作者が思いついたけど、時間とか諸々が許してくれなさそうなので仕方なく短編となった作品の置き場です。もしかしたら連載化するかもです。。。

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もっと長くしたかったんですが、筆者にはこれが限界でした


手紙

 さて、何から書き出そうかの。実を言うとこれで三回目なのじゃ。どうにもこうにもいい書き出しが思いつかなかったのでな。儂も、どうやら年のようじゃ。

 まあいい。儂は恐らく此度の依頼を失敗し、魔王の前に斃れるのだろう。

 

 ーすぅと息をし、悪趣味な彫刻の施された重厚な扉を開ける。その見た目とは裏腹に結構あっさりと開いた。恐らくは手入れを怠らずに丁寧に扱ってきたのだろう。

 

「来た、か。アレスの剣士よ」

 

 この部屋。いや、この城の主であろう声が奥から聞こえる。

 

「待たせちまったかのぉ?魔王や」

「いや、予想よりあまりに速く此所まで到達してきたものだからな。少々面食らっただけだ。その速さ、『疾風』と呼ばれるのも頷ける」

「そう褒めるな、ケツがむず痒くなる」

 

 ーまあ、それも仕方あるまい。既に刻一刻と危機が迫ってきておる。それにお前を待つという選択はできればしたくなかった。峯龍の時も王蜘蛛の時も仙蛇の時も儂はお前に劣る活躍じゃった。せめて最期ぐらいは師匠にいい思いをさせてくれ

 

 ー少し前に歩くと神への冒涜を絵に表した様な醜悪な姿をした魔物、魔王が玉座に腰かけていた。だいたい身長は230ぐらいで頭部に山羊のような角が一対生えている。

 

「ふ、この我を討とうとする愚か者がそこまで年老いた剣士だとはな。我も見くびられたものだ。」

「ほう...この儂を老人扱いするとな?」

 

 少々カチンとくる。

 

「『勇者』はどうした?あの若造が来ると思ったが」

「あの未熟者では貴様に敵わんじゃろう?そこであやつの師匠たるこの儂に白羽の矢がたったのじゃ」

 

 腰に差してある剣へと手を伸ばす。『銀鋼(ミスリル)』製なので刃こぼれはしないし魔力にはまだ余裕がある。それに『回復薬(ポーション)』も結構残してある。準備は万端だ。

 

「...む。茶の一杯や二杯でも出してやろうと思ったのだが。もう始めるのか?」

「ああ。何時までも話をしておると老い先短い儂のほうの寿命が尽きてしまう」

「その心配はいらんさ」

「あー…どうしてかは、聞いたほうがよいかの?」

 

 奴が手を握る。...魔界のモノが使う魔術の予備動作の一つだ。そして蛍光色の光を放ち始め...

 

「当然だ、ここで貴様は死ぬのだからな!!!」

 

 光の矢が、此方へと恐ろしい速さで儂へと向かってくる。...今!

 

「舐めてもらっては困るのお!!」

 

 破邪の盾でそれを防ぐ。所謂『じゃすとがあど』というそれは相手の攻撃を完全に防ぐ『奇跡(セットスキル)』の一つだ

 

 ーああそうそう。儂の遺産じゃが、リアベルの奴に5割、息子達に2割ずつ、お前に5分、残りは教会に寄付しておくれ。装備はお主の好きにてしくれて構わん。隠れ家は見つけたヤツの好きにしてやれ。つまりお主が見つければお主の物になるわけじゃ。まあ、未熟者に見つけられるわけないじゃろうがのう。

 

 ーそして、今度はこちらの番とばかりに突撃する。

 

「ええい、ちょこまかと!!」

「速さが売りなものでの!!」

 

 魔法による迎撃をゆらりゆらりと避け、今度は跳躍し、ヤツの頭に一太刀喰らわせてやろうと剣を降り下ろす。

 

「バリア!?」

「油断したな、『疾風』!!」

 

 武器を持っていない方の手でのカウンターをもろにくらい、紙切れの如く吹き飛ばされる。

 

「グゥォ!」

 

 壁へと勢いよく叩きつけられ、こみあがってきた血を口から吐き出す。…どうやら骨の1、2本程折れたようだ。

 

「終わりだ、『疾風』!」

「それは…どうかの!」

 

 即座に回避魔法を使い、儂を潰さんとする大鎚をかわす。そして

 

「『ra/kukuru/patou』喰らえ、『エアブラスト』ぉ!!」

 

 儂が覚えておる『(ra)』系魔法の中の最強の魔法、『エアブラスト』をヤツの顔に叩き込む

 

「グオウ!?」

 

 しかし、流石は魔王。鑪は踏んだが斃れることはなかった。

 

「ちぃ、見くびりすぎたか!!」

 

 反撃の一撃を剣でいなし、盾で殴り付ける。…攻撃が通った。どうやら、『(en)』系でも攻撃が通るようだ。そうとわかれば話は早い。

 

「『en/tenda』」

「エンチャント!?不味い!」

「まずは…一太刀もらって頂こうかのぉ!!」

 

 予想通りバリアは攻撃を通し、儂の剣がヤツへと襲いかかる。だが、ヤツとて必死。首を瞬時に傾け何とか避けようとする。が、避けきれず顔に傷を負わせ更には角を一本斬り飛ばせた。

 

「…まさか、一撃喰らわせてくるとはな」

「どうじゃ、儂も捨てたもんじゃないじゃろ」

「ふむ、仕方あるまい。久方ぶりに本気といこうか」

 

 ヤツは、マントを投げ捨てた。どうやら、本気らしい。

 

「それ、一撃で沈めてやろう。『kul/zu/tel/tel/tel/tel』…」

 

 どうやら、最大出力でくるらしい。恐らく剣での迎撃は不可能だろうし、回避魔法でも避けられるとは思えない。『放射(patou)』だろうから盾では防げんだろう。ならば、こちらも最大出力で行くしかあるまい。

 

 ーリアベルにはどうか深く謝っておいてくれ。儂には勿体ないくらい、本当に素晴らしい、世界一の妻じゃった。じゃが、儂は仕事じゃからと旅行にあまり連れ出せなかったし子育ても任せっきりじゃった。本当に、申し訳ないことをしたと後悔しておる。ネルンにも、ダメな父で本当に申し訳ないと謝っておいてくれ。構ってやれず、道を示せず、何か教えてもやれんかったと。

 

「『ra/en/kul/zel/hou/kukul/tel/tel/tel/tel/tel/patou』!!」

「…『tel/patou』!!」

 

 儂の知りうる最強の魔法とヤツの言う本気の一撃がぶつかり合う。そして

 

「相殺…じゃとぉ!?」

「何を呆けておる!」

 

 相殺という結果に驚き、動きを思わず止めてしまう。そして

 

「それ」

 

 頭を掴まれ叩きつけられる。そして

 

「さよならだ、『疾風』よ。よもや、ここまで苦戦するとは思っていなかった」

 

 ヤツの大鎚が迫りーー

 

 ー最後になるが、お主は本当に素晴らしい弟子じゃ。これからもどうか、強く生きてほしい

 

 冷たい金属が一瞬触れたと思うと儂は冷たく、暗い場所へと落ちていった




 時間が出来たら続き書くかもです

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