問題児が日常を過ごしたかったようですよ   作:たこ焼き屋さん

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不死鳥は覚醒する。

 この戦いにおける最前線にいながら傍観者しか役目がないリアスは目の前のそれに言葉を上手く表すことが出来ずにいた。

 

 一誠が禁手化(バランス・ブレイク)を用いた直後に互いは駆け出し超高速戦闘を開始した。

 

 

 

 その速度は互いに太陽を起点とした銀河系脱出速度以上──第四宇宙速度である。

 

 二人が加速する度にソニックウェーブにより周囲の木々や建物は壊れていき、さらには空間自体も不安定にさせている。

 

 通常ではありえない速度の二つが接触すればその衝撃は核爆弾以上。

 

 もはや人類では再現不可能であり観測すら怪しいレベルだ。

 

 

 

 もちろんそれをリアスが終えるわけがなくただ見つめているだけだった。

 

 

 

「キャッ!・・・また衝撃波が横をこれで何度目?」

 

 

 

 二人の余波は当たり前だがリアスの方にも飛んでいくのだが、それを回避する手段はなく防御なんて取ることすら出来ない。なので既に余波で殺られていてもおかしくないのだが、何故か先程から横を通り過ぎていくばかりでかすり傷の一つすら負わない。

 

 

 

 勝利の女神はどちらに微笑むのか。それはもはや戦況をしっかりと把握できていないリアスには到底判断できることではない。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

 小さな爆発と大きな爆発が休む暇なく発生し続け、最後の派手な花火が延々と続いているような華やかさすらある。

 

 その発生源の戦闘スタイルは全く一緒同化している。

 

 回避を一切捨て攻撃にだけ集中し殴る。

 

 ライザーは右ストレートの拳を顔面に受け跡形も無く吹き飛ぶが直ぐに再生させ、カウンターの顔面パンチを捩じ込む。

 

 一誠は微動だにせず鎧の硬さを物語る拳を阻止する鎧の甲高い音が鳴り、僅かに傷がつく程度しかダメージを与えられていない。

 

 

 

(足りないのかここまでの力を出しても)

 

 

 

 確かに互いにダメージを負っていなく互角のように見えるが本質は違う。

 

 鎧に阻まれ入らないダメージと再生により残らないダメージでは明らかに後者の方が不利であり、持久戦をしていけばいずれ負けるのは後者だ。

 

 そうならないために覚醒したての【超越者】としての力を一〇〇%──一二〇%──二〇〇%と限界を超えた使い方をしているのだが、それでも決定打になりえない。

 

 それだけ兵藤一誠と言う男は遥かな高みに居るということに他ならない。

 

 

 

(負けそうだと言うのに・・・)

 

「楽しくて仕方が無いぞ一誠!!!!」

 

「はっ、それはこっちも同じだぜライザー!!ここまで殴り会えたのはお前が初めてだよ。いつもは一撃で沈むからな!」

 

 

 

 つい口から零れた感情に好敵手(一誠)は同調し獰猛な笑みを見せつけてくる。

 

 もう兵藤一誠を人間だとは思わず、一人の男、一人の戦士、一人の・・・・・・好敵手として心の底から認めた。

 

 その思いは重い一撃を放つ事に成功する。

 

 回避を完全に捨て拳のみに全神経を集中させる。

 

 右肩、二の腕、肘、肘先、手首、手の甲、第一関節、指先まで──その先の炎や火の粉まですら身体の一部として感じて操作出来る。

 

 

 

(なんだこれは・・・)

 

 

 

 刹那蒼炎にある変化が起こる。

 

 地球における高温を意味する蒼炎は徐々に色が抜け落ちていく。残ったのは僅かに青色がかっている白炎だ。

 

 何故そんな色に変化したのか一切合切不明であり効果も不明。正体不明のそれだが、勝つために使えるならば何でも使ってやると拳に纏わせ胸部を強打する。

 

 すると、白炎が赤を飲み込み消失させる。

 

 

 

「なにッ──」

 

 

 

 一誠は初めて自ら距離を取って一旦戦闘を中断させる。

 

 ツーステップ、念の為のスリーステップ下がり京田を受けた場所を確認してみる。

 

