問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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なんか超行き詰ってました。
アベンジャーズ最高ですぅぅぅぅ


不死鳥の夢

 フェニックス家の三男として誕生した。

 

 その出生からライザー遺憾無く才能をあふれさせている。

 

 

 

 生まれた直後に身体の衰弱から死亡。しかし、すぐにフェニックスの特徴の不死性を利用し生き返る。

 

 本来は鍛錬を積んで最短でも十を超えた段階で習得する不死性をら、産まれた時から己が物としていた。その才能は留まるところを知らず成長する度に周りに見せつけていく。

 

 

 

 齢三歳にして炎を自在に操る。

 

 十二にして【王の駒】を手に入れ眷属を持つチャンスを自身の力だけで掴み取る。

 

 数えあげればキリがなくなるがその全てが異常を示している。

 

 

 

 現悪魔界にて三人しか存在していない【超越者】の一人だとフェニックス家の誰もが思った。

 

 

 

『お前はいずれ【超越者】と呼ばれる存在。負ける事は許さぬ』

 

『レーティングゲームは一○位以降との対戦は禁ずる。これはお前のためだ理解してくれ』

 

 

 

 箱入り娘のように丁重に丁重に扱われ続け、その才能は燻っていく。

 

 

 

 

 

 ──俺は死を味わいたい。絶望し失望し恐怖する死を。

 

 

 

 ライザーはいつからかそのように思い始めた。

 

 だが、それを許さない。許されない。

 

 

 

 不死者であるからこその死への渇望。

 

 願いにも似た夢はずっとライザーの心の中に残り続けた。

 

 

 

 フェニックス家の三男でありながら将来は当主となる事を約束されているゆえに長男からは忌み嫌われ、二男からは避けられていた。

 

 死も愛も受け取れなかったライザーは生きる希望すら無くなっていき次第にその才能が覚醒することが無くなった。

 

 

 

 そして親が勝手に決めた婚約も特に反対すること無く受け入れる。

 

 もう全てに諦め失望していたから。

 

 

 

 なのに、一人の男を目にした。

 

 人間の身でありながら並の悪魔以上の力で堕天使を屠り、あまつさえ異端なその力を持っていながら周りから慕われ愛を受け取っている。

 

 自身と同じ異端なのに手に入れてきた物はまるで違う。

 

 

 

 ──だから俺はこの男と戦いたかったんだ。俺に足りない物はなんなのか、なぜまともに生活ができているのか。全てを聞きたい、全てを受け入れたい。愛を感じたい。

 

 

 

 

 

 願うことをやめた心に火が灯る。

 

 最後の希望にして切望の眼差しを向ける相手。

 

 妄想の中の自分と退治するような感覚。

 

 

 

 ──あぁ俺は・・・・・・

 

 

 

 諦めたはずの夢を願いを空想を口にする。

 

 

 

『生きたい』

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 数分間意識が飛び走馬灯が巡っていたらしい。

 

 おかげで気分は最悪最低。死にたい気分だ、死ねないのだが。

 

 

 

(・・・久々だなこんなに勝ちたいって思ったのは)

 

 

 

 走馬灯のおかげで童心に戻ったと言うべきか表情はどこか柔らかい。

 

 なんの為に死を望み切望したのか。思い出せた。

 

 

 

 人間は圧倒的な力の持ち主だ。

 

 こちらがいくら策を弄しても力で推し破る策略潰し。

 

 今までに経験したことのないタイプの敵。

 

 

 

 (分かってる。俺じゃあ勝てない。この力だって生き残るためじゃない、死ぬために付けてきた。けど、アイツは違う。生きるために強くなったタイプだ)

 

 

 

 似てるようで違ったんだなと笑みを浮かべた。

 

 

 

 もう答えは知った。ライザー・フェニックスと兵藤一誠の違いは明白。

 

 ゲームは降りても問題ない。と言うかさっさと終わらせて寝たい気分だ。

 

 

 

 絶対に手に入れられない力なのだから求めた所で意味が無い。望んでいた答えは得られなく最後の希望の糸は切られた。

 

 

 

 両親が地面に大の字で横になるこの様を見たら激怒必死だろうなと苦笑いし負けを宣言しようとした。

 

 

