想像通りの物を文にできないせいで、もやもやが残るな。もっと文才をオラにくれ。
二人だけの大決戦はライザーの覚醒により戦況がひっくり返った。
今まではダメージが入らず一方的に攻撃をしていた一誠であったが、ライザーの白炎は鎧を溶かしダメージを如実に与え始める。
それが意味をするのはダメージを受けても回復する術を持つライザーに比べ、回復手段がない一誠の圧倒的不利が定められたという事だ。
「どうしたどうした!その程度では無かろう一誠!!」
「クソ──攻撃は当たっちゃいけなくて、ダメージが入らない?とんだクソゲーだなおい!」
幸いなのはまだ完全にコントロール出来ていないという事だと、冷静に分析しながら思考を止めるために飛んでくる拳を紙一重で躱していく。
「いつまでもお守りをしながらでいられると思うなよ?」
「はっ!何を言ってやがる。俺は別に」
「ほらまただ。これが俺とお前との絶対的条件の差だ」
狙いを一誠ではなく呆然と見ているリアスに向けた瞬間、無理やり身体を捻りあげ拳を蹴り飛ばして逸らす。が、その体制から新たに捻って回避するのは空中に足場があっても不可能。
白炎を一誠の鎧を参考に纏わせガラ空きのボディーに回転を加えて捩じ込む。
鎧は一瞬で融解し拳の回転に合わせて腹部全体の鎧は渦を描く。
赤の渦の中心点。そこは皮膚の肉の焦げる不快な匂いが二人の鼻腔を刺激する。
「くっ・・・そ・・・」
「確かに一対一なら俺にこのような勝ち方は出来なかっただろうな。だが、これは大将の首をかけたゲームだ。一兵士のお前と、大将の俺では戦い方がまるで違うよ」
意識を反転させて頭から校庭に真っ逆さまで落ちていく。
腹部を焼かれた痛みは脳にダイレクトに激痛を伝えさせ、それにより強制的に意識が戻される。
校舎より遥かに上からの落下。いつもの一誠であれば難なく着地できるが、初めて受けた大ダメージに肉体が硬直しまともに動かない。
地面と接触すると校舎を揺るがす衝撃波と、苦痛に叫ぶ一誠の声がリアスの耳に届く。
「何を泣きそうになっている。これがお前の選択した事だぞリアス。
眷属を巻き込み友を巻き込んだ対価だ。血を、肉を、魂を、寿命を、精神を、命を削らせる。それが戦いだ。これはゲームである前に戦いでもある。それを知らなかったで悲しむなど哀れな女だな」
その場に徐々に崩れていき、フェンスに指が伝い指先を傷つけていく。
完全に床にへたり込んだリアスは目から大粒の水滴を流して落下地点を見続けている。
「悔やんだか?この戦いにあの男を巻き込んだ事を・・・泣いて許してもらおうとでも言う気か?」
「・・・・・・・・・」
「答えないか。まぁいい、勝手に語りかけるだけだ」
ライザーは残っていたフェンスに寄りかかり、体力の回復を図るついでにと口を開いた。
「もし俺と一誠がサシで殺りあったら間違いなく負けていた。だがそんな事に今回はならなかった、その核たる理由が互いの立場の差だ。
俺は自身の首が取られれば負ける。逆に言い返せば俺が負けなければ負ける事はない。だが一誠は違う。俺が一誠に勝ったところでこのゲーム自体の勝者にはなれない、何せ大将はリアスお前だからな。
不自然に思わなかったか?お前にだけ何故か攻撃がいかなかった事をな」
その言葉を聞いていたリアスは何かに気づいたのか肩を揺らす。
「気づいたな。さすがにそこまでバカではないか。そう、一誠はお前を守りながら戦闘をしていた。そのせいで本来食らうはずも無かった攻撃を喰らい地に伏している訳だ」
「・・・それじゃあ私のせいなの?一誠があんなに傷ついてるのは・・・」
夢を奪われた子供のように絶望に満ちた声を上げた。
それを、哀れと思ったのかライザーは苦笑し語──
