「御影の親友……だと」
目の前に立つ黒いシンフォギアの言った言葉に、私は思わず繰り返した。
情報によれば御影の親友……梔永久はあの事件の際に瓦礫の崩落に巻き込まれて死亡したとなっていたはず、だというのになぜ。
「言っても意識だけだけどね、フラガラックは神の意思を持つ剣、加古に渡す直前まで装者だったワタシの意識がAI化しても不自然とは思わないよ」
よっ、と見ただけで重量のある大剣を片手で軽々と振り回しジャグリングのように何本も生み出して扱うその姿は、正直狂っていると言っても外れてない気がした。
「……ならば問おう、そのシンフォギアをどこで手に入れた、一般人が聖遺物を持ってるなど不自然しかない」
「さぁね。ワタシとしても生まれたときからあったからどうこうってのは知らないし、仮に知ってたとしても教えるつもりはないよ」
「なに?」
「だってさ――」
そこで言の葉を続けず、振り回していた大剣を投げつけてきた。
「ぐ!?」
「――加古の事をいじめる奴は全員敵なんだから、さ!!」
アームドギアで弾いた次の瞬間、先程よりも早い踏み込みで大剣を両手にそれぞれ持って振り回してくる。一撃一撃が致命的なほどの威力を持つ攻撃を、何とかアメノハバキリの
さらに言えば
「アタシを無視してるんじゃねぇっての!!」
ネフシュタンの少女さえも乱入してきて、振り回す鞭を避けつつ大剣を弾くのはさすがに無理がある。
「翼さん!!」
「来るな立花!!」
あの子が参戦してこようとするのを私は声で押し止める。
「けど2対1じゃ」
「二人とも立花の思ってる以上の強者、新米が入っても邪魔なだけだ!!」
それに、
「2対1じゃねぇ!!三つ巴だぁ!!」
ネフシュタンの少女の攻撃は御影……もとい梔の方にも向かってるが、それも圧倒的な力ではね除け、逆に梔の必殺の一撃も、ネフシュタンの少女は危なげなく回避してる。
一進一退、どこかが崩れただけで崩壊する危ない戦場、対処のひとつでも間違えば大怪我は必死。
「ならば!!」
―千ノ落涙―
一旦距離を取り得意の技の一つで手数を通す。
「ここで範囲技を使う?」
「ち、ピーチク五月蝿い技を!!」
対個人には向かい技だが、少しでも足を止められれば、
「やぁ!!」
―蒼ノ双閃―
一撃の技で伏せさせる。
「そんな大振りの一撃!!」
「ちょっせぇんだよ!!」
―ƎᗡU⅃ЯƎTИI・oƚ・ИЯUTƎЯ―
―NIRVANA GEDON―
私の放った青い斬撃2つはそれぞれの技で相殺され、互いにその場所から少し後退する。
「ち、余計なことしやがって、私の邪魔をするってのか」
「キヒヒ、別にアンタの目的があるならこっちに構わなくても良いのに。どうせ私は楽しめれば良いから」
「ふーん、なら……そうさせてもらおうか!!」
その叫びと共に持っていた杖を翳すと、
「な、ノイズが!!」
流れた光の場所からノイズが出現し、下がっていた立花を囲んだのだ。
「アンタが主役だと思いがってたか!!アタシの目的は、そこの世間知らずなんだからな!!」
「なんだと!?させるもの……っ!!」
そう言って離れようとするネフシュタンの少女を追おうとするが、それを邪魔するかのように梔は剣を振るってくる。
「キヒヒ、アタシから目を反らすなんてさせないよ、歌姫さん」
「貴様、なぜ邪魔をする!!」
「別に深い理由なんてないけど?強いて云うなら、ここで釘付けしとけば絶唱を使う暇を与えなくて済むから、ね!!」
振り下ろされる剣の一撃をかわし、蒼ノ一閃を放つことで距離を取ろうとするが、
「そんな威力、屁でもないんだよ!!」
なんと梔は拳を握り、殴り付けただけで蒼ノ一閃を吹き飛ばし、
「そんなに助けに向かいたいなら、これでも食らって吹き飛びな!!」
-ƎᗡU⅃ЯƎTИI・oƚ・HƧA⅃Ƨ-
光の色こそ違うが、私の蒼ノ一閃と同じように斬撃を飛ばしてきた。
「ぐ、うぁぁぁぁぁ!!」
踏み込み、踏ん張ろうとしたが私の蒼ノ一閃とは比べるべくもないほどの苛烈な一撃にあっさりと吹き飛ばされた。
「ぐ、絶唱を使ってないというのに、なんていう威力」
「当然だ、ワタシは一人にして二人、加古にして永久、フォニックゲインは並みの装者の二乗なんだから!!」
普通の人の二乗、なるほど、そういうことならば話は早い。
(立花は……)
ちらりと確認して見れば、ノイズの出した粘液のようなものに捕まってしまった立花と、それごとあの鞭で縛ったネフシュタンの少女の姿があった。
「……っ!!」
再び飛び上がり、千の落涙を二方向に振り下ろす。
「キヒッ、自棄っぱちになって考え無しですか?」
「いまさらそんなへなちょこが食らうかってんだ!!」
二人は当たる攻撃だけを鞭で弾く。が、
「な、体が」
「いったいこりゃ!!」
それこそが狙い。
―影縫い―
「捕まえた」
動きを止めたとはいえ正直、どちらもすぐに抜け出してもおかしくない、だから
「立花!!何時でも受け身を取れる準備をしておけ」
「え、翼さん?」
「っ、まさか!!」
「コイツ!?」
私の一言に気付いた二人だが、既に遅い。
「――Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el baral zizzl」
自らの獲物を手放し、奥義にて仕る。それが防人として、今の私にできる最善手だから。
「翼さん!?」
立花も何をするつもりか漸く把握したようだが、だからといって止まるつもりはない。止まれるはずもない。だって、
「――Gatrandis babel ziggurat edenal
Emustolronzen fine el zizzl」
多分奏なら、私と同じようにここで歌う筈だから。
若干中途半端ですが、今回はここまでです。
なお技名が反転してるのは仕様です。後で他の話の技名もこのように変更しておきますので悪しからず