそうも会いに行けるのだろうか。

 けれど事務所には蒼崎橙子は居らず、ショボーンと彼は歩いて帰る、聖地を巡礼しながら。

 そして夜になって帰っていたら、遠くでビルがズドーンズガーン。何だ何だと野次馬根性で現場に急行。そこで見たのはマンションが崩れたところであった。

 

「あれ、ここって矛盾螺旋で出てきたマンション?」

 

 あれ、じゃあこの前会った両儀式は誰? うーんと考えて結局まーいいかーで済ませてしまった彼。だからなぜそんなに呑気なのだろう。

 さっさと帰るかーと考えていたらゴロゴロ転がってきた……両儀式が。ひとまずこんにちはと挨拶する。

 

「何だお前その体。ふざけてるのか? ……ってそれはどうでもいい。早く離れろ」

 

 えっ、と見たらあの時会った顔の彫りが深いおっさんがいた。あれあの人ひょっとして荒耶宗蓮? とやっと気づいた転生者。なんであんな顔の濃いやつを忘れられるのだろうか。

 破ァーと放たれる結界。それに捕まったなかば。ちなみになんで荒耶が無傷かってーとなかばが交番に置いといたせいで原作相違が起きてしまったのである。完全に彼の自業自得であった。

 助けに入ろうとする式を尻目に彼は抵抗しない。こういう場合下手にやると失敗するからと知っていた。

 かといって足手まといには変わらないので、自力で結界から脱出。えっ、と驚いた隙目掛けてアンパーンチ。アッパラパッパーカットをまともにくらった荒耶はぶっ飛んだ。

 驚く式に目もくれず、幹也を抱えてこちらに来た蒼崎橙子に気づかず帰るなかば。時間がないのである、時間が。親を誤魔化していられる時間が。

 

「しゃーない、蒼崎橙子は今度大人になってから探そう」

 

 全く懲りていない転生者であった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 そうしてしばらくは大人しくしているなかば。具体的な年数としては大体十数年くらい大人しくしていた。

 その間にFGO版の第5次聖杯戦争のマリスビリーたちを見に行こうとしたなかばだが、神様から条件をかけられているため、今後の展開のネタバレを見ることは叶わなかった。

 

 そして、とうとうこの日が来る。

 

「チミチミ、我々と一緒に人類救わない?」

 

 なんだこの詐欺師は、と一般人なら思っただろう。だが原作を知っているなかばは普通について行った。その素直さに勧誘者は思わず引いた。

 人が入るくらいデッカいケースを持ったなかば、そして飛行機と車を用いて一気に南極へ。出てきた瞬間へぶしっとくしゃみ。今のなかばは防寒具を持っていないのだ。南極舐めてんのか。

 そして辿り着いたカルデア。こんにちはオルガ、こんにちは素材、こんにちは変態、こんにちはラスボスさんと挨拶。人違いである。

 ひとまずケースを置いて早速訓練開始。さー今の俺はどれくらいの強さかなーと思った彼は、お試しサーヴァントの存在を無視して敵に突撃。そしてあえなくクマーの如くぶっ飛ばされた。今のなかばは体重(スキル)封印をかけているので仕方がないが、それでも呑気すぎである。

 怪我の治療をしてオルガからの説教を受けたなかば。無論その程度で懲りるわけがない。生存への決意を終えたなかばは図太いのである。

 自室に戻るついでにこれからの仲間(なお爆破される模様)にご挨拶。癒しの後輩マシュマロちゃんに、貴族なキリシュタリア。寝不足カドックくんにちょい乙女っぽいオフェリア。なんか怖いベリルにデイビット。あとは近づいてこないヒナコにムードメーカーなぺぺ。

でもこの人たち殺されちゃうんだよねーなんて思うなかば。

 より一層の人理修復への決意を固めるのであった。彼は第2部を知らないのだ。

 

 原作開始は、すぐそこに迫っていた。




実質本編は次回から。

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