「な訳が無いだろ」
「一誠!」
問いに答えたのはライザーではなく問の根幹である一誠本人だ。
生きていて良かったと笑顔で振り返ればその笑顔の意味が逆転した。
鎧の大部分は大破していて顔が半分露出し、腹部に至っては人間の皮膚とは思えないほど赤黒く変色している。
左手は辛うじて動いているが右手は肘が三回転したようで繋がっているだけの状態であり、宙に垂れ身体の動きや風に合わせて揺れる。
「何が・・・」
「落下の衝撃を右腕だけに集中させてどうにか耐えたか。それでもその状態ではもう碌に戦えないだろ」
身体が殆ど動かない状況下においても一誠は的確に判断してすぐに右腕を捨てる判断を取った。それにより、右腕が完全に逝ったが脚や左腕は残す事が出来た。
これでまだ戦える。まだやれると歩みを止めない。
「ダメ・・・もうやめて。何でそこまでするの・・・貴方に取って私なんてどうでもいいじゃない。つい一月前ぐらいに出会って、そこから流れで一緒に居る私のためになんで・・・」
「自意識過剰だな、俺は別にリアスのために戦ってる訳じゃない。これは俺が売った喧嘩でライザーが買った喧嘩だからやってるだけだ。リアスなんてオマ──」
「嘘ッッ!」
目が朦朧としていながらも歩いて近づく一誠にリアスは立ち上がって抱きつく。
顔の位置的にリアスの胸の上部に顔が沈み込む。
「だったらこのゲームとは別でやれば良かった。わざわざこのゲームでやる理由は何?」
「誰が答えるかよ。答える理由なんかねぇよ」
痛みから掠れた声で答える。そこにいつもの覇気はなく弱々しい年相応の少年の声だ。
今考えれば胸に沈むこの少年は劇的な人生の転換期を迎えたばかりなのだと気づいた。
堕天使の彼女に裏切られその手で殺し、人間以外の種族を知った。悪魔の純血種との戦闘により経験した事のない大怪我を負い満身創痍である。
もし自分が同じ立場であるならば絶対に生きていけない。まともな精神状態では入れないと思う。
「バカ・・・バカよ」
「バカバカ五月蠅ぇ・・・声が頭に響くからやめろ」
「この戦闘狂・・・・・・この戦闘バカ・・・この問題児・・・このえっとその」
「思いつかねぇのかよ。そこは考えておけよな、たくっ気がくるな・・・・・・ありがとよ支えてくれて」
か細くボロボロな身体で再び立ち上がる。
剥がれて歩みを始める
歪む視界で数歩歩いて立ち止まる。
腹部の傷などを含めれば持ってあと数分。それ以上は意識が強制的に落ちるか死亡するかのどちらかだろう。
肩を上下に苦しそうに息をしながらライザーを見つめる。
「覚醒に次ぐ覚醒、そっちももう限界だろ?」
「・・・・・・やはり気づいていたか。いくら強がった所でもう身体は持たない、気を抜けば今にも崩れ落ちる」
この戦闘は一誠に初めての苦戦を強いらせたが、それはライザーにも同じ事であった。
格上との戦闘を止めさせられていたライザーには全力でかかっても勝てない相手など体験したことも無く、【超越者】としての第一覚醒からのそれを超える第二覚醒。この戦闘だけで数十年──数百年分の進化を急速に遂げた。
その反動はライザーの身体に知らず知らずの内に疲労とダメージを蓄積していき、遂にそれが今爆発する一歩手前まで来ている。
両者とも満身創痍でありながらも勝負を捨てるような事はしない。しっかりと向き合い何時でもやれるように心構えをしている。
「俺ももう限界でお前も限界・・・だが、それではい終わりなんて出来ないだろ?」
「もちろんだ。終わるならせめて最後に殴って終わりにしてやるよ」
「こちらも同じ、残された力はラスト一発・・・そこに全てを込めよう」
フェンスから跳ね互いに十歩の間を取る。
ライザーは両腕を垂らした状態で目を瞑り力を精密にコントロールする。