 

 そんな時に目が合う。

 

 屋上の上から見下ろす一人の挑戦者()は口にするでもなくただ見つめるだけだ。

 

 

 

 ──やめてくれ、そんな目で見るな。俺はそんな器じゃなかったそれでいいじゃないか。

 

 

 

 否定する。

 

 

 

 男が訴えるのはただ一つ『立ち上がれ』

 

 

 

 ──なんでそんな目で・・・

 

 

 

 脳裏をよぎるのは自身の思考。

 

 そして、兵藤一誠と言う人間の思考。

 

 

 

 確かに手に入れた物は違う。真逆と言ってもいい。

 

 けれど同じ異端なら思考も同じになるはずだ。

 

 

 

 【死を味わいたい】それはひっくり返せば【生を感じたい】という事だ。

 

 

 

 紙一重。行き着いた正解は違えど同じ所にたどり着いた。

 

 

 

 ──そうか・・・そうなのか・・・・・・俺がお前に夢見てたようにお前も俺に見ていたのか。だったら──

 

 

 

      『負けられないな

 

 

 

 感情を薪として焚べる。

 

 生への謳歌、勝利への渇望。

 

 今までの人生で湧いたことの無い感情が新たに産まれそこから新たな力が開花した。

 

 

 

 駒王学園全体を蒼い光が包んだ。

 

 

 

□□□□□□□□□□□

 

 

 

 屋上から見下ろして目下の先にある光景に驚きを隠せずにいる少女が一人居た。

 

 

 

 

 

「なにが・・・」

 

「目をしっかり開けとけよリアス。これからだやっと面白くなる」

 

 

 

 フェンスに飛び乗り光の中心点。蒼炎の発生源たるライザーを見つめる。

 

 横から覗く一誠の顔はどこかワクワクしてる子供のように感じたのだ。

 

 

 

 蒼炎が収まりようやくグラウンドを視界に収めることができ、ゆっくりと頭だけを出して覗く。

 

 そこに居たのは露出度がかなり上がったボロボロのスーツを着たライザーが一人。

 

 

 

(まだ倒れていない・・・・・・それにこの感覚は何?まるで)

 

 

 

 お兄様を見ているようだと呟く。

 

 それはサーゼクスのようなカリスマ性や顔が似ているとかではなく、その放つオーラが一瞬だけ似ていると錯覚してしまっただけの事。

 

 

 

 リアスが感じ取ったのは純粋な力【超越者】へと覚醒した予兆だった。

 

 

 

 そも【超越者】とは何なのか。それは単純明快だ。

 

 悪魔としての力を逸脱している力及び始まりの悪魔(七二柱の悪魔)にどれだけ近づけたのかが規定だ。

 

 

 

 既に判明している三人の【超越者】は、ルシファー家アスタロト家バアル家の三家の血による覚醒によって齎された物である。

 

 そう最低条件が純血悪魔である事と七二柱の悪魔の血を引いている事であった。

 

 

 

 今回のライザーも例に漏れず始まりの真のフェニックスが使ったとしている蒼炎を身に纏う事に成功していた。

 

 事実上【超越者】へとライザーは至った。

 

 

 

 それを兄として近くで見続けてきたリアスだけが肌で感じる事が出来た。

 

 

 

 

 

「あ・・・っ・・・」

 

 

 

 その事を伝えようと口を開くも声が出ない。

 

 ライザーが一誠に向けた殺気が僅かに当たっただけで恐怖から喉が声を出す事拒絶した。

 

 

 

 

 

「随分と見違えたなライザー」

 

「そうかな?私はさして変わったとは思っていないんだけどね。まぁ、力が湧いてくるのは事実だよ」

 

 

 

 身に纏う蒼炎は風に揺れる。

 

 その度大気中の空気を燃やし続け火の粉を散らす。

 

 

 

 

 

「今のあんたなら十分に楽しめそうだぜ」

 

「そうか残念だが──私はそうは思えんな」

 

 

 

 炎が揺れ陽炎だけが取り残されライザーは一誠の背後に一瞬で回り込み、残念だと告げ先程のお返しで腹部へと蹴りを捻り込む。

 

 確実に肋骨を幾つか砕き、破片が内蔵を傷つけ血が逆流する。

 

