問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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エンドゲーム最高すぎないか??
後、二三回見に行くかな


開戦!!リアスをかけたゲームが今始まる

 特訓の一週間はあっという間に過ぎ去り、レーティングゲーム本番。

 

 すでに会場に入場しているリアス眷属とライザー眷属はそれぞれ離れた場所に陣どる。

 

 ライザー眷属は学校校舎の屋上に。

 

 リアス眷属は慣れ親しんだオカルト研究部に。

 

 そう、ここは学生であるリアス達が日常を共にしている駒王学園であった。されどここは本物ではない。

 

 本物を使えば戦闘の余波などで周りに被害が出てしまうだろう。だから、ここは魔力で生成した第二の駒王学園と呼ぶのがふさわしい。

 

 電気水道などは一切通っていないハリボテの学園。

 

 逆にそれ以外は完璧に複製できている。それはオカルト研究部にある備品が一つもかけていない事などを踏まえれば明確だろう。

 

 

 

 

 

「それじゃあ一誠はまだこれないのですか」

 

『残念ながらね、少し魔法陣の改造に手間取ってしまって・・・今会場でアジュカが頑張ってくれてるんだけどね……もう少しかかるみたいだ』

 

 

 

 リアスの話し相手は空間に浮かぶモニターに映っている兄、サーゼクス・ルシファーである。

 

 その兄は困ったように頬を掻きながら面目ないと頭を下げている。

 

 

 

 本当は一誠は初めから入場させておく手筈だったのだが、悪魔上層部が人間のために魔法陣を変えるのを良しとせず、その説得及び了承に手間取ってしまった結果と言える。

 

 六日に及ぶ説得でどうにか許可を貰えそこからアジュカと共に構築を始めた。普通の悪魔なら最低五日以上かかる改変も、一日でほぼほぼ完成。後は仕上げと言う所で時間切れ、レーティングゲームの開始時刻になってしまったわけだ。

 

 

 

 

 

「私達だって一誠だけを頼りに勝つつもりはありません。別にこのまま来なくても大丈夫です」

 

『そう言ってくれて助かるよリアス。さて開始前の会話もここまでだ。これ以上していると不正を疑われるからね、それじゃあ僕の可愛いリーア頑張ってね』

 

「はい、お兄様!」

 

 

 

 見栄張った。一誠がいなくても大丈夫なわけが無い。

 

 先日言っていた通り一週間でライザーに勝てるようになれるわけが無い。そんなに簡単ならばランキング十一位なんて順位からすぐに転がり落ちてるだろう。

 

 

 

 一誠を覗いた場合の勝率は多く見積っても一%程度だ。

 

 だからといえ勝負を投げ出すのはリアスの心情にはない。例え勝つ確率が小さくても、僅かにアレばそれを掴み取るだけ。それが以下に困難な事であってもだ。

 

 

 

 不安や恐怖を見せずに笑顔で返した。

 

 後ろで見ていただけの眷属達はそれぞれ震えるリアスの手を見て、この勝負絶対に負けられないと覚悟を決める。

 

 

 

 

 

「さぁ!行きましょう。泣いても笑っても・・・勝つわよ!絶対に!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「作戦はさっき伝えた通り!それじゃあ」

 

 

 

 開始の時刻を告げる時計は数字をゼロにし、開始の音を鳴らす。

 

 

 

 『行くわよ!』

 

 

 

 リアス眷属達は作戦通りオカルト研究部を全員で空けた。

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 

 

「良かったのですかお兄様?戦力外の私を入れて」

 

「構わんさ、どうせ勝負は分かり切っている。俺の居るここに来るのは不可能だろうさ。あの人間を除けばな」

 

 

 

 グラスに注がれているワインを揺らしながら優雅に語る。

 

 黄金を散りばめられた豪華な装飾に、赤い生地に覆われ中の天然羽毛は安心して背中を任せられる柔らかさ。足を組んで座っているその態度は正に王そのもの。

 

 

 

 リアスが眷属の味方になる王国の王ならば、全てを支配する冷血なる帝国の王こそライザーだ。

 

 

 

 その隣で王と同じ目線で会話する幼女はあまりにも異質な存在感を放っている。

 

 ライザーと同種の落ち着いた青銅の瞳。それに対して髪は太陽が似合う黄金の鬣ロール。

 

 小説などでは威張り散らす女王様のような風貌でありながら浮かべる笑みは柔らかく穏やか。

 

