鎮守府怪事件ファイル   作:ビーグル

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とある鎮守府に所属する駆逐艦からの連絡を受け
インタビュアーとして会う事になった

凄惨な事件も、泥沼な陰謀も関わらない
ちょっと不可思議な「出来事」であるとのこと


期待と疑心を半々に
小さな情報提供者の待つ ホテルの一室へ向かった




『声』

 

【某駆逐艦へのインタビュー】

 

 

 

はい もう話して良いんですね

 

 

私は朝潮型一番艦の─

えっ 艦名は言わない方が?

 

すみません 慣れていないもので…

ええと 本日は私の鎮守府であった出来事をお話ししたいと思います

 

 

事件か事故かで言いますと まぁ事件 になりますか

尤も その認識も正しいかは定かではないのですが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つい先月の事です

 

その日はかなり海が荒れていて 最低限の哨戒以外は

各自待機という形で休息を取っていました

 

ご存じの通り 駆逐艦は数が多いですので

談話室もそれなりに広く作られています

当時は10人以上の駆逐艦娘が 数人のグループに分かれて駄弁っていました

 

 

私は姉妹艦の数人と一緒に 部屋の入口近くにいました

もちろん有事の際には いの一番で出撃するためです!

 

まぁ 窓の近くだと雨音が煩くて会話も難しかったから というのもあります

 

 

 

 

 

 

 

どういう事を話していたか ですか

何と言いますか 正直 下らない事だとは思いますが

いわゆるモノマネ遊びをしていました

 

私達艦娘は 姉妹艦同士でとても声が似ています

貴女も覚えがありませんか?

 

呼びかけた姉妹艦が 自分とは別の姉妹艦の方へ向かったり

逆に 誰が返事したのか分からない事が有ったり と

 

紛らわしいとして 軽巡の方々からは注意されていますが

それでも駆逐艦の間では 暇つぶしの方法として良く行われています

 

 

 

後で聞いてみよう と言い出した姉妹艦が

その時の会話を録音していますので 聞いて頂いて宜しいですか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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- 雑音 -

 

 

 

「うん、これで大丈夫かしら」

「本当に物好きね。わざわざ目隠しまで用意して」

「この方が誰が言ってるか分からないから楽しいでしょ」

「ほんとねー」

「えっ? 今の荒潮?山雲?」

「山雲よ。伸ばし方が違うもの」

「う~ん ばらすのは無しでしょー」

「そーよ。やるからにはちゃんとしなさい」

「ちょっと 今の霰よね? 誰のマネしてんの」

「秘密」

「霞 名前を出したらダメでしょう」

「朝潮姉ぇ…じゃないわね! あーもうっ!」

「大潮です」

「誰よ今の」

「ちなみに夏雲と峯雲は自室にいるからね」

「あはは~」

「うふふ~」

「んへへ~」

「私はそんな笑い方しないわよぉ」

「うわぁ みんな似てるわねぇ~」

「なに? 荒潮姉が流行ってんの?」

「大潮です」

「普段と違う口調を試すチャンス って感じかしら」

「クセはともかく 声色が似てるから判りにくいわね」

「朝潮型はドぎつい性格が二人もいるから…」

「霰っ! アンタねぇ!」

「あー たぶん今のは霰じゃないわ」

「(声にならない唸り)」

「んちゃ」

「大潮です」

「クソ提督」

「それ曙でしょ」

 

 

 

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はい こんな無為な会話が結構続きました

改めて聞くと恥ずかしいですね…

 

何もオカシイ所がない ですか

そうですね

声を聴いただけでは 姉妹艦同士で遊んでいるようにしか思えないですよね

 

 

でも オカシイんですよ

 

私や他の姉妹艦も その場に居ない子のマネはしていません

最後の曙さんのセリフは マネてもいない代物でしたし

自ら名乗るような言葉も控えるようにしていました

 

 

 

 

はい その通りです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この鎮守府に「大潮」は居ないんですよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 【インタビュー後のフリートーク】

お疲れ様でした!
こういった事は初めてでしたので とても緊張しました

ええ 話しやすいインタビューで助かりました


はい?
いえ 本当にあったお話ですよ

この数日後に「大潮」をドロップ艦として迎えたのですが
朝潮型の歓迎会の時にあの子が言ってたんですよ






「またモノマネ遊びしましょうね!」 って


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