将棋の世界に身をおく俺がいるのはまちがっている。 作:Sオメガ
「ハアー………」
「どうしたんですか島田さん?」
「桐山か。お前も知ってるだろ?比企谷が弟子をトッタ上にまた堕としやがった」
「ああ。あれは凄いですよね」
「本当になんなんだろうなあいつ。自分がハーレム築いてることに本当に気付いてねーのか?」
「比企谷は気付いてないと思います。て言うか前にスミスさんが聞いたら全然検討違いな応えしてましたよ」
「マジか!スミススゲーな!んで?なんて応えたんだ?」
「それが…
……
………
…………
「比企谷ー」
「なんすか?スミスさん」
「お前、結局誰ねらってんの?あんなにモテてよー!それともあれか?相手がいんのか?」
「何言ってんすか?スミスさん。まずモテるって…モテてたらボッチになってませんよ。女子に話しかけたら
気持ち悪いって言われるますよ。
まず、ああいうリア充どもは俺の敵っすね。融が貴子に向けてた憎しみを向けてるまでありますよ」
………
……
…
「おい桐山よ~。やばくねーか?あいつ…」
「ええ。まずいですね…」
島田の呆れたような言葉に桐山はメガネをクイッと上げながら応える。
この仕草が似合ってしまうのが憎い。
「しかもあいつつえーんだよなー。何であんなに早くBまで上がれんだよ。な~桐山~」
「ええ」
「いやっ待てよ!そう言えばお前もあれじゃねーか!天才さまじゃねーか。中学生プロ棋士」
グッ
「話は聞かせて貰いました!」
「ん?なんだスミスか…」
「なんだとはしつれーな。まあ良いでしょう。それよりも問題は弟子ですよ!見ましたか?あの完璧な女性!
絶世のの美女の上にさらにあのスタイル!」
「まああれにはな……あいつあれでも高校生なんだよな?卒業するまでに何人落としてるか…って言うかあいつ弟子とんのもはえーしよー。俺より早いって!何自慢したいの?自分に余裕があるってさー」
「まあまあ島田さんも落ち着いて、比企谷も色々考えてるんですよ」
「ええっと…」
「「はあー」」
比企谷の今までの行いに対して愚痴を続ける島田。
何とか比企谷をフォローしようと試みた桐山も撃沈。
この後は言うまでもないだろう。
スミスと島田が愚痴を続けていると徐々に、横溝、二階堂、松本、会長、藤本、と増えていった。
何故関わりのなさそーな藤本雷堂までが?と思った人も少なくないだろう。
しかし、皆さんはお忘れではないか?この人の状況を。
妻には出ていかれ、キャバ嬢に貢ぐ日々。
何をせずしてモテる比企谷に嫉妬もする。
会長は奥さんがいたからそこら辺は気にしてはいないが、鈍感っぷりがムカつく!このモテ男!と言う理由だ。
全員少なからず比企谷に思うところがあるのだ。
だが、ここにいる全員に共通しているのはそこだけじゃない。
この話に悪意を持って参加していないと言う事だ。
比企谷は別に嫌われてはいない。
むしろ好かれている。
特にあのひねくれた性格が重鎮連中には気に入られている。
藤本が大好きな対局中のお喋りにも付き合うし、愚痴をこぼせば面白い返しをしてくる。
端的に言えば面白いのだ。
この比企谷に対する愚痴も。
いじりなのだ。
まあ弄りはどが過ぎれば苛めになる。
だが、ここにいるのはどんな人達か、ここにいるのは順位の差こそはあるがプロ棋士だ。
頭が良くなければ生きていけない世界。
そのなかで生き残っている天才たちだ。
愛の鞭とか言って人を叩く人間もいるが、この人達は違うのだ。
根本から違う。
まあ比企谷に対する嫉妬心がないか?と聞かれたら分からないが。
だがそれもそうだろう?モテるんだぞっ。陰きゃとか言ってモテるんだぞっ。
くそ、あの野郎。陰キャ代表でーす。とかイケボで言いながら彼女といちゃつきやがって。
ふざけてんのか?くそ。
ああもう良い。
そんなこんなで終わった
【第一回、比企谷がモテすぎるので愚痴を言おう】の会のメンバーはそれぞれ帰宅を始めた。
あるものは我が家に住む愛犬に癒して貰いに。
あるものは自分の行きつけの店に。
あるものはいつも通りのリムジンに乗り。
あるものは幸せ溢れる。自分を受け入れてくれる暖かい家族の元へ。
あるものは胃を痛めながら、フラフラと。
あるものは長く連れ添っているともと酒を交わしに。
しかし、その後は?
1つに決まっている。
将棋。
将棋。
将棋だ。
彼等の全てであり、中心だ。
深く、深く、彼等は沈む。
沈んだ先で得られるものがきっと自分にとって善だとおもい。
違っても。
潜り
潜り
潜る。
挫折?
全員がしてきた。
だからこそのプロだ。
モテたい?
それは男としての感情だ。
彼等はなんだ?
男以前に
彼等は人間だ。
人間以前に
彼等は棋士だ。
プロの。
全ての人間はそれぞれの物語の主人公である。
全ての棋士たちは自分の目標のため、どんなことがあろうとも研鑽を積む。
何年も、何十年も、何百年も。
その研鑽が今を産んでいる。
僕は、夜に夢を見るんじゃない。一日中夢を見ているんだ。生きる糧として、夢を見ている。
I don’t dream at night, I dream all day; I dream for a living.
スティーヴン・スピルバーグ 米国の映画監督、映画プロデューサーの言葉だ。
何が言いたいのか?
分からない。
知識をひけらかしたいのか?
違う。
彼等は夢中になっている。何に?将棋に。
魅力に取り憑かれている。
夢を見ている。
ただ、その夢は勝利のため。
一日の、一回の
勝利のため。
例えどんなに若くとも、老いていようとも
ふざけていても、おちゃらけていても
歩むしかないのだ。
それぞれの夢を掴むために。
内に秘めた獣を御し
うあああ!
黒歴史いいいいいいいいいいいいい!
何で?
何で?
普通に書いてたら脱線からの中2くせー台詞。
ヤバイ。
何がヤバイかって?
右手が疼くんだよ!