 口から赤い鮮血が飛びライザーの白いワイシャツを汚すも、そんな事にお構えはない。大気圏に突入するのと同義の速度で加速しグラウンドを大胆に削る。

 

 

 

 地割れが起きたかのように接着地点から真っ二つに別れていき二つの山を作ってしまう。

 

 それは今までの戦闘がまるでお遊びだと告げるかのような破壊力だ。

 

 

 

 

 

「何この威力」

 

「驚くなよリアス。まだ全力の半分以下さ、それにこの程度でアイツを殺れると思うか?」

 

「それは・・・・・・」

 

 

 

 悪魔の中で最も身近であの異常な力を目にしてきたリアスであっても、簡単に安堵は出来ない。

 

 隣に立つ男の底が一切見えなくなり、一誠の勝つ姿が一切イメージできない。

 

 最初の一誠さえ居ればいいと思っていた自分の考えは粉々に砕け残ったのは、自身も参戦しなければいけないと思い始めた。

 

 

 

(なのに、何でよ!何で足が動かないの・・・手も魔力も動かない)

 

 

 

 生物がDNAまでに刻み込まれた恐怖への怯え。

 

 暗闇を恐れ、獣を恐れ、不幸せを恐れ、死を恐れる。それが生物としての本能であり抗えぬ呪いでもある。

 

 一度その恐怖を感じてしまえば滅多な事が無ければ立ち上がる事は出来ない。

 

 俗に言う『心が折れた』に近い。

 

 

 

 

 

「負けを宣言しようなんて考えるなよ。そんな事をすれば私は貴様を例え地の果てに居ようと殺してしまう」

 

「分かってる、このゲームはリタイアはしない」

 

 

 

 震える声に脚。もう自分の物でないようだ。

 

 こちらからの指示は一切受け入れずひたすらに身体は戦闘を拒む。

 

 血の力にかまけ技を磨いて来なかったからこその心の弱さ。

 

 口では兄を超えると言いながらもその本質は超えること拒む。所詮口だけの女──もし一誠がこの場に居ればそう言っただろう。

 

 

 

(分かってる、分かってるのよ。私は意気地無しだって事なんて。努力をいくらしてもお兄様に勝てないけど、努力をしている体で居たいから無駄な努力をする。

 

 そんなの言われなくても分かってた。だから、あの時それを言われた時は自分自身が一番驚いたわ。世界を敵に回してもなんて・・・・・・)

 

 

 

 空を見上げ自問自答を繰り返した。

 

 幼少期にも何度もしたが答えが出なかった質問。

 

 

 

 ──貴方のしたい事は?

 

 

 

 兄を超えるのは夢。自由に生きるのも夢。

 

 

 

 だったのならばしたい事は一つ。

 

 

 

『その夢を掴む力を手に入れる事』

 

 

 

 人生にて初めてその日一歩を踏み出す。

 

 

 

 

 

「はァッ!」

 

 

 

 近場に転がっていたフェンスの欠片を太ももに勢いよく突き刺した。

 

 日焼けをした事がない白く美しい肌に赤い液が彩る。

 

 痛みに顔を歪ませ苦痛に膝が折れそうになるもしっかりと立ち上がる。

 

 

 

 

 

「何をして」

 

「ライザー・・・貴方が一歩踏み出したなら、私も踏み出す。それが茨の道だとしてもね!」

 

 

 

 死んだ瞳に光が宿った。

 

 

 

「くかっハハハハハハ!いいぞ、あぁ余興程度だと思っていたが、その瞳その心欲しくなった!余計にこの勝負負けられないな!」

 

 

 

 乱れた髪を掻き揚げながら堂々と宣言した。

 

 今まで義務だからと諦め興味を示してこなかったリアスに初めて抱いた感情──独占欲だ。

 

 

 

 新たな感情を持ったのと同タイミングで地面が再度割れ、狭間から一人の男が生還する。

 

 制服はズタボロに裂け、ブレザーは最早見る形もない。長ズボンもダメージジーンズの比では無いレベルで傷がある。

 

 

 

 

 

「俺を抜きで随分と面白い事をしてんなおい!」

 

「別に君を抜きでやっていた訳では無い、復活が遅かったのがいけないだけだ」

 

