ジャーニー・エイジス   作:ハテギツネ

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「何やら横のバーに色がついて・・・ ( ՞ਊ ՞) ゑっ?」

思わず二度見三度見しておりました。本当にありがとうございます。
不定期更新の拙い作品ですが、今後ともよろしくお願いします。


鉱山都市-テッド-

「なな、何!?」

 

急に大きな音が耳元で響き、それに驚き目を覚ます。

辺りが急に明るくなってたかと思えば、すぐ暗くなった。

一体何が起きた? 状況判断をしようとし暗視モードを起動する。と。

 

「か、間一髪っス・・・エイジスがスタングレネード使ってくるなんて聞いたことないっスよ・・・」

「っ!?」

 

うおお危なかったっス、と一息ついている人影が確認できた。

見た所人のような形をしているが、私はそれよりもその奥にあるものに目を引かれてしまう。

その人影の目線の先には。

 

「エイ・・・ジ・・・?」

 

壁にもたれかかるようにしてグッタリとしている装甲人形。

右腕上腕が無く背に大きなユニットを積んでいるそれは間違いなく、この旅路で出来た友の姿で。

 

「そこの人形さん、無事っスk

「エイジ!!」

 

人影がこちらに振り返って何か言ったが、私はそれを聞かずにエイジに近寄ろうとする。足は動かないので這って移動する形になったが。

それでもその間、その人影は「えっ、え?」といった感じで茫然とそこに立ち尽くしていたので邪魔されることもなくエイジのすぐ傍に寄ることが出来た。

 

「エイジ! しっかりして下さい、エイジ!」

 

私はエイジの肩を揺らしたり手の平で頭をぺしぺしと叩いたりしたが、それでも反応は帰ってこない。

 

「エイ、ジ・・・?」

 

・・・そんな。まさか。

動かない巨体を前に、良からぬ思いが頭の中を回る。頭が垂れる。腕の力が無くなっていく。あの日を思い出してしまう。

ああ。私はまた、仲間を、友を失って。

 

「痛っ!・・・えっ?」

 

と、急に首元のうなじに痛みが走る。何かが刺さった感触。ジャックに何かが刺さった。

そして視界にウィンドウが映る。それはごく最近まであったもの。それはまぎれもない『彼』からの言葉。

顔を上げる。

 

 

 

 

《返答・・・大丈夫です》

 

そこには青い目の光を灯す『彼』がいた。

 

「エイジ! 大丈夫なのですか!?」

《簡易動作チェック終了。損損箇所見つからず。異常無。動作に問題ありません。

警告。敵性反応の個体有》

 

エイジが無事なことに破顔しそうになる私だったが、最後の一言にハッとする。そうだ、今はそういうことをしている場合じゃない。

後ろを振り返り、人影にむけて(C96)を構える。エイジと出会う前のあの時から壊れている代物だし、弾も入ってないのだけれど。

 

「えっ、ちょ!? 待つっス!? 話がいまいちつかめないんスが!?」

 

それでも効果はあったのか、その人影は既に銃を降ろし片手で此方に「待て」の合図を送っていた。暗視モードで見た人影のその正体に、声を漏らす。

ウサギの耳のようなモノを頭につけている相手の、その姿から発するこの反応は。

 

「戦術、人形?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自己紹介するっス。私、L14地区司令部所属のNS(ネオステッド)2000っていうっス。皆からは『テッド』って呼ばれてるんでそう呼んでくださいっス」

 

NS2000―――テッドはそう言い終わると同時にその場にかがみ込み・・・所謂、土下座の体制になり。

 

「此の度は誠に申し訳御座いませんでしたっス!!!!」

 

坑道内に響くくらいの大きな声で謝罪したのだった。

 

 

 

一応テッドの言い分を聞くと、だ。

 

彼女はとある目的があってこの鉱山に散策に入っていたらしい。そして歩いている内に私達の反応を拾ったそうなのだ。

反応を頼りに来てみれば、そこには半壊状態の戦術人形、その傍らには鉄血兵が。

なぜここに稼働中の人形がいるのかと驚きはしたものの、同朋がやられていると判断した彼女はその戦術人形を助けるため、すぐに所持していた光学迷彩マントと自分の相棒(NS2000)を持って奇襲を仕掛けようとして・・・

 

あとは私の知る通りとのことらしい。

 

「本当に申し訳ないっス! まさかそのエイジス、貴方のペットだったとは・・・」

 

テッドは何度も此方に―――主にC96に―――頭を何度も下げている。・・・ペット。ペットか。そう見えるものなのか。・・・少し複雑な気分になるのはなぜだ。

 

ともかく、彼女のとった行動。こればかりは仕方が無かったのではないかと私は判断する。

 

