接物語   作:貝木

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【11】「扇物語」『おうぎライト』『おうぎフライト』(ネタバレ) 叙述トリック

『おうぎライト』も叙述トリックのお話です。

 

※ご注意「業物語」『あせろらボナペティ』・「忍物語」『しのぶマスタード』のネタバレも含みます。

 

叙述トリック多すぎな気がします。気に入ってる話としては「業物語」『あせろらボナペティ』で、忍を吸血鬼にした存在である「デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター」が、「一人称・俺様」のモノローグでいかに「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」が、誕生したかを語ってくれます。

そのあまりに豪胆な振舞から、ステロタイプの吸血鬼を想像させておいて、実体は目もくらむような金髪金眼の女性であったという、西尾さんが書く「哀川潤」を知っている人なら脱力しそうな、叙述トリックがすべての話です。

 

『おうぎライト』は「妖間令」(あやまれい)という怪奇現象に襲われ、暦に対して滅茶滅茶に謝罪を要求してくる、上洛落葉(じょうらくおちば)という女性を救う話で、モノローグが上洛落葉のものと見せかけて、実は戦場ヶ原さんだったという叙述トリックです。

(戦場ヶ原さんは暦が老倉の隣の部屋に引っ越したことについて謝れと言っていた)

 

このところ肩の力が抜けすぎ?ではないでしょうかという話が多いのは事実で、「忍物語」『しのぶマスタード』では、まあいろいろなエピソードが描かれてはいるのですが、

結局、「デストピア・ヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター」のお披露目話であり、

現在、忍と同じ金髪金眼の6歳児くらいの容姿であるというのが落ちです。

(まあ二人がわちゃわちゃしている所は確かに可愛いのですが)

 

 

『おうぎフライト』

撫子は臥煙さんにいわれて、遠吠哭奈(とおぼえ・なくな)のお見舞いに行きます。

入院している哭奈は撫子の見る限りは全身ぼこぼこに穴だらけで、穴からは後ろの壁などが見える状態です。

その穴はよく見ると全部同じ距離で2個セットに開いていて、巨大な蛇の牙に嚙み捲られたよう。

でも実在する穴では無いようで、本人曰くちょっと調子が悪く、ぼーっとする、白昼夢みたいな時間が長くなったから、念のために入院しているだけということです。

撫子は今、法廷画家を目指しているので哭奈ちゃんをモデルに絵を描かせてと頼み、

撫子が絵を描き終わると哭奈の身体からすべての穴は消えました。(最近の撫子の能力です)

 

さらにもう1人、哭奈と同じ病院に入院していた砂城寸志も同じようにお見舞いしました。

 

(「化物語」『なでこスネイク』をご存じの方ならピンと来たと思いますが、遠吠哭奈と砂城寸志は『なでこスネイク』での呪いの送り主で、北白蛇神社で撫子から引きはがされた二匹の蛇は、

呪い返しの形で送り主の元へ戻ったわけです。砂城寸志は「恋物語」のラストで貝木に怒りをぶつけていました)

 

無事仕事は終わりましたが、撫子は正月にペン1本とスケッチブックだけ持って家出同然に自宅を飛び出してしまっていたので、気になるのはクローゼットの中に置いてきた書き溜めた原稿です。

せっかく自宅のある街に戻ってきていたので、それの回収を扇ちゃんに鍵を渡して頼んでいました。(月火ちゃんにも頼みましたが断られたそうです)

扇ちゃんが巨大なスーツケースいれてくれたのを受け取って、なんとか自分のアパートに戻ると、アパートの前には斧乃木ちゃんと貝木が待っていて、

貝木は「スーツケースとは準備がいいな」などと言ってきます。

斧乃木ちゃんは「さっさと臥煙さんから言われた要件を伝えろよ。貝木のお兄ちゃん」と発言。(懐かしいですね、貝木のお兄ちゃんとは)

要件は3人(詐欺師と法廷画家志望と死体人形)でチームを組むように臥煙さんから指示されたとのことでした。

(ここでの撫子の感想。このチーム凄い劇場型詐欺をやらかしそうが笑えます。チーム名は株式会社偽善社を貝木が提案しました)

 

蛇の呪いの総本山を一網打尽にするため、3人は洗人迂路子の現在のアジト、西表島に向かうことになります。

最後に洗人迂路子の本名は臥煙雨露湖で、臥煙伊豆湖の許されざる娘だと明かされたところでこのお話は終わります。

 

(臥煙さんの娘ですか……勝てる気がしないのですが……)

 

 

 


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