 着ている服は一見何の変哲もないないように見えるが、細部をよく見れば多数の術式が織り込まれているのがわかる。彼女こそ、ライザーの妹たるレイヴェル・フェニックスその人なのだ。

 

 

 

 兄妹二人が仲良く会話しているのに割って入る一つの影がある。

 

 戦場には似合わない純白の美しいドレスを完璧に着こなしている女性。その風貌は正しく女王。誰かの下につくとは思えない存在感はライザーを本当に敬っているのか疑わしく思えてしまう。

 

 それでも、ライザー眷属の中で一番本質を理解していると言うのだから見た目が全てではない。ライザーの眷属”女王の駒”を与えられたユーベルーナは一度会釈をしてから発言をする。

 

 

 

 

 

「先程リアス様とその眷属が陣地から飛び出しました」

 

「やはりそう来るか。いくら頭数が同じと言えど実力の差は歴然。となると数で押す他あるまい」

 

 

 

 すでに推測していた通りの結果に落胆しながら淡々と用意していた戦略を選んでいく。

 

 その数百。ライザーがリアスの条件になったとして考えられる全ての戦略を用意していた。リアスはこの一つしか戦略が用意できなかったが、ライザーは遥かに上回る莫大な数の戦略を用意していた。

 

 そこから選んだであろう戦略を絞り込んでいく。

 

 力だけではない、知恵ですら、経験ですら圧倒的なライザーだからこそできる作戦。

 

 

 

 だからこそつまらんと吐き捨てる。

 

 この作戦の特異点たる人間はいない。もし入れば新たに別の作戦をその場で組み立て、接戦を強いられることになっていたと思ったからだ。

 

 

 

 もし一誠が居なければこのような作戦を考えずにただ殲滅して終わりで良かった。一誠に期待していた分いないと知れば落胆は凄まじくやる気が一気に落ちていく。

 

 

 

 

 

「イザベラと一緒に迎撃に当たれ、カーラマインは最終防衛ラインとして校舎一階の出入口を封鎖。倒せるようであれば倒して構わんが、リアスだけは残せ。早く終わらせては観客も不満だろうからな」

 

「御意に」

 

 

 

 ユーベルーナは作戦を伝えられてすぐに行動に移した。先に激突しているであろうイザベラの元へと急行し、カーラマインに防衛を支持する。

 

 迅速なその行動に迷いは一切なく、完全にライザーを信頼仕切っている証でもある。

 

 

 

 蝙蝠の羽を服を裂いて展開し空へと飛び上がり第一戦闘場たる体育館へと向かう。

 

 

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「雷よ!」

 

「無駄だよ!遅い遅い!!」

 

 

 

 朱乃の指先から唸る電撃を左半分仮面を被っているイザベラは余裕な笑みを浮かべながら躱している。

 

 彼女の駒は戦車。

 

 特性として速度は早くならず防御力と攻撃力特価のはずなのだが、彼女の速度は騎士の裕斗より速かった。

 

 騎士の裕斗の速度の早い攻撃も易々と受け流され、未だに決定打が打てていない。

 

 

 

 

 

「このッ!!」

 

「狙いが甘いよ王様、それじゃあ意味が無い。確かに貴方の攻撃は一撃必殺。下級悪魔の私じゃあ倒されちゃうだろうけど、完全にコントロール出来てればの話。仲間との混戦じゃあその真価が発揮できてないし仲間の動きで狙い場所が丸見え。残念だよ楽しめなくて」

 

 

 

 たった数分の攻防でリアスの弱点まで的確に推測していく頭脳はゲームメイカーに近い。

 

 普通に考えれば四対一でここまで善戦出来るわけもないが、空間が狭い体育館の上に一撃一撃が重いリアス達の能力を鑑みれば負けないことはない。

 

 

 

 とは言えそれは時間稼ぎが限界で、一手でも間違えれば一撃必殺の攻撃を受けてしまい負けるので無闇に攻められずにいた。

 

 

 

(せめてもう一人援軍がいればな・・・無い物ねだりはダメか。けどまぁそろそろ仕掛けないとね!)

