西方歴1145年 一月 四日 フランスカ王国沖 一等航空巡洋艦『デュケーヌ』CIC内
「情況を報告して。」
「現在本艦隊がシェルブールを出航して九時間が経ちました。二十二ノットで航行していたので、本来なら既にグレート・ブリテン島に到達する筈なのですが......」
「未だ陸地は無く、GPSは使えず、衛星通信も駄目、オマケにブリテン王国はおろか、ネーデルラント、ヒスパニア、神聖帝国とすら通信ができなくて、本土以外との通信不可と。いや~参ったね。」
副長からの報告に、CICで愚痴を零すのは第16戦隊旗艦『デュケーヌ』艦長のフラーシア・フランスカ大佐である。初の女性艦長、しかもまだ35歳で王族と、異色の経歴を持つ彼女だが、類まれなる指揮能力を持ち、演習では負け知らずである。本来なら消息を絶った外国船舶の捜索に当たるはずだったのだが、なぜか消えてしまったグレート・ブリテン島を捜索するよう命じられてしまったのだ。
「こうなったら航空隊の連中に飛んでもらう他ないか。通信士、管制室と繋げてくれるかしら!あと、画面にも出して。」
「アイ、マム......どうぞ。」
CIC中央の画面に航空隊司令の顔が映る。
「コーナー大佐。至急ブリテン島北部へ偵察機を上げて欲しいんだけど。」
「例の通信出来ない件か。本国に打診した方がいいのでは無いか?いくら同盟国とはいえ、他国の領空に軍用機が堂々偵察飛行するとなると、国際問題では済まされないかも知れないぞ。」
「ええ、分かってる。でも、今回ばかりは何かがおかしいわ。いち早く事態を把握するのも軍人の務めでしょう?それに、大義名分はあるじゃない。」
「まさか、捜索任務とでも言うのか?」
「その通り。」
「...はぁ。」
「私は今回の事、多分王国以外が消えちゃったと思ってるわ。若しくはその逆。王国が...世界から消えた。」
「そんな...SF映画でもあるまいし。」
「そんな事ないと思うけど、一応飛ばしておくべきだと思うの。何かあったら、責任は私がとるわ。」
「...........分かった。」
「ありがとう、大佐。」
通信が終わってしばらくすると、甲板上に多数の隊員達が発進作業をし始めるのが見えた。その様子を確認すると、フラーシアは艦長席に座る。
「とにかく、何が起こってるのか確認しないとね........。」
そう小さく零すフラーシアの判断は、後に賞賛される事となる。この時、事態を把握しているのは軍はおろか、政府ですら認識出来ていないのだから。
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中央歴1634年 四月初旬 スイウン王国議事堂内
「えー、では、これより海軍による報告を行います。」
普段は喧騒に包まれている議事堂は、静寂に包まれていた。彼らの国スイウン連合国の首都、ミナト沖に現れた複数の巨大艦の為である。第二文明圏に属する彼らは、古来よりムーとの関係も深く、機関銃、野砲に、水雷艇、更には旧式の戦艦や戦闘機の購入を許される程で、それらを支える国力を持っている。表向きは準列強という立ち位置だが、ムー同様、覇権主義では無い他、地理的要因からその実力はあまり諸外国には知られていない。(そのため、実質レイフォルは準列強国。)そんな彼の国であるから、当然科学技術は発達していて、ムーに、継ぎ二番目の科学立国でもある。
「不明艦隊は極めて近代的な艦艇で、技官によると、少なくともムーの最新鋭艦匹敵するレベルだと......」
「何だって!?」
「そんな訳あるか!!」
軍からの報告に騒然とする議会。
「静粛に!」
議長が場を納めるも、議員たちは興奮したままのように見える。報告をした王国軍技術研究部の将校は、その様子に少し怯えつつも報告を続ける。
「艦隊の国旗は、いずれの国とも一致しませんでした。今は、海軍と空軍が監視を続けていますが、特に動きはありません。艦隊の内訳は、大型回転砲塔を備えた巨大戦艦......少なくとも二百メートル以上ですが、それが一隻。少し小さい、百五十メートル程の装甲巡洋艦らしき艦が二隻、そして......これはよく分からないのですが、戦艦と航空母艦を合わせた様な艦...驚く事に三百メートル近いのですが、それが一隻です。この事から、少なくとも艦上機を保有していと思われます........」
艦隊の内訳を聞いた議員たちは、揃いも揃って口を開けて唖然といった表情を晒していた。王国軍は、何処ぞの覇権国家等とは違い、極めて正確な情報、真実のみを話す。その情報をもとに推測するの情報分析部や技術研究部の仕事なのだ。そのため、海軍の報告の通りなら、ムーを凌ぐかもしれない大国であるからだ。
「で、議題はどのようにして対応するか、だが......」
議員たちの方を見る議長だが、議員らは目を逸らす。そんなの、どうしろと言うのだというのが正直なところ。下手にでて、艦砲射撃でもされたら堪らないし、かと言って退去してもらうことは、果たして可能なのか、そもそもだれが交渉するのか。国なのか、海賊のような物なのか。(そもそもこんな巨大艦を保有する海賊がいる訳ないが。)情報が兎に角無いのだ。適当な事を言って、国が滅んでしまうような事になったら、その責任はとても重たい物となる。誰も責任を取りたく無いのだ。
そんな停滞していた議会の情況は、飛び込んで来た伝令により一気に吹き飛ぶこととなる。
「会議中に失礼します!海軍より緊急の連絡、不明艦隊と海軍が接触、使者が会談を求めて来ています!!」
この日、中央歴1634年四月三日は、後のスイウンの歴史教科書に、『フラーシア艦隊来航』として記載される事となるとはまだ、誰も、そしてフラーシア本人も知らない。
フランス共和国召喚にしようと思ったんだけど、途中でだるくなって、オリ国家にしました。国名はフランスをフィンランド語でGoogle翻訳にかけました。
クワトイネ?クイラ?知らんな。