「よく言うぜさっきの時戻ってくんの時間かかったくせによ」

 

「そこを突かれると痛いな」

 

 

 

 二人の会話はまるで昔からの旧友と話すかのように穏やかであった。

 

 そんな二人にリアスは堂々と割り込む。

 

 

 

「一誠これを」

 

 

 

 リアスが懐から取って放ったのは小さい液体の入った瓶。

 

 ちょっと力加減を間違えれば砕け散るガラス製のようだ。空中で巧みに状態を変え続ける瓶を割る事無くキャッチして

 

 

 

 

 

「おっとなんだこれ?」

 

「フェニックスの涙よ。どんな怪我でも治す万能治療薬・・・さっき怪我してたでしょ?一誠には頑張って貰うんだから傷を治して貰わないとね」

 

 

 

 自分の足に突き刺さったフェンスの欠片を無視して一誠に支給されたフェニックスの涙を渡した。

 

 その様子を見て大体事情を察した一誠は瓶の中身を一気飲みして後ろ髪を掻き毟る。

 

 

 

 

 

「たくっ、女がこんな事をしてんじゃねぇよ」

 

「痛っ!ちょっと、覚悟を決めてやったんだから褒めても良いじゃない!」

 

「馬鹿だな。これで婚期を逃したらどうすんだよ、女の傷は結構響くぞ」

 

「えっホント?」

 

「あぁマジマジだから傷を残さないためにさっさと決めるか」

 

 

 

 目の前にいながらも手を出さずに待っていたライザーの方へやっと視線を向け直す。

 

 

 

 

 

「なんだもういいのか?もう少しイチャイチャしていても良かったんだがな」

 

「おいおいこちとら戦闘しに来てんだぞ?そんな事言ってくれんなよ」

 

 

 

 そう言いながら左手を上空へ掲げる。

 

 まるで太陽を掴むかのように拳を握りしめながら。

 

 

 

 何かの儀式かと首を傾げるライザーは何もせずに見つめ続け、一誠から戦闘を再開するのを待つ。

 

 

 

 

 

「おい居候!久々に使ってやるよ」

 

『・・・・・・』

 

「・・・よし、切り落とすか左腕」

 

『待て待て相棒!ちょっとした茶目っ気だろ?そんな事で早まんな』

 

 

 

 一誠の問に答えを出したのは人間でも悪魔でも無い。上空に掲げた左手を覆う赤い篭手からだった。

 

 

 

 手の甲の部分に水晶玉のような大きい黄緑(エメラルド)の宝玉。そこを中心に凹凸の激しい、まるで龍の鱗のように真紅のプレートが覆っていき、左腕の肘まで全てを覆う。しかし、それはどこか生物と言うよりは人工物のようなメカメカしさがある。

 

 

 

 

 

龍の篭手(トゥワイス・クリティカル)か?」

 

『この俺をあんな紛い物と一緒にしてくれるとはな、いい度胸だ余程死にたいしいな蝙蝠』

 

「だったら力をもっと出せよ──禁手化(バランス・ブレイク)

 

 

 

 

 

 力を解放するため合言葉(ワード)を告げた。

 

 禁手化(バランス・ブレイク)は神器に備わった奥の手である。

 

 これは本来安定している神器(セイクリッド・ギア)の力のバランスをあえて崩す事により、従来の性能以上の力を解放する技である。

 

 全ての神器使いに使える可能性はあるが、使えるのは極僅か。それでいて一誠はその領域へと至っていた。

 

 

 

 全身を覆う赤の鎧。

 

 全身の要所要所に黄緑(エメラルド)の宝玉が散りばめられていて、胴体の胸部には一際大きい宝玉が堂々と存在している。

 

 顔は左右に別れる黄色のヒゲのようなパーツに宝玉と同じ色の瞳。龍のような彫りの深い顔へと変貌を遂げ正しく【赤い龍】その物が人型になったようにすら感じる。

 

 

 

 

 

「まだ力を隠していたか人間ンンンン!!」

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)それがこの状態の名だ。使うのはこれで二度目、楽しませろよライザー」

 

 

 

 顔は隠れて見えないがその下が愉快に笑っているのだと安易に想像出来る。

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