足や胴体、頭にバラけていた力を全て一箇所左腕だけに集める。
無駄に放出していた力は左腕の内側に集約していきまだ蒼が見え隠れしていた炎は完全に変貌し、蒼が色が一切ない白炎へと至る。
閉じていた目がゆっくり開かれ、瞳に落ち着いた色が写り左腕を後ろに下げる。
「俺はこれを放てばもう動けん。だからリアスを潰す気で打つ、分かるな?躱すことは出来んぞ」
「だろうな。だからこっちも」
『BBBBBoost』
「全身全霊をかけてやるよ」
最後の壁としてリアスの前に動き、生き残っている左腕を同じく後ろに下げ最後の攻撃を放つために構える。
口角を上に上げそれでこそと心の中で呟く。もうここから先に会話は必要ない。
会話に割く力すらもこの一撃に回すからだ。
互いに一歩にじり寄り
ライザーの白炎は肥大化し一個の巨大な球体になる。
火球から放たれる熱は触れてすらいないのに熱風によって、校舎のコンクリートを溶かし木々を燃やす。
それにライザーは気づいていないが一誠は大まかに正体を判断していた。
火を司る赤龍に対して優位に立てる、それでいて最も色濃くそれの証拠として提示されている白炎。この二つがで揃えば簡単である。
その正体は自然界に存在し地球に多大なる影響を及ぼし、銀河が存続していく上でもっとも重要なファクターである【太陽】である。
太陽の光は本来何も色がない白であり、それが地球の酸素や海などの数多の色素に触れることで色を持つ。
【太陽】であれば火を司る赤龍よりも銀河を照らす【太陽】の火が勝つのは自然であり、【太陽】以外の候補など火の神シヴァなどしか思い当たらず、もっとも証拠が示しているのが太陽であった。
一体そこにどんな理由がって太陽になったのかなど考える余地も無く、分かっているのが太陽であると言うこと。
それにより目の前の火球は正に太陽の化身であり、擬似的な太陽のような物だ。あまり長時間顕現すれば肉が溶け去るだろう。
早急に決着をつけたいが、太陽を惑星一つを砕く力など四大魔王ですら出せない。もちろん人間で出すことは不可能であろう。
恐ろしい推測に行き着いたはずの一誠であるが笑みは消えていなかった。
引き下げられた左腕の【赤龍帝の篭手】は
生身の腕で太陽を殴るなど自殺志願者のそれであり、ライザーも何故解除したのか明確な理由は分からない。
「
その
三つ、五つ、七つ、十に及ぶ光の柱群。
一つ一つの質量が高エネルギーであり、空間を破壊するには十分すぎる威力を持つ。それらが一誠の左腕を中心に混ざり合う。
繊細に精密に確実に融合していく柱は最終的に一つの細長い柱──槍へと姿を変えた。
十個の高エネルギーを圧縮させた光の槍は左腕に被さり、指示通り太陽に向けて突き出される。
太陽と光の槍の激突。
世界の終焉を表すかのように空間が泣き叫ぶ音がこの領域全てを支配する。
二つの光がぶつかり合い視界を完全に封殺。
莫大な質量を持つ太陽──惑星が壊れる事などまずありえない。遠目で見れば銀河の至る場所で惑星が壊れる事が起こるが、今さっき完成した惑星がその日にすぐ壊れるのはありえない。
自然崩壊はありえない。
ならばこれは故意による破壊なのかと目を疑う。
太陽のある空間自体にヒビが入り、光の槍との激突部は砕かれたガラスのように徐々に粉々になり始めている。
(まさかその一撃、惑星を砕く威力があるのか!)
その結論に至ったと同時、太陽は無残にも全てが砕け散り光の槍──一誠の左腕が胸部を深く貫く。
再生させる力すら残っていないライザーはその一撃を持って完全に意識が消える。
それにより勝負が決まった。
リアス・グレモリーは初めてのレーティングゲームを勝利で幕を下ろした。