 その場所は溶鉱炉に溶かされた鉄のようにグチャグチャに溶けて混ざり合い、地面へぽたぽたと溶けた鎧を垂らしている。

 

 

 

『馬鹿な!この俺の鎧を溶かしただと!!そんな事できるわけが無い!』

 

「残念ながら目の前でそれが起きてんだから認めろよ。結論として、お前の力よりも上の炎で上書きされて溶けたってところだろうな。まぁそうなると、炎を司る炎龍の居候(ドライグ)より上の炎を持ってるって事だけど」

 

 

 

 推測は経つが如何せんそれをすぐに信じる事は二人共出来ずにいた。

 

 確かにフェニックスは炎を媒体にして復活をするなど炎と深い関係があるのは分かるが、それでも本質は何度でも再生する不死性にあるのであって炎が強力などではない。

 

 赤龍帝──ドライグ・ア・ゴッホは赤言わるゆる炎の化身に近く、炎を完璧に操り例え神のような上位種であっても殺すことは容易い。なので皮膚や鱗の装甲はそれなりの炎耐性があり神器になってもそれは同じだった。

 

 逆に能力の幾つかを封印されている今の状態では防御の方が強力だと言っても良いかもしれない。

 

 ならばこそこの装甲を超えてダメージを与えた事は想定を軽く超えた物であった。

 

 

 

「油断すんなよ居候(ドライグ)

 

『当たり前だ。それに俺が油断したところで戦うのは相棒だろうに』

 

「だな。まぁいっちょやりますか」

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

 

 

「アジュカもう一度確認をするよ。フェニックス家の超越者の能力は【蒼炎を操る事】で良いんだね」

 

「それに関しては間違いはない。候補者として伝えられた段階で、過去の文献から古文書を精査して能力を確定付けた」

 

「だったらアレはなんだ!」

 

 

 

 アジュカから渡されていた【フェニックス家の超越者について】の資料を持っていた手を机に思いっきり叩きつける。

 

 魔王の拳に耐えられず机は殴られた場所から全体にヒビが入り瞬時にで砕け散る。ちなみにこれは日本円にして三○○○万円の机である。

 

 通信モニターが一瞬乱れるがすぐに安定し掛けているメガネが怪しく光る。

 

 

 

『なら簡単な事だろサーゼクス。彼は過去の血の呪縛を超えて新たな力を覚醒させた、あの男のようにな』

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー・・・始まりのルシファーの血を色濃く継いでいる故に覚醒し、先代を超えた力を覚醒させた超越者。

 

 彼と同じように先代を超える力を覚醒させたと言うのか・・・僕達には不可能だった事を」

 

 

 

 資料を握る手に言葉と共に力が込められ、もはや資料として再度使用するのは難しい状態になる。

 

 そこにどんな感情があったのかアジュカはある程度予測がついていた。

 

 四大魔王とはその家名通り四家の悪魔から始まった。【ベルゼブブ】【レヴィアタン】【アスモデウス】【ルシファー】

 

 三種族による戦争の末死亡や疾走などが起き後釜として当時の最強だった四人がその家名を襲名して四大魔王として君臨するようになった。

 

 サーゼクスは【ルシファー】の家名襲名しルシファー家の、屋敷に足を踏み入れた後から何故か目の敵にするような態度を取り始め、自身の眷属に至ってもリゼヴィムの能力の対象外の者を集めている。

 

 リゼヴィムに出来たのだからと躍起になって始まりの悪魔を越えようと頑張ったが無意味に終わり、成果は出なかった。

 

 半ばリゼヴィムが特殊なんだと諦めていた所へ自分より若い悪魔が軽々と超えてしまった。それも【超越者】として初めて覚醒した当日にだ。

 

 純粋に悔しいのだろう。努力で越えられない壁を才能で超えてしまった彼が。

 

 

 

『認めるしかないさ。彼は冥界始まって以来の天才であり最強の超越者であるとな』

 

 

 

 終わったら一杯行こうと付け足して励ましの声をかけた。

 

 数秒沈黙を貫いてから、少し落ち着いたのか小さく首を縦に振って心を落ち着かせていく。

 

 

 

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