誤認だったとはいえ、仲間を助けるための行為だったのだ。事情を知らない者からすればあの状況では仲間がやられていると判断してもおかしくはない。彼女は当たり前の行動をとっただけだ。そこに咎める箇所はない。

むしろ、その動きには賞賛の意を贈りたいぐらいである。仲間を助けるために敵に単身突っ込むというその行為には、私には眩しいものに近いモノを感じる。だからそれを見れた私には何の憤りを感じることはないのだ。

 

・・・無いのだけど。

 

「全くですよ! エイジに何かあったらどうするつもりなんですか! あとエイジはペットじゃありません!」

 

私に怒りが無くてもC96にはあったらしい。右手を上げて威嚇の体制になりながら怒っている。

どうやら私の身を思って怒っているようだが、私は無事だし、テッドも反省しているみたいなのでそこそこに切り上げさせようとしてC96と話そうとする。

 

「貴方もですよエイジ! なんであの時私を起こさなかったのですか!? そうすればこんなことにはならなかったのかもしれないのですよ!?」

 

と思いきや今度は矛先が私に向いてきた。

う、うーむ。反論したいのは山々なのだが・・・今になって思えば、確かにその方法もあったのではないかとも考えてしまう。

結局は彼女を起こして事情を説明してもらう、というのもあったな。・・・いやでも、あの時には相手が戦術人形かどうかは分からなかったから、彼女の身を守ることを第一にする今だとあまり意味のない行為に終わった可能性もある、か・・・?

 

「意味のない行為とか、そういうことじゃありません! ・・・もうっ!」

 

結局C96はそのままそっぽを向いてしまった。

・・・何がいけなかったのかの原因は分からないが、ともかく、あの場であの選択は間違いだったらしい。うーむ。なぜだ。

 

「・・・お二人ともずいぶん仲が良いんスね?」

 

と、私たちのやり取りを眺めていたテッドがポツリと口を開く。

 

「当然です。エイジと私は友達ですからね!」

「お、おう? 友達、スか? エイジスと友達・・・ええ?」

 

C96の返答に頭を捻るテッド。・・・相当混乱しているようだ。当たり前だが。

 

「え、え~と。とりあえず私のつけた傷みせてもらって良いスか? エイジさん、でしたか。貴方が立っていられてるってのが不思議なんスけど、なんかあったらまずいっス」

 

と、彼女が頭を整理しながらそのような提案を投げかけてくる。

ふむ、私の動作チェックでは動作には問題ない結果を示しているので大したことはないと思うが・・・一応見てもらおうか。

私はC96を経由して、見せても構わないことを伝える。

では失礼するっス、と言ってテッドは徐にペンライトを取り出しながら私の腹部を見る。

 

「・・・マジっスか」

「え、ど、どうしたのですか?」

 

しばし私の体を見ていたテッドはしばらくの無言の後に驚愕の声を出した。それにC96と私に疑問の声が上がる。まさか外傷はそんなにひどいというのか?

 

「・・・対生体人形用のバックショット弾だったとはいえ、ほぼゼロ距離での一撃(ショックブロウ)っスよ? 傷一つついてないってどういうことっス・・・?」

 

普通の装甲人形なら貫通せずとも傷ぐらいはついてるはず、とテッドはそう続ける。

その後もしばらく外傷が無いかチェックしてもらったが、銃撃のよる傷は見つからなかった。

 

「えっと、とりあえず見た感じ外の方は大丈夫そうっすね…」

「ほ、良かった・・・、?」

 

テッドの言葉にC96は胸を撫でおろしたが、テッドの方はなぜか私の体から離れようとしない。

まるで吟味するかのように顎に手を当て、たまに私の体をコンコン、と叩く。

 

「ど、どうしたのですかテッド?」

 

「厚さは普通の装甲兵と変わらない、なら材質が違うっスか。何かと混ぜた合金っスか? でも人形用のSG弾を完全に弾くくらいの物なんてそうそう、ましてや傷一つ付けないで済むものなんて・・・鉄血が新素材を開発した・・・?」

 

なにかブツブツとつぶやいている。そして今度は此方にも聞こえる声で一言。

 

「・・・グリフィンに売ったら金になるっすかね」

「売りませんからね!!?」

 

その言葉にC96は目ざとく反応したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「山の反対の出入口ッスか? あそこはもう潰れて無くなってるっスよ?」

「な、なんですと!?」

 

C96から驚愕の声が上がる。私も内心苦い顔をする。

あの問答のあとテッドが私達のここでの目的を聞いてきたのでそれの返答をしたのだが、

 

「数年前までは普通にあったらしいんスけどねー。老朽化で崩れちゃったらしいっス」

 

