多々良「えーっと...とりあえず自己紹介から入ってくれねーか?学が無いから昔の船とかよく分からないんだよ」
夕立「だから白露型4番艦夕立っていうっぽい!これから提督さんのために頑張るっぽい!」
厳密には提督ではなく提督になる一歩か二歩手前くらいの立ち位置なのだが別に言うことでも無いだろう。どうせすぐ分かる。
流石に見習いの扱いと提督の扱いくらい分かるだろ、言葉も分からない赤ん坊でも無い限り。
大淀「あのー、一度出ていただけませんか?後ろの方々も待っていますし...」
多々良「あ、すいません。ちょっと考え込んじゃって...」
そう言って夕立とかいう子を連れてそそくさと出て行く。その何の気なしに掴んだその手は小さくて暖かくて柔らかく、とても闘う人間の手とは思えなかった。赤ん坊みたいだな、と少し逡巡して、苦笑した。
そういやこいつ今さっき生まれたんだ。
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士官「では全員揃ったかな?ではこれよりその自らで建造した艦娘と2ヶ月共同生活をしてもらう」
『....ハァ!?』
士官「何を驚く必要がある、提督になったらもっと艦娘の数は多いぞ?それに距離感が異常に近い奴もいるわけだしな。もししっかりとした信頼関係が築けなかったら試験不合格とするから留意しておくように。まぁこれが一つ目の実践演習だ!はじめ!!」
なるほど、つまりコミュニケーションを取れるかどうかって事か。
どうするんだよ。
自分は学校に通ったことが無いのでコミュニケーションが苦手だ。
ましてやこんな年下と話したことなんて無いに等しい。
どうすりゃ良いってんだ、ちゃんと指揮とれりゃ良いだろうが!
そんな苦悩も知らずに左隣の金髪翠目の少女は興味津々と言った様子で彼方此方に視線を向けている。
よく動く野郎だな、と思いながらも自らの思考を止める事はなかった。
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流石にずっとお偉いさんの前で悩む度胸は無かったので個人に割り振られた寮室
こう言う時はどうすれば良いのだろうか。
多々良「夕立さんはよ、趣味とかあんの?」
夕立「夕立の趣味?.....特に無いっぽい」
まぁ、そうなるな....。こんなにも会話の初手に失敗すると話しかけづらくなってしまう、という事実を初めて知った。
じゃあ一応今日は事務的な話でもしておくか?もう夕飯の時間に近いしそこだけはしっかりとしておかねば。
多々良「....気付いてるとは思うが俺はまだ提督じゃ無い、提督になろうとしてる一般人だぜ」
夕立「知ってるっぽい」
多々良「だからハッキリ言っちまうと提督になれるなんて言う保証も何もありゃしねー訳だ。でもここであったのも何かの縁だ。仲良くしようぜ」
よし良いぞ俺!良くやってのけた!事務的な話をして情報共有した上に彼女に友好姿勢を見せる、初めてでコレはすごく良いのでは?
もしかして自分素質あるんじゃ
夕立「ところで提督さん。ご飯どこっぽい?」
多々良「...ちょっと待ってて下さい」