今回の話は少し海軍の設定が面倒かもしれません。ご了承ください。
よく釣りをしていた。
別に趣味でやっている訳では無い。食べるため、生き延びるためによく化け物が出るから危ないと言われ続けている海岸まで行って釣りをしていた。
全部生き延びるためだった。何もかもが目的があって、その目的を遂行するためだけに生きながらえてきた。
軍学校に入ったのも安定して食料を得るにはそれが一番だからだった。
だから同級生みたいな人類を救うとかそんな気高い目的じゃなかった。全ては生き延びるために、平穏のために。
自分のために。
そんな自分は多々良兼とかいう名前だ。覚えてもらう必要は無い。
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なぜ軍学校に入ったのか。断言するが自分は決して戦闘が好きというわけではない。むしろ争い程無価値なものはない、とまで思っている。
だが、それでも軍学校に入ったほうが有利な条件があった。
15年ほど前の話だが、深海棲艦、と呼ばれる生物が突如海中から湧き上がった。それは生物にも見えたしメカニックな砲台のせいで無生物にも見えた、と当時の目撃者は語る。
それらは発見されるや否や敵意を丸出しにして襲って来た。
小さな躯体を活かして戦われると現代兵器に打つ手は無く、核ミサイルを打ち込めと自滅行為を叫び出したり、人類という種族の終わりなのだ、そんな世代に当たるとは幸福だ、などと狂気じみた発言をする奴らが増え始めた。
だが唐突に戦線が押し返された。
今まで絶望的だった人類の生存はギリギリのところで達成されたのだ。今では限定的ではあるが海外からの輸入ができるほどには回復した。
皆喜んだ。戦争が始まる前の政治思想など放り捨てて戦争を見守っていた。
自衛隊は日本軍として再統一され、海軍は前線に、陸軍は近海の哨戒をする事となっている。
だが人手不足が深刻になったので、民間からの応募を緩めにし、賃金を上げて就職希望者を増やした、という事らしい。
この話を聞いた時初任給を見たところ腰を抜かしかけた。
他の職業より二桁多いんですけど。
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士官「ではこれより授業を始める。諸君らにとっては初めての授業であるので心して聞くように」
張り詰めた緊張感が決して狭くは無い教室に広がる。
士官「まず諸君らにやってもらうのは座学と2つの実践演習だけだ。提督としての素質を認められたからここに居ることは認める。そこは賞賛に値する。だがその評価は所詮机上で認められただけにすぎんのだ。そこで必要最低限の知識を吸収してもらい、実践演習という形になる。1ヶ月だけの座学だから心配しないでよろしい」
1ヶ月だけ、その1ヶ月という期間の短さが地獄なのだ、という噂は恐らくこの場にいる全ての人間が理解している内容だろう。そもそも海軍で覚えることは意外と多いのだ。料理も、歩き方も、艦船の構造も、砲の撃ち方も何から何まで覚えなくてはならない。
(実際は妖精さん、という不可思議な某22世紀の猫型ロボット並みに万能なのがやってくれるのだが、この時点だとまだその存在が秘匿である。
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今回の海軍希望者何人だったけな。確か160人だったか。意外と少ないもんだな。まあ少ないほうが倍率少なくなるからいいんだが。さて、じゃあ自分は座学の教室を探しに行こう。
何がすごいってこのSS、艦娘出てこないんだぜ!ヤベーぜこいつッ!