その答えがこれだ。

・・・まあ、道中これだけ崩れているならもしかしたらと予想しなかった訳ではないが・・・対面して言われると結構くるものがある。

ともかく、テッドの言葉を信じるならばこのまま進んでも意味はない。戻って別の踏破方法を考えるべきだろう。

 

「う、うう。そうですね・・・戻るしかないですよね・・・」

「・・・あのー、ちょっといいスか?」

 

戻るためのルートを設定していた私とC96に、テッドから声がかかる。

 

「山の反対側行くなら、私案内するッスよ? 元あった出入り口とは別に、最近新しくできた輸送用トンネルの入口があるッス。私はそこから来たっスよ」

 

たがらこんなトンネルから離れた所に人形がいた事に驚いたんスけど、とテッドは続ける。

 

「その先に私の車が止めてあるっス。さっきのお詫びと言っちゃなんスが・・・そこまで送るっス。どうスか?」

 

彼女の提案に私はC96と顔を見合わせる。

ふむ・・・渡りに船というのはこういうことを言うのではなかろうか。

 

「そう、ですね・・・。ええ、このまま戻っても何かいい方法が思いつくわけでもありませんし・・・是非お願いします、テッド」

「了解っス! 任せてください!」

 

ビシッと敬礼のポーズをとった後、「ではついてきてくださいっス!」といって先導を開始するテッド。

私もそれに続こうとする。

 

「エイジ」

 

と、出発しようと歩き出したところでC96から声がかかる。

 

「さっきの話ですけど。あの時私を起こさなかったのは『結果的に意味のない行為だったから』って言いましたよね」

 

さっきの話―――、テッドに誤認されて撃たれた時の私の行動か。

まぁ、言われれば悪手な行動だったかもしれない。が、繰り返すが、あの時は相手が戦術人形かどうかは分からなかったのだ。だからC96の身を守ることが第一な今、あの場でC96を起こして説得するという方法は危険だった。故に意味のない行為と言ったのだ。

・・・最終的に自分は負けて地面にひれ伏してしまった訳で、

 

「守ろうと動いてくれたのはありがとうございます。でも、そういうことを言ってるんじゃないんですよ」

 

C96は私の言葉を遮るようにして言葉を紡ぐ。

 

「一人で何とかしようなんて考えないでください。『意味のない行為』とか、そういう風に言うのはやめてください。私は貴方の友達で・・・あなたはそう思ってないのかもしれませんが、私にとっての大切なモノの一人なんです。エイジがやられて動けなくなっていた時、私、本当に心配したんですよ」

 

そこで一旦区切り、私の目をいっそう深く見据え、口を開く。

 

 

私より先に居なくならないで下さい(・・・・・・・・・・・・・・・・)。私は、私の見えないところでもう大切なモノを失いたくありません」

 

 

・・・ここへきて、彼女の言いたいことが分かった。

ああ、そうか。・・・彼女は恐れているのか。大切な存在を失くすことを。

眼前で見ることも無く消えていった仲間たちと同じように。

 

・・・彼女は私を大切なモノの一人だと言った。

私が消えること。消えることは、彼女にとってそれは。

・・・それが、仲間というモノなのか。

・・・それが、友達というモノなのか。

 

・・・ああ、なんと、眩しい・・・。

 

 

 

 

 

 

 

《・・・返答。了解しました。『C96より先に行動不能になることを禁ずる』。最重要命令として登録します。》

「あ、いや、そこまでしなくても・・・命令っていうか、お願いという意味だったんですけど・・・」

「おーい、どうしたっスかー? トラブル発生っスかー?」

「あ、いや、なんでも! ・・・行きましょう。お願いしますね、エイジ」

《返答。了解。》

 

遅れて二人は歩き出した。

 

 




Q,なんで未実装のこの子出したの?
A,見た目、声、性格全てが筆者の性癖にドストライクしたから。
Q,………ストーリーに必要という訳じゃないの?
A,深い設定は考えていない。設定は生やすのではなく生えるものってじっちゃが言ってた。




先日、帰郷行動Ⅳクリアしました。修復剤が湯水の如く溶けていきました(白目)。もう行きたくないデス。

巫女服姿の☆5SMG
「何言ってるんですか指揮官、まだ半月あります。これから楽しい堀の時間です」(右腕ガシッ)

ヒロイン属性の塊(当社比)の☆2MG
「まだ新実装のRF2人手に入れてないよね…?資材の方はコスト抑えなくてもまだ余裕があるよね…?」(左腕ガシッ)

ああああああもうやだアアアアアぁぁぁぁああ!!!(誓約人形二人に引きずられていく音)


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