将棋の世界に身をおく俺がいるのはまちがっている。   作:Sオメガ

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最近、眠いです。


第5話

額から汗が流れて目に沁みる。

 

自分の呼吸が荒くなっているのを感じる。

 

このままだと不味い。頭が警報を鳴らす。

 

駄目だ。と思わず立ち上がる。

 

 

The greatest mistake you can make in life is to be continually fearing you will make one.

 

<Elbert Hubbard>

 

いつか聞いたような読んだような言葉が頭に浮かぶ。

 

意味は何だっただろうか?

 

人生で犯す最大の誤りは誤りを犯しはしないかと絶えず恐れることだ。だったような気がする。

 

はぁぁ、溜め息が口から漏れる。

 

体は何かに憑かれたように自分で上手く動かせない。

 

それなのに頭は余計な事を考えている。案外余裕があったりするのかと錯覚してしまう。

 

そんな筈は決してないのに、

 

飲まれる、体に押し寄せる波に飲まれそうになる。

 

もがいた、もがいた、もがき続けた。

 

手を足を動かし続けた。

 

陸地が見えた。

 

 

そう思った。

 

違った。

 

いや、陸地ではあった。

 

燃えていた。

 

炎が炎を呼び、暴れ狂う。

 

回り道?出来る筈がない。

 

後ろには波。

 

もう一度、行けない。

 

次こそ飲まれる。

 

行くしかない。

 

炎に飛び込む。

 

身が焼け、止まりたくなる。

 

しかし、体はチャンスにすがり付こうとする。

 

まだ、

 

 

 

 

 

 

まだ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ、

 

 

 

 

 

 

 

歩いて

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼?いや、違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見えた先は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盤と人。

 

 

 

 

 

 

 

ああ、やっとスタートなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

挫けそうになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、まだできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の限界などとうの昔に忘れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違い?

 

 

 

 

 

 

知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までも犯し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

これからも犯す。

 

 

 

 

 

鬼の住みかだ。

 

 

腹を括れ。

 

 

 

 

 

 

腰を下ろす。

 

 

 

 

 

B級2組 六段  比企谷 八幡

                   

                   玉将戦 挑戦者決定戦 五番勝負 五番目

A級   九段  隈倉  健吾

 

 

ここまで二勝二敗

 

 

 

 

パソコンにかじりつくように目を向けていた。

 

一手一手 重く鋭い

 

胸が苦しくなる。

 

勝って欲しい。

 

身勝手だけど。

 

でも、勝って欲しい。

 

きっと君なら出来る。

 

勝って。

 

勝って。

 

 

私の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

師匠········

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胃が切り裂かれるように痛む。

 

きっとあいつが勝つだろう。

 

 

 

そんなこと言えるような相手じゃない。

 

化物の類いに入るような奴だ。

 

寧ろ二回勝ててるだけで十分だ。

 

っていうか、美人の弟子プラスでタイトルとかとっちゃったりしたら腹立つ。

 

頑張れ隈倉さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼があのおお舞台と呼ぶに相応しい場所に立つのがここまで早いとは思わなかった。

 

後数年はかかると思っていた。

 

他の人もそうだろう。

 

下馬評は完全に相手。

 

100%負け。

 

そう思われていた。

 

思っていた。

 

彼はその下馬評を嘲笑うように先に二本とった。

 

その後、二本とられたが、

 

今も互角に渡り合っている。

 

かつて自分の父がそうだったように。

 

私の弟が望もうとしているその頂きの1つの近くに彼は来ている。

 

 

 

 

 

 

 

勝って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総手数 241手 

 

 

241手目が指された後、少し間が開き「負けました」

 

 

241手をもって挑戦者は 九段 隈倉 健吾

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、比企谷は王者への対戦券を逃した。

 

 

 

 

 

 

 

パシャ パシャ  パシャ

 

 

 

フラッシュが焚かれる。

 

 

 

 

自分が負けたのだと思い知らされる。

 

 

 

感想戦を終え、取材に答える。

 

 

 

「後一歩足りなかったのは一重に実力だと思います。自分の実力が足りていないことを改めて実感させられました。

 また、次ここに来れるように、また、次こそは勝てるように、日々精進しようと思っています。」

 

次に繋ぐ言葉が出てこなかった。

 

本心だった。

 

勝てなかった。

 

届かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

明日は久しぶりにゴロゴロしよう。

 

 

そう決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A man is not finished when he's defeated ;he's finished when he quits.

<Richard Nixon>

 

 

 

 

 

歩き続けるしかない。

 

 

止まる訳には行かない。

 

 

 

そういうところに足がある。

 

 

進めなければ、

 

 

 

生きられない。

 

 

 

 

身に獣を住まわせる鬼たちの

 

 

住まう世界に彼等はいる。

 

 

食うか、喰われるか。

 

 

男だろうが、女だろうが。

 

背が低かろうが、高かろうが。

 

顔のかっこよさなど必要ない。

 

性格等気にしない。

 

必要なのは棋力だけ。

 

彼等は今日も明日もその次も

 

 

身を投げる。

 

 

ただ1つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝利の味に酔いしれるため。

 

 

 




ワオ!恥ずかしい(>_<)

時間軸のズレはすいません。

ちなみに自分の最長手数は190手くらいだと思います。
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