 

 

 

 ギリギリを綱わたるこの感覚が堪らないと、獰猛な笑みを見せて防御から一気に攻撃移る。

 

 

 

 

 

「ボディーががら空きッッ!」

 

「くはっ──」

 

 

 

 接近戦しかないのか距離を詰め拳を穿つ小猫のパンチを紙一重で避けながら、防御の出来ないタイミングで一発腹部へ入れる。

 

 腹部深くへ抉り込むように放たれたカウンターパンチは手を伝い骨を砕いた感触を教える。

 

 

 

「これでひと──」

 

「捕まえました。副部長」

 

「えぇ待っていましたわ」

 

 

 

 ハメられた。その事実に気づいた頃には小猫と同時に雷を落とされる。

 

 腹部へのカウンターパンチはわざと誘われた物だった。速度も早く裕斗ですら動きをとめられない。けど、止めなければ攻撃は当たらない。

 

 となれば捨て身で受け止めるのが早いと戦略でも知恵でもない気合いの一言で受け止めた。

 

 

 

 そこへ放たれる雷はもちろん小猫も同時に食らう。それでも良かった。

 

 死ぬ気で受け止めた時点で身体はボロボロになり第二戦までいける状態ではなかった。だから、ここで食らって敗退しても本望だと。

 

 だと言うのに。

 

 

 

 

 

「小猫急いでこれを飲んで」

 

「なん・・・で・・・ですか・・・私は・・・」

 

「貴方が私の眷属だからよ!あの場面アレしか選択肢はなかったわ、けどねそれを眷属を見捨てる理由には出来ない」

 

 

 

 本当に甘い。けど、それだから心を許したんだ。

 

 自分の過去を罪を一緒に背負ってくれたリアスだからこそこの身を尽くせるんだ。その覚悟が決まった、だから。

 

 

 

 万能の治療薬”フェニックスの涙”を飲まそうとしたリアスの手を押しのけ、

 

 

 

「副部長!!」

 

 

 

 小さい身体は立ち上がる。

 

 口からこぼれる液体を撒き散らし、それでもなお吠える。 

 

 惨めだ無様だと嘲笑う者もいるだろうだが、ここで彼女を笑うものはいない。代わりに

 

 

 

「小猫!!!!!」

 

 

 

 耳に届くのは王の悲鳴だった。

 

 

 

 何故か悪い気配を感じた。途端に気分が悪くなった。

 

 感覚的な物で確証はなかったが、朱乃の隣に変な渦が産まれたのを知覚した時から幻覚ではないと察した。

 

 

 

 このままではやられてしまう。そう感じた小猫は死に体のこの身をくれてやると、朱乃を押し飛ばして代わりに全てをくらった。

 

 

 

 渦は次第に強く集まり、限界に達すると業火を放つ。

 

 渦で集めた空気中の酸素と突発的に発生した火炎により小猫の真横で爆発が起こる。威力にしてダイナマイト三個分。

 

 多分これは高速で放った一撃なため絶大な威力はないが昏倒させるには十分すぎた。

 

 すでにボロボロな身に鞭を打って立ち上がったため、ほぼ意識はない。だけど身を呈して朱乃を守った事はこの戦の大きなポイントになったのだ。

 

 

 

 

 

「よくも私の可愛い小猫を!!」

 

「ダメよリアス。ここで止まる訳にはいかない。裕斗くんと一緒に先に行きなさい」

 

「けど、」

 

「それが最善策よ。相手の女王は私が抑える・・・負けるつもりは毛頭ない。勝って後から追いかけるから先に行ってて」

 

 

 

 決断の時だ。

 

 この場に残り一緒に倒せば相手の女王は落とせるだろう。だが、そうすればこっちはかなり消耗しこの後に控える戦いに支障が出る。

 

 朱乃を見捨てれば次の戦闘には万全な体制で入れるので勝率は上がる。

 

 

 

 

 

「でも私は」

 

「行きなさい!!小猫ちゃんの意志を無下にするき?」

 

「・・・・・・絶対に後から来なさいよ朱乃」

 

「もちろんですわ」

 

 

 

 閉じれた体育館の扉を魔力で粉砕。そこから一気にライザーが潜む校舎へと二人は向かう。

 

 

 

 空から見下ろすユーベルーナは女王に敬意を表すようにゆっくりと体育館内の床へと着地する。

 

 

 

 

 

「自己紹介はいりませんよね”雷の巫女”」

 

「えぇ”爆弾女王(ボム・クィーン)”。挨拶はいりません・・・どうせ貴方は私に倒されるのですから」

 

 

 

 言葉での威嚇は終わる。

 

 次に始まるのは空気を裂き悲鳴を上げる雷と空気を圧縮し爆弾とかす豪炎の激突音だけだった。

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